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あなたの名前を呼んで
中原 京 4-3(Side:中原 京)
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ぐったりと俺にもたれかかる佳乃ちゃんに俺は胸がぎゅうと締め付けられた。
こんなに小さな身体でこの子はどれだけの事を我慢してきたんだろう。
同じ年齢なのに、佳乃ちゃんには沢山の傷がついている気がして佳乃ちゃんの手を握って親指で甲を撫ぜる。
少しでも佳乃ちゃんの痛みがなくなるように。
「…ん…っ…」
「佳乃ちゃん、もう、平気?」
「……ごめ、んね…」
「…ごめんね、はもう聞きたくないなぁ」
目を覚ました佳乃ちゃんに優しく聞けばこく、と小さく頷き小さな声で謝る。
その声に俺は何故か泣きたくなって、でも泣きたくなくてそれを笑って誤魔化した。
ああ、ちゃんと笑えてなかったのかな。佳乃ちゃんが泣いちゃった。
「どうしたの、泣かないで…?」
「ふ、ぇ…っ…おれ、おれ…」
「うん」
「いつ、もっ…みんなに迷惑かけて…消えたくてっ…でも、みんなと離れるのが怖くなっちゃって…!」
「うん…そっかぁ」
「おれ、どうしたら、よかったんだろ…」
佳乃ちゃんはひくっとしゃくりあげながら必死に言葉を紡ぐ。止まることを知らないかのような涙に見ているこちらも泣きそうになる。
どうしたら佳乃ちゃんの涙を止める事が出来る?
どうしたら佳乃ちゃんを救う事が出来る?
考えても考えても分からなくて俺は強く、佳乃ちゃんを抱きしめた。
「…佳乃ちゃん。佳乃ちゃんが好きな事はなぁに?」
「好きな、こと…?」
「うん。なんでもいいんだけど…ご飯を食べる事、とか寝る事とか」
俺の唐突な質問に涙をはらはらと流しながら佳乃ちゃんは考えているようだ。
泣きながらでもちゃんと考えてくれるんだ。かわいい。
余りのかわいさににこにこと笑みを浮かべて見守る。
「…俺、みんなと話すことが、好き」
「みんなと?」
「うん…俺、友達なんていなかったから…あっくんと話すのも、颯くんと話すのも…でも、京くんと話すのが、一番好き」
「…へ」
少しだけ恥ずかしそうに言う佳乃ちゃんにびっくりしてぽかんと口を開けたまま見つめれば「ぁ…ご、ごめん…嫌、だよね」と手で顔を覆った。
慌てて「違う!そうじゃなくて…!」と否定すればふるふると首を振られる。
んもー!ちゃんと聞きなさい!
「あのね、佳乃ちゃん。俺も、佳乃ちゃんと話すの、好きだよ。もう、本当だって…泣かないで?…っていうか、佳乃ちゃんが好きなの、俺」
「ぅ…ぇ…?」
「あはは、涙、やっと止まったね」
「す、き…って…」
「初めて佳乃ちゃんと会った時からベタ惚れなの。…ねぇ、佳乃ちゃんが抱えてるもの、全部なんて言わないから…ちょっと楽になったなって思えるぐらい俺にも抱えさせて?」
「で、でも…」
「佳乃ちゃんがぺしゃんこになっちゃうの、俺、見たくないんだ。もう、悲しくて、寂しい思いをさせたくないんだ」
頬を撫でながらゆっくりと伝えれば佳乃ちゃんは1つ1つ理解しようとしているのか、目が揺れている。
そして、長い時間が経過した後やっと止まった涙がまた流れ始めた。
「きょ、くん…っ…おれ、おれもぉ……京くんが、好き…!ふぇ…ぇっ…」
「目が溶けちゃいそう……って、え?好き?」
「っ…ふ、…うんっ…」
「え、あ……っっ…佳乃ちゃん!」
「ぅぐっ…」
嬉しくて佳乃ちゃんを再度抱きしめると力が強すぎたのか佳乃ちゃんが潰れた声が聞こえて慌てて力を弱めた。
ごめんね、と謝ると、「ううん、嬉しい」と華が咲いたように笑った。
その笑顔に見惚れていると佳乃ちゃんがポツリと呟く。
「…でも、俺、まだ話せないかもしれない」
「…ん。それでもいいよ。佳乃ちゃんの準備が出来た時でいい。でももう離れていかないで」
「うん、……うん。ごめんね」
「ほらぁ、もう謝らないの」
「…ありがとう」
返事はせずに佳乃ちゃんの唇にキスを1つだけ落とした。
**
これにて終了です!
こんなに小さな身体でこの子はどれだけの事を我慢してきたんだろう。
同じ年齢なのに、佳乃ちゃんには沢山の傷がついている気がして佳乃ちゃんの手を握って親指で甲を撫ぜる。
少しでも佳乃ちゃんの痛みがなくなるように。
「…ん…っ…」
「佳乃ちゃん、もう、平気?」
「……ごめ、んね…」
「…ごめんね、はもう聞きたくないなぁ」
目を覚ました佳乃ちゃんに優しく聞けばこく、と小さく頷き小さな声で謝る。
その声に俺は何故か泣きたくなって、でも泣きたくなくてそれを笑って誤魔化した。
ああ、ちゃんと笑えてなかったのかな。佳乃ちゃんが泣いちゃった。
「どうしたの、泣かないで…?」
「ふ、ぇ…っ…おれ、おれ…」
「うん」
「いつ、もっ…みんなに迷惑かけて…消えたくてっ…でも、みんなと離れるのが怖くなっちゃって…!」
「うん…そっかぁ」
「おれ、どうしたら、よかったんだろ…」
佳乃ちゃんはひくっとしゃくりあげながら必死に言葉を紡ぐ。止まることを知らないかのような涙に見ているこちらも泣きそうになる。
どうしたら佳乃ちゃんの涙を止める事が出来る?
どうしたら佳乃ちゃんを救う事が出来る?
考えても考えても分からなくて俺は強く、佳乃ちゃんを抱きしめた。
「…佳乃ちゃん。佳乃ちゃんが好きな事はなぁに?」
「好きな、こと…?」
「うん。なんでもいいんだけど…ご飯を食べる事、とか寝る事とか」
俺の唐突な質問に涙をはらはらと流しながら佳乃ちゃんは考えているようだ。
泣きながらでもちゃんと考えてくれるんだ。かわいい。
余りのかわいさににこにこと笑みを浮かべて見守る。
「…俺、みんなと話すことが、好き」
「みんなと?」
「うん…俺、友達なんていなかったから…あっくんと話すのも、颯くんと話すのも…でも、京くんと話すのが、一番好き」
「…へ」
少しだけ恥ずかしそうに言う佳乃ちゃんにびっくりしてぽかんと口を開けたまま見つめれば「ぁ…ご、ごめん…嫌、だよね」と手で顔を覆った。
慌てて「違う!そうじゃなくて…!」と否定すればふるふると首を振られる。
んもー!ちゃんと聞きなさい!
「あのね、佳乃ちゃん。俺も、佳乃ちゃんと話すの、好きだよ。もう、本当だって…泣かないで?…っていうか、佳乃ちゃんが好きなの、俺」
「ぅ…ぇ…?」
「あはは、涙、やっと止まったね」
「す、き…って…」
「初めて佳乃ちゃんと会った時からベタ惚れなの。…ねぇ、佳乃ちゃんが抱えてるもの、全部なんて言わないから…ちょっと楽になったなって思えるぐらい俺にも抱えさせて?」
「で、でも…」
「佳乃ちゃんがぺしゃんこになっちゃうの、俺、見たくないんだ。もう、悲しくて、寂しい思いをさせたくないんだ」
頬を撫でながらゆっくりと伝えれば佳乃ちゃんは1つ1つ理解しようとしているのか、目が揺れている。
そして、長い時間が経過した後やっと止まった涙がまた流れ始めた。
「きょ、くん…っ…おれ、おれもぉ……京くんが、好き…!ふぇ…ぇっ…」
「目が溶けちゃいそう……って、え?好き?」
「っ…ふ、…うんっ…」
「え、あ……っっ…佳乃ちゃん!」
「ぅぐっ…」
嬉しくて佳乃ちゃんを再度抱きしめると力が強すぎたのか佳乃ちゃんが潰れた声が聞こえて慌てて力を弱めた。
ごめんね、と謝ると、「ううん、嬉しい」と華が咲いたように笑った。
その笑顔に見惚れていると佳乃ちゃんがポツリと呟く。
「…でも、俺、まだ話せないかもしれない」
「…ん。それでもいいよ。佳乃ちゃんの準備が出来た時でいい。でももう離れていかないで」
「うん、……うん。ごめんね」
「ほらぁ、もう謝らないの」
「…ありがとう」
返事はせずに佳乃ちゃんの唇にキスを1つだけ落とした。
**
これにて終了です!
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