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番外編(捏造ありまくり)
群青 碧(誕生日話)
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主人公と付き合ってる設定です。
Side:群青 碧
『お前はいつでも人の上に立つ人間でなければならない』
昔からそう言われ育てられ、俺も疑問なんて持つ事なく今までやってきた。
だけど、何故か心の中は空っぽでいつまでも満たされる事はなく。
このまま何事もなく学生生活を終えて、親の会社を継ぐんだろうと漠然とした未来を思い浮かべていた。
親は優秀な成績さえ残せば好きにしろという放任主義だったから、長期休暇に家に帰っても必要最低限の会話以外する事はなかった。
そんな家庭だったから、クリスマスとかお正月とか。…己の誕生日でさえ祝った事はない。
欲しいものは特になかったし、気がつけば自分の誕生日など忘れていた。
**
ある日、佳乃がどこかそわそわしながら俺の元へとやってきた。
「どうした?」
「え、えと…あのね、24日…よかったら…その、で、デート…しないかなぁって…」
「デート…」
佳乃がそんな誘いをしてくるのは珍しくまじまじと佳乃を見つめていたら何も返事をしない俺を不安に思ったのか、眉を下げて「…だめ、かな…」としょんぼりとした表情になった。
「あ、あぁ…悪い。いや、その日は特に用事もないし大丈夫だ」
「本当!?…えへへ、よかったぁ」
「…楽しみだな、デート」
「うん!じゃあ、また後でね」
少し考えてみても思い当たる予定はないので了承すれば、見ているこちらが幸せになるような笑みを浮かべて去って行った。
…俺の恋人がかわいすぎて、困る。
その日の俺の機嫌はすこぶる良く、周りの生徒が物珍しそうに見ていたことに気がつかなかった。
**
デート当日、迎えに行くと言ったが外で待ち合わせをしようと言われ、お互い別々に待ち合わせ場所へと向かった。
「ふぅ…時間まであと15分か。意外と早く着いたな」
腕につけた時計を見れば待ち合わせまで後15分。念のためきょろきょろと辺りを見渡しても佳乃の姿は見当たらない。
…ここら辺で待っていれば、気付くだろう。
待ち合わせ場所である噴水近くのベンチへと腰掛け佳乃を待っていると「すみませぇ~ん」と声をかけられ、振り向けば派手な化粧をしている女性が2人立っていた。
「…なんだ?」
「あのぉ~今お1人なんですかぁ?」
「…そうだが」
「もしよかったらぁ、あたしらと遊びませぇ~ん?」
この2人は俺が話したくないオーラを出していることに気が付いていないのだろうか。
思い切り顔に出しているつもりなのだが。
はっきり断ろうと口を開いたとき「あっくん、お待たせ。ごめんね」と服の袖を引かれた。
丁度いいところに、と振り返り佳乃の姿を視界にいれた俺は開いた口が塞がらなかった。
「よ、佳乃…?」
「ん?なぁに?…この人たちは?」
「あぁ…いや、声をかけられて…」
「あー私がいるのにあっくんてば、この可愛いお姉さん達と遊ぶつもりだったの?」
「違う!」
「ふふ、わかってるよぅ」
むぅ、と頬を膨らませたかと思えばふにゃと柔らかい笑顔を浮かべる佳乃に俺も思わず笑みをこぼす。
声をかけてきた女性達は気がついたらいなかった。
だから俺はずっと気になっていた事を佳乃に聞くことにする。
「…ところで、佳乃」
「なぁに?」
「なんで、それ…女の子の格好してるんだ?」
「む、違うもん!…た、たまたまそれっぽく見えるだけだもん…」
そう、今日の佳乃の格好はどこか中性的だがふわふわとした髪が揺れて女の子に見える。
それにつっこめば顔を赤く染めて否定された。かわいい。
ふと周りに視線をやればチラチラと多数の男から熱い視線を送られている事に気がつき、それを避けるように俺は佳乃を抱きしめた。
「あ、あっくん?」
「…さっきは、ありがとな。助かった」
「ううん。ほら、もう、行こ?」
多分、私と言ったのも先程の女性達を離すためなんだろう。そう考えたら愛しいという気持ちが抑えきれず、離す前に頬にキスをする。ぼっと顔を一気に赤くした佳乃に強く押され、強制的に離された。
腕をひかれ、向かった先は水族館で大きな水槽を優雅に泳ぐ魚をキラキラとした目で見ている佳乃。
「綺麗だね~」とか「これちょっと、あっくんぽい」と笑う佳乃が可愛すぎて、俺は写真を撮る指が止まらない。
佳乃は魚を撮ってると思っているようだが、フォルダには佳乃しか写ってない写真ばかりだ。
時間をかけて水族館をまわり、お土産コーナーで佳乃はあいつらにお土産を買うらしくお店の奥へと入っていった。
…別に買わなくてもいいと思うんだがな。
佳乃の買い物が終わるまで適当に見て回ろうと商品を見ていると、小さな手乗りのぬいぐるみが目に入りそれが佳乃に似ている気がしていつの間にか購入していた。…喜んでくれるといいな。
「あっくんごめんね!あ、あっくんも何か買ったんだね」
「やる」
「へ?えっありがとう!嬉しい……わっかわいい!えへへ、大切にするね」
値札だけ外してもらったぬいぐるみを佳乃の頬にふにっと当てて笑みを浮かべれば一瞬きょとんとした表情を浮かべたものの、ぱぁっと花が開くように顔を輝かせてすぐに嬉しそうな笑顔を向けてくれた。
その後は雑貨屋を巡ったりカフェで少しお茶をして、寮の門限が近かったので学園へと戻った。
「あっくん、今日このまま俺の部屋に来ない?一緒にご飯食べようよ」
「いいのか?…じゃあ、お言葉に甘えて」
いつもであればそのまま一度解散するのだが、俺の服の袖を引いて上目遣いに俺を見て首を傾げる佳乃に撃ち抜かれて佳乃の部屋へと向かう。
今日はどうしたんだろうな。普段の可愛さに拍車がかかってる気がする。
「…おじゃまします」
「ふふ、どうぞ。あっくんもうお腹空いてる?」
「そうだな…時間も時間だし、成長期だから空いている」
「あははっ!そっか、じゃあ今から作るね」
「手伝うぞ」
「ううん、あっくんはここに座って待っててね?絶対だよ?」
佳乃に近づいた俺をリビングに押し戻してソファへと座らせた。
小さく頷いた俺に「すぐ作るからね~」とパタパタと足音を立ててキッチンへと去って行った。
……どうしたものか。
**
「あっくん……ご飯、出来たけど…どうする?」
「ん……すまない…寝てたな。食べる。ありがとう」
「疲れてるなら無理しなくていいよ?」
「いや、佳乃のご飯食べたい」
「ん、じゃあ持ってくるね」
いつの間にか寝ていたのか揺り起こされ目を開けば心配そうな顔をした佳乃の顔が目に入った。
ふるふると首を振ればすぐに佳乃はご飯をテーブルの上に並べてくれた。
いただきます、と挨拶をして美味しいご飯に舌鼓を打ち、パクパクと箸をすすめあっという間にテーブルの上にあったご飯はなくなった。
「美味しかった、ごちそうさま」
「よかったぁ。あ、今日はねデザートも作ったの!ちょっと待っててね」
そう言って佳乃が持ってきたものはケーキだった。
…プレートものっていて、そこには『HAPPY BIRTHDAY あっくん』と記されていた。
「これ…」
「あっくん、お誕生日おめでとう。本当は外でご飯にしようかなぁと思ったんだけど、あっくんの好きなもの沢山作っちゃって…」
「いや……うれ、しい…」
そう、そうか…今日は俺の誕生日か。やっと今日の佳乃の行動が理解できた。
じんわりと胸が温かくなり、思わず佳乃を強く抱きしめキスをする。
今までこんなに幸せだと思ったのは、佳乃と付き合う事になった時以来だ。
「ん…ぁ…あ!これ、誕生日プレゼント…!」
「プレゼントまで……はぁ、俺…幸せすぎて死ぬかもしれない」
「えぇ!死なないでね…まだまだこれから沢山、あっくんとしたい事あるんだから!」
「はは…そっか」
プレゼントを見つめ感極まっている俺の横で、佳乃が何か決心したように「よしっ」と呟いた。
どうした?と佳乃に目をやればもじもじとしている佳乃が目に入る。
「あ、あのねっ…べた、なんだけど……」
「うん?」
「……おっ俺も、プレゼント…だよ?」
きゅっと首にリボンを巻いて恥ずかしそうに言う佳乃を俺は光の速さで抱き上げ寝室へと向かい、佳乃を押し倒した。
…ふ、赤くなってる。
そして俺は佳乃の耳元で囁いた。
「佳乃、愛してるよ」
君に出会えて、君を愛せて本当によかった。
**
一年越しに初めて登場人物の誕生日話を書きましたが、書きたい事ありすぎてまとまりのない文章に…。
正直佳乃自身をプレゼントしたかっただけなので、全然最初のくだり回収できてない。笑
ここまで読んでくださりありがとうございました!
本編の続きは今しばらくお待ちくださいませ。
HAPPY BIRTHDAY! AOI GUNJO!
Side:群青 碧
『お前はいつでも人の上に立つ人間でなければならない』
昔からそう言われ育てられ、俺も疑問なんて持つ事なく今までやってきた。
だけど、何故か心の中は空っぽでいつまでも満たされる事はなく。
このまま何事もなく学生生活を終えて、親の会社を継ぐんだろうと漠然とした未来を思い浮かべていた。
親は優秀な成績さえ残せば好きにしろという放任主義だったから、長期休暇に家に帰っても必要最低限の会話以外する事はなかった。
そんな家庭だったから、クリスマスとかお正月とか。…己の誕生日でさえ祝った事はない。
欲しいものは特になかったし、気がつけば自分の誕生日など忘れていた。
**
ある日、佳乃がどこかそわそわしながら俺の元へとやってきた。
「どうした?」
「え、えと…あのね、24日…よかったら…その、で、デート…しないかなぁって…」
「デート…」
佳乃がそんな誘いをしてくるのは珍しくまじまじと佳乃を見つめていたら何も返事をしない俺を不安に思ったのか、眉を下げて「…だめ、かな…」としょんぼりとした表情になった。
「あ、あぁ…悪い。いや、その日は特に用事もないし大丈夫だ」
「本当!?…えへへ、よかったぁ」
「…楽しみだな、デート」
「うん!じゃあ、また後でね」
少し考えてみても思い当たる予定はないので了承すれば、見ているこちらが幸せになるような笑みを浮かべて去って行った。
…俺の恋人がかわいすぎて、困る。
その日の俺の機嫌はすこぶる良く、周りの生徒が物珍しそうに見ていたことに気がつかなかった。
**
デート当日、迎えに行くと言ったが外で待ち合わせをしようと言われ、お互い別々に待ち合わせ場所へと向かった。
「ふぅ…時間まであと15分か。意外と早く着いたな」
腕につけた時計を見れば待ち合わせまで後15分。念のためきょろきょろと辺りを見渡しても佳乃の姿は見当たらない。
…ここら辺で待っていれば、気付くだろう。
待ち合わせ場所である噴水近くのベンチへと腰掛け佳乃を待っていると「すみませぇ~ん」と声をかけられ、振り向けば派手な化粧をしている女性が2人立っていた。
「…なんだ?」
「あのぉ~今お1人なんですかぁ?」
「…そうだが」
「もしよかったらぁ、あたしらと遊びませぇ~ん?」
この2人は俺が話したくないオーラを出していることに気が付いていないのだろうか。
思い切り顔に出しているつもりなのだが。
はっきり断ろうと口を開いたとき「あっくん、お待たせ。ごめんね」と服の袖を引かれた。
丁度いいところに、と振り返り佳乃の姿を視界にいれた俺は開いた口が塞がらなかった。
「よ、佳乃…?」
「ん?なぁに?…この人たちは?」
「あぁ…いや、声をかけられて…」
「あー私がいるのにあっくんてば、この可愛いお姉さん達と遊ぶつもりだったの?」
「違う!」
「ふふ、わかってるよぅ」
むぅ、と頬を膨らませたかと思えばふにゃと柔らかい笑顔を浮かべる佳乃に俺も思わず笑みをこぼす。
声をかけてきた女性達は気がついたらいなかった。
だから俺はずっと気になっていた事を佳乃に聞くことにする。
「…ところで、佳乃」
「なぁに?」
「なんで、それ…女の子の格好してるんだ?」
「む、違うもん!…た、たまたまそれっぽく見えるだけだもん…」
そう、今日の佳乃の格好はどこか中性的だがふわふわとした髪が揺れて女の子に見える。
それにつっこめば顔を赤く染めて否定された。かわいい。
ふと周りに視線をやればチラチラと多数の男から熱い視線を送られている事に気がつき、それを避けるように俺は佳乃を抱きしめた。
「あ、あっくん?」
「…さっきは、ありがとな。助かった」
「ううん。ほら、もう、行こ?」
多分、私と言ったのも先程の女性達を離すためなんだろう。そう考えたら愛しいという気持ちが抑えきれず、離す前に頬にキスをする。ぼっと顔を一気に赤くした佳乃に強く押され、強制的に離された。
腕をひかれ、向かった先は水族館で大きな水槽を優雅に泳ぐ魚をキラキラとした目で見ている佳乃。
「綺麗だね~」とか「これちょっと、あっくんぽい」と笑う佳乃が可愛すぎて、俺は写真を撮る指が止まらない。
佳乃は魚を撮ってると思っているようだが、フォルダには佳乃しか写ってない写真ばかりだ。
時間をかけて水族館をまわり、お土産コーナーで佳乃はあいつらにお土産を買うらしくお店の奥へと入っていった。
…別に買わなくてもいいと思うんだがな。
佳乃の買い物が終わるまで適当に見て回ろうと商品を見ていると、小さな手乗りのぬいぐるみが目に入りそれが佳乃に似ている気がしていつの間にか購入していた。…喜んでくれるといいな。
「あっくんごめんね!あ、あっくんも何か買ったんだね」
「やる」
「へ?えっありがとう!嬉しい……わっかわいい!えへへ、大切にするね」
値札だけ外してもらったぬいぐるみを佳乃の頬にふにっと当てて笑みを浮かべれば一瞬きょとんとした表情を浮かべたものの、ぱぁっと花が開くように顔を輝かせてすぐに嬉しそうな笑顔を向けてくれた。
その後は雑貨屋を巡ったりカフェで少しお茶をして、寮の門限が近かったので学園へと戻った。
「あっくん、今日このまま俺の部屋に来ない?一緒にご飯食べようよ」
「いいのか?…じゃあ、お言葉に甘えて」
いつもであればそのまま一度解散するのだが、俺の服の袖を引いて上目遣いに俺を見て首を傾げる佳乃に撃ち抜かれて佳乃の部屋へと向かう。
今日はどうしたんだろうな。普段の可愛さに拍車がかかってる気がする。
「…おじゃまします」
「ふふ、どうぞ。あっくんもうお腹空いてる?」
「そうだな…時間も時間だし、成長期だから空いている」
「あははっ!そっか、じゃあ今から作るね」
「手伝うぞ」
「ううん、あっくんはここに座って待っててね?絶対だよ?」
佳乃に近づいた俺をリビングに押し戻してソファへと座らせた。
小さく頷いた俺に「すぐ作るからね~」とパタパタと足音を立ててキッチンへと去って行った。
……どうしたものか。
**
「あっくん……ご飯、出来たけど…どうする?」
「ん……すまない…寝てたな。食べる。ありがとう」
「疲れてるなら無理しなくていいよ?」
「いや、佳乃のご飯食べたい」
「ん、じゃあ持ってくるね」
いつの間にか寝ていたのか揺り起こされ目を開けば心配そうな顔をした佳乃の顔が目に入った。
ふるふると首を振ればすぐに佳乃はご飯をテーブルの上に並べてくれた。
いただきます、と挨拶をして美味しいご飯に舌鼓を打ち、パクパクと箸をすすめあっという間にテーブルの上にあったご飯はなくなった。
「美味しかった、ごちそうさま」
「よかったぁ。あ、今日はねデザートも作ったの!ちょっと待っててね」
そう言って佳乃が持ってきたものはケーキだった。
…プレートものっていて、そこには『HAPPY BIRTHDAY あっくん』と記されていた。
「これ…」
「あっくん、お誕生日おめでとう。本当は外でご飯にしようかなぁと思ったんだけど、あっくんの好きなもの沢山作っちゃって…」
「いや……うれ、しい…」
そう、そうか…今日は俺の誕生日か。やっと今日の佳乃の行動が理解できた。
じんわりと胸が温かくなり、思わず佳乃を強く抱きしめキスをする。
今までこんなに幸せだと思ったのは、佳乃と付き合う事になった時以来だ。
「ん…ぁ…あ!これ、誕生日プレゼント…!」
「プレゼントまで……はぁ、俺…幸せすぎて死ぬかもしれない」
「えぇ!死なないでね…まだまだこれから沢山、あっくんとしたい事あるんだから!」
「はは…そっか」
プレゼントを見つめ感極まっている俺の横で、佳乃が何か決心したように「よしっ」と呟いた。
どうした?と佳乃に目をやればもじもじとしている佳乃が目に入る。
「あ、あのねっ…べた、なんだけど……」
「うん?」
「……おっ俺も、プレゼント…だよ?」
きゅっと首にリボンを巻いて恥ずかしそうに言う佳乃を俺は光の速さで抱き上げ寝室へと向かい、佳乃を押し倒した。
…ふ、赤くなってる。
そして俺は佳乃の耳元で囁いた。
「佳乃、愛してるよ」
君に出会えて、君を愛せて本当によかった。
**
一年越しに初めて登場人物の誕生日話を書きましたが、書きたい事ありすぎてまとまりのない文章に…。
正直佳乃自身をプレゼントしたかっただけなので、全然最初のくだり回収できてない。笑
ここまで読んでくださりありがとうございました!
本編の続きは今しばらくお待ちくださいませ。
HAPPY BIRTHDAY! AOI GUNJO!
応援ありがとうございます!
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