うちの地元に現れたゾンビがカラッカラだった件について

島倉大大主

文字の大きさ
6 / 19
第一章 生態及び撃退方法について

武器について

しおりを挟む
 さて、武器である。(これは日本の一般人を想定して、考えるものとする)

『銃』は『論外』だ。

 まず日本の家庭には存在しない。
 『改造モデルガン』、『狩猟用の銃』はあるにはあるが、ゾンビの頭部を、確実に吹き飛ばし続けるには火力、及び弾丸不足である。

 刃物等の『刀剣類』も『論外』。
 包丁、鉈、日本刀等は、最初の一時間は使えるかもしれないが、時間経過と共に加速度的に『なまくら』になる。切るのではなく、突くのであれば刀剣でないほうが効果がある。また、重量が意外にあるので、肉体の疲労も溜まりやすく、それによって起きる事故の被害も深刻である。

『鈍器』、は『ややお薦め』だ。
 工具や、金属でできたスポーツ用具は、長時間の使用にも耐えられるようになっており、子供でも簡単に扱えるようになっている。威力もそこそこで、ゾンビの頭部も、うまくやれば三回から四回で破砕できる。数時間使い続ければ折れ曲がってしまったりもするが、刀剣類と違って、それでも十分威力は出せる。
 ただし、これまた重いので疲労が溜まりやすい。

 最後に『スコップ』。
 先の尖ったスコップ、通称『剣スコ』は、創作物等において最強であると表現されるが、実際には『中々使える』といった程度の物だった。
 叩く、刺す、抉る、跳ね飛ばす、を一つの道具で全てこなせる点は素晴らしい。
 だが、やはり重量がある。だからこそ威力に優れるが、長時間の使用には辛すぎる。また、振り回した際の事故も刀剣同様深刻である。
 とはいえ、その優位性により、作者の地域では六月二十日に、警察官全員が常備する事になり、ネットにある動画で有名な『声掛け』からの『処理』の際に大活躍する事になった。(ちなみに園芸用の片手で持てるスコップは、強度は申し分が無いのだが、如何せん小さいために、ゾンビを攻撃した際に、刺さったまま『すっぽ抜けてしまう』ことが多く、使えないという話を聞いた)

 以上のことから、ゾンビ対策として『確実に有効で長時間使える』手持ちの武器は『日本には皆無』であると言ってしまってよい。
 基本は『逃走』もしくは『籠城』で、その際の補助として、先にあげた武器を適時使っていく、というのが正しいと思われる。フィクションの世界のように、疲労が座っていたり、薬草で回復したりすればいいのだが、人間の体は、ゾンビ同様脆いのである。

 また、現時点では一切報告されていないのだが――前述からの繋がりで、武器による攻撃は『飛沫感染』の危険を孕んでいる事も述べておく。
 細菌にしろ寄生虫にしろ、ゾンビにとって『頭へ攻撃される』ということは、『活動停止』と同時に、『繁殖行為』になる可能性を秘めているのだ。(これが、噛み痕が無いゾンビの答えだとすると、辻褄が合うのではないだろうか)
 とするならば、この『ゾンビの素』は『実に凶悪かつ、合理的にできている』といえるだろう。


 ……果たして、自然界にここまで合理的な生物が、『突然出現する』ものなのだろうか?



 ちなみに車両等を使っての攻撃であるが、これまた『論外』である。
 人一人と接触事故を起こしただけで、大体の車は凹み、歪み、たわむのだ。
 例え相手が『熟成ゾンビ』でも、当たり所が悪ければ、一回でべこべこになってしまうだろう。(というか、なった車を何台も見たし、動画サイトで検証をしている人も多数いるので、参考にされたし)

 また、ゾンビの体を巻き込んで事故を起こした場合、自分及び周囲に与える被害が甚大であることも忘れてはならない。(ゾンビを巻き込んだ事故の場合、警察同伴でなければ、ロードサービスが来ない事も忘れてはならない)

 更には――震災等の経験と合わせて、読者諸君も承知だと思うが――給油施設に人が殺到するので、給油自体が中々できないのである。それはつまり、下手をうてば、ゾンビの群れのただなかで、ガス欠になる可能性を指している。(しかも日本には、銃という完全無欠の自決手段が無い)

 そして、ネットで一時期取り上げられたから読者諸君は御存じだと思うが――
 大手の保険会社達は、618事件の後、『ゾンビによる車両損壊』に関し、補償をしないということで一致したのだ。
 これは約款等に、分散して載っている。気がついていない人がいる場合を考え、簡単に書くと(詳細は自分で調べていただきたい)


『わざとゾンビにぶつけて、襲われた、と申告する人間が後を絶たなかったので、補償はしないです』


 というものである。
 逆当たり屋、とでもいうべき奇妙な事例だが、結構な数にのぼったと聞く。(残念な事に、作者の地元にも結構存在した)
 モンド映画風に言うなら『一体どっちが怪物なのか』であるが……ちょっと、たくましい、とも思ってしまう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

終焉列島:ゾンビに沈む国

ねむたん
ホラー
2025年。ネット上で「死体が動いた」という噂が広まり始めた。 最初はフェイクニュースだと思われていたが、世界各地で「死亡したはずの人間が動き出し、人を襲う」事例が報告され、SNSには異常な映像が拡散されていく。 会社帰り、三浦拓真は同僚の藤木とラーメン屋でその話題になる。冗談めかしていた二人だったが、テレビのニュースで「都内の病院で死亡した患者が看護師を襲った」と報じられ、店内の空気が一変する。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

隣人意識調査の結果について

三嶋トウカ
ホラー
「隣人意識調査を行います。ご協力お願いいたします」 隣人意識調査の結果が出ましたので、担当者はご確認ください。 一部、確認の必要な点がございます。 今後も引き続き、調査をお願いいたします。 伊佐鷺裏市役所 防犯推進課 ※ ・モキュメンタリー調を意識しています。  書体や口調が話によって異なる場合があります。 ・この話は、別サイトでも公開しています。 ※ 【更新について】 既に完結済みのお話を、 ・投稿初日は5話 ・翌日から一週間毎日1話 ・その後は二日に一回1話 の更新予定で進めていきます。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

(ほぼ)5分で読める怖い話

涼宮さん
ホラー
ほぼ5分で読める怖い話。 フィクションから実話まで。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

負けヒロインに花束を!

遊馬友仁
キャラ文芸
クラス内で空気的存在を自負する立花宗重(たちばなむねしげ)は、行きつけの喫茶店で、クラス委員の上坂部葉月(かみさかべはづき)が、同じくクラス委員ので彼女の幼なじみでもある久々知大成(くくちたいせい)にフラれている場面を目撃する。 葉月の打ち明け話を聞いた宗重は、後日、彼女と大成、その交際相手である名和立夏(めいわりっか)とのカラオケに参加することになってしまう。 その場で、立夏の思惑を知ってしまった宗重は、葉月に彼女の想いを諦めるな、と助言して、大成との仲を取りもとうと行動しはじめるが・・・。

ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜

遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった! 木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。 「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」 そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。

処理中です...