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第53話 魔人誕生
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ダンジョンの最深部、暗闇に閉ざされた空間の底には、小さな穴が深淵を覗かせていた。
その深淵からどす黒い悪意に満ちた魔力が霧のように流れ出し、やがて霧の中から魔物が生み出された。
穴から近いところは霧が溜まり濃く、魔力が高い強い魔物が生まれ、遠いところは弱い魔物が誕生した。
ダンジョンで人が死ぬと、魂の一部が深淵へと吸われ、魂の光に深淵の奥が震えた。
やがて深淵の奥から何かが蠢《うごめ》き、ダンジョンの最深部の穴から出てきた。
それは黒い霧の塊のようだったが、ゆっくりとダンジョンの出口に向かって行った。
「鋼の獅子」は快進撃でダンジョンを進んでいた。精鋭のヴァレンツ隊6名に当初のメンバー8名、それと新設された魔導部隊100名は魔物の群れを瞬殺していた。
ダンジョンに入ってから二週間で35階と予定より早く進むことができ、ヴァレンツは上機嫌だった。
「新開発の魔導兵器「魔導銃」は意外と役に立つな」
「ただ魔石の消費量が多くて、赤字ですし、故障も多くて困ります」
「まだ試作品だ。いずれ解決されるだろう」
「そうなれば素人でも戦力になり、簡単に大戦隊ができあがりますね」
「うむ、そのためにも魔石獲得のため、このダンジョンを手に入れねばならん」
「仰る通りです」
「ワイバーン10体、きます!」
偵察隊からの知らせが入ると、ヴァレンツはニヤリと笑った。
「魔導兵器にうってつけの獲物が来たようだ。魔導部隊に迎撃させよ」
魔導部隊は筒状の武器「魔導銃」を構え、ワイバーンに狙いを定めた。
「撃てえ!」
号令と共に光弾が発射され、一斉にワイバーンを目がけて飛んで行った。
光弾の雨にワイバーンが次々と体を削られ墜落した。
そこにも光弾が降り注ぎ、ワイバーンたちはあっけなく消滅した。
「これならドレイクも楽勝だな」
「確かに。では、次の攻撃のための準備をさせておきます」
魔導部隊が「魔導銃」の点検と魔石の交換をしていた時、ひとりの隊員が蠢《うごめ》くものに気がついた。
「何だ?」
そう思った瞬間、黒い塊が顔めがけて飛んできて、口から入りこみ、隊員は倒れた。
「どうした? ウラース」
横にいた別の隊員がウラースに近づくと、ウラースの口から黒い触手が伸びて、彼の口から体内に入っていった。
あっと言う間に10名の隊員がウラースの餌食になるとウラースの体が膨れだし、猿のような魔物になった。
魔物は人間を食べ、徐々にその体が変化していった。
知性が宿り、目には新たな光が灯る。そして、言葉を発し始めた
「素晴らしい、これが人間の味か。何という美味、何という快楽」
「魔物だ! 魔物がいる!」
誰かの叫び声が聞こえると、辺りは騒然となり、すぐにヴァレンツ隊が駆け付けた。
「猿の魔物だと、どこから湧いた?」
猿の魔物は赤い目をぎらつかせ叫んだ。
「我は、魔の人、魔人ウラースなり」
そう言うや否や周りの人間を喰らっていった。
「喋る魔物? 魔人だと!」
ヴァレンツがウラースに大剣を叩きつけると、ウラースの右手が切断され、ウラースの絶叫が響いた。
「グワァ~! おのれ、よくも」
「魔導部隊を下がらせよ。こいつは我らだけで十分だ」
「鋼の獅子」がウラースを取り囲む。
魔法使いがウラースの周りに雷が落とし、ウラースが被弾しよろける。
すかさずヴァレンツが上段から大剣を振り下ろし、左右から剣士が切りかかる。
ウラースは大剣を何とか避けるも、左腕、右脚を切られて地面に倒れた。
「ギャ~、グワァ~!」
「これで終わりだ!」
ヴァレンツがとどめを刺そうとした瞬間、上空から鋭い風の刃が雨のように降り注いだ。
鋼の獅子たちは驚き、反射的に飛びのいた。
そこにワイバーンが飛び込んできて、ウラースを守るように覆いかぶさった。さらに前方からワイバーンの大群が押し寄せてきた。
「くそ、もうワイバーンがやって来たのか! 魔導部隊は前方のワイバーンを攻撃せよ」
その時ワイバーンが剣士のひとりに襲いかかる。
それを躱して切り返そうとした時、ワイバーンに隠れていた魔人が現れ、剣士は押し倒れた。
「させるか!」
ヴァレンツが突進し大剣を横に振りぬくと衝撃波がワイバーンと魔人を切り裂き、悲鳴と共に消滅した。
「よし、やった!」
魔道部隊の方を見ると、光弾をすり抜けたワイバーンに襲われていた。
「くそ! ワイバーンを片付けるぞ」
戦闘が終わると、魔道部隊の死者30名、重傷者15名の被害が出ていた。
「魔人とやらのせいで思わぬ被害が出てしまった」
ヴァレンツは魔人に押し倒された剣士を起こそうとした。
「大丈夫か?」
その瞬間、剣士の口から黒い触手がヴァレンツの内に入っていった。
「うわ!」
魔人ウラースは剣士の内に分体を潜り込ませ支配していた。
そして今ヴァレンツの内にも分体を潜入させ支配し、脳から情報を読み取った。
魔人ウラースは考えた。
ダンジョンの外には弱い人間が、美味しい人間がたくさんいる。
しかし強い人間もいる。
ダンジョンの強い魔物を引き連れて、強いやつらを倒しつつ、外に出て、弱い人間を食べよう。
そしてもっと知識を得て、もっと力を蓄え得ようと。
ウラースはヴァレンツを操作して、残った帝国軍兵士全てに分体を潜り込ませ支配した。
奥の魔物を連れてくるため、ひとりの兵士をダンジョンの奥に向かわせ、ヴァレンツたちは出口に向かって歩き出した。
周囲の魔物を引き連れながら。ダンジョンに魔物の暴走、スタンピードが起ころうとしていた。
その深淵からどす黒い悪意に満ちた魔力が霧のように流れ出し、やがて霧の中から魔物が生み出された。
穴から近いところは霧が溜まり濃く、魔力が高い強い魔物が生まれ、遠いところは弱い魔物が誕生した。
ダンジョンで人が死ぬと、魂の一部が深淵へと吸われ、魂の光に深淵の奥が震えた。
やがて深淵の奥から何かが蠢《うごめ》き、ダンジョンの最深部の穴から出てきた。
それは黒い霧の塊のようだったが、ゆっくりとダンジョンの出口に向かって行った。
「鋼の獅子」は快進撃でダンジョンを進んでいた。精鋭のヴァレンツ隊6名に当初のメンバー8名、それと新設された魔導部隊100名は魔物の群れを瞬殺していた。
ダンジョンに入ってから二週間で35階と予定より早く進むことができ、ヴァレンツは上機嫌だった。
「新開発の魔導兵器「魔導銃」は意外と役に立つな」
「ただ魔石の消費量が多くて、赤字ですし、故障も多くて困ります」
「まだ試作品だ。いずれ解決されるだろう」
「そうなれば素人でも戦力になり、簡単に大戦隊ができあがりますね」
「うむ、そのためにも魔石獲得のため、このダンジョンを手に入れねばならん」
「仰る通りです」
「ワイバーン10体、きます!」
偵察隊からの知らせが入ると、ヴァレンツはニヤリと笑った。
「魔導兵器にうってつけの獲物が来たようだ。魔導部隊に迎撃させよ」
魔導部隊は筒状の武器「魔導銃」を構え、ワイバーンに狙いを定めた。
「撃てえ!」
号令と共に光弾が発射され、一斉にワイバーンを目がけて飛んで行った。
光弾の雨にワイバーンが次々と体を削られ墜落した。
そこにも光弾が降り注ぎ、ワイバーンたちはあっけなく消滅した。
「これならドレイクも楽勝だな」
「確かに。では、次の攻撃のための準備をさせておきます」
魔導部隊が「魔導銃」の点検と魔石の交換をしていた時、ひとりの隊員が蠢《うごめ》くものに気がついた。
「何だ?」
そう思った瞬間、黒い塊が顔めがけて飛んできて、口から入りこみ、隊員は倒れた。
「どうした? ウラース」
横にいた別の隊員がウラースに近づくと、ウラースの口から黒い触手が伸びて、彼の口から体内に入っていった。
あっと言う間に10名の隊員がウラースの餌食になるとウラースの体が膨れだし、猿のような魔物になった。
魔物は人間を食べ、徐々にその体が変化していった。
知性が宿り、目には新たな光が灯る。そして、言葉を発し始めた
「素晴らしい、これが人間の味か。何という美味、何という快楽」
「魔物だ! 魔物がいる!」
誰かの叫び声が聞こえると、辺りは騒然となり、すぐにヴァレンツ隊が駆け付けた。
「猿の魔物だと、どこから湧いた?」
猿の魔物は赤い目をぎらつかせ叫んだ。
「我は、魔の人、魔人ウラースなり」
そう言うや否や周りの人間を喰らっていった。
「喋る魔物? 魔人だと!」
ヴァレンツがウラースに大剣を叩きつけると、ウラースの右手が切断され、ウラースの絶叫が響いた。
「グワァ~! おのれ、よくも」
「魔導部隊を下がらせよ。こいつは我らだけで十分だ」
「鋼の獅子」がウラースを取り囲む。
魔法使いがウラースの周りに雷が落とし、ウラースが被弾しよろける。
すかさずヴァレンツが上段から大剣を振り下ろし、左右から剣士が切りかかる。
ウラースは大剣を何とか避けるも、左腕、右脚を切られて地面に倒れた。
「ギャ~、グワァ~!」
「これで終わりだ!」
ヴァレンツがとどめを刺そうとした瞬間、上空から鋭い風の刃が雨のように降り注いだ。
鋼の獅子たちは驚き、反射的に飛びのいた。
そこにワイバーンが飛び込んできて、ウラースを守るように覆いかぶさった。さらに前方からワイバーンの大群が押し寄せてきた。
「くそ、もうワイバーンがやって来たのか! 魔導部隊は前方のワイバーンを攻撃せよ」
その時ワイバーンが剣士のひとりに襲いかかる。
それを躱して切り返そうとした時、ワイバーンに隠れていた魔人が現れ、剣士は押し倒れた。
「させるか!」
ヴァレンツが突進し大剣を横に振りぬくと衝撃波がワイバーンと魔人を切り裂き、悲鳴と共に消滅した。
「よし、やった!」
魔道部隊の方を見ると、光弾をすり抜けたワイバーンに襲われていた。
「くそ! ワイバーンを片付けるぞ」
戦闘が終わると、魔道部隊の死者30名、重傷者15名の被害が出ていた。
「魔人とやらのせいで思わぬ被害が出てしまった」
ヴァレンツは魔人に押し倒された剣士を起こそうとした。
「大丈夫か?」
その瞬間、剣士の口から黒い触手がヴァレンツの内に入っていった。
「うわ!」
魔人ウラースは剣士の内に分体を潜り込ませ支配していた。
そして今ヴァレンツの内にも分体を潜入させ支配し、脳から情報を読み取った。
魔人ウラースは考えた。
ダンジョンの外には弱い人間が、美味しい人間がたくさんいる。
しかし強い人間もいる。
ダンジョンの強い魔物を引き連れて、強いやつらを倒しつつ、外に出て、弱い人間を食べよう。
そしてもっと知識を得て、もっと力を蓄え得ようと。
ウラースはヴァレンツを操作して、残った帝国軍兵士全てに分体を潜り込ませ支配した。
奥の魔物を連れてくるため、ひとりの兵士をダンジョンの奥に向かわせ、ヴァレンツたちは出口に向かって歩き出した。
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