感染。

1章〜はじまり〜

家族。我が家。

僕は変わり果てた街を独り歩きながら家族の事を考えた
家族は無事なのだろうか
そもそも家族と呼べるものだっただろうか…
僕にはひとつ上の兄貴がいた
兄貴はスポーツもできて頭も良くて推薦で大学にも入った。親からは大切に育てられ友達も多かった。
それとはまったく真逆の存在それが僕。
兄貴は優れた人間と親に言われ僕は親にゴミと言われた。
ゴミ……。その言葉は今も胸に突き刺さってる。
その件があってから僕は1度も家に帰っていない。
僕は親の愛情なんてものは感じたことはなく家族など呼べる物はないのだ。
でも、それでも僕は自分を産んだ両親のことが気になって仕方かなかった。
しかし、兄貴の事は何故か気にもならなかった。
小さな頃から1度も会話させて貰ってもないからだ
親から「この子は優れてない。」と言われて僕は兄貴と離れ離れになった。
それからというもの、僕は兄貴の存在などもう忘れていたのだ。
今じゃもう赤の他人とでも言ってやってもいい。
たとえ血が繋がっているとしても。

気付けば僕は無意識に我が家の方へ足を進めていた。
もちろん周りにはデッドがちらほら見える、しかし一定の距離近づかないと襲ってはこないらしい。

すると見た事のある懐かしくも嫌にも思える景色がふと目にはいった。

そう、目の前にあるのは

我が家だった。


ガチャ……。
「ただいまぁ」
何故か僕はそう呟いていた
薄暗い居間には誰もいず、中はやけに散らかっていた。
僕は台所へと脚を運んだ

居るはずなんてないと思っていた。

そこには母が居た。


そう……。



変わり果てた姿で……