26 / 32
第26話
しおりを挟む
「うわああっ」
「ああああ」
「逃げろーー!」
震えた表情を見せ叫び声をあげて、逃げ惑う近衛兵の姿がローラの視界にはいってきたが、目の前の光景をぼんやり眺める。
相当に心が壊れてしまっていたのだろう。炎が噴き上がるのを見てもローラは、妙にすっきりとした顔をしていたのだ。
死なないまでも数人が怪我を負った。傷つくのを避ける事ができた者は、暴れるローラを押さえて地面を転げ回っていた。
それから数分後にクロエが現場へ急行し、同時にローラが力尽きて気を失ったという。
「大変でしたね」
「……はい、まさかあんな危険なモノを隠し持っているとは思わなくて油断していました」
命を落としても不思議ではないほどの出来事に、クロエは臣下の労をねぎらうように接した。隊長は自分のいい加減さというか、緊張感の欠けた態度を恥じて悔いと反省しきりであった。
「でも本当に無事でよかった」
「…………」
大胆な行動に出たローラに対して、無事に切りぬけられたことをクロエは褒めた。暗い顔をしてうなだれている隊長が顔を上げると、主人のやわらかい笑顔が待っていた。
隊長は何も答えられず、額に汗を浮かべて黙っている。その時、動揺したように肩を震わせ声を出さずに泣き出すのだった。
自分の不甲斐なさを感じた隊長は、我ながら情けないと唇を噛みしめて頬を濡らし、クロエは慈愛と英知に満ちた穏やかな瞳で、見守るように見つめていました。
「もう、いやああああああっ」
「ローラ騒がれても困ります」
目を覚ましたローラは大声で叫びたい衝動に駆られ、わめき毒づきながらクロエを睨んでいる。ローラはほとんど精神が不安定で、何を言っているのか自分でもよくわかっていない。
それでもクロエの家の臣下たちに、爆薬を投げて奇襲攻撃を仕掛けるなど、重い罪に処すべきだと言う声もあり、ローラはかなり危険な状況に追い込まれている。
「早く自由にしてよ!」
やわらかいベッドの上にいるが手足を縛られたローラは、いまだ状況が把握できずにじたばた暴れる。ローラは自分の行ったことをはっきりと覚えていなかった。
「黙りなさい!あなたは自分が何をしたか分かってるの?」
「悪いけど記憶にないけど……?」
「すぐにご両親も来られるはずよ」
ローラのふざけた口調に、顔が熱くなり怒りが頂点に達する。クロエは亡き両親が残してくれた臣下の一人一人のことを、かけがえのない大切な家族だと思っているので許せるはずがなかった。
ローラが意識を失っている間に、既にあちらの家にも告げ知らせていた。両親は大慌てで支度をして、馬車を飛ばして来るに違いない。
「ああああ」
「逃げろーー!」
震えた表情を見せ叫び声をあげて、逃げ惑う近衛兵の姿がローラの視界にはいってきたが、目の前の光景をぼんやり眺める。
相当に心が壊れてしまっていたのだろう。炎が噴き上がるのを見てもローラは、妙にすっきりとした顔をしていたのだ。
死なないまでも数人が怪我を負った。傷つくのを避ける事ができた者は、暴れるローラを押さえて地面を転げ回っていた。
それから数分後にクロエが現場へ急行し、同時にローラが力尽きて気を失ったという。
「大変でしたね」
「……はい、まさかあんな危険なモノを隠し持っているとは思わなくて油断していました」
命を落としても不思議ではないほどの出来事に、クロエは臣下の労をねぎらうように接した。隊長は自分のいい加減さというか、緊張感の欠けた態度を恥じて悔いと反省しきりであった。
「でも本当に無事でよかった」
「…………」
大胆な行動に出たローラに対して、無事に切りぬけられたことをクロエは褒めた。暗い顔をしてうなだれている隊長が顔を上げると、主人のやわらかい笑顔が待っていた。
隊長は何も答えられず、額に汗を浮かべて黙っている。その時、動揺したように肩を震わせ声を出さずに泣き出すのだった。
自分の不甲斐なさを感じた隊長は、我ながら情けないと唇を噛みしめて頬を濡らし、クロエは慈愛と英知に満ちた穏やかな瞳で、見守るように見つめていました。
「もう、いやああああああっ」
「ローラ騒がれても困ります」
目を覚ましたローラは大声で叫びたい衝動に駆られ、わめき毒づきながらクロエを睨んでいる。ローラはほとんど精神が不安定で、何を言っているのか自分でもよくわかっていない。
それでもクロエの家の臣下たちに、爆薬を投げて奇襲攻撃を仕掛けるなど、重い罪に処すべきだと言う声もあり、ローラはかなり危険な状況に追い込まれている。
「早く自由にしてよ!」
やわらかいベッドの上にいるが手足を縛られたローラは、いまだ状況が把握できずにじたばた暴れる。ローラは自分の行ったことをはっきりと覚えていなかった。
「黙りなさい!あなたは自分が何をしたか分かってるの?」
「悪いけど記憶にないけど……?」
「すぐにご両親も来られるはずよ」
ローラのふざけた口調に、顔が熱くなり怒りが頂点に達する。クロエは亡き両親が残してくれた臣下の一人一人のことを、かけがえのない大切な家族だと思っているので許せるはずがなかった。
ローラが意識を失っている間に、既にあちらの家にも告げ知らせていた。両親は大慌てで支度をして、馬車を飛ばして来るに違いない。
152
あなたにおすすめの小説
【完結】双子の伯爵令嬢とその許婚たちの物語
ひかり芽衣
恋愛
伯爵令嬢のリリカとキャサリンは二卵性双生児。生まれつき病弱でどんどん母似の美女へ成長するキャサリンを母は溺愛し、そんな母に父は何も言えない……。そんな家庭で育った父似のリリカは、とにかく自分に自信がない。幼い頃からの許婚である伯爵家長男ウィリアムが心の支えだ。しかしある日、ウィリアムに許婚の話をなかったことにして欲しいと言われ……
リリカとキャサリン、ウィリアム、キャサリンの許婚である公爵家次男のスターリン……彼らの物語を一緒に見守って下さると嬉しいです。
⭐︎2023.4.24完結⭐︎
※2024.2.8~追加・修正作業のため、2話以降を一旦非公開にしていました。
→2024.3.4再投稿。大幅に追加&修正をしたので、もしよければ読んでみて下さい(^^)
婚約破棄、ありがとうございます
奈井
恋愛
小さい頃に婚約して10年がたち私たちはお互い16歳。来年、結婚する為の準備が着々と進む中、婚約破棄を言い渡されました。でも、私は安堵しております。嘘を突き通すのは辛いから。傷物になってしまったので、誰も寄って来ない事をこれ幸いに一生1人で、幼い恋心と一緒に過ごしてまいります。
最近彼氏の様子がおかしい!私を溺愛し大切にしてくれる幼馴染の彼氏が急に冷たくなった衝撃の理由。
佐藤 美奈
恋愛
ソフィア・フランチェスカ男爵令嬢はロナウド・オスバッカス子爵令息に結婚を申し込まれた。
幼馴染で恋人の二人は学園を卒業したら夫婦になる永遠の愛を誓う。超名門校のフォージャー学園に入学し恋愛と楽しい学園生活を送っていたが、学年が上がると愛する彼女の様子がおかしい事に気がつきました。
一緒に下校している時ロナウドにはソフィアが不安そうな顔をしているように見えて、心配そうな視線を向けて話しかけた。
ソフィアは彼を心配させないように無理に笑顔を作って、何でもないと答えますが本当は学園の経営者である理事長の娘アイリーン・クロフォード公爵令嬢に精神的に追い詰められていた。
【完結】大好きな彼が妹と結婚する……と思ったら?
江崎美彩
恋愛
誰にでも愛される可愛い妹としっかり者の姉である私。
大好きな従兄弟と人気のカフェに並んでいたら、いつも通り気ままに振る舞う妹の後ろ姿を見ながら彼が「結婚したいと思ってる」って呟いて……
さっくり読める短編です。
異世界もののつもりで書いてますが、あまり異世界感はありません。
私が、良いと言ってくれるので結婚します
あべ鈴峰
恋愛
幼馴染のクリスと比較されて悲しい思いをしていたロアンヌだったが、突然現れたレグール様のプロポーズに 初対面なのに結婚を決意する。
しかし、その事を良く思わないクリスが・・。
幼馴染同士が両想いらしいので応援することにしたのに、なぜか彼の様子がおかしい
今川幸乃
恋愛
カーラ、ブライアン、キャシーの三人は皆中堅貴族の生まれで、年も近い幼馴染同士。
しかしある時カーラはたまたま、ブライアンがキャシーに告白し、二人が結ばれるのを見てしまった(と勘違いした)。
そのためカーラは自分は一歩引いて二人の仲を応援しようと決意する。
が、せっかくカーラが応援しているのになぜかブライアンの様子がおかしくて……
※短め、軽め
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる