私よりも幼馴染を選んだ王子の末路

佐藤 美奈

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第21話

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アーロンとカタリーナが、閉ざされた塔の中で歪んだ愛に溺れていたその瞬間、私とエリザは、果てしなく広がる草原の上を疾風のように駆け抜けていた。

私たちの背後で、風の音が遠く、荒れ果てた世界からの逃避を告げているかのように響き、前方には、まだ見ぬ冒険が待ち受けているかのように広がっていた。空気が清々しく、馬の蹄が大地を打つ音が胸の鼓動とシンクロして、心の中に溢れる期待感を一層強く感じさせた。

「ミリア、速いわよ!」
「あなたこそ!」

風が頬をかすめ、前髪が一瞬にして舞い上がる。額の傷に触れる冷たい風は、今はもう私の一部となり、ただの感覚ではなく、むしろ生きている証となって心に刻まれている。

愛馬の背中の揺れが心地よく、土の匂いが鼻をくすぐり、呼吸の中に深く染み込んでいく。遠くの森の緑が広がる風景が、生命の息吹を感じさせてくれる。すべてが一つに溶け合って、私の中に溢れる感動を呼び起こし、心の奥底で何かが目覚めるような感覚に包まれていた。

風を切りながら走り抜けた後、私たちは小高い丘に馬を止め、その頂から眼下に広がる光景を見渡した。広がる大地は、私を迎え入れるかのように広がり、その壮大さに心が震える。風が肌を撫で、太陽が優しく照らす中で、この瞬間を心ゆくまで感じると胸の奥が高鳴り、次の一歩に踏み出す勇気が湧いてきた。

「気持ちいいわね」
「本当に。屋敷に籠っていた頃が、嘘みたい」

エリザは、水筒を私に差し出してくれた。エリザの目が少しだけ輝き、指先が私の手に触れる瞬間、微かな温もりが伝わる。

「あの二人、今頃どうしているかしらね」
「謁見室のような雰囲気で、今も二人して甘く交わっているんじゃないかしら?」

エリザの冗談を聞いた途端、私は思わず吹き出してしまった。その笑いは、思っていた以上に心の中から湧き上がり、自然と口元が緩んでいった。彼女の何気ない言葉が、私にとってどれほど心を解き放つものであるかを改めて感じ、その一瞬がとても大切で、輝いているように思えた。

「ありえるわ。あの二人なら」

笑いながらも、私たちはお互いに知っていた。この瞬間が、どれほど貴重で儚いものであるかを、心のどこかで知っていたのだ。次に訪れるのは、恐れるべき戦いの予兆。その準備をするための、ほんのひとときの安らぎにすぎないことを、どこかで理解していた。

「エリザ。ありがとう」

「なあに、急に改まって」

「あなたがいてくれて、本当によかった。一人だったら、きっと、とっくに心が折れていたわ」

「私がミリアのそばにいるのは、当たり前のことじゃない。それに、私だって、あなたに助けられてるのよ」

エリザは、私の肩をそっとつつくと、その仕草一つで私の気持ちをもてあそんでいるかのように、にやりと笑った。その瞬間、私の心は軽く震え、何かが胸の中で弾けるような気がした。彼女の無邪気な遊び心が、私にとっては思わず予想以上に胸を高鳴らせる衝撃となり、気がつけば思わず息を止めていた。

「あなたがこうして元気になってくれたから、私も、毎日が楽しいんだから」

親友のその一言だけで、私の胸に温かな波紋が広がった。言葉を交わさなくても、私たちは互いの心をひとつの線で結びつけていることを知っていた。言葉の壁を越えて、ただ一緒にいるだけで感じ取れるものがある。それがどれほどの奇跡で、どれほど深い絆であるか、言葉にできないほどの幸せがそこには溢れていた。
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