聖女で美人の姉と妹に婚約者の王子と幼馴染をとられて婚約破棄「辛い」私だけが恋愛できず仲間外れの毎日

佐藤 美奈

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第3話

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婚約者のクロフォードは姉のフローラと幼馴染のハリーは妹のエリザベスと仲むつまじくたわむれお互いの体を触れながら幸せそうに話している。その様子をアメリアは気まずそうな表情で落ち込みながら見ていた。

フローラとエリザベスは気持ちが沈んでいるアメリアの顔を見て皮肉な笑いを口に浮かべていた。べったりと体を寄せ合っているのを見せつけられているようで不愉快だったが、アメリアはそれに対する不満をこぼしたりすることもなかった。

クロフォードとハリーは喜びを顔にみなぎらせていた。本人たちは舞い上がって調子に乗っている感じだが、甘え上手で小悪魔的なフローラとエリザベスの手の平の上で踊らされている。

そしてフローラとエリザベスが悪そうな顔して言葉もなく頷き合ってクロフォードとハリーの耳元でささやくと、信頼していた二人から耳を疑うような言葉を告げられアメリアの心は衝撃を受ける。

「少し疲れたからフローラの部屋で休んでくる」
「え?」
「フローラ手を貸してくれ」
「かしこまりました、クロフォード殿下」

クロフォードは誠実そうで温和な顔をして言った。思いがけない言葉だったのでアメリアはすぐに言い返せず虚をつかれたように慌てた声を出した。アメリアはクロフォードの言葉の意味を図りかねて困惑している。理解可能な範疇はんちゅうを超えてしまったので頭の中が混乱していた。

アメリアが固まっている間にもクロフォードは普段と違って何かに取りつかれたようなせっかちな声でフローラに言う。フローラは分かりましたと答えて軽く手をとり肩を寄せ合って部屋を出ていく。アメリアは何も言えずに茫然とその後ろ姿を見送った。

自分の大切な婚約者が姉に誘惑されて取られてしまうと頭では分かっていても気弱な性格のため、悔しさで泣きたくなる思いに耐えながら深い悲しみに包まれた顔で黙っていた。

「ハリー私達はどうする?」
「エリザベスの部屋に行きたい!」
「え?」
「アメリア俺もエリザベスの部屋で休んでくるから」
「アメリアお姉様、ハリーをお借りしてもよろしいでしょうか?」
「うん……」

エリザベスが誘惑的な目を向けて言うと、ハリーはやる気十分で張り切った声で言う。アメリアは息が詰まるほど驚く。婚約者に続いて信頼していた幼馴染にも裏切られて辛そうにうつむいた。

アメリアに許可をもらってエリザベスは意地の悪そうな薄笑いを浮かべた。ハリーとエリザベスはどちらからともなく腕を絡ませ合い頬と頬を仲良く寄せ合った。廊下に出ると待ちきれない思いだったらしく、エリザベスは唇を差し出してハリーとキスを交わすと急ぎ足でエリザベスの部屋に向かった。

静まりかえった部屋に一人だけ残されたアメリアは目の前が真っ白になった。顔は青ざめ心理的なショックを受けて体が震えていた。
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