王子に婚約破棄されて国を追放「魔法が使えない女は必要ない!」彼女の隠された能力と本来の姿がわかり誰もが泣き叫ぶ。

佐藤 美奈

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第23話

「――うふふふ、そうなのですね」
「アンナさんと話していると非常に楽しいです」
「私も初めて会った気がしませんわ。なんか前から知っているような感じで……」

アンナと魔法で姿を変えている正体がクロエの女性は、明るい調子で世間話をしていた。二人は気楽な口調で笑って、昔からずっと親しい友人のような感じの雰囲気があり大の仲良しになっていた。

さっきまで暗い顔をして馬車の外をながめていたアンナは、純粋じゅんすいな笑顔を見せている。こんなに元気な声で人と話をするのは、ずいぶん久しぶりのような気がした。

「とても残念ですが、そろそろお別れです」
「そうですか……」

アンナは馬車を降りることにした。元恋人のマイケルの住んでいる地域に間もなく到着するのだ。アンナは別れがたい思いを残しながら話すと、女性の顔は悲しげな表情にかわっていく。

心が痛んで泣けてくるような気持ちが抑えきれなくなった二人は、互いの身体を強く抱きしめ合う。まだ離れたくない……。そんな思いでアンナが降りるまで二人はそのまま動かなかった。

「お世話になりました、どうぞお元気で……」
「アンナさんも……彼と仲直りしてね」

馬車を降りたアンナはさびしそうな顔で振り返って微笑むと、女性は胸のあたりで小さく手を振ってみせた。迷いもなくまっすぐ歩いていくアンナの後ろ姿をしばらく見つめていた。そうして馬車は再び走りだした。

「――私もこの辺りで降りる事にしましょう」

真の姿がクロエの女性は、やがておもむろに口を開いた。これからアンナが向かう先もクロエは知っている。仲良くなり色々な会話を交わす中で話してくれたのだ。どうやら妹は元恋人に会いに行くらしい。喧嘩けんか別れの形で決別してしまったそうなのです。これはとして見守る必要があるとクロエは思った。

元々地上へはディオール帝国が心配だったから確かめに来ました。外国に占領せんりょうされて属国ぞっこくとなってどうなったのか?様子を見る限り、そこまでひどい暮らしではなさそうである。

アンナの服装ふくそう化粧けしょうに持ち物などの細かなところをすると、昔と比べたら当たり前ですが貧乏臭くみえた。公爵家の令嬢が付きい人もいなくて公共の乗り物で移動している時点で、さんざん苦労をしている事がありありとうかがえますが……。

(アンナは溺愛できあいされて苦労知らずに育ってますから、このくらいは我慢がまんしなさい)

当然ながらクロエの魔法力は、以前のように国民に自動的に供給できないようになっているので、誰もが魔法は使えないのだった。

*****
新作「聖女に王子と幼馴染をとられて婚約破棄「犯人は追放!」無実の彼女は国に絶対に必要な能力者で価値の高い女性だった。」を投稿しました。よろしくお願いします。

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