王子に婚約破棄されて国を追放「魔法が使えない女は必要ない!」彼女の隠された能力と本来の姿がわかり誰もが泣き叫ぶ。

佐藤 美奈

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第24話

「はぁーっ……足が痛い……」

一人の華やかな雰囲気の女性が田舎いなか道を歩きながら、7回目のため息をついた。アンナは慣れない土地で心細く大変な苦労をしていた。先ほど足をすべらせてひざを地面についてしまう。少し傷を負った自分のあしを見て悲しくなって、思わず涙をこぼして泣いていた。

「もう駄目歩けない……」

アンナは疲労のあまり地面に倒れてしまった。気力も体力も限界で消耗しょうもうしつくしたのだ。背は高くなくて低くもない平均的な体格の彼女は、基礎きそ体力も普通のレベルである。

「――辛い……ここはどこなの?……うわああああああああああんーっ!!」

しばらくじっと横になったまま体を休めていたら、また目にじわっと涙がにじんできた。アンナは心が空っぽになって涙が止まらなくなり、遠くに畑仕事をする人を見ながら感情の高ぶりに任せて声をあげて泣いた。

「魔法使いたい……」

アンナがいくら泣いても誰も声をかけてくれなかった。周りに多くの人がいれば、とても可愛らしい女性が倒れているので、都会なら間違いなく誰かが助けてくれるだろう。そうは言っても今彼女がいる場所は、田んぼと山に囲まれた人里離れたところなのです。

やがてアンナが、ぽつりとつぶやいた。魔法を使いたい……。少し前までは魔法至上主義のディオール帝国で最上位の身分でした。上級貴族の公爵家の令嬢ということも相まって意気揚々ようようたる状態だった。

「体がだるい……頭も足も痛いし、それにお腹も空いた……魔法で体を回復したい……」

横になって背中を丸めていると緊張がゆるんで、全身にどっと疲労が押し寄せてくる。さらに激しい頭痛と空腹感におそわれて精神的に不安定になっていく。

魔法が使えたら、こんなに苦労することないのに……。元恋人マイケルの実家には、前に来たことがある。その時は空を飛んで彼といかにも楽しげな声で話しながら、お手軽モードで遊びに行った。

彼の両親に、自分たちは結婚するつもりでいると話したら、心臓しんぞうが止まるほどおどろいたと言われた。貴族のお嬢様がこんな田舎の村に生まれた息子と、婚姻こんいん関係を結ぶことにも信じられないという感じであった。彼の親は気さくで優しく接してくれて、アンナは嬉しそうな顔をして華やかな笑顔を見せていた。

*****
新作「聖女に王子と幼馴染をとられて婚約破棄「犯人は追放!」無実の彼女は国に絶対に必要な能力者で価値の高い女性だった。」を投稿しました。よろしくお願いします。

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