王子に婚約破棄されて国を追放「魔法が使えない女は必要ない！」彼女の隠された能力と本来の姿がわかり誰もが泣き叫ぶ。

第42話

「クロエずっと見ておったぞ。何をしておるのだ！」

神様のクロエの父親は失望と怒りが混ざった声で怒る。婿むこ入りの形で同居する結婚相手を連れて来るように言ってから、クロエが婚活パーティーに参加している姿も神の能力で観察していた。

やきもきしながら見守るうち父の顔は、あらゆる苦悩のあげくにとうとう我慢できなくなって姿を現した。

「お父様、趣味が悪いですよ？」

品性下劣としか言いようがない父の行動を知ったクロエは厳しい口調で言った。

「何を言うか！いつまで経ってもボーイフレンドを連れて来ないお前が悪い!!」

クロエの言葉に聞く耳を持たないという感じで怒りを吐きだすように叫んだ。恐ろしい形相で睨みつける父に身のすくむ思いがした。

「――あなたがクロエお嬢様のお父上様でございますか！」

吹っ飛ばされて床に転がっていたイライジャは意識がありじっと聞き耳を立てていた。クロエの父親だとわかると素早く立ち上がって近づき野心満々の顔をして話し始めた。

「そうだが？」
「僕はイライジャと言います。お嬢様と結婚を前提にお付き合いをさせて……うぎゃああああああああぁぁっ」

バカなりに彼女の親に初対面の挨拶をしておくべきだと思ったのだろう。だが話の途中でクロエの父は苛立ちを覚えたのか魔法で衝撃を与えた。

イライジャはまた吹っ飛ばされ壁に叩きつけられてしまった。今度はしばらく動けないほどの大ダメージを受けてぐったりと気絶する。

「イライジャーーーーー！いやぁぁああああああああっ」

それはシャーロットの悲鳴だった。店の中に空気が張り裂けるような声が響き渡り、誰もが口を半開きにして唖然としていた。

「うわああああああああああああああああん!!」

彼は大丈夫だろうか？死んでないよね？シャーロットは急いで駆け寄ると強烈な衝撃を受けて、体のどこも動かないイライジャを見て何も言えずに泣き出してしまう。

クロエを好きになったからお前とは別れたいと言われて、シャーロットの心は深く傷ついていました。それでも惚れた弱みとでもいいますか、まだイライジャのことが好きだったので心配そうな眼差しを向けて涙を流して彼のために悲しんだ。

「――お父様やり過ぎです！」

クロエは咎めるような視線できっと睨むと父親は気まずさを感じて黙ってうつむいた。

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