婚約者の家に行ったら幼馴染がいた。彼と親密すぎて婚約破棄したい。

佐藤 美奈

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第14話

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「クロエになんて謝罪すればいいだろう…」

クロエの家に向かう馬車の中でジャックは小声でしみじみと思いながら祈るようにつぶやく。

ジャックの家の借金問題で後ろめたさからエリザベスを家族みんなで甘やかした。エリザベスのわがままで恋人のクロエを頼り、言ってしまえばエリザベスの生け贄になったクロエ。

そのおかげでエリザベスの家から資金提供を受けられジャックの家も安泰で平穏な生活が送れるというなんとも情けない伯爵家のジャック一族。だがこの先もクロエが一人で我慢すれば全て丸く収まるなどジャックも考えてはいない。

仮にエリザベスに反省させることができてもクロエが謝罪させてくれなければ意味がない。ジャックが詳しい状況を説明してほしいと現場にいた両親に問いただしたところ、エリザベスとはもう会いたくないし口もきかないと怒りながら退出したと言う。

「これ以上クロエにエリザベスの相手をさせて犠牲にさせるのは間違ってるよな…」

全力を尽くしてジャックが非を認めてクロエにひたすら謝りクロエが許してくれたその後どうするかが問題。ジャックの謝罪は再度クロエに寄りかかるのを続ける行為でしかなく、クロエがエリザベスとの付き合いにピリオドを打ちたいと言えばどう答えればいいのか泥沼に落ちたような表情で頭を抱え込む。

やはりエリザベスの家からの支援を断りジャックの家が自立すべきなのか。ジャックが生まれる前に両親はどん底の生活を経験している。貧乏になり乞食と背中合わせのような世間から切り離された生活を送ることにひどく怯えているがそれも仕方のないことだと現実を受け入れる覚悟をした。

「今はクロエとエリザベスの距離を完全に置いてクロエに迷惑をかけない事が一番の謝罪になる」

しかし二人を遠ざけることに成功してもジャックを通さずにエリザベスが積極的にクロエに近づいて行くことも十分考えられる。しつこくつきまとい金に物を言わせて嫌がらせをするかもしれない。その時はエリザベスのつけ入る隙がないほど対策を行い恋人を守るとジャックは様々な事を思慮に入れる。

クロエに謝罪が終わった後はエリザベスに、もうクロエと趣味の話や悩み相談などはできないと堂々とした口調ではっきりと伝える。それからエリザベスの家族に今まで経済的な援助で助けて頂いてありがとうございますと感謝を述べようとぼんやり考えていた。


「ある程度の事情は娘からきいた。お前達一家は暇さえあれば娘を呼んでエリザベスという子を娘に押し付けていつまで甘えて生きていくつもりなんだ!娘はエリザベスと顔を合わせるだけでノイローゼになって頭と胃が痛いと言っていた!」

クロエの家に到着するとメイドに案内されて部屋で待っていると父親が姿を見せる。その直後から凄まじい顔で睨まれ大声で怒鳴り散らされる。批判的な口調は30分以上も続き何度も暴言を浴びせられジャックも切なく悲しくてたまらない。

その間ジャックは土下座の姿勢で何も反論せず涙を流しながら唇を噛みしめて根気よく耐え抜く。これも今までクロエに甘えて傷つけてきた自分への罰で当然の報いだと思いどこまでも恋人へのざんげは尽きない。

「申し訳ございません…」

張りのない今にも消えてしまいそうな声で一言謝るのが精一杯だった。情けないほどの心構えに沈んだ痛々しい表情で底知れぬ寂しさを感じるジャック。

その時、ドアが開いてクロエが部屋に入って来た。
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