魂の回収者

宵闇カラス

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回収者

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死神  それは生者の魂を刈り取り集めるもの?

ある意味では正しい だがそれは決して生きてる人を殺害して魂を集めるわけでは無い 正確には体が死んでいるが魂が生きているもの...生魂せいこんを成仏へ導かんとする職業である
他にも 体が死んで時間が経ってしまった腐った魂の処理
腐った魂...腐魂ふこんは凶暴化し変形して他の霊にも襲いかかる
襲われた生魂も次第に腐っていく

黒いボロマントを羽織り 魂を求め放浪する...わけではない
死神も位置着けは職だ 本部がある そこから依頼を受け魂を散策する
はて そこで働きたい人なんて存在するのだろうか
いるわけが無い そもそも生きている人には霊が見えないのだ 死神以前の問題だ
では死者ならいいのか
死者はお腹も空かないし娯楽等も特にない 給料の制度が作れないから不可能なのだ
じゃあ誰がやるのか
それは未練のあるもの
おや?未練のあるものも死神によって未練から解放され成仏するのでは?
死神でも困難な任務があるのだその人たちには残念だが自分たちで死神として働くことと引き換えに現世に留まる許可が出る

俺が初めてこの黒い羽織を羽織ったのがつい1週間前

死神...あまりいい響きでは無い
というふうに周りには言っているが思春期真っ盛りの厨二病男子には心地の良い響だ
黒一色のボロボロのマントに黒い長い帯が風になびく

冷え込むこの時期は動物関連の仕事が増える
これから向かう俺の初仕事もその動物関連だ
猫の腐魂の処理
この任務はEランク任務
任務は全部で上から
SS S A B C D Eの7段階
ちなみに死神のランクは
S A B C D Eの6ランク
普段は自分のランクと同等か1つ下の任務を行う それくらいなら1人でこなして当然
自分と同等ランクの任務は普通は1人で行うが場合によっては複数人で行う
自分よりひとつ上の任務だと基本は撤退
複数人でやっと挑む程度だ
なぜランクSSが居ないのか それは1人ではまず対処不能ということだ最強と言われるSランクですら複数人でないと対処不能ということ
まぁまずそんなことはほぼ起きない
数百年に1回あるかどうかだ
「その数百年に1回がこの150年で3回も起きてるらしいんだから心配になるよなぁ...」
そんなことを呟きながら重い腰を持ち上げて歩き出す
「休憩おわり!」自分に喝を打って駆除対象猫の腐魂を探す
生前に友達の猫が木に登って降りられなくなったというありふれたエピソードを思い出して苦笑いをしながら初仕事に身をすくめる
Dランク以下の腐魂は日光を嫌がるから日陰を重点的に探さないといけないのだがこの寒さが身体に染みる
強い風にボロマントがなびき咄嗟に顔を顰めて片目を細めながら前へ進む


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