狂気の凶器

宵闇カラス

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復讐

白昼夢

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ここに来た当初 いや アイツラにいじめられてから アイツラは毎晩のように夢に出てきて俺をいたぶる

恨みは時間とともに薄れていく

誰かが昔そう言ったが 俺の中ではそうではなかった最近俺の夢にアイツラは出てこない 代わりに師匠や他の殺し屋 俺と戦ったあの殺し屋のおじさんが夢に出てきたこともある

でも

夢にはあいつらは出てこない

夢に出てこないから俺はアイツラのことを忘れられたのか・・・ そう思っても恨みは消えないし殺したいという気持ちは消えない

夢にアイツラが出てこなくなって数日俺は一人での訓練中白昼夢のような状態にあった

頭がおかしくなってしまったのか 訓練中に俺の前に出てきては俺の攻撃を避けては笑っている

何回殺しても影が溶けるように消えてしまうだけですぐにもう一度出てくる

師匠曰く「練習になっていいんじゃない?」だそうだ あの白昼夢に師匠が出てきたら一緒にぶっ殺す・・・ そう決めて今日も練習場に向かう

訓練場では色々な訓練ができるが主に攻撃と防御 その中に各種 威力・速度・精度の段階がある

これも師匠の言葉だがとりあえず防御の速度だけ上げておけば問題ないそうなので防御の速度へ向かう

ここでは射出される模擬弾を武器で弾くか避けるという内容は非常にシンプルな訓練だがこれが恐ろしい

ある程度の速度を出すために模擬弾も死なない程度のめちゃめちゃ痛いものだし最悪骨折れる それも銃弾の3倍の速度まで上げられるというので最悪だ

訓練場で弾数と速度と賢さというものがある

一度賢さってなんだろう と思い使ってみたときには最後 たまの後ろに隠し玉があったり轟音で射出される弾の中でたまにほぼ何も音無しで発射される弾などもう大変だ・・・

俺は円形のステージに射出される弾を黙々と弾き続けてその間に余計なことを考えてしまった・・・ のが師匠にバレた 入り口の板をニヤニヤしながら操作する師匠に気がついたときにはもう遅い

弾数が格段に増え速度が倍増する

俺がギリギリ捌ける量で設定したようだ

そう思った瞬間円形に25本俺を囲んでいた銃のうちの前の5本を残して壁の奥へ引っ込む

あれ? と思った瞬間その5本の上下にさらに5本ずつ元の5本と合わせ15本の銃口が俺を睨む

15本がほぼ同時に煌めき ガガガガという個気味良い音を立てて弾ける

最初は遅かった弾速が徐々に早くなって回避がギリギリになってくる

どこかの銃口が放った弾が俺の頬をかすめて赤い花が咲く

一瞬真紅の花弁に気を取られすぐに弾丸に気を戻す

弾に当たったことで師匠が速度を下げたのか さっきより遅い

いや さっきより

弾の威力も速さも変わらない が 俺の中で時間が引き伸ばされていく

この感覚・・・ あの時・・・

急に弾丸が止まり視界が歪んで時間の流れが戻る

「かなりできるようになったね」

タオルとともに飛んできた間抜けな声でやっと意識がはっきりして自分が汗だくであることに気がつく

汗だくのシャツを脱ぎながらこの数ヶ月で自分の体もかなり変わってしまったなぁ と思う

自分の体を鏡で筋肉につき方の差がないか見ていると師匠も近づいてきて俺の体を見るので少しゾッとする

が もちろん変な意味はなく俺の体を見た師匠が唐突に「そろそろだね」と言う

「そろそろ・・・?」
期待で変に声が上ずりそうになったがなんとか普通の声で答える

「君の殺しの件だよ」

「俺まだ仕事1回しかしてませんけど?」

「その1回めがあんな強いのが相手だったら問題ないし訓練もあそこまで出来てればいい 万が一のために俺もついていくしね」

興奮が止まらない ついにアイツラに復習できる・・・

「明後日辺り行くから準備しておいてね」
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