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君の名前は?
進め、一刻寮探検(7)
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部屋を出て、ロビーまでたどり着いたところで、志信はやっとため息をついた。
「あー、よかったー、もう、どうしようかと思ったよー」
ロビーのソファに座って、スマホで亜里沙達にメッセージを送る。
「ゴメンね、志信ちゃん、付きあわせて」
やはり、和美は志信が和美を一人にするまいとして残った事に気づいていてくれた。
「いやいや、マンガ、いっぱい読めたし」
そこに感謝するのも少し違うんじゃないかと思いつつ、志信は答えた。
亜里沙たちと連絡がついて、連絡通路の方へ行くと、扉のところに亜里沙と麻衣が待っていてくれた。
そうして、二人に千錦寮側から鍵を開けてもらい、ようやく志信と和美は女子寮に戻って来る事ができたのだった。
「ゴメン! なんか、生け贄みたいになっちゃったよね?」
亜里沙と麻衣が申し訳無さそうに言ったが、和美は和美で恐縮している。
志信は、ひどい話だなあと少し思ってしまった。
男性陣が和美にばかり話かけたのは和美のせいでは無いはずだ。
なのに、和美が配慮をして恐縮するのは何か違うんじゃないだろうかと。
ともかく部屋に戻ろうと10号室に戻ると、佳織はまだ戻っていないようだった。
「やー、これ、亜里沙ちゃん達いなかったらヤバかった、朝までコースになっちゃうところだったよー」
部屋へ戻って安心したのか、ほっとして志信は床に倒れこんだ。
一年生だけだとだいぶ気も緩み、先ほど緊張していた為か、志信は共有スペースのラグの上に寝転んでのびのびと手足を伸ばした。
「ゴメン、志信ちゃん、ゴメン」
しきりに和美が謝る。
亜里沙と麻衣は既に風呂に入ったようでパジャマだった。
「寝る前だけど、お茶していかない? 愚痴らせて~」
と、志信が言うので、亜里沙と麻衣は一度部屋に戻ってマグカップと茶菓子を持って戻って来た。
早希から使っていいと言われていた電気ポットに水を入れると、本当にすぐに湯が沸いて、和美が実家から送られてきたという、ちょっとお高めのティーバッグでお茶をいれると、蜂蜜の香りが漂ってきた。
口にすると、香り同様の甘い口当たりで、志信は心が落ち着いた。
「ゴメン、ぶっちゃけて聞いてもいい?」
志信は、ずっと気になっていた事を和美に聞くことにした。
和美は、わずかに顔をひきつらせてはいたが、イヤとは言わなかった。
「……和美ちゃんは、佳雅丸先輩の事、イヤじゃなかった?」
亜里沙と麻衣も気になっていたのか、固唾を呑んで見守っている。
「イヤとも、イヤじゃない、とも、思ってない……正直、どうてもよかったんだけど、ただ、立場的に話は聞いておいた方がいいのかなって」
和美は、言い難いだろう事をあっさり言った。
「まあ、新入生側はビジターって言っても、上級生相手にそうそう言いたいことは言えないよねえ……」
麻衣も和美の言葉を受けて言った。
「やー、でも、あれは露骨すぎない? あからさまに和美ちゃん狙いでしょ、あれは」
亜里沙も続ける。
「志信ちゃんしんどくは無かった?」
「和美ちゃん風に言うなら、特に何も……、まあ、完全に空気だったしね、私」
志信はもう一口お茶をすすった。
「志信ちゃんには悪いな、と、思ったんだけど、一人だけ残されたらイヤだったし」
和美は縮こまって、終始申し訳なさそうにしている。
「佳雅丸先輩は私の事を邪魔だなーと思っているんだろうなという空気はひしひしと感じたけどね」
志信は、しかし、どこかおもしろそうでもあった。
自分が下種である事はわかっている、結局は『他人事』なのだ。
まして、佳雅丸に対して志信は何の感情も持っていない。
志信は、自分が男性にもてると思っていないし、女らしくもない。
高校時代は女子校で、男子にちやほやされる事も当然無かった。
ましてや、美醜についてとりわけ自分が秀でていると思えるほどにうぬぼれる要素も無く、父に、器量良しではないのだから、自分の食い扶持くらいは自分で何とかできるようになれと言われて育った志信なのだ。
和美は、控えめに言っても美人だと、志信は思う。
美人と不美人が並んでいれば、人の目を引くのも、男性から丁重に扱われるのも美人の方だという事を、フィクションでは知っていたけれど、現実もそのとおりだという事を実感しただけだ。
そうなった時に、自分をみじめだと思いながらも、ひたすら自己アピールする佳雅丸に対して哀れみのような感情がわいてしまった。
和美は、一方的に向けられる好意をひたすら受け流していた。
まっすぐに返さない。
答えず、反さず、受け入れもしない。
しかしそれは、志信という第三者から見た時の感想だ。
自分をぞんざいに扱う佳雅丸を、貶めたい気持ちがあったのだろうか、志信は自己分析した。
「いや、でも、あの人が来てくれてよかったよね」
「あの人って?」
和美が言う『あの人』とは、途中325号室へ来た羊谷悠嘉の事だ。
亜里砂と麻衣が尋ねると、和美はどこか熱っぽい様子で言った。
「偶然ではあったけどね」
志信は、和美が悠嘉に対して、他にはない柔らかな顔で言葉にしている事に気づいた。
佳雅丸や、他の男子寮生がいくら和美をチヤホヤしようと、志信を個体識別しようとせず、和美の付属品であるかのような認識だったとしても、志信は何も感じなかったし、和美にいくら関心を持っても、和美の方の歓心は買えていない事を滑稽にすら思っていたというのに。
和美が、悠嘉に対して好意的な感情を持っている様子を察知して、志信の胸の奥に、何ともいいがたい感情がわきあがっていた。
悠嘉自身は、部屋の中に女がいる事にすら気づいていなかった。
和美と志信を個体識別していなかった可能性すらある。
等しく一年生の女子寮生として、悠嘉だけが二人を平等に扱っていた。
和美ちゃんは、気に懸けてくれる人が沢山いるじゃないか。
そんな思いが自分の中にある事を、志信はしっかりと自覚した。
ああ、イヤだ。
志信は口の中に紅茶のものではない苦味が広がっていくのを感じた。
認めてしまえ、私は、和美ちゃんに嫉妬している。
どうでもいい男性たちが和美ちゃんを気にかけているのは何とも思わなかったのに、和美ちゃんが悠嘉先輩に好意的な感情を持っている。
そう考えると、志信は、自分の心を波立たせ、ざわざわと落ち着かない気持ちになった。
さっき、悠嘉は『どちらも気にかけない』という意味で、志信と和美を等しく平等に扱ってくれた。
しかし、もし、和美の方から好意を示されたらどうなるだろう。
女の目から見ても、和美は美しい。今は興味がなくても、和美から好意的に近づかれたら。
志信には、まだ悠嘉の性格も好みもわからなかった。
しかし、わからないからこそ、不安にもなる。
私の方が先だったのにな。
まるで、小学生がファンシーショップで、このキャラクターグッズ集める、と、先に宣言するような幼さで、志信は思った。
しかし、それが幼稚な考えである事も自覚しているので、それを口にする事は無かった
。
ほどなくして、佳織がバイトから帰ってくると、一年生の御茶会はお開きになった。
亜里沙と麻衣が9号室へ戻ってから、スタンプラリーでの顛末を佳織に語って聞かせると、
「あー、佳雅丸先輩、悪い人じゃないんだけどね……」
そう言って、佳織は、何ともなしに、一刻寮の方を見た。
「羊谷君もねー、ちょっとぼんやりしたところのある人だからなー」
いい香りだね、と、言う佳織にも紅茶を入れると、佳織は、少しだけ雑談をしてから風呂へ向かった。
残された志信と和美は後片付けをし、入浴は、朝、シャワーを浴びる事にして、それぞれのベッドに潜り込んだ。
疲れたのか、和美はすぐにベッド備え付けの照明を消した。
志信は、紅茶で目が冴えてしまったのか、すぐには眠れずに、しばらくスマホをいじって、ぼんやりニュースサイトをザッピングした。
明日は、千錦寮開放日、お茶菓子などは早希が実家からの帰路で買ってきてくれると言っていた。部屋をざっと片付けて、来客の準備をしておかないとな、と、考えているうちに、志信も眠りの淵に落ちていった。
「あー、よかったー、もう、どうしようかと思ったよー」
ロビーのソファに座って、スマホで亜里沙達にメッセージを送る。
「ゴメンね、志信ちゃん、付きあわせて」
やはり、和美は志信が和美を一人にするまいとして残った事に気づいていてくれた。
「いやいや、マンガ、いっぱい読めたし」
そこに感謝するのも少し違うんじゃないかと思いつつ、志信は答えた。
亜里沙たちと連絡がついて、連絡通路の方へ行くと、扉のところに亜里沙と麻衣が待っていてくれた。
そうして、二人に千錦寮側から鍵を開けてもらい、ようやく志信と和美は女子寮に戻って来る事ができたのだった。
「ゴメン! なんか、生け贄みたいになっちゃったよね?」
亜里沙と麻衣が申し訳無さそうに言ったが、和美は和美で恐縮している。
志信は、ひどい話だなあと少し思ってしまった。
男性陣が和美にばかり話かけたのは和美のせいでは無いはずだ。
なのに、和美が配慮をして恐縮するのは何か違うんじゃないだろうかと。
ともかく部屋に戻ろうと10号室に戻ると、佳織はまだ戻っていないようだった。
「やー、これ、亜里沙ちゃん達いなかったらヤバかった、朝までコースになっちゃうところだったよー」
部屋へ戻って安心したのか、ほっとして志信は床に倒れこんだ。
一年生だけだとだいぶ気も緩み、先ほど緊張していた為か、志信は共有スペースのラグの上に寝転んでのびのびと手足を伸ばした。
「ゴメン、志信ちゃん、ゴメン」
しきりに和美が謝る。
亜里沙と麻衣は既に風呂に入ったようでパジャマだった。
「寝る前だけど、お茶していかない? 愚痴らせて~」
と、志信が言うので、亜里沙と麻衣は一度部屋に戻ってマグカップと茶菓子を持って戻って来た。
早希から使っていいと言われていた電気ポットに水を入れると、本当にすぐに湯が沸いて、和美が実家から送られてきたという、ちょっとお高めのティーバッグでお茶をいれると、蜂蜜の香りが漂ってきた。
口にすると、香り同様の甘い口当たりで、志信は心が落ち着いた。
「ゴメン、ぶっちゃけて聞いてもいい?」
志信は、ずっと気になっていた事を和美に聞くことにした。
和美は、わずかに顔をひきつらせてはいたが、イヤとは言わなかった。
「……和美ちゃんは、佳雅丸先輩の事、イヤじゃなかった?」
亜里沙と麻衣も気になっていたのか、固唾を呑んで見守っている。
「イヤとも、イヤじゃない、とも、思ってない……正直、どうてもよかったんだけど、ただ、立場的に話は聞いておいた方がいいのかなって」
和美は、言い難いだろう事をあっさり言った。
「まあ、新入生側はビジターって言っても、上級生相手にそうそう言いたいことは言えないよねえ……」
麻衣も和美の言葉を受けて言った。
「やー、でも、あれは露骨すぎない? あからさまに和美ちゃん狙いでしょ、あれは」
亜里沙も続ける。
「志信ちゃんしんどくは無かった?」
「和美ちゃん風に言うなら、特に何も……、まあ、完全に空気だったしね、私」
志信はもう一口お茶をすすった。
「志信ちゃんには悪いな、と、思ったんだけど、一人だけ残されたらイヤだったし」
和美は縮こまって、終始申し訳なさそうにしている。
「佳雅丸先輩は私の事を邪魔だなーと思っているんだろうなという空気はひしひしと感じたけどね」
志信は、しかし、どこかおもしろそうでもあった。
自分が下種である事はわかっている、結局は『他人事』なのだ。
まして、佳雅丸に対して志信は何の感情も持っていない。
志信は、自分が男性にもてると思っていないし、女らしくもない。
高校時代は女子校で、男子にちやほやされる事も当然無かった。
ましてや、美醜についてとりわけ自分が秀でていると思えるほどにうぬぼれる要素も無く、父に、器量良しではないのだから、自分の食い扶持くらいは自分で何とかできるようになれと言われて育った志信なのだ。
和美は、控えめに言っても美人だと、志信は思う。
美人と不美人が並んでいれば、人の目を引くのも、男性から丁重に扱われるのも美人の方だという事を、フィクションでは知っていたけれど、現実もそのとおりだという事を実感しただけだ。
そうなった時に、自分をみじめだと思いながらも、ひたすら自己アピールする佳雅丸に対して哀れみのような感情がわいてしまった。
和美は、一方的に向けられる好意をひたすら受け流していた。
まっすぐに返さない。
答えず、反さず、受け入れもしない。
しかしそれは、志信という第三者から見た時の感想だ。
自分をぞんざいに扱う佳雅丸を、貶めたい気持ちがあったのだろうか、志信は自己分析した。
「いや、でも、あの人が来てくれてよかったよね」
「あの人って?」
和美が言う『あの人』とは、途中325号室へ来た羊谷悠嘉の事だ。
亜里砂と麻衣が尋ねると、和美はどこか熱っぽい様子で言った。
「偶然ではあったけどね」
志信は、和美が悠嘉に対して、他にはない柔らかな顔で言葉にしている事に気づいた。
佳雅丸や、他の男子寮生がいくら和美をチヤホヤしようと、志信を個体識別しようとせず、和美の付属品であるかのような認識だったとしても、志信は何も感じなかったし、和美にいくら関心を持っても、和美の方の歓心は買えていない事を滑稽にすら思っていたというのに。
和美が、悠嘉に対して好意的な感情を持っている様子を察知して、志信の胸の奥に、何ともいいがたい感情がわきあがっていた。
悠嘉自身は、部屋の中に女がいる事にすら気づいていなかった。
和美と志信を個体識別していなかった可能性すらある。
等しく一年生の女子寮生として、悠嘉だけが二人を平等に扱っていた。
和美ちゃんは、気に懸けてくれる人が沢山いるじゃないか。
そんな思いが自分の中にある事を、志信はしっかりと自覚した。
ああ、イヤだ。
志信は口の中に紅茶のものではない苦味が広がっていくのを感じた。
認めてしまえ、私は、和美ちゃんに嫉妬している。
どうでもいい男性たちが和美ちゃんを気にかけているのは何とも思わなかったのに、和美ちゃんが悠嘉先輩に好意的な感情を持っている。
そう考えると、志信は、自分の心を波立たせ、ざわざわと落ち着かない気持ちになった。
さっき、悠嘉は『どちらも気にかけない』という意味で、志信と和美を等しく平等に扱ってくれた。
しかし、もし、和美の方から好意を示されたらどうなるだろう。
女の目から見ても、和美は美しい。今は興味がなくても、和美から好意的に近づかれたら。
志信には、まだ悠嘉の性格も好みもわからなかった。
しかし、わからないからこそ、不安にもなる。
私の方が先だったのにな。
まるで、小学生がファンシーショップで、このキャラクターグッズ集める、と、先に宣言するような幼さで、志信は思った。
しかし、それが幼稚な考えである事も自覚しているので、それを口にする事は無かった
。
ほどなくして、佳織がバイトから帰ってくると、一年生の御茶会はお開きになった。
亜里沙と麻衣が9号室へ戻ってから、スタンプラリーでの顛末を佳織に語って聞かせると、
「あー、佳雅丸先輩、悪い人じゃないんだけどね……」
そう言って、佳織は、何ともなしに、一刻寮の方を見た。
「羊谷君もねー、ちょっとぼんやりしたところのある人だからなー」
いい香りだね、と、言う佳織にも紅茶を入れると、佳織は、少しだけ雑談をしてから風呂へ向かった。
残された志信と和美は後片付けをし、入浴は、朝、シャワーを浴びる事にして、それぞれのベッドに潜り込んだ。
疲れたのか、和美はすぐにベッド備え付けの照明を消した。
志信は、紅茶で目が冴えてしまったのか、すぐには眠れずに、しばらくスマホをいじって、ぼんやりニュースサイトをザッピングした。
明日は、千錦寮開放日、お茶菓子などは早希が実家からの帰路で買ってきてくれると言っていた。部屋をざっと片付けて、来客の準備をしておかないとな、と、考えているうちに、志信も眠りの淵に落ちていった。
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