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神様の家出。
ダンジョン攻略、出口はどこへ?
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ダンジョン探索の初日は終了……するはずだった。
「まいったね……目印は残ってるんだけど、順序がめちゃくちゃになってるよ」
女将さんがげんなりしたようすで呟いた。
帰還を決めた俺たちは、通路の分岐地点に付けておいた印を辿りダンジョンの入り口を目指した。
入ってきたときには警戒しながらの侵入だったので時間がかかったが、帰りはその半分の時間もあれば辿り着けるはずだったのだ。
しかしいつまで経っても入り口は見つからなかった。
さらにいうなら入り口に向かってから四度もモンスターとの戦闘があったのだ。
「もしかして通路が組み変わってるんじゃないですか」
「……そいつがいちばんしっくりくるね。印は間違いなくあたしが付けたものだよ。油断したね――簡単に入り口が見つかったもんだからさ、軽率だったよ」
女将さんは腰に吊していた小型のウォーハンマーを使い目印の周辺を調べている。
「……そんな馬鹿な」
俺と女将さんのやりとりを聞いたクリフの顔が青い。
「そういえば、外の空気の匂いがしなくなってるのですよ」
ペルカは、鼻をクンクンとさせながら匂いを探っている。
「……組み変わる通路か、古代の遺跡にはそんなのもあったけどさ、まさかこんな洞窟のようなところが組み変わるなんてね……あたしも焼が回ったかね。ダンジョンを甘く見てたよ」
女将さんはさらに丹念に印を付けた壁面を調べている。
「ダイ、見てみな。さっきの角の目印には矢印と数字の三を書いておいたのに、ここの数字は八になってる。ほんとなら二のはずなんだけどね」
「これを見るとダンジョンが生きているって話しに信憑性がでてきますね。これからどうしますか女将さん、選択肢はあまりないと思いますけど」
「そうだねえ……、あくまで出口を探すか――それとも地下を目指すか」
女将さんの口から出た案は俺も考えていたものだ。
「地下って、カーサさん冗談ですよね? 是が非でも出口を探すべきです! それに、通路が組み変わってるなら地下への降り口を探すのだって条件は同じでしょ」
クリフが、手をふり広げて力説する。
「いや、この手の出口を封鎖するタイプの罠っていうのはたいてい中に招き入れるためのものなんだ。おそらく奥に進むばあいは発動しないんじゃないかな」
「へえ、わかってるじゃないか。そうなんだよ、奥に進んだほうが脱出の近道だったりするときもあるしね」
「そうなんですよね。逆に奥に進んで、さあ攻略するぞって意気込むと、外に放り出されたりするんですよね」
「ああ、それあるんだよねえ」
「あのっ、ダイさんカーサさん、話がズレてきてるのですよ」
俺と女将さんの話が、ダンジョンあるあるに脱線し始めたのを察したペルカが声を上げた。
「……まあ、ダンジョンにどこまでアタシの常識が通じるかはわからないけどさ。奥に行ってみようじゃないか」
俺と女将さんの見解ははからずも一致した。違うところといえば、女将さんの意見は冒険者としての経験則から出たものだが、俺の意見はダンジョン探索系RPGからの経験則というところだろうか。
「ペルカさんはどう思いますか?」
二対一の状況にクリフがすがるような目線でペルカを見た。
「ワタシも……その、奥に進んだほうが良いような気がするのです」
ペルカは上目遣いでクリフを申し訳なさそうに見ている。彼が自分の意見に賛成して欲しいと思っていることが分かっているからだろう。
「食料も装備も足りていないのにどうするんですか!」
「そいつについてはドロップアイテムに望みを託すしかないね。どっちにしたってここから脱出できない以上は、それ以外に方法がないってことさ」
こうなると女将さんが付いてきてくれた事はもっけの幸いだったとしか言いようがない。
女将さんがいるおかげで、クリフが俺の意見にも大きな反発をできずにいるからだ。でなければいつまでたっても話が進まなかっただろう。
「奥に進むってことで良いね。クリフ、どちらに行くにしても歩きださなけりゃ目的地にはたどり着けないんだ。覚悟を決めな」
「カーサさん……、わっ、分かりましたよ。オレだってペルカさんの力になるって決めて付いてきたんだ。これくらいで怯んだりしません」
「クリフさん……ありがとうなのですよ」
「ヨシ! 男の子だねぇ!」
「うぁぁ!」
女将さんがクリフの背中を平手でどやすと、勢い余ってクリフが前につんのめる。
あー、あれ効くんだよね。
「なら、進む前に確認したいことがあるんだけどさ。アンタたちが使えるスキル、あともし魔法が使えるならそいつも教えてくれないかい。誰が何をできるかわかっていれば、これから先、何かが起きたときに的確に判断ができるだろ」
覚悟を決めた女将さんは、その場にドカリと座り込むと松明を地面に突き刺した。
そして俺たちにも座るようにと手招く。
「ワタシは、巫女魔術と爪牙闘士の戦闘スキルと探査、神職教示、あとは格闘と成長促進のスキルなのです。あっ、狼人族の種族スキルとして健脚を持っているのです。魔法は身体強化と治癒が使えるのですよ」
「俺は、剣術、格闘術、体術に探査ですかね」
ペルカは素直にすべてのスキルを口にした。俺は冒険者としておかしくなさそうなスキルのみを申告する。
「驚いた。探査持ちが二人もいたよ。しかもなんだいペルカ嬢ちゃん、あんた筆頭巫女だったのかい」
俺とペルカを、女将さんが意味ありげに見つめてきた。やば、何かマズったかな。
しかもペルカが俺の筆頭巫女って……? たしかに俺の巫女はペルカしかいないはずだから筆頭巫女なんだろうけど、なんで分かったんだ? それが分かるスキルがあったってことだよね。ペルカの口から出たスキルで俺が知らなかったのは、神職教示ってやつか?
「あの……スキルっていうのは?」
俺たちのやりとりについていけずに、ひとりクリフだけが戸惑っている」
「ああ、クリフは能力鑑定を受けたことがないんだね。スキルっていうのはあんたが持っている確立された能力のことだよ。ちょうどいい、探査持ちが二人もいるんだ。視てもらいなよ」
「あの、女将さん、探査持ちって珍しいんですか?」
「……あんた、冒険者のくせに面白いことを言うね。探査スキルを持ってれば、それだけでも一生食っていけるじゃないか」
「あっ、いや、生まれつき持っていたスキルなんで、しかもあまり人に話したこともありませんし」
「へーっ、生まれつきのスキルかい。神様に愛されてるんだねえダイ」
ヤバイヤバイ、そんな貴重なスキルだったのか探査。これからは簡単に口にできないぞ。
「ペルカ嬢ちゃんは?」
「はう、ワタシはヤマトさまからスキルを頂いたのです」
「嬢ちゃんも、神様に愛されてるくちだね」
「そんな、ヤマトさまに愛されてるなんて、恐れ多いのですよ~」
ペルカは両の手のひらで赤く染まった自分の頬を抑えて、膝立ちのまま身体をくねくねと震わせている。
「ペッ、ペルカさん! 俺のスキルを視てもらえませんか!」
クリフが収まりの悪い栗色の巻き毛を振り乱してペルカの前に進み出た。
「はわっ。――はい、良いのですよ」
自分の思いの中に入り込んでいたペルカは驚いたようだが、すぐに了承した。
クリフの奴、やっぱり俺には言わないのな――まあ良いけど。
ペルカは立ち上がると、姿勢をただしてクリフと向き合った。いつもはどこかホワホワした雰囲気の漂うその顔の表情をキリリと引き締めた。そうすると彼女にも巫女らしい神聖さが漂う。
ああ、ペルカも巫女らしくなってきたなあ。
「では、いくのですよ」
………………
…………
……
まあ、外見的に特別に何か起こる能力じゃないからね。
ペルカは、目のまえに浮かび上がっているクリフの能力値を読みとっているさいちゅうだ。
「スキルだけで良いよ。詳細は脱出できたら教えてやりなよ」
クリフの能力値を読みとったペルカが口を開くまえに、女将さんが言う。たしかに、今は書き留めることもできないし、細かい能力値の数字なんか言われてもしょうがないよね。
「ハイなのです。クリフさんのスキルは、単弓術と生存術、隠行、解体術(動物)と弓術の才なのです」
「クリフもなかなか優秀だ。まあいまのところ見事に猟師のスキルだけどさ。弓術の才があるからうまくいけばこのダンジョン攻略中に、戦闘用のスキルが発現するかもしれないね」
女将さんの言葉をうけたクリフはなにやら俺に向かって不適な笑みを浮かべた。
「ペルカさん有難うございます! 俺、役に立てるようにきっと、戦いの役に立つスキルを覚えます!」
クリフのテンションが妙に上がっている。何でだ?
すると俺に近づいてきたクリフがボソリとつぶやいた。
「俺は五つだ」
は? 何のこと? あっ、もしかしてスキルの数か!? 俺が申告したスキルは四つだったよね。うわーみみっちい奴だな。
きっかけは分からないでもないんだが、クリフはなんでここまで執拗に俺に突っかかってくるんだろうか?
「さて、それじゃ、そろそろ行こうかね」
「あの、女将さんのスキルは?」
「ああ、あたしかい。あたしはあんまり大したスキルはないんだけどね。武術、工芸技術、採掘、あとは料理関係のスキルだね」
女将さんの口から出たスキルは思っていたより少ない。でも武術って、剣術とか格闘術とかの上位スキルくさい。それに女将さんも俺と同じく申告していないスキルがきっとあるだろう。しかし採掘にクラフトワークスって、ドワーフを想像させる。女将さんは一八〇センチほどの大女なんでドワーフっていうよりはオーガだけどね。
考えてみると、クリフの狩猟関係のスキルに、女将さんの料理スキル、俺も調理と製菓のスキルがあるから、食材さえ何とかなれば、最悪このままダンジョン攻略することも決して不可能ではないだろう。
強いて言うなら、魔族っていうのがどのくらいの強さなのかが問題だ。
だがサテラがペルカに攻略の指示をしたってことは、ペルカの持っている力で魔族自体は何とかなるということではないかと俺は考えている。
タイミングを逸したってこともあるんだけど、だからこそ正体を明かさないでいるわけだしね。
「もう質問は無いね。なら奥に進もうかね」
女将さんは、地面に突き立てておいた松明を抜き上げた。
「まいったね……目印は残ってるんだけど、順序がめちゃくちゃになってるよ」
女将さんがげんなりしたようすで呟いた。
帰還を決めた俺たちは、通路の分岐地点に付けておいた印を辿りダンジョンの入り口を目指した。
入ってきたときには警戒しながらの侵入だったので時間がかかったが、帰りはその半分の時間もあれば辿り着けるはずだったのだ。
しかしいつまで経っても入り口は見つからなかった。
さらにいうなら入り口に向かってから四度もモンスターとの戦闘があったのだ。
「もしかして通路が組み変わってるんじゃないですか」
「……そいつがいちばんしっくりくるね。印は間違いなくあたしが付けたものだよ。油断したね――簡単に入り口が見つかったもんだからさ、軽率だったよ」
女将さんは腰に吊していた小型のウォーハンマーを使い目印の周辺を調べている。
「……そんな馬鹿な」
俺と女将さんのやりとりを聞いたクリフの顔が青い。
「そういえば、外の空気の匂いがしなくなってるのですよ」
ペルカは、鼻をクンクンとさせながら匂いを探っている。
「……組み変わる通路か、古代の遺跡にはそんなのもあったけどさ、まさかこんな洞窟のようなところが組み変わるなんてね……あたしも焼が回ったかね。ダンジョンを甘く見てたよ」
女将さんはさらに丹念に印を付けた壁面を調べている。
「ダイ、見てみな。さっきの角の目印には矢印と数字の三を書いておいたのに、ここの数字は八になってる。ほんとなら二のはずなんだけどね」
「これを見るとダンジョンが生きているって話しに信憑性がでてきますね。これからどうしますか女将さん、選択肢はあまりないと思いますけど」
「そうだねえ……、あくまで出口を探すか――それとも地下を目指すか」
女将さんの口から出た案は俺も考えていたものだ。
「地下って、カーサさん冗談ですよね? 是が非でも出口を探すべきです! それに、通路が組み変わってるなら地下への降り口を探すのだって条件は同じでしょ」
クリフが、手をふり広げて力説する。
「いや、この手の出口を封鎖するタイプの罠っていうのはたいてい中に招き入れるためのものなんだ。おそらく奥に進むばあいは発動しないんじゃないかな」
「へえ、わかってるじゃないか。そうなんだよ、奥に進んだほうが脱出の近道だったりするときもあるしね」
「そうなんですよね。逆に奥に進んで、さあ攻略するぞって意気込むと、外に放り出されたりするんですよね」
「ああ、それあるんだよねえ」
「あのっ、ダイさんカーサさん、話がズレてきてるのですよ」
俺と女将さんの話が、ダンジョンあるあるに脱線し始めたのを察したペルカが声を上げた。
「……まあ、ダンジョンにどこまでアタシの常識が通じるかはわからないけどさ。奥に行ってみようじゃないか」
俺と女将さんの見解ははからずも一致した。違うところといえば、女将さんの意見は冒険者としての経験則から出たものだが、俺の意見はダンジョン探索系RPGからの経験則というところだろうか。
「ペルカさんはどう思いますか?」
二対一の状況にクリフがすがるような目線でペルカを見た。
「ワタシも……その、奥に進んだほうが良いような気がするのです」
ペルカは上目遣いでクリフを申し訳なさそうに見ている。彼が自分の意見に賛成して欲しいと思っていることが分かっているからだろう。
「食料も装備も足りていないのにどうするんですか!」
「そいつについてはドロップアイテムに望みを託すしかないね。どっちにしたってここから脱出できない以上は、それ以外に方法がないってことさ」
こうなると女将さんが付いてきてくれた事はもっけの幸いだったとしか言いようがない。
女将さんがいるおかげで、クリフが俺の意見にも大きな反発をできずにいるからだ。でなければいつまでたっても話が進まなかっただろう。
「奥に進むってことで良いね。クリフ、どちらに行くにしても歩きださなけりゃ目的地にはたどり着けないんだ。覚悟を決めな」
「カーサさん……、わっ、分かりましたよ。オレだってペルカさんの力になるって決めて付いてきたんだ。これくらいで怯んだりしません」
「クリフさん……ありがとうなのですよ」
「ヨシ! 男の子だねぇ!」
「うぁぁ!」
女将さんがクリフの背中を平手でどやすと、勢い余ってクリフが前につんのめる。
あー、あれ効くんだよね。
「なら、進む前に確認したいことがあるんだけどさ。アンタたちが使えるスキル、あともし魔法が使えるならそいつも教えてくれないかい。誰が何をできるかわかっていれば、これから先、何かが起きたときに的確に判断ができるだろ」
覚悟を決めた女将さんは、その場にドカリと座り込むと松明を地面に突き刺した。
そして俺たちにも座るようにと手招く。
「ワタシは、巫女魔術と爪牙闘士の戦闘スキルと探査、神職教示、あとは格闘と成長促進のスキルなのです。あっ、狼人族の種族スキルとして健脚を持っているのです。魔法は身体強化と治癒が使えるのですよ」
「俺は、剣術、格闘術、体術に探査ですかね」
ペルカは素直にすべてのスキルを口にした。俺は冒険者としておかしくなさそうなスキルのみを申告する。
「驚いた。探査持ちが二人もいたよ。しかもなんだいペルカ嬢ちゃん、あんた筆頭巫女だったのかい」
俺とペルカを、女将さんが意味ありげに見つめてきた。やば、何かマズったかな。
しかもペルカが俺の筆頭巫女って……? たしかに俺の巫女はペルカしかいないはずだから筆頭巫女なんだろうけど、なんで分かったんだ? それが分かるスキルがあったってことだよね。ペルカの口から出たスキルで俺が知らなかったのは、神職教示ってやつか?
「あの……スキルっていうのは?」
俺たちのやりとりについていけずに、ひとりクリフだけが戸惑っている」
「ああ、クリフは能力鑑定を受けたことがないんだね。スキルっていうのはあんたが持っている確立された能力のことだよ。ちょうどいい、探査持ちが二人もいるんだ。視てもらいなよ」
「あの、女将さん、探査持ちって珍しいんですか?」
「……あんた、冒険者のくせに面白いことを言うね。探査スキルを持ってれば、それだけでも一生食っていけるじゃないか」
「あっ、いや、生まれつき持っていたスキルなんで、しかもあまり人に話したこともありませんし」
「へーっ、生まれつきのスキルかい。神様に愛されてるんだねえダイ」
ヤバイヤバイ、そんな貴重なスキルだったのか探査。これからは簡単に口にできないぞ。
「ペルカ嬢ちゃんは?」
「はう、ワタシはヤマトさまからスキルを頂いたのです」
「嬢ちゃんも、神様に愛されてるくちだね」
「そんな、ヤマトさまに愛されてるなんて、恐れ多いのですよ~」
ペルカは両の手のひらで赤く染まった自分の頬を抑えて、膝立ちのまま身体をくねくねと震わせている。
「ペッ、ペルカさん! 俺のスキルを視てもらえませんか!」
クリフが収まりの悪い栗色の巻き毛を振り乱してペルカの前に進み出た。
「はわっ。――はい、良いのですよ」
自分の思いの中に入り込んでいたペルカは驚いたようだが、すぐに了承した。
クリフの奴、やっぱり俺には言わないのな――まあ良いけど。
ペルカは立ち上がると、姿勢をただしてクリフと向き合った。いつもはどこかホワホワした雰囲気の漂うその顔の表情をキリリと引き締めた。そうすると彼女にも巫女らしい神聖さが漂う。
ああ、ペルカも巫女らしくなってきたなあ。
「では、いくのですよ」
………………
…………
……
まあ、外見的に特別に何か起こる能力じゃないからね。
ペルカは、目のまえに浮かび上がっているクリフの能力値を読みとっているさいちゅうだ。
「スキルだけで良いよ。詳細は脱出できたら教えてやりなよ」
クリフの能力値を読みとったペルカが口を開くまえに、女将さんが言う。たしかに、今は書き留めることもできないし、細かい能力値の数字なんか言われてもしょうがないよね。
「ハイなのです。クリフさんのスキルは、単弓術と生存術、隠行、解体術(動物)と弓術の才なのです」
「クリフもなかなか優秀だ。まあいまのところ見事に猟師のスキルだけどさ。弓術の才があるからうまくいけばこのダンジョン攻略中に、戦闘用のスキルが発現するかもしれないね」
女将さんの言葉をうけたクリフはなにやら俺に向かって不適な笑みを浮かべた。
「ペルカさん有難うございます! 俺、役に立てるようにきっと、戦いの役に立つスキルを覚えます!」
クリフのテンションが妙に上がっている。何でだ?
すると俺に近づいてきたクリフがボソリとつぶやいた。
「俺は五つだ」
は? 何のこと? あっ、もしかしてスキルの数か!? 俺が申告したスキルは四つだったよね。うわーみみっちい奴だな。
きっかけは分からないでもないんだが、クリフはなんでここまで執拗に俺に突っかかってくるんだろうか?
「さて、それじゃ、そろそろ行こうかね」
「あの、女将さんのスキルは?」
「ああ、あたしかい。あたしはあんまり大したスキルはないんだけどね。武術、工芸技術、採掘、あとは料理関係のスキルだね」
女将さんの口から出たスキルは思っていたより少ない。でも武術って、剣術とか格闘術とかの上位スキルくさい。それに女将さんも俺と同じく申告していないスキルがきっとあるだろう。しかし採掘にクラフトワークスって、ドワーフを想像させる。女将さんは一八〇センチほどの大女なんでドワーフっていうよりはオーガだけどね。
考えてみると、クリフの狩猟関係のスキルに、女将さんの料理スキル、俺も調理と製菓のスキルがあるから、食材さえ何とかなれば、最悪このままダンジョン攻略することも決して不可能ではないだろう。
強いて言うなら、魔族っていうのがどのくらいの強さなのかが問題だ。
だがサテラがペルカに攻略の指示をしたってことは、ペルカの持っている力で魔族自体は何とかなるということではないかと俺は考えている。
タイミングを逸したってこともあるんだけど、だからこそ正体を明かさないでいるわけだしね。
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