110 / 332
108話 「順調……?」
しおりを挟む
トゥラウニを出て半時ほどたった頃。はじめは陸船に感動し色々とはしゃいでいた加賀であるが、慣れてきたのとはしゃぎ疲れたので今は大人しく景色を眺めたりアイネとの会話を楽しんでいるようである。
「けっこう道整備されてるんですねー」
陸船に乗り道を走っていて感じたのが思った以上に道が整備されていると言う事だ。
最初の内はたいして気にしていなかった加賀であるが、それなりの速度を出しているのにも関わらずあまり揺れる事のない道を次第に不思議に思うようになる。現代日本ならともかくアスファルトもまだないこの世界でこれだけ道が整備されている事を少し不思議に感じたのだ。
「大事にな交易路だから、道を整備する専門の人を雇っているんだよ。費用は各街に入るたびに入場料が取られるから……それで賄ってると言う話」
「へー……」
アイネの話を聞いて高速道路のようなものだろうかと思う加賀。
多少料金を取られるとしてもこれだけの速度で走ることが出来ると思えば納得できる。
「ねえ、さっきから気になっているのだけど……」
「んー?」
海岸沿いをぼーっと眺めつつアイネの問いに反応する加賀。
街から街までなだらかで代わり映えのしない景色が続く道、眺めるとすれば海岸と青い空、それに延々と続く滑らかなカーブをえがく道ぐらいだろう。
「どうしてさっきからそちらばかり見て話すのかしら……?」
「……」
びくりと身を竦ませる加賀。
アイネのほうを横目でちらちらと見ては視線を逸らす。
「これ、気になるのかな?」
「……」
整備された道とはいえ、多少のでこぼこはある。
速度を出せばそれなりに車体が上下に揺れるわけで、そうなると加賀にとっては視線のやり場に困る事が起こる事になる。
「宿でも見てくる人がいるんだよね……切り落とした方がいい?」
「いやいやいや! だめですってばっ」
アイネの物騒な発言に慌てて止めにはいる加賀。
一方のアイネはようやく目のあった加賀をみて冗談よと言い軽く微笑む。
「あまり冗談に聞こえないです……本当に冗談ですよね?」
「どうだろうね……あとはデーモンを大量に召喚して魔力消費するって手段もあるよ」
一瞬それなら良いかと思いじゃあそれでと言いかける加賀であったが、ふと思いとどまる。
一体どれだけの数召喚するつもりなのだろうかと。
ただでさえ前回呼んだデーモンが距離をおいてついてきているのだ、この上さらに追加すればどうなるか。
「あの、全部で何匹召喚するんでしょ……」
「ん……1000匹ぐらい?」
「それもなしでっ」
1000匹と聞いて顔色を変える加賀。
まだ距離をとっているのと数が少ないため今はそこまで目立ってはいない、だがこれが1000匹となれば話は違う。空を埋め作る黒い影、そのいずれもがデーモン……控えめにいってもパニックが起こるだろう。
「そう残念ね」
「いや残念て…………あの、アイネさん?」
「それならしばらくこうしてましょ、あと3日もあるんだし、そのうち慣れるよ」
ひょいと加賀をかるがる持ち上げたアイネ、一体どうするのかと怪訝な表情を見せる加賀を膝の上に乗せる。
「……」
「これなら気にしなくていいでしょ、あまり動かないでね落ちると危ないから」
膝の上に乗せられ真っ赤な顔を隠すようにうつむく加賀。
結局お昼の休憩後で一度降ろして貰えたが、その後は日が暮れるまでずっとそのま過ごす事となる。
「今日はここで野宿。食事とお風呂すませたら寝るのは車内でね」
「あいさー」
荷物をあさり中から炭を取り出す加賀。
適当に石を積み上げつくった竈に炭を並べると精霊にお願いし火をつける。
「野外で料理つくるの久しぶりだー」
「楽しそうね」
鼻歌まじりに夕食を用意する加賀。
たまに野外で食事するのも良いものである、ずっと続かなければだが。
「ん、いけるいける」
「おいしい。宿から食料持ってきて正解だったね」
加賀達も八木と同じように宿から日持ちする食料をいくつか持ってきている。
とはいえ八木達とは違い加護持ちの加賀いるのでその分少なめである。
食事が終われば次は風呂である。
こちらも精霊魔法が使える加賀いるので用意するのは問題なくできる。
ほんの数分で簡易のお風呂が出来上がる。
「うひぃー……」
出来上がった湯船につかり思わず声が出てしまう加賀。
一日中陸船に乗り疲れていたのだろう、精神的にだが。
「お湯加減はどう?」
「あ、わりといい感じですよー……ってアイネさん!?」
声に振り替えると視線の先にはアイネの姿が。
驚き固まる加賀をよそに湯船に近づきそっと湯に触れるアイネ。
「あ、ちょうどいいね……せっかくだし、背中が流してあげるよ、ほらここ座って」
「え……はい」
アイネに言われ精霊の用意してくれた椅子へ座る加賀。
「加賀の紋様ってそこにあったんだね」
「ん、そなんですよね。八木は背中でボクはここ。人によってばらばらなんだそうで……」
加賀の背中を洗いつつふーんと相槌をうつアイネ。
紋様にちらりと視線を向け言葉を続ける。
「でもよかったと思うよ。そこなら普段見えないだろうし」
「うん、確かに……八木のも普段見えないはずなんだけどね」
しょっちゅう上着を脱ぐ八木の姿を思い浮かべ苦笑しか浮かばない加賀。
一日で全行程の3分の1まで来た加賀とアイネ。特にトラブルもなく……あったとしても事前に護衛替わりのデーモンが排除しているのだろうが。
ともかく二人の旅は順調に進んでいるようである。
「けっこう道整備されてるんですねー」
陸船に乗り道を走っていて感じたのが思った以上に道が整備されていると言う事だ。
最初の内はたいして気にしていなかった加賀であるが、それなりの速度を出しているのにも関わらずあまり揺れる事のない道を次第に不思議に思うようになる。現代日本ならともかくアスファルトもまだないこの世界でこれだけ道が整備されている事を少し不思議に感じたのだ。
「大事にな交易路だから、道を整備する専門の人を雇っているんだよ。費用は各街に入るたびに入場料が取られるから……それで賄ってると言う話」
「へー……」
アイネの話を聞いて高速道路のようなものだろうかと思う加賀。
多少料金を取られるとしてもこれだけの速度で走ることが出来ると思えば納得できる。
「ねえ、さっきから気になっているのだけど……」
「んー?」
海岸沿いをぼーっと眺めつつアイネの問いに反応する加賀。
街から街までなだらかで代わり映えのしない景色が続く道、眺めるとすれば海岸と青い空、それに延々と続く滑らかなカーブをえがく道ぐらいだろう。
「どうしてさっきからそちらばかり見て話すのかしら……?」
「……」
びくりと身を竦ませる加賀。
アイネのほうを横目でちらちらと見ては視線を逸らす。
「これ、気になるのかな?」
「……」
整備された道とはいえ、多少のでこぼこはある。
速度を出せばそれなりに車体が上下に揺れるわけで、そうなると加賀にとっては視線のやり場に困る事が起こる事になる。
「宿でも見てくる人がいるんだよね……切り落とした方がいい?」
「いやいやいや! だめですってばっ」
アイネの物騒な発言に慌てて止めにはいる加賀。
一方のアイネはようやく目のあった加賀をみて冗談よと言い軽く微笑む。
「あまり冗談に聞こえないです……本当に冗談ですよね?」
「どうだろうね……あとはデーモンを大量に召喚して魔力消費するって手段もあるよ」
一瞬それなら良いかと思いじゃあそれでと言いかける加賀であったが、ふと思いとどまる。
一体どれだけの数召喚するつもりなのだろうかと。
ただでさえ前回呼んだデーモンが距離をおいてついてきているのだ、この上さらに追加すればどうなるか。
「あの、全部で何匹召喚するんでしょ……」
「ん……1000匹ぐらい?」
「それもなしでっ」
1000匹と聞いて顔色を変える加賀。
まだ距離をとっているのと数が少ないため今はそこまで目立ってはいない、だがこれが1000匹となれば話は違う。空を埋め作る黒い影、そのいずれもがデーモン……控えめにいってもパニックが起こるだろう。
「そう残念ね」
「いや残念て…………あの、アイネさん?」
「それならしばらくこうしてましょ、あと3日もあるんだし、そのうち慣れるよ」
ひょいと加賀をかるがる持ち上げたアイネ、一体どうするのかと怪訝な表情を見せる加賀を膝の上に乗せる。
「……」
「これなら気にしなくていいでしょ、あまり動かないでね落ちると危ないから」
膝の上に乗せられ真っ赤な顔を隠すようにうつむく加賀。
結局お昼の休憩後で一度降ろして貰えたが、その後は日が暮れるまでずっとそのま過ごす事となる。
「今日はここで野宿。食事とお風呂すませたら寝るのは車内でね」
「あいさー」
荷物をあさり中から炭を取り出す加賀。
適当に石を積み上げつくった竈に炭を並べると精霊にお願いし火をつける。
「野外で料理つくるの久しぶりだー」
「楽しそうね」
鼻歌まじりに夕食を用意する加賀。
たまに野外で食事するのも良いものである、ずっと続かなければだが。
「ん、いけるいける」
「おいしい。宿から食料持ってきて正解だったね」
加賀達も八木と同じように宿から日持ちする食料をいくつか持ってきている。
とはいえ八木達とは違い加護持ちの加賀いるのでその分少なめである。
食事が終われば次は風呂である。
こちらも精霊魔法が使える加賀いるので用意するのは問題なくできる。
ほんの数分で簡易のお風呂が出来上がる。
「うひぃー……」
出来上がった湯船につかり思わず声が出てしまう加賀。
一日中陸船に乗り疲れていたのだろう、精神的にだが。
「お湯加減はどう?」
「あ、わりといい感じですよー……ってアイネさん!?」
声に振り替えると視線の先にはアイネの姿が。
驚き固まる加賀をよそに湯船に近づきそっと湯に触れるアイネ。
「あ、ちょうどいいね……せっかくだし、背中が流してあげるよ、ほらここ座って」
「え……はい」
アイネに言われ精霊の用意してくれた椅子へ座る加賀。
「加賀の紋様ってそこにあったんだね」
「ん、そなんですよね。八木は背中でボクはここ。人によってばらばらなんだそうで……」
加賀の背中を洗いつつふーんと相槌をうつアイネ。
紋様にちらりと視線を向け言葉を続ける。
「でもよかったと思うよ。そこなら普段見えないだろうし」
「うん、確かに……八木のも普段見えないはずなんだけどね」
しょっちゅう上着を脱ぐ八木の姿を思い浮かべ苦笑しか浮かばない加賀。
一日で全行程の3分の1まで来た加賀とアイネ。特にトラブルもなく……あったとしても事前に護衛替わりのデーモンが排除しているのだろうが。
ともかく二人の旅は順調に進んでいるようである。
1
あなたにおすすめの小説
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる