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198話 「ほぼ小麦らしい」
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気の弱い人が見れば逃げ出しそうなその笑顔も加賀に取っては見慣れたものである。
オージアスに屋台が終わった後でなら、と話し何事もないように接客へと戻る。
「悪いね加賀ちゃん、バーガーって事はパンだろ? ついつい気になっちゃってなー」
「いえいえー、割と作るのは簡単なんで良ければ新作メニューにどうぞ」
そして屋台の仕事を終えた加賀はオージアスを引き連れ宿へと戻る。オージアスの分も作るついでに作り方の教えてしまおうという事らしい。
「ありがてえ。加賀ちゃんに教わったメニューは大体好評でさ、お客さんからも新作はまだ?ってせっつかれてなあ」
「お、良かった、好評なんだねー」
教えたメニューが好評と聞いてぱっと振りかえる加賀。
オージアスは数少ない技術を伝えた例と言える、そのあたりは割と気になっていたのだ。
「最近だと真似する所も増えてきたよ。と言っても加賀ちゃんからレシピ教わった訳じゃないから本当見よう見まねって感じだったけど」
「っへー」
真似する人が増えると言うことは加賀にとっては歓迎するべき事である。だがオージアスにとってはどうだろうか?そんな思いが顔に出ていたのかオージアスがどうかしたのか?と尋ねてくる
「真似してる所が増えたのにあまり怒ってないなーと」
「んー、まったく何も感じないわけでは無いけど。そもそも加賀ちゃんから教わったものであって俺のオリジナルってわけじゃないし。それよりも俺としては色んな美味しいパンを作ろうって店が増えてくれたのが嬉しくてね」
ちらりとオージアスの顔色を伺う加賀、彼の表情からは本音を言ってそうな感じが伺える。
「小麦粉からこだわって作ってるのって俺の所ぐらいだったんよ? その小麦粉に関してもロール機とピュリファイヤー?のおかげで皆同じの使えるようになったし、ダンジョンのおかげで金回りが良くなったせいかちょっと凝ったパンを売るところも出て来たし……いや、ほんとありがたい」
存在を忘れかけていた加賀であったが、以前小麦に関して相談された際に伝えた製粉用の機械であるがいつの間にかどちらも実用段階に入っていたらしい。
「あれもう使えるようになったんだー」
「ロール機の方はまだ数が足らんけどね、とりあえずふすまを簡単に分離できる様になっただけで大助かりだよ」
「そりゃ良かった……ん、冷えてきたかな? あとはこうやって衣付けてっと」
話している間にグラタンが程よく冷えてきたらしい、加賀は手早く形を整えると衣を付け油に投入していく。
揚げている間にパンにちょっとしなびた千切りキャベツを挟みその上に揚げたてのグラコロを乗せソースを掛ける。
グラコロバーガーの完成である。
「確かに油用意しておけば簡単だなあ……んじゃいただきます」
手に取ったバーガーにばくりちかぶりつくオージアス。
自然とそれを物欲しそうに眺めるいくつもの視線がオージアスへと集まる。
「はい、皆の分もあるよ」
もちろんオージアスだけに食べさせるなんて事は有るわけは無い。食堂へ集まった皆にもバーガーを渡していく。
「おーやっぱ久しぶりに食うとうめえな」
「いけるよね、原材料小麦ばっかなのに」
「いや、まったく」
加賀と八木の会話を聞いてしげしげとバーガーを見つめるオージアス。そして何かに気が付いたようにはっとした表情を浮かべる。
「気付いてしまったか……」
「よく考えるとおっそろしい食いもんだなこれ……うまいけど」
「美味しいからね……で、どー? これ新メニューに使えそ?」
ポリポリと顎をかきバーガーをじっと見つめるオージアス。やがてポツリと無理かなと言葉をこぼす。
「あ、美味しくないとかじゃなくてな! このソース作るのに無茶苦茶手間が掛かるんだろ? それじゃちょっと厳しいのさ……他の揚げ物も同じ理由で採用出来なかったし……」
「あー……確かにそですね。業者さんが売ってくれたりしたら良いんだけどなー」
「え?」
「う?」
業者が売ってくれれば良いのにと言った加賀を驚いた眼差しでオージアスが見つめる。
「いいの? 業者が売ることになっても。それって秘伝のソースとかじゃ……」
オージアスはどうやら揚げ物にかけているソースを秘伝のものだと思っていたらしい。
「いあー、これは違いますよー。売ってる所がないから自分で作っただけでデミグラスソースと違って元々市販のに手を加えて使ってましたしー」
加賀としては秘伝でも何でも無くただ売っていないので仕方が無く作っただけという認識であったりする。加賀のレシピを使って業者がソースを取り扱っても特には問題は無い。むしろ歓迎であった。
ただ同じソースでもデミグラスソースは別である。あれは基本的なレシピしか伝える気は無く、あとは各自で改良しろとみうスタンスの様だ。
「あ、そなんだ……じゃあ取り扱いたい業者がいればレシピを教えるのはありなわけ?」
「ありですけど、どこからもそういった話しが来ないんであまり料理に興味もたれてないのかなーと……」
八木の方は問い合わせいっぱいなんだけどねーと少し困った顔をする加賀をじっと見つめるオージアス。
「どこからも……? それは、ちょっと……少し調べてみるよ。もし取り扱いたい業者がいたらその時はまた相談にくるね」
何かしら思う所があるのだろう、オージアスは食事の礼を述べると足早に宿を退散して行く、恐らくそのままギルド辺りに行くつもりなのだろう。
オージアスに屋台が終わった後でなら、と話し何事もないように接客へと戻る。
「悪いね加賀ちゃん、バーガーって事はパンだろ? ついつい気になっちゃってなー」
「いえいえー、割と作るのは簡単なんで良ければ新作メニューにどうぞ」
そして屋台の仕事を終えた加賀はオージアスを引き連れ宿へと戻る。オージアスの分も作るついでに作り方の教えてしまおうという事らしい。
「ありがてえ。加賀ちゃんに教わったメニューは大体好評でさ、お客さんからも新作はまだ?ってせっつかれてなあ」
「お、良かった、好評なんだねー」
教えたメニューが好評と聞いてぱっと振りかえる加賀。
オージアスは数少ない技術を伝えた例と言える、そのあたりは割と気になっていたのだ。
「最近だと真似する所も増えてきたよ。と言っても加賀ちゃんからレシピ教わった訳じゃないから本当見よう見まねって感じだったけど」
「っへー」
真似する人が増えると言うことは加賀にとっては歓迎するべき事である。だがオージアスにとってはどうだろうか?そんな思いが顔に出ていたのかオージアスがどうかしたのか?と尋ねてくる
「真似してる所が増えたのにあまり怒ってないなーと」
「んー、まったく何も感じないわけでは無いけど。そもそも加賀ちゃんから教わったものであって俺のオリジナルってわけじゃないし。それよりも俺としては色んな美味しいパンを作ろうって店が増えてくれたのが嬉しくてね」
ちらりとオージアスの顔色を伺う加賀、彼の表情からは本音を言ってそうな感じが伺える。
「小麦粉からこだわって作ってるのって俺の所ぐらいだったんよ? その小麦粉に関してもロール機とピュリファイヤー?のおかげで皆同じの使えるようになったし、ダンジョンのおかげで金回りが良くなったせいかちょっと凝ったパンを売るところも出て来たし……いや、ほんとありがたい」
存在を忘れかけていた加賀であったが、以前小麦に関して相談された際に伝えた製粉用の機械であるがいつの間にかどちらも実用段階に入っていたらしい。
「あれもう使えるようになったんだー」
「ロール機の方はまだ数が足らんけどね、とりあえずふすまを簡単に分離できる様になっただけで大助かりだよ」
「そりゃ良かった……ん、冷えてきたかな? あとはこうやって衣付けてっと」
話している間にグラタンが程よく冷えてきたらしい、加賀は手早く形を整えると衣を付け油に投入していく。
揚げている間にパンにちょっとしなびた千切りキャベツを挟みその上に揚げたてのグラコロを乗せソースを掛ける。
グラコロバーガーの完成である。
「確かに油用意しておけば簡単だなあ……んじゃいただきます」
手に取ったバーガーにばくりちかぶりつくオージアス。
自然とそれを物欲しそうに眺めるいくつもの視線がオージアスへと集まる。
「はい、皆の分もあるよ」
もちろんオージアスだけに食べさせるなんて事は有るわけは無い。食堂へ集まった皆にもバーガーを渡していく。
「おーやっぱ久しぶりに食うとうめえな」
「いけるよね、原材料小麦ばっかなのに」
「いや、まったく」
加賀と八木の会話を聞いてしげしげとバーガーを見つめるオージアス。そして何かに気が付いたようにはっとした表情を浮かべる。
「気付いてしまったか……」
「よく考えるとおっそろしい食いもんだなこれ……うまいけど」
「美味しいからね……で、どー? これ新メニューに使えそ?」
ポリポリと顎をかきバーガーをじっと見つめるオージアス。やがてポツリと無理かなと言葉をこぼす。
「あ、美味しくないとかじゃなくてな! このソース作るのに無茶苦茶手間が掛かるんだろ? それじゃちょっと厳しいのさ……他の揚げ物も同じ理由で採用出来なかったし……」
「あー……確かにそですね。業者さんが売ってくれたりしたら良いんだけどなー」
「え?」
「う?」
業者が売ってくれれば良いのにと言った加賀を驚いた眼差しでオージアスが見つめる。
「いいの? 業者が売ることになっても。それって秘伝のソースとかじゃ……」
オージアスはどうやら揚げ物にかけているソースを秘伝のものだと思っていたらしい。
「いあー、これは違いますよー。売ってる所がないから自分で作っただけでデミグラスソースと違って元々市販のに手を加えて使ってましたしー」
加賀としては秘伝でも何でも無くただ売っていないので仕方が無く作っただけという認識であったりする。加賀のレシピを使って業者がソースを取り扱っても特には問題は無い。むしろ歓迎であった。
ただ同じソースでもデミグラスソースは別である。あれは基本的なレシピしか伝える気は無く、あとは各自で改良しろとみうスタンスの様だ。
「あ、そなんだ……じゃあ取り扱いたい業者がいればレシピを教えるのはありなわけ?」
「ありですけど、どこからもそういった話しが来ないんであまり料理に興味もたれてないのかなーと……」
八木の方は問い合わせいっぱいなんだけどねーと少し困った顔をする加賀をじっと見つめるオージアス。
「どこからも……? それは、ちょっと……少し調べてみるよ。もし取り扱いたい業者がいたらその時はまた相談にくるね」
何かしら思う所があるのだろう、オージアスは食事の礼を述べると足早に宿を退散して行く、恐らくそのままギルド辺りに行くつもりなのだろう。
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