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319話 「タコパ?2 ワカサギ釣り再び」
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「食いすぎた……うっぷ」
一体何度お代わりしたのだろう。
八木は苦しげな様子でぽこりと膨れたお腹をさする。
「100個ぐらい食べたよね。ほかの人はー……よさそうね」
周りを見渡せばみんな同じような状態である。
タコ焼きの熱さに慣れ、食べ方も分かるとみんな競い合うように食べ進めていたのだ。
「ん、片付けるのか?」
ミトンをつけ鉄板を持ち厨房へと向かおうとする加賀をみて八木が声をかける。
「んにゃ、別の作ろうと思って。 同じのだと飽きるでしょー?」
片付けようとしたのではなく、みんなの様子をみてタコ焼きはもう良いだろうと判断しただけのようだ。
「お、すまんな。 てか加賀はちゃんと食ったか? ずっと焼いてただろ」
「ちょくちょく摘まんでたからだいじょーぶ」
ひたすらタコ焼きを作っていた加賀がちゃんと食べていたのか心配する八木。
加賀はこっそりつまみ食いしてたらしく、だいじょーぶと笑みを浮かべ厨房へと戻る。
少しして加賀は何やら材料をもって厨房から出てくる。その手にはなぜかタコ焼き用の鉄板もあり、それをみて八木が首をかしげる。
「あれ? 違うの作るんじゃ……ん、甘い匂いが」
「ケーキ作ろうと思ってねー。 デザートだよデザート」
加賀が生地を鉄板に流し込むとあたりに甘い匂いが漂いだす。
鼻をひくひくさせる八木に向かい加賀は生地を見せる。見た目だと八木にはあまり違いが分からなかったようであるが、とりあえず匂いが違うのでそうなのだろうと納得した様子である。
「こっちカスタードいれるね」
「アイネさんよっろしくー。 こっちはチョコとプレーンにしよっと」
アイネのほうの鉄板も準備が出来たようで既に生地が流し込まれ甘い匂いがこちらも漂っている。
中には熱を加えても問題ものということでチョコやカスタードが投入されていく。それに甘すぎるのが苦手な人向けに何も入れないものを用意されていた。
「すげえ美味そう」
「ほい、あーん」
「いやまて、それ絶対熱いだろ」
焼きあがったのをコロコロと皿の上に入れていく加賀。
もの欲しそうにしていた八木に向けぷすっと串にケーキを刺すと八木に向かいさしだす。
鉄板から直接なのでまさに焼き立てである、さすがに八木でもそれはちょっと遠慮したいところであった。
「プレーンだから平気っしょ。ほれ」
「おう……うめぇ、生地むっちゃしっとりしとる」
プレーンであれば中はせいぜい焼き立てのパンと同じぐらいだろう。
八木は加賀の言葉を受けてプチケーキをぱくりと頬張った。
「ん、思ってたよりおいしー」
「カスタードもチョコ美味しい」
う(もごもご)
甘い匂いに誘われお菓子好きの面々がいつの間にか集まっていた。
お皿のケーキはみるみる内に皆のお腹に収まっていく。
「これお祭りで出してもいいんじゃないー?」
「どっちも定番だしね、そのつもりー」
タコ焼きもケーキもどちらも祭りでよく見かける食べ物である。
きっとこの街でも流行ることだろう。
ある晴れた日の昼下がり、フォルセイリアの北にある汽水湖にて水面から顔を出し優雅に泳ぐドラゴンの姿があった。
あたりはすっかり雪で覆われ、水面も一部は凍り付いている。そんな厳しい寒さの中であるがドラゴンにとっては気にしてものでもないらしい。
「……ふむ」
泳ぎ着いた先は汽水湖の中央当たりにある島であった。
ここは件の飛竜の夫婦が住んでいる場所である。 ドラゴンはゆっくりと上陸すると徐に歩を進めていく。
日時と場所は変わり、宿の食堂の中。
ここではリザートマン達から魚介類を休憩もかねお茶会を開いているところであった。
「ワカサギ釣りですか?」
話題に上がったのはワカサギ釣り。
「ドラゴン様がそろそろ時期ではないかと……」
「確かにそーですね。 わかりました皆と相談して日程決めておきますね」
珍しいことにドラゴン本人からのお誘いとのことである。
去年のワカサギ釣りがよほど楽しかったのだろうか? そう思い加賀はその話を承諾する。
ワカサギ釣り自体は去年いったものはまた行きたいと言ってはいたので、恐らくまた大人数で行くことになるだろう。
「ほー、ワカサギ釣りね。 いいと思うけどまだ氷張ってないんじゃー……ああブレス吐いてもらえばいいか」
夕方、早めに帰ってきた八木に昼間の出来事を話す加賀。
八木は去年もブレス吐いてもらったしな、と呟くと立ち上がる。
「んじゃ釣り竿用意しとくかね」
「よろしくー。 ボクは他の人に声かけておくね」
倉庫にいって釣り道具の確認、それに用意をするつもりらしい。
その間、加賀は戻ってくる探索者達に声をかけて行く。
「いいんじゃないっすか?」
「釣りたてを揚げたのは美味しかったですねえ」
「……あのドラゴンもくるんだよな?」
皆賛成のようであるが、一人だけ仏頂面をするものがいた。ヒューゴである。
「ドラゴンさんからのお誘いだしね。 そりゃ来るよー」
ドラゴンは来るのかという問いに答える加賀。
向こうからの誘いである。ドラゴンが来ないわけがない。
「そうか……加賀ちゃん、あいつにちゃんと服着るように伝えといてね」
「あー、うん。 ヒューゴさん去年は大変だったもんね、分かったよー」
それを聞いたヒューゴはますます仏頂面になり、加賀にドラゴンに服を着てくるよう言伝をたのむ。
去年ドラゴンの向かいに座ったヒューゴであるが色々と酷い目にあったのはきっちり覚えていたようだ。
一体何度お代わりしたのだろう。
八木は苦しげな様子でぽこりと膨れたお腹をさする。
「100個ぐらい食べたよね。ほかの人はー……よさそうね」
周りを見渡せばみんな同じような状態である。
タコ焼きの熱さに慣れ、食べ方も分かるとみんな競い合うように食べ進めていたのだ。
「ん、片付けるのか?」
ミトンをつけ鉄板を持ち厨房へと向かおうとする加賀をみて八木が声をかける。
「んにゃ、別の作ろうと思って。 同じのだと飽きるでしょー?」
片付けようとしたのではなく、みんなの様子をみてタコ焼きはもう良いだろうと判断しただけのようだ。
「お、すまんな。 てか加賀はちゃんと食ったか? ずっと焼いてただろ」
「ちょくちょく摘まんでたからだいじょーぶ」
ひたすらタコ焼きを作っていた加賀がちゃんと食べていたのか心配する八木。
加賀はこっそりつまみ食いしてたらしく、だいじょーぶと笑みを浮かべ厨房へと戻る。
少しして加賀は何やら材料をもって厨房から出てくる。その手にはなぜかタコ焼き用の鉄板もあり、それをみて八木が首をかしげる。
「あれ? 違うの作るんじゃ……ん、甘い匂いが」
「ケーキ作ろうと思ってねー。 デザートだよデザート」
加賀が生地を鉄板に流し込むとあたりに甘い匂いが漂いだす。
鼻をひくひくさせる八木に向かい加賀は生地を見せる。見た目だと八木にはあまり違いが分からなかったようであるが、とりあえず匂いが違うのでそうなのだろうと納得した様子である。
「こっちカスタードいれるね」
「アイネさんよっろしくー。 こっちはチョコとプレーンにしよっと」
アイネのほうの鉄板も準備が出来たようで既に生地が流し込まれ甘い匂いがこちらも漂っている。
中には熱を加えても問題ものということでチョコやカスタードが投入されていく。それに甘すぎるのが苦手な人向けに何も入れないものを用意されていた。
「すげえ美味そう」
「ほい、あーん」
「いやまて、それ絶対熱いだろ」
焼きあがったのをコロコロと皿の上に入れていく加賀。
もの欲しそうにしていた八木に向けぷすっと串にケーキを刺すと八木に向かいさしだす。
鉄板から直接なのでまさに焼き立てである、さすがに八木でもそれはちょっと遠慮したいところであった。
「プレーンだから平気っしょ。ほれ」
「おう……うめぇ、生地むっちゃしっとりしとる」
プレーンであれば中はせいぜい焼き立てのパンと同じぐらいだろう。
八木は加賀の言葉を受けてプチケーキをぱくりと頬張った。
「ん、思ってたよりおいしー」
「カスタードもチョコ美味しい」
う(もごもご)
甘い匂いに誘われお菓子好きの面々がいつの間にか集まっていた。
お皿のケーキはみるみる内に皆のお腹に収まっていく。
「これお祭りで出してもいいんじゃないー?」
「どっちも定番だしね、そのつもりー」
タコ焼きもケーキもどちらも祭りでよく見かける食べ物である。
きっとこの街でも流行ることだろう。
ある晴れた日の昼下がり、フォルセイリアの北にある汽水湖にて水面から顔を出し優雅に泳ぐドラゴンの姿があった。
あたりはすっかり雪で覆われ、水面も一部は凍り付いている。そんな厳しい寒さの中であるがドラゴンにとっては気にしてものでもないらしい。
「……ふむ」
泳ぎ着いた先は汽水湖の中央当たりにある島であった。
ここは件の飛竜の夫婦が住んでいる場所である。 ドラゴンはゆっくりと上陸すると徐に歩を進めていく。
日時と場所は変わり、宿の食堂の中。
ここではリザートマン達から魚介類を休憩もかねお茶会を開いているところであった。
「ワカサギ釣りですか?」
話題に上がったのはワカサギ釣り。
「ドラゴン様がそろそろ時期ではないかと……」
「確かにそーですね。 わかりました皆と相談して日程決めておきますね」
珍しいことにドラゴン本人からのお誘いとのことである。
去年のワカサギ釣りがよほど楽しかったのだろうか? そう思い加賀はその話を承諾する。
ワカサギ釣り自体は去年いったものはまた行きたいと言ってはいたので、恐らくまた大人数で行くことになるだろう。
「ほー、ワカサギ釣りね。 いいと思うけどまだ氷張ってないんじゃー……ああブレス吐いてもらえばいいか」
夕方、早めに帰ってきた八木に昼間の出来事を話す加賀。
八木は去年もブレス吐いてもらったしな、と呟くと立ち上がる。
「んじゃ釣り竿用意しとくかね」
「よろしくー。 ボクは他の人に声かけておくね」
倉庫にいって釣り道具の確認、それに用意をするつもりらしい。
その間、加賀は戻ってくる探索者達に声をかけて行く。
「いいんじゃないっすか?」
「釣りたてを揚げたのは美味しかったですねえ」
「……あのドラゴンもくるんだよな?」
皆賛成のようであるが、一人だけ仏頂面をするものがいた。ヒューゴである。
「ドラゴンさんからのお誘いだしね。 そりゃ来るよー」
ドラゴンは来るのかという問いに答える加賀。
向こうからの誘いである。ドラゴンが来ないわけがない。
「そうか……加賀ちゃん、あいつにちゃんと服着るように伝えといてね」
「あー、うん。 ヒューゴさん去年は大変だったもんね、分かったよー」
それを聞いたヒューゴはますます仏頂面になり、加賀にドラゴンに服を着てくるよう言伝をたのむ。
去年ドラゴンの向かいに座ったヒューゴであるが色々と酷い目にあったのはきっちり覚えていたようだ。
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