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321話 「ワカサギ釣り再び3」
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ヒューゴがごりごりと氷を削ること暫し。
二匹のドラゴンが皆と合流を果たす。
「皆さん今日はよろしくお願いしますね」
「……よろしく頼む」
既に魔道具で姿を変えており、見た目はドラゴンではなく人のそれである。
旦那は黒髪の短髪逆毛でやや目つきの鋭い細マッチョな青年の姿で、嫁は銀髪のポニテにすらりとした長身である。
「喋るのうまいすね」
二人が話すのを聞いて少し関心した様子を見せるヒューゴ。
若いと聞いていたのでもしかすると話せないのでは?と思っていたようだ。
「ありがとうございます。練習しましたので」
「言葉が通じないと不便だからな」
少しだけ得意そうにする二人。
褒められて悪い気はしないようである。
「? ……服装変ですか?」
「ああ、いやすんません。似合ってるなーと思って……」
そんな二人を見つめるヒューゴ。
嫁のほうがその視線に気が付いたようである。ヒューゴの視線は二人の服へと向けられていた。
「ならよかったです。 人は服を着るものだと聞いて急いで集めたんですよ」
「いやあばっちり似合ってますよ、ははは……はぁ」
残念なこと?に二人は人の服をきっちりと着こなしていた。
去年のどこかのドラゴンの様に腰布一枚なんてことはない。
「どうしたのであるか? 元気ない様であるが……」
「うっせえ、変態め」
あからさまに落ち込むヒューゴに対し心配げに声をかけるドラゴンであったが、ヒューゴはギヌロッと目を剥くとドラゴンに対し毒を吐く。
「心外である。 今回はきっちり服を着ているであろう?」
「なんで上だけなんだよっ!? 下はどうしたんだよっ下あああああっ!!」
肩をすくめやれやれといった様に首を振るドラゴン。それに対し氷をバシバシ叩きながら講義の声を上げるヒューゴ。
ドラゴンは腰布一枚の前回に対し服を着てはいたのだが、なぜか上半身のみであった。
下半身は前と同じく腰布一枚である。
「ちゃんと着ているではないか……おっと当たりが」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!?」
魚を釣り上げようと踏ん張るドラゴンを見て叫ぶヒューゴ。
それを遠くから見守るその他、大勢。
遠目で見ている分には実に微笑ましい?光景である。
「仲いいねー」
「良い……のか?」
そんな二人の様子をみた口にした加賀の言葉に首をかしげる八木。
加賀は油を張った鍋に菜箸を突っ込み軽く頷と、手をぽんぽんと叩いて皆に声をかける。
「それよりもー、ほら釣った釣った。 揚げる準備はもうできてるよー」
油はしっかり温まり、衣の準備もばっちりである。
あとは釣った魚をひたすら揚げていくだけだ。
「ご飯も?」
「そっちはまだ。 もうちょい掛かるから天ぷらでも摘まんでてー」
天ぷらの火元とは別口に土鍋が置かれている。
まだ湯気が出ていないことから見てご飯が炊けるまでは今しばらく掛かるだろう。
八木は釣り竿を手に氷に空いた穴のほうへと向かうのであった。
「はぢぃ……うま。 ビールビール……」
揚げたての天ぷらはさっくり、熱々。
そこにキンキンに冷えたビールが合わさればまさに至極である。
皆、魚を釣り上げては熱々の天ぷらとビールを口に運び、再び釣りに戻るという作業をひたすらに繰り返していた。
「入れ食いだなあ」
糸を垂らし、ほんの数秒で釣り竿をくいと上げる八木。
魚影は濃く、まさに入れ食いと言っていいだろう。
「ブレス加減してたからねえ……ドラゴンさん達もしっかり食べてくださいねー?」
ぴょーっといった感じで弱めのブレスを吐いていたドラゴンであったが、その甲斐もあって魚が逃げるということはなかった様だ。
ちらっとドラゴン達の様子をみて声をかける加賀。どうも夫婦はあまり食が進んでないように見えた。
「うむ、勿論である」
「おめーじゃねーだろ。 そっちの夫婦さん、新婚なんだろ? 子育てすんなら栄養つけなきゃだろ」
もりもり食べる腰布ドラゴンに突っ込みをいれ、天ぷらが山盛りになった皿を夫婦に差し出すヒューゴ。
「……ありがとう」
「ええ、しっかり頂いてます」
「おう、なら良いんだ。 ……っとまた当たりがって、何かえらい重いぞこれ」
天ぷらを受け取った夫婦をみて満足気に笑みを浮かべるヒューゴ。と、そこで竿に当たりがことに気が付き竿を上げるが、竿は妙に重たかった。
「うわっ、何それきもっ」
「……ウナギか」
水面から姿を現したのはぬらりとした表面に、うねうねと動く細長い魚体。ウナギであった。
「あ、まってまって!」
「あん? 加賀ちゃんどうしたよ」
針から外し、水面にウナギを戻そうとしたヒューゴに待ったをかける加賀。
ヒューゴの手からウナギをとると手に持った容器にいれてしまう。
「捨てちゃダメだって! ウナギ美味しいんだから」
「えぇ……」
ウナギがおいしいという加賀に対し周りはえ、まじで言ってんのコイツ?みたいな反応を見せる。
あまりウナギを食べる習慣はないのだろうか、ゲテモノの類として扱われていそうである。
「天ぷらにすんの? ウナギって天ぷらで食ったっけ?」
「うにゃ、かば焼きにして丼にする。 ほら精がつくし?」
ウナギと聞いて興味を持った八木が容器をのぞき込む。
八木が食べたそうな感じではあったが、夫婦のほうを見て丼にするという加賀の言葉を聞いてなるほどと頷く。
精をつけるにはウナギはばっちりだろう。
「あー……なるほどね。 てかウナギって冬にとれたっけ?」
「さー?」
ウナギは夏のものじゃなかったか?と疑問に思う八木であったが、加賀は大した気にした様子はなく、そんなことよりウナギだーとばかりに調理場の方へと向かっていくのであった。
二匹のドラゴンが皆と合流を果たす。
「皆さん今日はよろしくお願いしますね」
「……よろしく頼む」
既に魔道具で姿を変えており、見た目はドラゴンではなく人のそれである。
旦那は黒髪の短髪逆毛でやや目つきの鋭い細マッチョな青年の姿で、嫁は銀髪のポニテにすらりとした長身である。
「喋るのうまいすね」
二人が話すのを聞いて少し関心した様子を見せるヒューゴ。
若いと聞いていたのでもしかすると話せないのでは?と思っていたようだ。
「ありがとうございます。練習しましたので」
「言葉が通じないと不便だからな」
少しだけ得意そうにする二人。
褒められて悪い気はしないようである。
「? ……服装変ですか?」
「ああ、いやすんません。似合ってるなーと思って……」
そんな二人を見つめるヒューゴ。
嫁のほうがその視線に気が付いたようである。ヒューゴの視線は二人の服へと向けられていた。
「ならよかったです。 人は服を着るものだと聞いて急いで集めたんですよ」
「いやあばっちり似合ってますよ、ははは……はぁ」
残念なこと?に二人は人の服をきっちりと着こなしていた。
去年のどこかのドラゴンの様に腰布一枚なんてことはない。
「どうしたのであるか? 元気ない様であるが……」
「うっせえ、変態め」
あからさまに落ち込むヒューゴに対し心配げに声をかけるドラゴンであったが、ヒューゴはギヌロッと目を剥くとドラゴンに対し毒を吐く。
「心外である。 今回はきっちり服を着ているであろう?」
「なんで上だけなんだよっ!? 下はどうしたんだよっ下あああああっ!!」
肩をすくめやれやれといった様に首を振るドラゴン。それに対し氷をバシバシ叩きながら講義の声を上げるヒューゴ。
ドラゴンは腰布一枚の前回に対し服を着てはいたのだが、なぜか上半身のみであった。
下半身は前と同じく腰布一枚である。
「ちゃんと着ているではないか……おっと当たりが」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!?」
魚を釣り上げようと踏ん張るドラゴンを見て叫ぶヒューゴ。
それを遠くから見守るその他、大勢。
遠目で見ている分には実に微笑ましい?光景である。
「仲いいねー」
「良い……のか?」
そんな二人の様子をみた口にした加賀の言葉に首をかしげる八木。
加賀は油を張った鍋に菜箸を突っ込み軽く頷と、手をぽんぽんと叩いて皆に声をかける。
「それよりもー、ほら釣った釣った。 揚げる準備はもうできてるよー」
油はしっかり温まり、衣の準備もばっちりである。
あとは釣った魚をひたすら揚げていくだけだ。
「ご飯も?」
「そっちはまだ。 もうちょい掛かるから天ぷらでも摘まんでてー」
天ぷらの火元とは別口に土鍋が置かれている。
まだ湯気が出ていないことから見てご飯が炊けるまでは今しばらく掛かるだろう。
八木は釣り竿を手に氷に空いた穴のほうへと向かうのであった。
「はぢぃ……うま。 ビールビール……」
揚げたての天ぷらはさっくり、熱々。
そこにキンキンに冷えたビールが合わさればまさに至極である。
皆、魚を釣り上げては熱々の天ぷらとビールを口に運び、再び釣りに戻るという作業をひたすらに繰り返していた。
「入れ食いだなあ」
糸を垂らし、ほんの数秒で釣り竿をくいと上げる八木。
魚影は濃く、まさに入れ食いと言っていいだろう。
「ブレス加減してたからねえ……ドラゴンさん達もしっかり食べてくださいねー?」
ぴょーっといった感じで弱めのブレスを吐いていたドラゴンであったが、その甲斐もあって魚が逃げるということはなかった様だ。
ちらっとドラゴン達の様子をみて声をかける加賀。どうも夫婦はあまり食が進んでないように見えた。
「うむ、勿論である」
「おめーじゃねーだろ。 そっちの夫婦さん、新婚なんだろ? 子育てすんなら栄養つけなきゃだろ」
もりもり食べる腰布ドラゴンに突っ込みをいれ、天ぷらが山盛りになった皿を夫婦に差し出すヒューゴ。
「……ありがとう」
「ええ、しっかり頂いてます」
「おう、なら良いんだ。 ……っとまた当たりがって、何かえらい重いぞこれ」
天ぷらを受け取った夫婦をみて満足気に笑みを浮かべるヒューゴ。と、そこで竿に当たりがことに気が付き竿を上げるが、竿は妙に重たかった。
「うわっ、何それきもっ」
「……ウナギか」
水面から姿を現したのはぬらりとした表面に、うねうねと動く細長い魚体。ウナギであった。
「あ、まってまって!」
「あん? 加賀ちゃんどうしたよ」
針から外し、水面にウナギを戻そうとしたヒューゴに待ったをかける加賀。
ヒューゴの手からウナギをとると手に持った容器にいれてしまう。
「捨てちゃダメだって! ウナギ美味しいんだから」
「えぇ……」
ウナギがおいしいという加賀に対し周りはえ、まじで言ってんのコイツ?みたいな反応を見せる。
あまりウナギを食べる習慣はないのだろうか、ゲテモノの類として扱われていそうである。
「天ぷらにすんの? ウナギって天ぷらで食ったっけ?」
「うにゃ、かば焼きにして丼にする。 ほら精がつくし?」
ウナギと聞いて興味を持った八木が容器をのぞき込む。
八木が食べたそうな感じではあったが、夫婦のほうを見て丼にするという加賀の言葉を聞いてなるほどと頷く。
精をつけるにはウナギはばっちりだろう。
「あー……なるほどね。 てかウナギって冬にとれたっけ?」
「さー?」
ウナギは夏のものじゃなかったか?と疑問に思う八木であったが、加賀は大した気にした様子はなく、そんなことよりウナギだーとばかりに調理場の方へと向かっていくのであった。
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