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4話 「街道? 後」
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「なんか聞こえたような……って街道があるぞ!」
逃走を再開してから間もなく、二人は街へと続く街道へと出ていた。
馬車が通る為だろう道幅はそれなりにある、道を挟んだ反対側は草原となだらかな丘が広がっていた。
都会暮らしだった二人にはとても新鮮な風景で一瞬だけ目を奪われてしまう。
が、すぐに追われていた事を思い出し八木は再び駆けだした。
「加賀、もしかすっとまだ来るかも知れねえ、後ろみといてくれ」
「わかった」
八木は魔法が直撃したのを見たわけではないが、かなりの爆発音と衝撃があったことから倒すまではいかなくともそれなりに深手を負っていて動けないのでは、と考えていた。
だがしかしそれは甘い考えだったようだ。
八木たちが逃げ出してから間もなくの事、魔法で発生した水蒸気は徐々に晴れ……完全に晴れたときそこにはしっかりと4本の脚で立つ猪の姿があった。
魔法のダメージだろう、背中は切り裂かれ血が溢れている。毛皮の一部は焼け焦げたり凍りついている。
その見た目からはどれだけダメージが入っているかは分からないが、確かなのは猪の怒りを買いまくったということだろう。
その目は血走り怒りに爛々と燃え盛っている。
猪は怒りの咆哮を上げると再び二人を追って駆けだした。
「なーんか聞こえたような……いやな予感しかしない。」
相変わらず八木に担がれたままの加賀であったが、言われたとおり後ろをみていると遠くから地響きのようなおとがきこえてきた
嫌な予感がしつつも耳をすませてるとその音は徐々に大きくなり、二人の下へと近づいているようだ。
「これってもしかしてもしかしなくても……ほわぁ!?」
加賀がつぶやいた直後、そいつは現れた。
地煙を帯びて街道に躍り出る巨大な猪、毛皮にはそれなりの量の血が付着しているがその動きには陰りは見えない、残念な事に元気いっぱいである。
「やっぱでたー!?」
「まじかよっ、こっち気づいてる!?ねえ、気づいてる!?」
「まだ気づいてなさそう…あ、こっち見た」
八木たちがいるのは見通しのよい街道上、見つからない訳が無かった。
「PGYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!!」
猪は大きく鳴くと一気に二人に向かって突進してきた。
障害となるものが無い為だろう、その速度は先ほどとは比べものにならない。
「こっちに突っ込んできてる!……ってはや!?」
100mほどあった距離は一瞬で潰され猪は二人の目前まで一気に肉薄する。
このままじゃやられる、そう考えるや否や加賀は咄嗟に八木へ叫んだ。
「八木!横にとんで!!」
「んがっ」
加賀の声に反応し、八木は咄嗟に横へと飛んだ。
間一髪直撃は避けられたものの猪の牙が八木のズボンに引っ掛かってしまう。
猪はしめたとばかりに牙を大きく振り上げ二人を上空へ飛ばそうとするが、八木のズボンが破けた為二人は上空ではなく猪から見て斜め前方へと投げ出される事となった。
幸い飛ばされた先は草原であった。加賀はほぼ無傷のようですぐに立ち上がる、だが八木は飛ばされた際に足を痛めたのだろうか中々起き上がれないでいる。
「八木だいじょうぶ!?」
「くっそ、足が……力はいらねえ」
二人を投げ飛ばしそのままの勢いで駆けて行った猪だが、速度を落とし少し行ったところで振り返ると再び駆け出した。
向かう方向は加賀だ、一見するとガタイの良い八木の方が脅威のように見えるが、自分に少なからず傷を負わせたのはどちらなのか猪には良くわかっているようだ。
「加賀逃げろ! 狙われてる!」
「くぅっ……土の精霊さん、あの猪を止めて! 魔力全部持って行っていいから!」
どの魔法を使えば良いか、とっさに思い浮かんだのは先ほどの精霊魔法、土の杭が猪を高く打ち上げる場面だ。
必死になって土の精霊に呼びかける加賀、その呼びかけに答えるように加賀の耳元で何かがささやく。
まかせとけ、そう言ってたように加賀には聞こえた。
直後、加賀へと向かって駆けている猪の足元からまるで地面が爆発するかの様に土が噴き出した。
噴出した土は猪の全身へと纏わりついていく、慌てた猪は体を大きく震わせ土を振るい落とそうとするがそれは適わないようだ。
瞬く間に全身を土で覆われていく猪、もはや首から上が見えているだけである。
「おお……こりゃすげえな」
猪は諦めずに土を振り落とそうと暴れ続けるが徐々にその動きが鈍くなっていく
どうやら土が硬化し始めているようだ。
土が噴出してから10秒ほど立っただろうか、土は完全に硬化し猪の動きを封じることに成功していた。
「う……うぉおおお!?加賀まじナイス!!」
「……」
喜ぶ八木を対照に加賀は顔を伏せ無言のままだ、その顔は蒼白で額には汗が浮かんでいる。
「うひょぉぉおっ……って、どうした加賀?どこか痛めたのか??」
「……」
加賀へ呼びかける八木、しかし加賀はそれに答えることなく地面へと崩れ落ちた。
逃走を再開してから間もなく、二人は街へと続く街道へと出ていた。
馬車が通る為だろう道幅はそれなりにある、道を挟んだ反対側は草原となだらかな丘が広がっていた。
都会暮らしだった二人にはとても新鮮な風景で一瞬だけ目を奪われてしまう。
が、すぐに追われていた事を思い出し八木は再び駆けだした。
「加賀、もしかすっとまだ来るかも知れねえ、後ろみといてくれ」
「わかった」
八木は魔法が直撃したのを見たわけではないが、かなりの爆発音と衝撃があったことから倒すまではいかなくともそれなりに深手を負っていて動けないのでは、と考えていた。
だがしかしそれは甘い考えだったようだ。
八木たちが逃げ出してから間もなくの事、魔法で発生した水蒸気は徐々に晴れ……完全に晴れたときそこにはしっかりと4本の脚で立つ猪の姿があった。
魔法のダメージだろう、背中は切り裂かれ血が溢れている。毛皮の一部は焼け焦げたり凍りついている。
その見た目からはどれだけダメージが入っているかは分からないが、確かなのは猪の怒りを買いまくったということだろう。
その目は血走り怒りに爛々と燃え盛っている。
猪は怒りの咆哮を上げると再び二人を追って駆けだした。
「なーんか聞こえたような……いやな予感しかしない。」
相変わらず八木に担がれたままの加賀であったが、言われたとおり後ろをみていると遠くから地響きのようなおとがきこえてきた
嫌な予感がしつつも耳をすませてるとその音は徐々に大きくなり、二人の下へと近づいているようだ。
「これってもしかしてもしかしなくても……ほわぁ!?」
加賀がつぶやいた直後、そいつは現れた。
地煙を帯びて街道に躍り出る巨大な猪、毛皮にはそれなりの量の血が付着しているがその動きには陰りは見えない、残念な事に元気いっぱいである。
「やっぱでたー!?」
「まじかよっ、こっち気づいてる!?ねえ、気づいてる!?」
「まだ気づいてなさそう…あ、こっち見た」
八木たちがいるのは見通しのよい街道上、見つからない訳が無かった。
「PGYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!!」
猪は大きく鳴くと一気に二人に向かって突進してきた。
障害となるものが無い為だろう、その速度は先ほどとは比べものにならない。
「こっちに突っ込んできてる!……ってはや!?」
100mほどあった距離は一瞬で潰され猪は二人の目前まで一気に肉薄する。
このままじゃやられる、そう考えるや否や加賀は咄嗟に八木へ叫んだ。
「八木!横にとんで!!」
「んがっ」
加賀の声に反応し、八木は咄嗟に横へと飛んだ。
間一髪直撃は避けられたものの猪の牙が八木のズボンに引っ掛かってしまう。
猪はしめたとばかりに牙を大きく振り上げ二人を上空へ飛ばそうとするが、八木のズボンが破けた為二人は上空ではなく猪から見て斜め前方へと投げ出される事となった。
幸い飛ばされた先は草原であった。加賀はほぼ無傷のようですぐに立ち上がる、だが八木は飛ばされた際に足を痛めたのだろうか中々起き上がれないでいる。
「八木だいじょうぶ!?」
「くっそ、足が……力はいらねえ」
二人を投げ飛ばしそのままの勢いで駆けて行った猪だが、速度を落とし少し行ったところで振り返ると再び駆け出した。
向かう方向は加賀だ、一見するとガタイの良い八木の方が脅威のように見えるが、自分に少なからず傷を負わせたのはどちらなのか猪には良くわかっているようだ。
「加賀逃げろ! 狙われてる!」
「くぅっ……土の精霊さん、あの猪を止めて! 魔力全部持って行っていいから!」
どの魔法を使えば良いか、とっさに思い浮かんだのは先ほどの精霊魔法、土の杭が猪を高く打ち上げる場面だ。
必死になって土の精霊に呼びかける加賀、その呼びかけに答えるように加賀の耳元で何かがささやく。
まかせとけ、そう言ってたように加賀には聞こえた。
直後、加賀へと向かって駆けている猪の足元からまるで地面が爆発するかの様に土が噴き出した。
噴出した土は猪の全身へと纏わりついていく、慌てた猪は体を大きく震わせ土を振るい落とそうとするがそれは適わないようだ。
瞬く間に全身を土で覆われていく猪、もはや首から上が見えているだけである。
「おお……こりゃすげえな」
猪は諦めずに土を振り落とそうと暴れ続けるが徐々にその動きが鈍くなっていく
どうやら土が硬化し始めているようだ。
土が噴出してから10秒ほど立っただろうか、土は完全に硬化し猪の動きを封じることに成功していた。
「う……うぉおおお!?加賀まじナイス!!」
「……」
喜ぶ八木を対照に加賀は顔を伏せ無言のままだ、その顔は蒼白で額には汗が浮かんでいる。
「うひょぉぉおっ……って、どうした加賀?どこか痛めたのか??」
「……」
加賀へ呼びかける八木、しかし加賀はそれに答えることなく地面へと崩れ落ちた。
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