異世界宿屋の住み込み従業員

熊ごろう

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13話 「ネット?」

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バクスの家はいくつか空き部屋があり、加賀と八木はそれぞれ空いている部屋にはいったようだ。

「明日は何つくろーかなー」

加賀がベッドに座り明日何を買うか考えているとコンコンと部屋の扉がノックされる。

「はーい?」

「すまんなお湯を渡すの忘れてた、これで体を拭くといい。今日はもう遅いからあれだが明るい内なら家の裏にある井戸で水浴びもできるぞ」

扉をあけるとそこには桶と厚手の布をもったバクスがいた。
加賀は体を拭く湯と布を用意してくれたバクスに感謝の意を伝え、テーブルに桶を置くと服を脱ぎはじめる。

(これで体を拭く、それか水浴びってことは風呂に入る習慣がない……? もしかして石鹸とかも?)

ぬらした布で体をふきつつ加賀は考えを巡らせていた。

(頭とか体洗えないのはやだなー、せめて石鹸さえあれば湯船は八木につくってもらってお湯は精霊さんに頼んでだしてもらって……あれ)

何か思いついたのだろうか加賀はあわてて体を拭くと脱いだ服を再び着だした。

「そーだそーだ、八木趣味で石鹸つくってたじゃん!」

八木に頼めば石鹸作ってもらえるかも知れない、そう考えた加賀は着替え終わると同時に八木の部屋へと向かうのであった。

「八木まだおきてるー?」

「っと、加賀かまだ起きてるぜ」

「ちょっと相談したいことあるんだけどー入るよー?」

「相談? おういいぜ……あ、ちょっと待──」

八木はまだ寝ていなかったようだ。
部屋に入ろうとする加賀を止めようとする八木だが、一瞬遅かったようで加賀は部屋の扉をあけてしまう。
そこには全裸で体を拭く八木の姿があった。

「うげっ」

「きゃーってその反応ひどくねっ!? 服着るからあっち向いとけよ」

その姿をばっちり見てしまった加賀は思わずドン引きしてしまう。

「ほいほい……しっかし本当きもいぐらい凄い筋肉だよね」

「きもい言うなし。 で、何の相談だ?」

八木の問いにが着替えたのを確認した加賀は部屋の扉をしめ椅子へ腰掛ける。

「相談てのはーお風呂とか石鹸のことなんだけどね」

相談内容を聞いた八木はその事かと一言つぶやきベッドへと腰掛ける。

「さっきバクスさんに聞いてみたけど、風呂に入る習慣はあるけど、頻度高くないみたいだな。週一ぐらいだそうだ」

「週一かー……あ、石鹸とかはあるのかな?」

「あるみたいだぞ、てかバクスさん持ってるみたいだ」

「え、まじ?」

「まじまじ、でも輸入品で高い上に品薄らしくてな、めったに使わないみたいだぞ」

高い上に品薄となると現代日本人のように毎日使うような事はできないだろう。

「そゆことねー……ねえ八木って確か石鹸つくれたよね?」

「おう、作れるぞ。 材料あればだがな!」

「ですよねー、材料てーと油と海草?」

「俺は海草の灰から作るやり方は知らんなあ」

材料、そう聞いて加賀の頭に浮かんだのは油と海草であった。
それぐらいならすぐ手に入るのでは? と思い答えた加賀であったが八木は海草を使った製造方法は知らないようである。

「あれ、そうなんだ? じゃあ材料なんなんだろー」

「んー、とりあえず油と苛性ソーダあれば作れる」

「油は何でもいいの?苛性ソーダって……何だっけ?」

「油はオリーブ油とか椿油やらココナッツやら、まあ何でもいける。 でも獣脂は匂うからやめたほうがいい。苛性ソーダは……知らん」

「売ってるといいねー」

「石鹸が高級ってことは売ってないんじゃないかな、苛性ソーダあれば石鹸けっこう簡単に作れるし」

植物油は食用や灯火用などで需要が考えられ、おそらくはこの街でも売ってはいるだろう。
だが苛性ソーダとなるとはたして売っているかどうかは不明である。
石鹸を作るのは思ったよりも難しい、その事がわかった加賀はがっくりしたように机へとつっぷしてしまう。

「むむんー、作れたりしないのかなー」

「どうだろな、せめてネットで調べれたらいいんだけど」

その言葉を聞いて加賀はイリアの言葉を思い出したようだ。
転生する直前イリアは二人に対しネットを使い調べれるようにすると確かに言っていた。
加賀がその事を話そうと顔を上げた時、八木の背後になにやら箱状のものがあることに気がついた。

「あれ? 八木のうしろにあるのって」

「あん? なんだこれ……って、ノートパソコンじゃねえか!」

八木の背後にあった箱状のものはノートパソコンであった。
イリアが話していた調べれるようにするとはこの事なのだろう。

「これで調べろって事か、しかしえらい良いタイミングで出てきたな」

「ボク達の事みてるのかもねー、とりあえず電源つけよう電源」

「かも知れんな、えーと電源はっと」

八木が電源をいれノートパソコンを立ち上げるとそこには地球でよくみた画面が表示されていた。
OSあたりは地球で使っていたものそのままのようだ。

「W○n7だー」

「8じゃなくてよかったな」

「んーデスクトップにテキストファイルが……なんて書いてあるのー?」

「ちょっと待ってな…えーと、イリアより?」

デスクトップに置かれていたテキストファイルはイリアからのメッセージだった。
内容は要約すると
・魔力を使ってネットの回線接続と電池を充電できるようにしておいた。充電するにはUSBに刺さってる端子を握って魔力を込めてね
・何か聞きたい事とかあればこのテキストファイルに追記してね。一日一回は見るようにしているから回答は出来るよ。

「ほほー、魔力あれば充電できるのねー」

「なかなか便利だな まあ、とりあえず調べてみっかね」

カタカタとキーボードを叩き作り方を調べる八木、やがて作り方が乗っているホームページへとたどり着いたようだ。

「えーと、何々消石灰と熱した重曹を溶かした水溶液をごにょごにょ……」

「理科の実験みたいねー、材料は揃えれそう?」

「消石灰はようは漆喰の元だなこれは何とかなるぞ。 重曹は天然物をどこかでとってりゃー良いが……洗濯に使うこともあるらしいし、売ってるかな」

「明日でもバクスさんに聞いてみようか」

「そうだな……後は油か」

「油はたぶん売ってると思うよー? 灯り…は魔道具あるから分からないけど食用には使うだろうし、あとは潤滑油とかにも使うかもねー。 なければ最悪作ればいいし」

なければ作れば良いという加賀に八木はそんな簡単に作れるのかといった表情をしている。

「椿あたりだと煮ればとれるみたいよ」

「そうなのか? だとしても椿があるかどうかも分からんし……」

「ふふーん、そのへんは大丈夫さ。 あの森に生えてたの見たからね、ばっちり実もなってたよ」

「おま、いつの間に見つけてたんだよ」

「森歩いてたときにちょっとねー」

八木の問いに得意そうに答える加賀ではあるが、単にムキムキした体をずっと見るのが嫌で横を見るようにしてただけと言うのが真相であったりする。

「まあいいか。 とりあえずこれで石鹸はなんとかなりそうだな」

「だねー、あとは明日の料理をどうするか……八木のほうはだいじょぶなの?」

「俺?」

「図面はまあ手書きでいくとして、建物の強度計算? とかしないといけないんじゃないのー?」

「そのへんはネットのストレージにおいてある趣味でかいた奴を参考にだな……」

「ずっる!」

思わず突っ込む加賀に八木はなんとでも言うがよい、と高笑いしながら言った。

「まあ、最悪手計算でもなんとかなる。 んで加賀はどうよ? 何つくるつもり?」

「手に入る材料しだいかなー? んま、まずは簡単なもの作るつもりだけどね」

「ん、そなの?」

「下手にこったの作っても普段食べてるのと違いすぎて受け入れにくいかなーってね」

加賀の答えにそれもそうだなと納得する八木。
この後明日の予定について軽く話し切が良いところで解散となった。
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