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木の中にいる
「プロローグ」
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拝啓、神様。
転生場所間違えたでしょ。
「いや、おかしいおかしい……」
そんな焦った感じの言葉が俺の口から漏れる。
寝起きでぼーっとした頭で、自分が事故に遭ったこと、それに異世界へ転生すると神様と話したことを思い出し、うっひょー!とテンションMAXで目を覚ましたのがつい先ほど。
そしてある事実に気が付いて焦りだしたのが今である。
普通異世界に転生するとしたら……異世界に転生が普通なのかという突っ込みは無しでお願いします。 と、それは置いといて……普通転生先ってのは草原にぽつんと立っていたり、ベッドの上だったり。はては産まれた直後だったりと比較的安全な場所が多いと思うんだ。
だけど俺の場合はというと――
「こんなのおかしいよ……」
――俺の半身、木に埋まっていた。
状況を把握するにつれて意味不明な自分のおかれた状況にふつふつと怒りが湧いてきた。
何故木にめり込んだ状態で転生させるのか、今すぐ神様を問い詰めぶん殴りたい。
ぐーでビンタしたい。切実に。
しばらくの間叫んだり泣いたり落ち込んだりしていたけど次第に落ち着いてきた。俺は元気です。
どうにも記憶がはっきりしないけど、転生したという事だけはどうにか受け止めることが出来た。
転生場所は受け止められないけど。
「あー……もう、どうしよう」
転生するにしてもせめてまともな状態で転生させて欲しいものだ。
別にチートくださいとかわがまま言ってる訳でもないのに……正直この仕打ちはどうかと思うのですよ?
まだまともに動けたならよかったけど……てかこれもしかしなくても詰んでるよね? このままだと待っているのは水分不足による脱水症状での死だ。雨が降れば渇きは何とかなるかもだけどその場合待っているのは餓死だ。死ぬことには変わりないだろう。
そんな感じで当初の木に埋まっていたことによる焦りは時間の経過と共に徐々に薄らいで冷静に考えられるようになってきていた。
そんな状態で俺はようやく周りを見渡す余裕が出てきたらしい、まわりへと視線を向け、そしてあることに気が付いてしまった。
ここ、森の中だ。
「んおおおっ!?」
やべえ、このままじゃ獣に襲われるかモンスターに襲われかねない。
そう考え焦った俺はどうにかここから抜け出せないかと体を捩る。
そしてふとある事に気が付いた。
「…………ん? あ、あれ?」
右半身の感覚が普通にあったのである。しかも少しだけど体が木から抜け出そうともしていたのだ。
「……まさかめり込んでるだけで無事なのかこれ」
最悪の場合引きちぎって、はって逃げることを想定してたけどこれは嬉しい誤算だ。引っこ抜けさえすればどうにかなるかも知れない!
「んっ……ぎ、ぎぎぎっ」
そうと分かればもう引っこ抜くしかない。
全力で、それこそ顔が真っ赤になってどこかの血管切れるんじゃない?ってぐらい力を込める。
はじめは動きそうで動かなかったけど、次第にず、ずずっという音と共に腕が木から抜けていく。
そしてある線を越えたあたりでズズズッと一気に腕が抜け出した。
「抜けたっ! シャツ破けたけど……まあいい、次は足だ!」
着ていたシャツが破けてしまったけど、そんなの腕が抜けたことに比べれば些細なことである。
今度は両腕を使って体を持ち上げるように力をこめる。
すると先ほどよりもすんなり足が抜けた。
「抜けたぞおおおおっ!!」
思わず全力でガッツポーズをとる。ズボンがずり落ちるけど気にしない。
てかガッツポーズしたのなんていつ以来だろう……。
そんな感じでしばらく抜け出せた喜びを噛みしめていたわけだけど。ふと右半身の汚れが気になった。
木に埋もれていたししょうがないね。たぶん土なんかにも触れてたんだろう。
「あーもう……土だらけじゃん」
周りに体を洗えそうな水場はないし、とりあえずは土をほろって済ますことにする。
ぽんぽんと土をほろっているとまたまたまたあることに気がついてしまう。
「……?」
木が剥がれてくっついてきたんだろうと思っていた部分、そこに手が触れたとき感触があったのだ。
それも何かを通してではなく、直接触れた感触が。
「うそやん」
さきほどの喜びはどこにいったのか。
たぶん、俺の顔はいま真っ青になっていることだろう。
俺の右半身、木になっていたのだ。
転生場所間違えたでしょ。
「いや、おかしいおかしい……」
そんな焦った感じの言葉が俺の口から漏れる。
寝起きでぼーっとした頭で、自分が事故に遭ったこと、それに異世界へ転生すると神様と話したことを思い出し、うっひょー!とテンションMAXで目を覚ましたのがつい先ほど。
そしてある事実に気が付いて焦りだしたのが今である。
普通異世界に転生するとしたら……異世界に転生が普通なのかという突っ込みは無しでお願いします。 と、それは置いといて……普通転生先ってのは草原にぽつんと立っていたり、ベッドの上だったり。はては産まれた直後だったりと比較的安全な場所が多いと思うんだ。
だけど俺の場合はというと――
「こんなのおかしいよ……」
――俺の半身、木に埋まっていた。
状況を把握するにつれて意味不明な自分のおかれた状況にふつふつと怒りが湧いてきた。
何故木にめり込んだ状態で転生させるのか、今すぐ神様を問い詰めぶん殴りたい。
ぐーでビンタしたい。切実に。
しばらくの間叫んだり泣いたり落ち込んだりしていたけど次第に落ち着いてきた。俺は元気です。
どうにも記憶がはっきりしないけど、転生したという事だけはどうにか受け止めることが出来た。
転生場所は受け止められないけど。
「あー……もう、どうしよう」
転生するにしてもせめてまともな状態で転生させて欲しいものだ。
別にチートくださいとかわがまま言ってる訳でもないのに……正直この仕打ちはどうかと思うのですよ?
まだまともに動けたならよかったけど……てかこれもしかしなくても詰んでるよね? このままだと待っているのは水分不足による脱水症状での死だ。雨が降れば渇きは何とかなるかもだけどその場合待っているのは餓死だ。死ぬことには変わりないだろう。
そんな感じで当初の木に埋まっていたことによる焦りは時間の経過と共に徐々に薄らいで冷静に考えられるようになってきていた。
そんな状態で俺はようやく周りを見渡す余裕が出てきたらしい、まわりへと視線を向け、そしてあることに気が付いてしまった。
ここ、森の中だ。
「んおおおっ!?」
やべえ、このままじゃ獣に襲われるかモンスターに襲われかねない。
そう考え焦った俺はどうにかここから抜け出せないかと体を捩る。
そしてふとある事に気が付いた。
「…………ん? あ、あれ?」
右半身の感覚が普通にあったのである。しかも少しだけど体が木から抜け出そうともしていたのだ。
「……まさかめり込んでるだけで無事なのかこれ」
最悪の場合引きちぎって、はって逃げることを想定してたけどこれは嬉しい誤算だ。引っこ抜けさえすればどうにかなるかも知れない!
「んっ……ぎ、ぎぎぎっ」
そうと分かればもう引っこ抜くしかない。
全力で、それこそ顔が真っ赤になってどこかの血管切れるんじゃない?ってぐらい力を込める。
はじめは動きそうで動かなかったけど、次第にず、ずずっという音と共に腕が木から抜けていく。
そしてある線を越えたあたりでズズズッと一気に腕が抜け出した。
「抜けたっ! シャツ破けたけど……まあいい、次は足だ!」
着ていたシャツが破けてしまったけど、そんなの腕が抜けたことに比べれば些細なことである。
今度は両腕を使って体を持ち上げるように力をこめる。
すると先ほどよりもすんなり足が抜けた。
「抜けたぞおおおおっ!!」
思わず全力でガッツポーズをとる。ズボンがずり落ちるけど気にしない。
てかガッツポーズしたのなんていつ以来だろう……。
そんな感じでしばらく抜け出せた喜びを噛みしめていたわけだけど。ふと右半身の汚れが気になった。
木に埋もれていたししょうがないね。たぶん土なんかにも触れてたんだろう。
「あーもう……土だらけじゃん」
周りに体を洗えそうな水場はないし、とりあえずは土をほろって済ますことにする。
ぽんぽんと土をほろっているとまたまたまたあることに気がついてしまう。
「……?」
木が剥がれてくっついてきたんだろうと思っていた部分、そこに手が触れたとき感触があったのだ。
それも何かを通してではなく、直接触れた感触が。
「うそやん」
さきほどの喜びはどこにいったのか。
たぶん、俺の顔はいま真っ青になっていることだろう。
俺の右半身、木になっていたのだ。
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