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木の中にいる
「8話」
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ゴリさん曰く。
「俺たちは暫くの間この町に滞在する予定だ。 大抵はギルドで酒飲んでるから……ダンジョン行って戻ってきたら顔出せ。 ちゃんと返せよ?」
ってことなんだけど……たぶんこれアドバイスとかしてやるよってことなんだろうなあ。
ゴリさん達には本当感謝しかない、もう足向けて寝られないね……っと、そうだったまだ名前聞いてなかった。 このままじゃうっかりゴリさんて呼んでしまいかねない……それすごくまずい。
「はい! 本当にありがとうございます……えっと」
「あん?」
「お名前伺ってもよろしいですか?」
俺の問いにきょとんとした表情を浮かべたゴリさん。
くるっと仲間たちを振り返ると首を傾げつつ声をかける。
不意打ちで可愛い仕草するでない。
「……名乗ってなかったか?」
「名乗ってないぞ、リーダー」
「やだなーもうボケたの?」
「良い薬ありますよ?」
なかなか酷い言われようである。
でもこれも皆仲が良いからこそ出来ることだよね。 いずれ俺もパーティを組む時がくるのだろうか、もし来るのであれば彼らのように良い関係を築けるようにしたいものだ。
「うっせえいらねーよ……俺はゴリアテ。 このパーティのリーダーやっている」
「ゴ、ゴリ……」
まさかの本名ゴリさんだった!?
思わず口にしてしまったけど叫ばなかっただけ褒めてほしい!
「……どうかしたか?」
やばい! ゴリさんが俺の様子を怪訝そうに伺っている。
こ、ここはうまく誤魔化さないと!
「い、いえっ……か、格好いい名前だなーと思って!」
ど、どうだ!?
若干棒読みだったかも知れないけどこれでなんとか……っ!
「おう、そうかそうか。 お前なかなか見どころあるな!」
「は、はい。 ありがとうございます!」
せえぇぇぇっっふ!!
あー…………もう本当やめてくれよぉ心臓に悪すぎる……これ絶対寿命縮まったよ。
「……私はマリー。 このパーティの回復役と攻撃役どっちも担当してます。 よろしくね」
次はマリーさんね。
俺とゴリさんのやりとりを見て怪訝そうな表情を一瞬浮かべるけど、すぐ引っ込めてそのまま自己紹介してくれた。
俺の必死な感じを察してくれたのかも知れない。優しい。
魔法使うのは知っていたけど回復と攻撃両方やるときましたか。
両方使えるのが一般的なのかそれとも彼女が特殊なのか……何となく後者な気がする。
いずれ機会があれば魔法について話を聞いてみたい方である。
「俺はベルトラム。 リーダーと同じでパーティでは盾役と攻撃役どっちもやってる」
ゴリさん2号はゴリさんじゃなかった。
なんか割と格好良さげな名前だぞ……いやゴリアテも格好良いとは思うけどね、ぴったりだし。
盾役は何となくそうじゃないかなーと思っていた。
二人とも結構ごつい盾持っているしね、てか装備も体格も顔も全体的にごついのだけど。
自分の場合はどうなるのかなあ、力は強いし盾役も攻撃役もどっちも出来そうな気はするけど……あ、右半身だけと考えると攻撃役になるのかな、左半身が貧弱なもんでバランスがねえ……。
「私はカールだよー。 斥候役とー攻撃役もやってるよん。 よっろしくー」
うん、やっぱバランス考えると必要だよね、斥候役。
てかこの人も攻撃役兼ねてるのか。
4人中3人も攻撃役なのかー、攻撃よりだなあとか思ってたのにまさか全員とはねえ。
……そしてやっぱこの人どっちか分かんない。
名前は男性ぽい? でも一人称私だし喋り方可愛い……体格がなあ、ちょっと鎧とかで分からんのよねぇ。
よし、やめよう深く考えるのは。
とりあえずこっちも挨拶返さないと。
「よ、よろしくお願いします。 俺は……お、れは……あれ?」
……うっそだろ。
まさか……いや、てか何で今まで気が付かなかったんだ俺ってば……。
記憶があやふやなのは分かってたけど、まさかこれを忘れているなんてさすがにショックがでかい。
俺の顔色がさぁっと変わったのが分かったのだろう。
ゴリさんが顔を覗き込むように屈み、声を掛けてくる。
「どうした?」
「名前……分かんないす」
俺、自分の名前すら忘れていたんだ。
「落ち着いたか?」
「はい……すんません」
割とまじで凹んでいる俺を気にかけ、結局落ち着くまでそばに居てくれたゴリさん。
まじええ人や……。
「なあ、リーダー……」
「……っち、仕方ねえなあ。 おら、行くぞ」
「うぇ?」
ゴリさんとベルトラムさんが何やら話していたかと思うと、急に行くぞと声を掛けられた。
一体どこに?と理解が追い付いてない俺は呆けっとした声で返事をしてしまう。
「ダンジョンシーカーとしてやってくんだろ? とりあえず仮名でも登録出来るよう話してやる」
「あ、ああありがとうございますうぅぅぅっ!!」
!? ま、まさかそこまで面倒見てもらえるとはっ……ありがてぇ、拝んでおこう。
あ、拝んだら何か嫌そうな顔を……いや、これ照れてるのだろうか。
俺の視線に気づいたゴリさんがふいっと顔をそらす。
あ、これ照れてますわ。
「何だかんだ言って面倒見良いんだからなー」
「出会った時のは何だったんでしょうね」
「うっせえ」
仲間にからかわれたゴリさんは足早にその場をあとにする。
俺はゴリさんの後を追って……待って、超早いんですけど歩くってレベルじゃないんですけど、待って!ゴリさん、待ってぇ!!
「俺たちは暫くの間この町に滞在する予定だ。 大抵はギルドで酒飲んでるから……ダンジョン行って戻ってきたら顔出せ。 ちゃんと返せよ?」
ってことなんだけど……たぶんこれアドバイスとかしてやるよってことなんだろうなあ。
ゴリさん達には本当感謝しかない、もう足向けて寝られないね……っと、そうだったまだ名前聞いてなかった。 このままじゃうっかりゴリさんて呼んでしまいかねない……それすごくまずい。
「はい! 本当にありがとうございます……えっと」
「あん?」
「お名前伺ってもよろしいですか?」
俺の問いにきょとんとした表情を浮かべたゴリさん。
くるっと仲間たちを振り返ると首を傾げつつ声をかける。
不意打ちで可愛い仕草するでない。
「……名乗ってなかったか?」
「名乗ってないぞ、リーダー」
「やだなーもうボケたの?」
「良い薬ありますよ?」
なかなか酷い言われようである。
でもこれも皆仲が良いからこそ出来ることだよね。 いずれ俺もパーティを組む時がくるのだろうか、もし来るのであれば彼らのように良い関係を築けるようにしたいものだ。
「うっせえいらねーよ……俺はゴリアテ。 このパーティのリーダーやっている」
「ゴ、ゴリ……」
まさかの本名ゴリさんだった!?
思わず口にしてしまったけど叫ばなかっただけ褒めてほしい!
「……どうかしたか?」
やばい! ゴリさんが俺の様子を怪訝そうに伺っている。
こ、ここはうまく誤魔化さないと!
「い、いえっ……か、格好いい名前だなーと思って!」
ど、どうだ!?
若干棒読みだったかも知れないけどこれでなんとか……っ!
「おう、そうかそうか。 お前なかなか見どころあるな!」
「は、はい。 ありがとうございます!」
せえぇぇぇっっふ!!
あー…………もう本当やめてくれよぉ心臓に悪すぎる……これ絶対寿命縮まったよ。
「……私はマリー。 このパーティの回復役と攻撃役どっちも担当してます。 よろしくね」
次はマリーさんね。
俺とゴリさんのやりとりを見て怪訝そうな表情を一瞬浮かべるけど、すぐ引っ込めてそのまま自己紹介してくれた。
俺の必死な感じを察してくれたのかも知れない。優しい。
魔法使うのは知っていたけど回復と攻撃両方やるときましたか。
両方使えるのが一般的なのかそれとも彼女が特殊なのか……何となく後者な気がする。
いずれ機会があれば魔法について話を聞いてみたい方である。
「俺はベルトラム。 リーダーと同じでパーティでは盾役と攻撃役どっちもやってる」
ゴリさん2号はゴリさんじゃなかった。
なんか割と格好良さげな名前だぞ……いやゴリアテも格好良いとは思うけどね、ぴったりだし。
盾役は何となくそうじゃないかなーと思っていた。
二人とも結構ごつい盾持っているしね、てか装備も体格も顔も全体的にごついのだけど。
自分の場合はどうなるのかなあ、力は強いし盾役も攻撃役もどっちも出来そうな気はするけど……あ、右半身だけと考えると攻撃役になるのかな、左半身が貧弱なもんでバランスがねえ……。
「私はカールだよー。 斥候役とー攻撃役もやってるよん。 よっろしくー」
うん、やっぱバランス考えると必要だよね、斥候役。
てかこの人も攻撃役兼ねてるのか。
4人中3人も攻撃役なのかー、攻撃よりだなあとか思ってたのにまさか全員とはねえ。
……そしてやっぱこの人どっちか分かんない。
名前は男性ぽい? でも一人称私だし喋り方可愛い……体格がなあ、ちょっと鎧とかで分からんのよねぇ。
よし、やめよう深く考えるのは。
とりあえずこっちも挨拶返さないと。
「よ、よろしくお願いします。 俺は……お、れは……あれ?」
……うっそだろ。
まさか……いや、てか何で今まで気が付かなかったんだ俺ってば……。
記憶があやふやなのは分かってたけど、まさかこれを忘れているなんてさすがにショックがでかい。
俺の顔色がさぁっと変わったのが分かったのだろう。
ゴリさんが顔を覗き込むように屈み、声を掛けてくる。
「どうした?」
「名前……分かんないす」
俺、自分の名前すら忘れていたんだ。
「落ち着いたか?」
「はい……すんません」
割とまじで凹んでいる俺を気にかけ、結局落ち着くまでそばに居てくれたゴリさん。
まじええ人や……。
「なあ、リーダー……」
「……っち、仕方ねえなあ。 おら、行くぞ」
「うぇ?」
ゴリさんとベルトラムさんが何やら話していたかと思うと、急に行くぞと声を掛けられた。
一体どこに?と理解が追い付いてない俺は呆けっとした声で返事をしてしまう。
「ダンジョンシーカーとしてやってくんだろ? とりあえず仮名でも登録出来るよう話してやる」
「あ、ああありがとうございますうぅぅぅっ!!」
!? ま、まさかそこまで面倒見てもらえるとはっ……ありがてぇ、拝んでおこう。
あ、拝んだら何か嫌そうな顔を……いや、これ照れてるのだろうか。
俺の視線に気づいたゴリさんがふいっと顔をそらす。
あ、これ照れてますわ。
「何だかんだ言って面倒見良いんだからなー」
「出会った時のは何だったんでしょうね」
「うっせえ」
仲間にからかわれたゴリさんは足早にその場をあとにする。
俺はゴリさんの後を追って……待って、超早いんですけど歩くってレベルじゃないんですけど、待って!ゴリさん、待ってぇ!!
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