13 / 156
木の中にいる
「12話」
しおりを挟む
リタさんがゴリさんと何やら話していたと思うと、ゴリさんが受付の方へとやってきた。
片手に酒瓶もっているし、めっちゃ酒臭いし、酒飲んで休みたいってのは本当だったんだろう。
だがしかし……。
「おう、なんだお前パーティ組めなかったんだってなあ、おい」
「あ、ゴリさん……さ、酒くさ」
「あたりめーだ。 言ったろ? 酒飲むってよお」
「まだ朝ですよ……」
そう、まだ朝なんだよね、まわり見てもお酒飲んでいる人はいない感じだ。
裏庭? の方でたむろってる人がいるけど、あれ遊んでるんじゃなくて訓練してるぽいし。
もう、ゴリさんてば……。
「いーんだよ、どうせ今日は働かねえんだから……ま、腹ごなしもしてえし、いいぜちょっとぐらい付き合ってやんよ」
「えっ?」
えっ? どゆこと? と理解が追い付かずゴリさんとリタさんの顔を交互に見る俺。
てかゴリさん口調がなんか変わってない? もしかしてこっちが素だったりして? お酒飲んで素が出た感じ。
「ゴリアテさんに少しだけ付き合ってもらえないかお願いしたんです」
「リタちゃんには昔世話になったからなあ。 ま、こんぐらい別にいいぜ」
「おお、すみません本当に助かりま……昔? あ、なんでもないです」
おお! 本当にありがたい、ゴリさんも付き合ってくれるなんて……リタさんに昔世話になったというのをあったとしても、それでも面倒見が良すぎて本当申し訳なくなってくる。
しかし昔か……ちなみにリタさんの見た目だけど、20過ぎぐらいの仕事出来るOLって感じです。 ちょっと無表情で目つきが鋭いけど美人さんです。
んで、ゴリさんは30後半~40前半ぐらいな感じ……そのゴリさんが昔っていうことはこのリタさん、見た目通りの年齢ってことじゃない。
エルフかな? と一瞬頭に思い浮かんだけど別に耳は尖っていない。
なんだろうね、エルフじゃないけど長命な種族なんだろうか。
ま、まあそれ以上考えるのはよそう。
何かリタさんの視線が怖い……。
「おら、いくぞ。 おら」
「あ、ゴリさんまって……酒くさっ!?」
ゴリさんもやべえと思ったのだろうか、俺の首を腕でがしっとロックすると引きずるようにギルドを後にする。
てか酒くせぇ。 どんだけ飲んだんですか……口調もやっぱ違うし。
あの、ゴリさん。 人の首はそっちに曲がらないだだだだだっ!?
ダンジョン前に行くと、俺とゴリさん以外のダンジョンシーカー達が入場の順番待ちをしていた。
朝からやる気のある人たちがいっぱいと言うことなんだろう。
「…………周りの視線が痛い」
「あん?」
「いえ、何でもないです」
なんかね列に並んでいるだけで回りの人がちらちらこっち見てるんだよね。
ゴリさんと一緒だからか、俺の格好が変わっているからか、あれかギルド行く前にこっそり養分補給しまくってマッチョになっているからか……いや、外套で見えないよね。それに恰好も変てわけじゃない、似たような恰好の人まわりにもいるし、これゴリさんと一緒だからだ。
ゴリさんへの視線は羨望に近い感じ、ちょっと嫉妬とかも混ざってそうだけど。
一方俺に対しては何だいあいつ? とか、何であんなのがゴリさんと一緒に? みたいな視線である……ぐすん。
その視線の意味はダンジョンに入る段階になって分かった。
ゴリさんが出したプレートが金色に輝いていたのである……あ、金色のプレートってのはギルドで一番ランクの高い人が持っているものね。 俺が持っている銅が一番低くて青銅、鉄、銀、金って上がっていく。 それぞれのランクも1、2、3て細かく分かれていて全部で15段階になっているそうな。 ちなみに俺は登録したてなので銅の1ランクってことになる。
銅から青銅になるまで3年ぐらい掛かるってことだから、金はどれだけ掛かるのだろうか? だんだん上がりにくくなってくるって聞いたし、ゴリさんベテランだろうなとは思っていたけど実はもっと高齢なんだろうか。 種族が実は違うのかそれとも強くなればなるほど寿命伸びるとか何だろうか……そのうち調べるか聞きますかね。
まずはダンジョンに入らねば。
簡易の受付みたいなところでギルド証を見せ、ちょっとした洞窟の中を進んでいくと突き当りに扉があった。ゴリさんが扉にぐっと力をこめ開いていく。
「……うわぁ」
そんな感じで列に並び、何とかダンジョン内に入れた俺であったが一歩ダンジョンに足を踏み入れるなり思わず呆けてしまっていた。
ダンジョン内の光景が想像外というかまさか本当にそうきたかといったものだったんだ。
「すごい、ダンジョンの中に森も草原もある……だから草刈りか」
「まあ、初めてダンジョンの中みたやつは大抵そうなるわな。 ほれ、草刈りすんだろさっさと行くぞ」
ダンジョン内はいわゆるフィールドタイプとよばれるものであった。
入り口は洞窟なのに扉をくぐった途端に景色が一変したんだ、最初洞窟の中を歩いてたもんでてっきり洞窟のようなタイプなのかと思ってたけど……本当にびっくりだ。
空は明るいし本物の空のように見える。 ダンジョンの広さはどれぐらいあるのか正確には分からないけど、少なくとも地平線が見えるぐらいにはある。 で、地平線が見えるあたりには何やらモヤみたいのが見えるからそこが終点なのかもしれない、たぶんここから見えないところに下層にいくための階段とかあるんだろう。
遠目に俺たちより先に入ったダンジョンシーカー達の姿がちらほらみえる。 でもあんだけ並んでいたのにちらほら見える程度なんでやっぱ広いよねここ、深い階層に行って人数少なく見えるだけかもだけど。
とかなんとかぼーっと景色を眺めながら考えていたんだけど、ゴリさんにそでをぐいっと引っ張られて我にかえった。
後ろがつかえててじろりと睨まれていたぽい。 まじごめんなさい。
片手に酒瓶もっているし、めっちゃ酒臭いし、酒飲んで休みたいってのは本当だったんだろう。
だがしかし……。
「おう、なんだお前パーティ組めなかったんだってなあ、おい」
「あ、ゴリさん……さ、酒くさ」
「あたりめーだ。 言ったろ? 酒飲むってよお」
「まだ朝ですよ……」
そう、まだ朝なんだよね、まわり見てもお酒飲んでいる人はいない感じだ。
裏庭? の方でたむろってる人がいるけど、あれ遊んでるんじゃなくて訓練してるぽいし。
もう、ゴリさんてば……。
「いーんだよ、どうせ今日は働かねえんだから……ま、腹ごなしもしてえし、いいぜちょっとぐらい付き合ってやんよ」
「えっ?」
えっ? どゆこと? と理解が追い付かずゴリさんとリタさんの顔を交互に見る俺。
てかゴリさん口調がなんか変わってない? もしかしてこっちが素だったりして? お酒飲んで素が出た感じ。
「ゴリアテさんに少しだけ付き合ってもらえないかお願いしたんです」
「リタちゃんには昔世話になったからなあ。 ま、こんぐらい別にいいぜ」
「おお、すみません本当に助かりま……昔? あ、なんでもないです」
おお! 本当にありがたい、ゴリさんも付き合ってくれるなんて……リタさんに昔世話になったというのをあったとしても、それでも面倒見が良すぎて本当申し訳なくなってくる。
しかし昔か……ちなみにリタさんの見た目だけど、20過ぎぐらいの仕事出来るOLって感じです。 ちょっと無表情で目つきが鋭いけど美人さんです。
んで、ゴリさんは30後半~40前半ぐらいな感じ……そのゴリさんが昔っていうことはこのリタさん、見た目通りの年齢ってことじゃない。
エルフかな? と一瞬頭に思い浮かんだけど別に耳は尖っていない。
なんだろうね、エルフじゃないけど長命な種族なんだろうか。
ま、まあそれ以上考えるのはよそう。
何かリタさんの視線が怖い……。
「おら、いくぞ。 おら」
「あ、ゴリさんまって……酒くさっ!?」
ゴリさんもやべえと思ったのだろうか、俺の首を腕でがしっとロックすると引きずるようにギルドを後にする。
てか酒くせぇ。 どんだけ飲んだんですか……口調もやっぱ違うし。
あの、ゴリさん。 人の首はそっちに曲がらないだだだだだっ!?
ダンジョン前に行くと、俺とゴリさん以外のダンジョンシーカー達が入場の順番待ちをしていた。
朝からやる気のある人たちがいっぱいと言うことなんだろう。
「…………周りの視線が痛い」
「あん?」
「いえ、何でもないです」
なんかね列に並んでいるだけで回りの人がちらちらこっち見てるんだよね。
ゴリさんと一緒だからか、俺の格好が変わっているからか、あれかギルド行く前にこっそり養分補給しまくってマッチョになっているからか……いや、外套で見えないよね。それに恰好も変てわけじゃない、似たような恰好の人まわりにもいるし、これゴリさんと一緒だからだ。
ゴリさんへの視線は羨望に近い感じ、ちょっと嫉妬とかも混ざってそうだけど。
一方俺に対しては何だいあいつ? とか、何であんなのがゴリさんと一緒に? みたいな視線である……ぐすん。
その視線の意味はダンジョンに入る段階になって分かった。
ゴリさんが出したプレートが金色に輝いていたのである……あ、金色のプレートってのはギルドで一番ランクの高い人が持っているものね。 俺が持っている銅が一番低くて青銅、鉄、銀、金って上がっていく。 それぞれのランクも1、2、3て細かく分かれていて全部で15段階になっているそうな。 ちなみに俺は登録したてなので銅の1ランクってことになる。
銅から青銅になるまで3年ぐらい掛かるってことだから、金はどれだけ掛かるのだろうか? だんだん上がりにくくなってくるって聞いたし、ゴリさんベテランだろうなとは思っていたけど実はもっと高齢なんだろうか。 種族が実は違うのかそれとも強くなればなるほど寿命伸びるとか何だろうか……そのうち調べるか聞きますかね。
まずはダンジョンに入らねば。
簡易の受付みたいなところでギルド証を見せ、ちょっとした洞窟の中を進んでいくと突き当りに扉があった。ゴリさんが扉にぐっと力をこめ開いていく。
「……うわぁ」
そんな感じで列に並び、何とかダンジョン内に入れた俺であったが一歩ダンジョンに足を踏み入れるなり思わず呆けてしまっていた。
ダンジョン内の光景が想像外というかまさか本当にそうきたかといったものだったんだ。
「すごい、ダンジョンの中に森も草原もある……だから草刈りか」
「まあ、初めてダンジョンの中みたやつは大抵そうなるわな。 ほれ、草刈りすんだろさっさと行くぞ」
ダンジョン内はいわゆるフィールドタイプとよばれるものであった。
入り口は洞窟なのに扉をくぐった途端に景色が一変したんだ、最初洞窟の中を歩いてたもんでてっきり洞窟のようなタイプなのかと思ってたけど……本当にびっくりだ。
空は明るいし本物の空のように見える。 ダンジョンの広さはどれぐらいあるのか正確には分からないけど、少なくとも地平線が見えるぐらいにはある。 で、地平線が見えるあたりには何やらモヤみたいのが見えるからそこが終点なのかもしれない、たぶんここから見えないところに下層にいくための階段とかあるんだろう。
遠目に俺たちより先に入ったダンジョンシーカー達の姿がちらほらみえる。 でもあんだけ並んでいたのにちらほら見える程度なんでやっぱ広いよねここ、深い階層に行って人数少なく見えるだけかもだけど。
とかなんとかぼーっと景色を眺めながら考えていたんだけど、ゴリさんにそでをぐいっと引っ張られて我にかえった。
後ろがつかえててじろりと睨まれていたぽい。 まじごめんなさい。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~
御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。
十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。
剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。
十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。
紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。
十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。
自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。
その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。
※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。
気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした
高坂ナツキ
ファンタジー
衝撃を受けた途端、俺は美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生していた!?
これは、自分が制作にかかわっていた美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生した主人公が、報われないサブヒロインを救うために人生を賭ける話。
日常あり、恋愛あり、ダンジョンあり、戦闘あり、料理ありの何でもありの話となっています。
おばさん冒険者、職場復帰する
神田柊子
ファンタジー
アリス(43)は『完全防御の魔女』と呼ばれたA級冒険者。
子育て(子どもの修行)のために母子ふたりで旅をしていたけれど、子どもが父親の元で暮らすことになった。
ひとりになったアリスは、拠点にしていた街に五年ぶりに帰ってくる。
さっそくギルドに顔を出すと昔馴染みのギルドマスターから、ギルド職員のリーナを弟子にしてほしいと頼まれる……。
生活力は低め、戦闘力は高めなアリスおばさんの冒険譚。
-----
剣と魔法の西洋風異世界。転移・転生なし。三人称。
一話ごとで一区切りの、連作短編(の予定)。
-----
※小説家になろう様にも掲載中。
才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!
にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。
そう、ノエールは転生者だったのだ。
そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
転生したら鎧だった〜リビングアーマーになったけど弱すぎるので、ダンジョンをさまよってパーツを集め最強を目指します
三門鉄狼
ファンタジー
目覚めると、リビングアーマーだった。
身体は鎧、中身はなし。しかもレベルは1で超弱い。
そんな状態でダンジョンに迷い込んでしまったから、なんとか生き残らないと!
これは、いつか英雄になるかもしれない、さまよう鎧の冒険譚。
※小説家になろう、カクヨム、待ラノ、ノベルアップ+、NOVEL DAYS、ラノベストリート、アルファポリス、ノベリズムで掲載しています。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる