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森の賢人
「69話」
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数分後、ベッドの上で正座する俺の姿があった。
「タマが寝ぼけているのをいいことに……なんてやつニャ」
「ゴメンナサイ」
タマさんてばご立腹である。
寝ぼけてる間に手を出すのはやはりまずかったか。
寝込み襲ったようなもんだし……まずいね!
これで今後お触り禁止にでもなったら俺はどうしたら良いのだ……。
タマさんはしょぼんとしている俺を見てふんっと鼻を鳴らしてぷいっと横を向いてしまう。
ぷりぷりしているタマさんも可愛いですね。
そのままお互いの無言の状態が続いていたのだけど、タマさんがスンスンと鼻を鳴らしてこちらを見る。
「……良い匂いがするニャ」
「あ、バナナかな……食べる? まだお腹ダメかな?」
「もう治ったニャ」
「おう……効果ばっちりだったね。 はい、あまり食べ過ぎないようにね」
「ニャ」
本当に食べたかったかどうかは分からないけど、俺はすぐにバナナを用意してタマさんに渡す。
タマさんはバナナを受け取ると満足そうに頷いて食べ始めた。
……まだ怒っているかもだけど、とりあえずこれで勘弁してやるということだろうか。
タマさんてにゃんこだけど大人というかなんというか……実際いくつなんだろうね?
ちらりとタマさんに向けると丁度バナナを食べ終えたところだった。
ペロリと口をなめ、前足でごしごしと顔を洗い……うむ、このへんはまんまにゃんこだよね。
見てるだけで癒されますなあ。
「臨時パーティーは組めたかニャ?」
「……あ、うん。 月下の荘園ってところにメンバーの欠員が出たとかで入れて貰えたよ」
おっと、ぼーっと眺めていたので反応が遅れてしまった。
「ニャ。 結構規模が大きいところだったかニャー」
「うん、確かそうだね。 そこの新人と一緒にゴブリン狩りしたんだ、結構いい人達だったよ」
タマさんも知っているのね。
規模大きいとこなら知ってても不思議じゃないか。
結構いい人達だったと言ったところでタマさんがじーっと俺の顔を覗き込むように見つめてくる。
お鼻に指を伸ばしたら噛まれた。
「ニャ。 果物あげたニャ?」
「ちょ、ちょ……ちょっとだけ……量産出来ないって話しておいたし、たぶん大丈夫かなって……」
ば、ばれただと……何故だ?匂いか? 匂いか! 一緒に狩りに行っててバナナの匂いしてるんだ、そりゃばれるわ!
「なら良いニャ。 分かってるだろうけど、量産出来ることは言わない方が良いニャー。 欲しがる連中が出たら面倒ニャ」
めっちゃきょどってる俺。
それに対してタマさんの反応は割と普通であった。
でも釘はしっかり刺されました。
もちろん量産できるなんて言うつもりはない。
俺とタマさんの時間が邪魔されたらどうするんだって話である。
「何体ぐらい狩れたかニャー」
「んん……300いかないぐらいかなあ?」
話題は果物からゴブリンの話に移る。
300……前にゴリさんと行ったときより少ない。
まあ、俺一人で狩った訳じゃないからね、十分狩れたほうだとは思ふ。
「なら明日もう一度ゴブリン狩りするニャ。 明後日はコボルトだニャー」
「あ、やっぱ300じゃ足らないか」
「1000は欲しいニャ」
結構多いな!
1000ってタマさん……あ、でも1日あれば終わるか?
あのボタン連打したらむっちゃゴブリン集まらないかな。 怒られそうだけど。
そんな感じでタマさんとしばらく話していたんだけど、ふいに俺のお腹がくぅっとないた。
気が付けば夕飯の時間になっていたようだ。
それにすんすんと嗅いで見れば美味しそうな匂いがする……よし、ご飯だ。
「んっし、そろそろご飯かな。 タマさん食べれる?」
「ニャ」
タマさんのお腹もばっちり治ってるぽいので一緒に食堂へと向かう。
宿のお姉さんに適当に注文し席に着くと、すぐに料理が運ばれてきた。
どれも美味しそう、というか実際美味しいのだけどね。
それでもっしゃもしゃとご飯を食べていたんだけど、やっぱタマさんのお腹が本当に大丈夫か気になってね。たまーにタマさんの様子をちらちら伺っていたのです。
そしたらあることに気が付いてしまう。
「……タマさん」
「ニャー?」
「お野菜も食べないとダメだよ……?」
タマさんのお皿をよくよく見るとね、お肉しか乗ってないの。
たまたまかなーって最初は思ったけど、大皿から自分の皿に料理をよそう時に野菜だけうまい具合に回避してるのこのにゃんこ。
あまりにも自然な動きすぎて今の今まで気づかなかったぞ!
「野菜嫌いニャ」
「俺のお皿に入れるんじゃありませんっ」
ぶーって表情をしながら大皿に手というか前足を伸ばしたからてっきり野菜とるのかと思ったら、このにゃんこ俺のお皿に野菜盛り始めましたよ!?
「野菜おいしくないニャ……」
「えぇ……美味しいのに」
タマさんのお皿に野菜を持ったらこの世の終わりみたいな顔をしてらっしゃる。
そんな野菜嫌いなの……でも。
「野菜……野菜か」
「ニャ?」
あまりお肉ばっかりでも体壊しちゃう気がするんだよなー。
タマさんの種族的に問題ないのかも知れないけど……。
でも野菜嫌いとなると……美味しい野菜ならいけるか?
野菜が嫌いってのは覆すのは難しくても、食えるぐらいにはいけるんじゃなかろうか。
「この体さ、たぶん野菜も作れるんだよね」
そう、野菜作れちゃうんだよね。
果物だけじゃないんだ。
「そうなのかニャ?」
「だってスイカとか野菜に分類されてたと思うし、果物みたいなもんだけど」
「……うそニャ」
甘くて美味しかろうが野菜に分類されるものはある。
あるんだけど……何かスイカが野菜って聞いたタマさんから表情が消えた。
タマさんスイカが野菜だったのそんなショックだったの……。
「タマが寝ぼけているのをいいことに……なんてやつニャ」
「ゴメンナサイ」
タマさんてばご立腹である。
寝ぼけてる間に手を出すのはやはりまずかったか。
寝込み襲ったようなもんだし……まずいね!
これで今後お触り禁止にでもなったら俺はどうしたら良いのだ……。
タマさんはしょぼんとしている俺を見てふんっと鼻を鳴らしてぷいっと横を向いてしまう。
ぷりぷりしているタマさんも可愛いですね。
そのままお互いの無言の状態が続いていたのだけど、タマさんがスンスンと鼻を鳴らしてこちらを見る。
「……良い匂いがするニャ」
「あ、バナナかな……食べる? まだお腹ダメかな?」
「もう治ったニャ」
「おう……効果ばっちりだったね。 はい、あまり食べ過ぎないようにね」
「ニャ」
本当に食べたかったかどうかは分からないけど、俺はすぐにバナナを用意してタマさんに渡す。
タマさんはバナナを受け取ると満足そうに頷いて食べ始めた。
……まだ怒っているかもだけど、とりあえずこれで勘弁してやるということだろうか。
タマさんてにゃんこだけど大人というかなんというか……実際いくつなんだろうね?
ちらりとタマさんに向けると丁度バナナを食べ終えたところだった。
ペロリと口をなめ、前足でごしごしと顔を洗い……うむ、このへんはまんまにゃんこだよね。
見てるだけで癒されますなあ。
「臨時パーティーは組めたかニャ?」
「……あ、うん。 月下の荘園ってところにメンバーの欠員が出たとかで入れて貰えたよ」
おっと、ぼーっと眺めていたので反応が遅れてしまった。
「ニャ。 結構規模が大きいところだったかニャー」
「うん、確かそうだね。 そこの新人と一緒にゴブリン狩りしたんだ、結構いい人達だったよ」
タマさんも知っているのね。
規模大きいとこなら知ってても不思議じゃないか。
結構いい人達だったと言ったところでタマさんがじーっと俺の顔を覗き込むように見つめてくる。
お鼻に指を伸ばしたら噛まれた。
「ニャ。 果物あげたニャ?」
「ちょ、ちょ……ちょっとだけ……量産出来ないって話しておいたし、たぶん大丈夫かなって……」
ば、ばれただと……何故だ?匂いか? 匂いか! 一緒に狩りに行っててバナナの匂いしてるんだ、そりゃばれるわ!
「なら良いニャ。 分かってるだろうけど、量産出来ることは言わない方が良いニャー。 欲しがる連中が出たら面倒ニャ」
めっちゃきょどってる俺。
それに対してタマさんの反応は割と普通であった。
でも釘はしっかり刺されました。
もちろん量産できるなんて言うつもりはない。
俺とタマさんの時間が邪魔されたらどうするんだって話である。
「何体ぐらい狩れたかニャー」
「んん……300いかないぐらいかなあ?」
話題は果物からゴブリンの話に移る。
300……前にゴリさんと行ったときより少ない。
まあ、俺一人で狩った訳じゃないからね、十分狩れたほうだとは思ふ。
「なら明日もう一度ゴブリン狩りするニャ。 明後日はコボルトだニャー」
「あ、やっぱ300じゃ足らないか」
「1000は欲しいニャ」
結構多いな!
1000ってタマさん……あ、でも1日あれば終わるか?
あのボタン連打したらむっちゃゴブリン集まらないかな。 怒られそうだけど。
そんな感じでタマさんとしばらく話していたんだけど、ふいに俺のお腹がくぅっとないた。
気が付けば夕飯の時間になっていたようだ。
それにすんすんと嗅いで見れば美味しそうな匂いがする……よし、ご飯だ。
「んっし、そろそろご飯かな。 タマさん食べれる?」
「ニャ」
タマさんのお腹もばっちり治ってるぽいので一緒に食堂へと向かう。
宿のお姉さんに適当に注文し席に着くと、すぐに料理が運ばれてきた。
どれも美味しそう、というか実際美味しいのだけどね。
それでもっしゃもしゃとご飯を食べていたんだけど、やっぱタマさんのお腹が本当に大丈夫か気になってね。たまーにタマさんの様子をちらちら伺っていたのです。
そしたらあることに気が付いてしまう。
「……タマさん」
「ニャー?」
「お野菜も食べないとダメだよ……?」
タマさんのお皿をよくよく見るとね、お肉しか乗ってないの。
たまたまかなーって最初は思ったけど、大皿から自分の皿に料理をよそう時に野菜だけうまい具合に回避してるのこのにゃんこ。
あまりにも自然な動きすぎて今の今まで気づかなかったぞ!
「野菜嫌いニャ」
「俺のお皿に入れるんじゃありませんっ」
ぶーって表情をしながら大皿に手というか前足を伸ばしたからてっきり野菜とるのかと思ったら、このにゃんこ俺のお皿に野菜盛り始めましたよ!?
「野菜おいしくないニャ……」
「えぇ……美味しいのに」
タマさんのお皿に野菜を持ったらこの世の終わりみたいな顔をしてらっしゃる。
そんな野菜嫌いなの……でも。
「野菜……野菜か」
「ニャ?」
あまりお肉ばっかりでも体壊しちゃう気がするんだよなー。
タマさんの種族的に問題ないのかも知れないけど……。
でも野菜嫌いとなると……美味しい野菜ならいけるか?
野菜が嫌いってのは覆すのは難しくても、食えるぐらいにはいけるんじゃなかろうか。
「この体さ、たぶん野菜も作れるんだよね」
そう、野菜作れちゃうんだよね。
果物だけじゃないんだ。
「そうなのかニャ?」
「だってスイカとか野菜に分類されてたと思うし、果物みたいなもんだけど」
「……うそニャ」
甘くて美味しかろうが野菜に分類されるものはある。
あるんだけど……何かスイカが野菜って聞いたタマさんから表情が消えた。
タマさんスイカが野菜だったのそんなショックだったの……。
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