拝啓神様。転生場所間違えたでしょ。転生したら木にめり込んで…てか半身が木になってるんですけど!?あでも意外とスペック高くて何とかなりそうです

熊ごろう

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森の賢人

「84話」

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すうはあ……と息を吸って吐いて止めて、一気に根っこを引き千切る。

「……ふぐぅっ」

「あ、やっぱ痛いんだーそれ」

本数が本数だけに引き千切る際の痛みも地味にきつい。
痛みでぷるぷるしていると、カールさんがしゃがみ込んで俺の足を心配そうにぺちぺちと叩く……心配そう?

「地味に痛いっす……でも我慢しますんで平気っす」

「えらいえらーい」

頭撫でられました。わーいうれしー。


ゴリさんらと合流した俺とタマさんだけど、早速根っこでの索敵を始めていた。
索敵するのはゴリさんらが索敵した範囲の外側となる。
んで、俺が索敵した範囲を今度はゴリさんらがモンスターの群れが移動した痕跡が無いかを探していく感じで進めている。

二度手間になるんじゃ?と思ったけど、一度俺が索敵して群れがいないと分かっている分、そちらへの注意が減り痕跡を探すのに集中できるらしい。

現に俺が合流してから索敵するペースは上がっている。 らしいよ。

「街の周囲60キロ範囲には居ないと……かなりの数で進軍しているはずだからな、過去の例からして街にたどり着くまで最低3日は掛かるはずだ」

モンスターの移動速度けっこう遅いね。
数が数だから仕方ないね。 んまあ、遅い方がこちらとしては有難いわけだけど。

「余裕を見て2日以内に見つからなければ、またウッドとタマさんには街に向かって貰いたい」

「お二人には悪いけどお願いするわね……代わりになるかはわからないけど、食事の用意とかはこちらでします、ゆっくり休んでて」

「ありがとうございます……あ、野菜も出せたりしますけど、使います?」

街に行くのは問題なしですとも。
俺の能力が役立つのは嬉しいね。

あ、お野菜食べます? てか、保存食のお野菜はちょっと苦手でして……。

「野菜も出せるのかよ……嵩張るから乾燥したのしか持ってきてないんだ、出してもらえると助かる」

「うぃっす」

いっぱい出しちゃうよ。
タマさんがものすごく嫌そうな顔してるけど……お野菜食べないと以前のボディに戻れませぬぞ?

「うまいなこの野菜」

お野菜美味しいでしょう?
皆、結構喜んで食べてくれてて嬉しい限り。

そういやもの凄く今更だけど、皆俺からとれた野菜へーきな顔で食べてるね。
半分以上は食べるの初めてなはずだけど。

中堅以上ともなると経験豊富だろうし、大した気にするもんじゃなくなるんかねー。

「そりゃタマさんが……野菜じゃ丸くならねえよな」

野菜を食べてちらっとタマさんを見る……えっと、名前の知らない銀ランクの人。
うん……野菜じゃなかなか丸くならないよね。うん。

「タマさん、野菜を俺のお皿に移さない」

「野菜こんなにいらないニャ」

「……」

違うんです。
これはタマさんが野菜嫌いなのがいけないんであって……決して俺がタマさんを甘やかしてるとかそんな訳では……。


その後、バナナ出したら確信するような顔になっていましたとさ。

あ、ゴリさんむっちゃ喜んでくれたよ。
半分以上ゴリさんが食ってたし……。



モンスターの群れを探し始めて二日目。
俺たちは未だに群れとその痕跡を見つけることが出来ないでいた。

「なかなか見つからないねぇ……」

「この森無駄にひろいニャ」

まだ街のそばまで来てないとは分かっていても、段々と焦れてくる。
まあ、焦れても見つかるわけでもなし。 焦れて手がかりを見逃してもいけない……なので落ち着いて出来るだけ急いでやるしかない。

そして俺が何十回目かになる索敵を開始した時であった。

「今回もモンスターの群れはなし、移動の痕跡の情報もなし……んお?」

「どうかしたニャ?」

近くに生き物の存在を感知したのである。
……いやまあ、これまでにも何度か単体でいる生き物は探知してはいて、モンスターだったらゴリさんらが索敵ついでにさくっと討伐、ただの動物だったらスルーか俺らのご飯になっていたのだけど……今度のは動きが妙だったのだ。

「変な動きをしているのが……なんだろ、やたらと歩幅がでかい生き物? 歩幅が数m……10mぐらい?ありそうだけど」

大きさはそこまでじゃないと思うんだけどね、なんかやたらと歩幅が広いのだ。
すっごい高速で移動してるいるのであればそう言うこともあるかなー?とおもうが、速度は別にそこまでじゃない。

「歩幅……枝から枝に飛んでるとかじゃないかニャ。 それあたりかもニャ」

「へ?」

俺がなんだろなー?と首を傾げているとタマさんがそんなことを言い出した。

「そいつ逃さないようにするニャー。 タマは他の連中呼んでくるニャ

「お、おー」

あたりってどゆこと? 探してるのは群れなんじゃ……? と頭にクエスチョンマーク浮かべている間にタマさんはさっさと皆を呼びに行ってしまう。

俺はとりあえずよく分からないままその妙な動きをする奴の追跡を続けるのであった。
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