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森の賢人
「93話」
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「……ふぅ」
「あー……疲れた。しんどーい」
指導者が崩れ落ちたのを見て武器を下ろし一息つくゴリアテ達。
指導者の体は完全に砂となり、今は風に吹かれて徐々にその体積を減らしている。
「あら、何か落ちてますよ?」
体積を減らしていく内に砂に紛れて何かがある事にマリーが気が付いた。
「あん? ……こいつは」
ゴリアテが剣の鞘で突いてみるとそれは砂山から転がり出る。
転がり出たそれを見て、皆が一瞬身を震わせる。
「っ…………指導者の頭……素材? 被れそうだが……被るか?」
何故なら転がり出たものは指導者の頭部そのものであったからだ。
ゴリアテが確かめる様に再び鞘で突いてみるが、頭部が何かしらの反応を示すことは無い。死んでいるのは確からしい。
素材か何かなのだろうか、と転がしてみれば下顎から首にあたる部分がぽっかりと穴が開いており、兜か何かの様に被ることが出来そうである。
が、ゴリアテは被る気は無さそうだ。
鞘を穴に突き刺してパーティメンバーへと渡そうとしている。
「え、やだよー。 呪われそうじゃーん」
「いや、俺も遠慮するぞ」
「ここはやはりリーダーが……」
やはりと言うか皆も被る気は無いらしい。
さっきまで戦っていた相手の頭を被るとか、普通はしないだろう。
「…………ウッドに被せて見るか」
自分の知らないところで犠牲になるウッドであった。
そしてその犠牲になりそうな俺ですが……。
絶賛鉄竜と戦闘中だったりする。
あれからしばらく経ったんだけどね、この鉄竜まだまだ死にそうにない。
体を蔦や根っこで固定してひたすら金棒で頭ぶん殴ってるんだけどね……タフ過ぎでしょ。
「指導者倒した見たいだニャー」
「え、そなの?」
俺がひーこら戦っているそばで様子を見ていたタマさんであるが、ふいに耳を動かしたかと思うと指導者が倒されたと言い出した。
特に断末魔が聞こえたーとかそんなの無いんだけど。 え、地味過ぎない?
「ニャ。 まわり見てみるニャ。 統率とれなくなったから皆好き勝手に動き始めたニャ」
「おう……え、それ散らばると不味いんじゃ」
本当かなーって思ってたら、確かにまわりの連中の動きが変わり始めた。
なんか射程距離?に入らなければ襲いかかって来なかったのがあっちこっちに好き勝手に移動してる感じ。
……散らばると不味いよね。
前にリタさんに聞いた話で……なんだっけ、そこらに生息しているモンスターってこの指導者との戦闘で生き残った連中なんだっけ?
あんまり散らばるとこの辺りモンスターがいっぱい!何てことになっちゃうんじゃないのかな。
とても不味いと思います!
「不味いニャ。 でも逃がさないから平気ニャー」
「おう……」
逃がさないとタマさんが言った直後、モンスターの群れを囲うように高さ100mぐらいありそうな壁が出来た……タマさんの魔法だろうけど、何て言うかぶっ飛んでるよね。
……そういや俺って何時になったら魔法使えるようになるんだろうね? このままだと脳筋になってしまうデスヨ。
「それより早く倒すニャ。 他のが来ちゃうニャー」
「分かってるんだけどこいつ本当かったくて……」
早く倒せと言われましても……こいつ頭が本当にかったいの。 最初は目とか耳から蔦を突っ込んでシェイクしようと思ってたんだけどね、耳の穴は見つからないし、目は蔦を弾くし……試しに鼻に突っ込んだら鼻からブレス出すわでもうね……そんな訳で仕方なく頭をぶん殴ってるのです。
で、そんな俺をじーっと見ていたタマさん。
視線を左半身にやって右半身に戻し、首を傾げる。
「ニャ?」
可愛いなあ!もう!
「ニャ。 左半身みたいに右半身も強化すれば良いんじゃないかニャー」
「ほうほう……? ……ほうっ!? タマさん天才!」
……タマさんまじ天才。
て言うか俺の脳細胞死んでそう。
なんでそんな単純なこと思いつかないかなっ!
ちくせう……この虚しさをお前にぶつけてやる。
蔦を……ついでに根っこを右腕中心に絡めていって……やばい。俺の胴体並みの太さなったぞ!?
いける! これならこのくっそ堅い頭も一撃だ!
つーわけで、大きく振りかぶってー……。
「粉!砕っ!」
頭に振り下ろす!
「っしゃーこんにゃろめっ」
頭蓋とかピンクっぽいのとか目とか色々はじけ飛んだぞ。
……威力すごいけどグロい。 次はもう少し手加減しようと思います!
まあとりあえず勝ったーってことでガッツポーズして喜んでいたんだけど、背後に気配が。
「……ウッド」
「あ、ゴリさんお疲れさまです! タマさんから聞きましたよ、指導者仕留めたんですよね」
ゴリさんだった!
あの竜の群れに突っ込んで、しかも倒してくるとかまじぱない。
ほとんど無傷っぽいし……アフロが半分モヒカンちっくになってるけど。
……見なかったことにしよう。
「おう、こいつだ」
すっとアフロから目をそらして俺にゴリさんがすっと何かを差し出してきた。
「うぉあっ!? ……そ、それなんすか」
何このキモイの!?
「指導者の頭だが……何かあいつ倒したら砂みたいになって崩れてな、そして頭部だけ残ってたんだよ。 被れるようになってるみたいだが呪われそうでな……どうだ、被って見るか?」
「前半から後半の流れおかしくないですっ!?」
呪われそうでな、からの被って見るか?って何かおかしいよ!
「まあ、こいつは後にするとしてだ……」
後で……? 出来ればずっと忘れて欲しいなーなんて……。
そんな見ても俺は被りませんよ? 振りじゃないからねっ!?
「ウッド、お前その腕どうした……? もげておかしくなったのか?」
あー……腕見てたのね。
まあ、こんだけぶっとくなっていれば気になるよねー。
とりあえず種明かしするべさ。
「ああ、いやこれは……こんな感じで根っことか蔦を腕に絡めただけっすよ」
「ああ……」
根っこと蔦を取れば元の腕が出てくる。
それを見て安心した様子のゴリさん。
腕もげたの見てたんだよね、心配してくれてたのかー。
やっぱゴリさんええ人や。
「鉄竜の頭ほんっと堅くて困ってたんですけど、タマさんが左半身強化したみたいに右腕強化したら?って……で、試しにやったら上手くいったんす」
実際鉄竜の頭がはじけたからねー。
試しにやったにしては上々だと思うのです。
「なるほどな。 ……ところで鉄竜ってのは素材が結構な額で取引されていてな」
「あ、そうなんですね」
そっか、甲殻とか堅そうだもんねー。
何せ頭とか俺があんだけ殴って、も……あれ?
「特に頭は高くてな、無傷だと金貨うん千枚に……」
「早く言ってぇぇええっ!?」
やっぱりかああああああっ!?
そりゃあんだけ堅いんだもん!素材としては優秀だよねっ!?
「まあ、何て言うか……どんまい?」
ありがとうゴリさん。
でもちょっと泣いていいヨネ?
しばらく膝抱えて凹んでたんだけど、何かカールさんが近付いてきて……。
「ねーねーウッド君さ」
「はひ」
何でしょうか。
慰めてくれるのなら何時でも歓迎ですよ?
「もげた腕どうしたのー?」
「えーと……」
……そういやどうあいたんだっけ、あれ。
確かタマさんがキャッチしてたよね?
「ここにあるニャ」
「わー本当だーすっごーい」
タマさんまだ持ってたね。
と言うか地面に置きっぱなしじゃないのっ、もっと大事に扱って!
「カール。どうすんだそれ?」
「これで矢を作ったら面白そうだなーって」
やめてください。
「植えたらどうなるんでしょうねえ」
いや、それも勘弁してください。
「いや、変なの生えても困るぞ。 燃やしちまえ」
いや……その。
「……気味が悪いし燃やすか」
「もっと大事に扱ってぇっ!?」
俺の扱い酷くないっ!?
結局俺の腕の扱いは保留となりました。
とまあこんな感じで締まらないけど、俺達はどうにか指導者とモンスターの群れを止めることが出来たのであった。
あ、そうそう残った連中は皆で退治したからね。
後始末はギルドで手配した人らがやってくれるそうなのでありがたい。
とりあえず帰ってタマさんブラッシングしてもふって寝よう……。
「あー……疲れた。しんどーい」
指導者が崩れ落ちたのを見て武器を下ろし一息つくゴリアテ達。
指導者の体は完全に砂となり、今は風に吹かれて徐々にその体積を減らしている。
「あら、何か落ちてますよ?」
体積を減らしていく内に砂に紛れて何かがある事にマリーが気が付いた。
「あん? ……こいつは」
ゴリアテが剣の鞘で突いてみるとそれは砂山から転がり出る。
転がり出たそれを見て、皆が一瞬身を震わせる。
「っ…………指導者の頭……素材? 被れそうだが……被るか?」
何故なら転がり出たものは指導者の頭部そのものであったからだ。
ゴリアテが確かめる様に再び鞘で突いてみるが、頭部が何かしらの反応を示すことは無い。死んでいるのは確からしい。
素材か何かなのだろうか、と転がしてみれば下顎から首にあたる部分がぽっかりと穴が開いており、兜か何かの様に被ることが出来そうである。
が、ゴリアテは被る気は無さそうだ。
鞘を穴に突き刺してパーティメンバーへと渡そうとしている。
「え、やだよー。 呪われそうじゃーん」
「いや、俺も遠慮するぞ」
「ここはやはりリーダーが……」
やはりと言うか皆も被る気は無いらしい。
さっきまで戦っていた相手の頭を被るとか、普通はしないだろう。
「…………ウッドに被せて見るか」
自分の知らないところで犠牲になるウッドであった。
そしてその犠牲になりそうな俺ですが……。
絶賛鉄竜と戦闘中だったりする。
あれからしばらく経ったんだけどね、この鉄竜まだまだ死にそうにない。
体を蔦や根っこで固定してひたすら金棒で頭ぶん殴ってるんだけどね……タフ過ぎでしょ。
「指導者倒した見たいだニャー」
「え、そなの?」
俺がひーこら戦っているそばで様子を見ていたタマさんであるが、ふいに耳を動かしたかと思うと指導者が倒されたと言い出した。
特に断末魔が聞こえたーとかそんなの無いんだけど。 え、地味過ぎない?
「ニャ。 まわり見てみるニャ。 統率とれなくなったから皆好き勝手に動き始めたニャ」
「おう……え、それ散らばると不味いんじゃ」
本当かなーって思ってたら、確かにまわりの連中の動きが変わり始めた。
なんか射程距離?に入らなければ襲いかかって来なかったのがあっちこっちに好き勝手に移動してる感じ。
……散らばると不味いよね。
前にリタさんに聞いた話で……なんだっけ、そこらに生息しているモンスターってこの指導者との戦闘で生き残った連中なんだっけ?
あんまり散らばるとこの辺りモンスターがいっぱい!何てことになっちゃうんじゃないのかな。
とても不味いと思います!
「不味いニャ。 でも逃がさないから平気ニャー」
「おう……」
逃がさないとタマさんが言った直後、モンスターの群れを囲うように高さ100mぐらいありそうな壁が出来た……タマさんの魔法だろうけど、何て言うかぶっ飛んでるよね。
……そういや俺って何時になったら魔法使えるようになるんだろうね? このままだと脳筋になってしまうデスヨ。
「それより早く倒すニャ。 他のが来ちゃうニャー」
「分かってるんだけどこいつ本当かったくて……」
早く倒せと言われましても……こいつ頭が本当にかったいの。 最初は目とか耳から蔦を突っ込んでシェイクしようと思ってたんだけどね、耳の穴は見つからないし、目は蔦を弾くし……試しに鼻に突っ込んだら鼻からブレス出すわでもうね……そんな訳で仕方なく頭をぶん殴ってるのです。
で、そんな俺をじーっと見ていたタマさん。
視線を左半身にやって右半身に戻し、首を傾げる。
「ニャ?」
可愛いなあ!もう!
「ニャ。 左半身みたいに右半身も強化すれば良いんじゃないかニャー」
「ほうほう……? ……ほうっ!? タマさん天才!」
……タマさんまじ天才。
て言うか俺の脳細胞死んでそう。
なんでそんな単純なこと思いつかないかなっ!
ちくせう……この虚しさをお前にぶつけてやる。
蔦を……ついでに根っこを右腕中心に絡めていって……やばい。俺の胴体並みの太さなったぞ!?
いける! これならこのくっそ堅い頭も一撃だ!
つーわけで、大きく振りかぶってー……。
「粉!砕っ!」
頭に振り下ろす!
「っしゃーこんにゃろめっ」
頭蓋とかピンクっぽいのとか目とか色々はじけ飛んだぞ。
……威力すごいけどグロい。 次はもう少し手加減しようと思います!
まあとりあえず勝ったーってことでガッツポーズして喜んでいたんだけど、背後に気配が。
「……ウッド」
「あ、ゴリさんお疲れさまです! タマさんから聞きましたよ、指導者仕留めたんですよね」
ゴリさんだった!
あの竜の群れに突っ込んで、しかも倒してくるとかまじぱない。
ほとんど無傷っぽいし……アフロが半分モヒカンちっくになってるけど。
……見なかったことにしよう。
「おう、こいつだ」
すっとアフロから目をそらして俺にゴリさんがすっと何かを差し出してきた。
「うぉあっ!? ……そ、それなんすか」
何このキモイの!?
「指導者の頭だが……何かあいつ倒したら砂みたいになって崩れてな、そして頭部だけ残ってたんだよ。 被れるようになってるみたいだが呪われそうでな……どうだ、被って見るか?」
「前半から後半の流れおかしくないですっ!?」
呪われそうでな、からの被って見るか?って何かおかしいよ!
「まあ、こいつは後にするとしてだ……」
後で……? 出来ればずっと忘れて欲しいなーなんて……。
そんな見ても俺は被りませんよ? 振りじゃないからねっ!?
「ウッド、お前その腕どうした……? もげておかしくなったのか?」
あー……腕見てたのね。
まあ、こんだけぶっとくなっていれば気になるよねー。
とりあえず種明かしするべさ。
「ああ、いやこれは……こんな感じで根っことか蔦を腕に絡めただけっすよ」
「ああ……」
根っこと蔦を取れば元の腕が出てくる。
それを見て安心した様子のゴリさん。
腕もげたの見てたんだよね、心配してくれてたのかー。
やっぱゴリさんええ人や。
「鉄竜の頭ほんっと堅くて困ってたんですけど、タマさんが左半身強化したみたいに右腕強化したら?って……で、試しにやったら上手くいったんす」
実際鉄竜の頭がはじけたからねー。
試しにやったにしては上々だと思うのです。
「なるほどな。 ……ところで鉄竜ってのは素材が結構な額で取引されていてな」
「あ、そうなんですね」
そっか、甲殻とか堅そうだもんねー。
何せ頭とか俺があんだけ殴って、も……あれ?
「特に頭は高くてな、無傷だと金貨うん千枚に……」
「早く言ってぇぇええっ!?」
やっぱりかああああああっ!?
そりゃあんだけ堅いんだもん!素材としては優秀だよねっ!?
「まあ、何て言うか……どんまい?」
ありがとうゴリさん。
でもちょっと泣いていいヨネ?
しばらく膝抱えて凹んでたんだけど、何かカールさんが近付いてきて……。
「ねーねーウッド君さ」
「はひ」
何でしょうか。
慰めてくれるのなら何時でも歓迎ですよ?
「もげた腕どうしたのー?」
「えーと……」
……そういやどうあいたんだっけ、あれ。
確かタマさんがキャッチしてたよね?
「ここにあるニャ」
「わー本当だーすっごーい」
タマさんまだ持ってたね。
と言うか地面に置きっぱなしじゃないのっ、もっと大事に扱って!
「カール。どうすんだそれ?」
「これで矢を作ったら面白そうだなーって」
やめてください。
「植えたらどうなるんでしょうねえ」
いや、それも勘弁してください。
「いや、変なの生えても困るぞ。 燃やしちまえ」
いや……その。
「……気味が悪いし燃やすか」
「もっと大事に扱ってぇっ!?」
俺の扱い酷くないっ!?
結局俺の腕の扱いは保留となりました。
とまあこんな感じで締まらないけど、俺達はどうにか指導者とモンスターの群れを止めることが出来たのであった。
あ、そうそう残った連中は皆で退治したからね。
後始末はギルドで手配した人らがやってくれるそうなのでありがたい。
とりあえず帰ってタマさんブラッシングしてもふって寝よう……。
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