拝啓神様。転生場所間違えたでしょ。転生したら木にめり込んで…てか半身が木になってるんですけど!?あでも意外とスペック高くて何とかなりそうです

熊ごろう

文字の大きさ
109 / 156
生を受けた理由

「108話」

しおりを挟む
酒くっさいなーと鼻を抑えながら中へと進んでいくと、聞きなれた声が聞こえてくるじゃないですか。
まさか、そんな訳は……とギギギッて感じで声をした方へと振り向くと……そこにはパーティ皆で酒盛りをするゴリさん達の姿があった。

いや、嘘でしょ。

「え……まって、ゴリさんおかしくない。 なんでまだ飲んでるの??」

俺たちが出発してからギルドに戻るまで3日あったんだよ?
貴方達の肝臓どうなってるんデス!??


「んあ? ……おー、ウッドじゃねえか。 無事戻ってきた見たいだな」

俺たちは無事なんですけど、ゴリさん達の肝臓無事なんでしょうか。
すっごい心配なんですけど……。

「ゴリさんただいまっす……まさかあれからずっと飲んでたんですか?」

「そんな訳あるか」

おう……すっごい真顔で突っ込まれましたよ?
……た、確かに言われてみるとそんな酔っているようには見えないし、もしかすると俺の勘違いだった可能性が……?

「眠くもなるし風呂にも入らんといかん。何度か宿には戻ったぞ」

「ソーデスカ」

それってつまり寝るときと風呂以外は酒飲んでたってことじゃん!
ずっと飲んでるのと変わらないってば……底なしにも程があると思うのデスヨ?

……ま、まあいいや。 とりあえずお土産を渡さないとだ。

「あ、これお土産っす。 タマさんの故郷の…………お酒です」

……お土産お酒ですやん。
これ渡していいのだろうか? 結構な量買ってきちゃったけども。樽ですよ樽?

……いや、見た感じ酔っぱらってないってことはもうお酒飲むのは止めてるのかもしれないぞ?
きっとそうに違いない!

「お、こいつはありがたい。そろそろ酒の在庫が無くなりそうだってんでよ、酒がこなくてな。 おっしゃ、お前ら酒が追加されたぞー! ウッドのお土産だ、感謝して飲めよ!」

「えぇ……まだ飲むのぉ……」

やっぱ飲むんですか。 皆の歓声がすごいですね。
てか在庫なくなるって本当どんだけ飲んだのさって話ですわ。

「当たり前だ。 ……ところでウッド。後ろのそいつはなんだ?」

「へ?」

なんのこっちゃと後ろを振り返ってみれば、すぐ後ろに外で待っているはずの像がいたぞう!
ていうか居るのにぜんっぜん気が付かなかったよ。 ハハハ。

「あ、待っててねーって言ったのに……タマさんの故郷から連れて来た子です。 果物あげたら懐かれちゃってですね……」

「ほー……そいつ、子供か何かだったりするのか?」

「へ? いや、成体だと思いますけど……だよね?」

小っちゃくなっただけで子供になった訳じゃーない……よね?
なんだろ、ゴリさん何か気になることでもあるんかな?

「成体だニャー」

「そうか、なら気のせいか……昔そいつに似た山みたいにでけえ化け物を見たことがあってな。 ま、気のせいなら良いんだ」

ぐほっ……あ、危ない、昔見たことあるのか。 最初からそれ言われてたら表情に出ちゃってたろうね……セーフセーフ。


……セーフかなあ?
ゴリさん気付いてそうだけど……これ以上何も言わないってことは見逃してくれるってことなんだろう。たぶん。

「ところでそいつの名前は?」

「あ、いえまだ決まってないんですよ。 中々気に入って貰えなくて……」

格好いい名前いくつかあげては見たんだけどねー、どれもお気に召さない様で。
決して俺のセンスがダメなせいじゃないよっ?

「なるほどな……それじゃあ、グリコなんてどうだ?」

「ぐ、ぐり……??」

それじゃあ!?
どこから出てきたその名前! てかアウトですアウト!

こ、これで象が気に入ってしまったら……。

「……き、気に入らなかったみたいデスネ」

首を横に振ったぞ!
ちょっと悩んでたけど! ちょっと悩んでたけどな!
てか、俺が考え抜いた名前よりも良いと申すか。泣いちゃうぞ!

「そうか……良い名前だと思ったんだがな」

そう言うとゴリさんは肩を落として皆のもとに戻っていった……。



「危ないところだった……リタさーん。 お土産っす」

なんかすっごい疲れた。
……あとはリタさんにお土産物渡して家買う相談しないとだ。


「ウッドさん、無事戻られたんですね。 これは……ありがとうございます。 可愛らしい瓶ですね、てっきり毛玉か何かをお土産にするんじゃないかと内心不安でしたが……」

「まさかー、そんなのお土産にする訳ないっすよー!」

ハハハハハッ! そんなことする訳ないよね!!
ちょっと思い浮かんだだけでデスヨ、冗談冗談。

……ふぅ。


あ、リタさんのお土産だけどね、ゴリさん達に渡した樽と違って焼き物の瓶にはいったやつだよ。 表面にぽんって肉球押してあってとても可愛いです。
自分用にも何個か確保してあるぜい。


「あ、そうだリタさん!」

とりあえず何か突っ込まれる前に話題変えちゃお。

「は、はい」

「実はですね、メンバー?が増えたのでそろそろ宿じゃなくて家を拠点にしようかと思っていまして、どこか良さそうな家を紹介して貰えないでしょうか?」

「家ですか……分かりました。いくつか空き家がありますので書類お持ちしますね」


後ろにいる象をちらっと見て表情を変えずに奥へと引っ込むリタさん。

んー……気が付いてはないっぽい?それとも知らないか……まあ、何とかなりそーですね。良かった良かった。

んじゃあとは良いお家を探すだけだね。
部屋はそんなに広くなくても良いけど……いや、待てよ。 友達が遊びにきてそのままお泊まりという可能性もあるのではないでしょうか。
そうなると部屋もある程度広く、部屋数もそれなりに必要かな?


友達いねえだろとか言わない。少しは居るんだからねっ!?
しおりを挟む
感想 171

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~

御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。 十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。 剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。 十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。 紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。 十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。 自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。 その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。 ※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。

気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした

高坂ナツキ
ファンタジー
衝撃を受けた途端、俺は美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生していた!? これは、自分が制作にかかわっていた美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生した主人公が、報われないサブヒロインを救うために人生を賭ける話。 日常あり、恋愛あり、ダンジョンあり、戦闘あり、料理ありの何でもありの話となっています。

おばさん冒険者、職場復帰する

神田柊子
ファンタジー
アリス(43)は『完全防御の魔女』と呼ばれたA級冒険者。 子育て(子どもの修行)のために母子ふたりで旅をしていたけれど、子どもが父親の元で暮らすことになった。 ひとりになったアリスは、拠点にしていた街に五年ぶりに帰ってくる。 さっそくギルドに顔を出すと昔馴染みのギルドマスターから、ギルド職員のリーナを弟子にしてほしいと頼まれる……。 生活力は低め、戦闘力は高めなアリスおばさんの冒険譚。 ----- 剣と魔法の西洋風異世界。転移・転生なし。三人称。 一話ごとで一区切りの、連作短編(の予定)。 ----- ※小説家になろう様にも掲載中。

才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!

にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。 そう、ノエールは転生者だったのだ。 そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

転生したら鎧だった〜リビングアーマーになったけど弱すぎるので、ダンジョンをさまよってパーツを集め最強を目指します

三門鉄狼
ファンタジー
目覚めると、リビングアーマーだった。 身体は鎧、中身はなし。しかもレベルは1で超弱い。 そんな状態でダンジョンに迷い込んでしまったから、なんとか生き残らないと! これは、いつか英雄になるかもしれない、さまよう鎧の冒険譚。 ※小説家になろう、カクヨム、待ラノ、ノベルアップ+、NOVEL DAYS、ラノベストリート、アルファポリス、ノベリズムで掲載しています。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

処理中です...