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生を受けた理由
「112話」
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家を買ったら何をするか。
人それぞれだろうけど俺たちが選んだのはひたすらゴロゴロとだらけて過ごす、であった。
「あー……やっぱ買ってよかった」
時期はまだ冬である。
暖炉で薪がいい感じに燃えて部屋を暖め、暖炉の前で寝そべる俺たち至福の時を過ごしていた。
あ、暖炉の前にいるのは俺とタマさんだけね。 ハナはー……あ、結局名前はハナにしました。 どうもシンプルな名前が好みのようです。 長い名前がお気に召さなかったのは決して俺のセンスがあれじゃないってことだ!
……でそのハナなんだけど、なぜか庭を元気に走り回って……というか地面をもりもり掘り返している。
あの長い牙は地面を掘るようなのかな? 地面にいる虫でも食ってるんかしらねー。
まあ楽しそうでなによりです。
「でもやっぱ3人だと広すぎるよね、使ってない部屋がほとんどだし」
分かっていたけどやっぱむっちゃ広いんだよね。
俺たち3人だけだとこの一番広い部屋ですら使い切れてない感じだもん。
2階の部屋なんてほぼノータッチですよノータッチ。
「呼んでパーティするんじゃなかったのかニャ?」
タマさんめ、痛いところを突いてきおる。
「やー……もし呼んで来てくれなかったらと思うと怖くてねえ」
「待ってても来ないニャー。 呼ぶならさっさと呼ぶニャ」
「おー……覚悟決めて呼びますかねえ」
いやー、ほらね? 呼んだはいいけど断られたりとかそういう可能性を考えるとちょっと勇気がですね。
なのでゴリさん達から何かアプローチあるまで待っていたんだけど……やっぱそれじゃダッメだよね。
ってことで覚悟決めて誘いにいこうじゃないの。 当たって砕けろだー!
「ウッドの家でパーティ?」
まずはゴリさんだ!
いきなりリタさんはハードルが高いんです、はい。
「ええ、せっかく家買ったんで……ゴリさんよかったらどうですか?」
「おう、いいぜ。 …………飯はお前が作るのか?」
よっしゃ! ……ん? ご飯?
「え、はい。 俺とタマさんと一緒に作ろうかなと」
やっぱ歓迎する側だし、作らないとだよね。
タマさんにまかせっぱなしてのもあれだし……あれ? ゴリさん変顔してどうしたんデス?
「……酒の飲みすぎで腹の調子がだな」
「ゴリさんっ!?」
ひどいっ!?
あなたお酒でどうこうなるお腹じゃないでしょー!
もー……俺が作るからってひどいぞゴリさん。
……でもよく考えたら俺料理出来ないじゃん、タマさんにお願いするしかないじゃん。
それってさすがにまずくね? え、どうしよう。
「ウッドさんの家で……BBQですか? いま冬ですよ……」
「そうなんですけどね」
えー、悩んだ結果というかタマさんとゴリさん達と相談した結果BBQやろうぜって話になりました。
冬なんですけどね。
「ゴリさんが多少の寒さなんてどってことないだろう、と……」
ゴリさん曰く、高レベルのダンジョンシーカーならただの冬の寒さなんて屁でもないと……いやまあ実際俺もそんな寒いと感じたことないしね。
暖炉の前は温くて気持ちいいから居るだけで寒いからという訳じゃない。
「それはそうですが……良いでしょう、私も参加します」
「やたっ」
んで、やはりと言うかなんと言うか、リタさんも高レベルのダンジョンシーカーに分類されるようである。
元が付くんだろうけどね。 引退して受付やってるんでしょう、たぶん。
さてさてリタさんのOKも貰ったし、あとは用意するだけだね。
いやー楽しみですね、BBQの後はお泊り会とかなっちゃうんだろうか。 ぐふふ。
んで、皆と約束してから翌日のこと、俺は揃えた食材の確認を行っていた。
皆いっぱい食うからね、食材だけはたっぷり用意しないとだ。
「お肉用意してー、魚介類と野菜も用意してー、果物たっぷりと……あと何いるかなあ」
「野菜いらんニャ」
「タマさん以外も食べるからねえ……いや、ハナの尻尾はいいからね?」
野菜はお肉ほどじゃないけど食べるしね。
てかハナよ、尻尾の肉は出さなくていいんじゃよ? そんないる?って目で見られても困る……。
「あとは…………酒か」
「ニャ」
残るは酒だ。
……100Lじゃ絶対足らないんだよね。
いったいどれだけ用意すればいいのやら……嫌な予感するけどとりあえず酒屋いくべか。
「すまねえなあ、この間ギルドに大量に入荷して在庫がそれしかねえんだわ。 次の入荷もまだ何時になるか分からなくてなあ」
やっぱりかー!
くそう、そうだよギルドでお酒入荷待ちなってたじゃん!
そりゃ在庫少ないに決まってるよねー!
「そうですか……とりあえずこれ全部買います」
とりあえず全部買ったけど絶対足らないこれ……。
「酒が……酒が足らない」
あかん、BBQ誘っておいて酒が足らないとか暴動が起きかねないぞ!
でも酒屋にはもうお酒残ってないし、入荷待ちなってるし……どうしよう。
「ニャ」
ふいに肩に肉球が!
タマさんどうしたの?
「別にこの街でそろえなくてもいいニャ。 隣街いくニャー」
「……それもそうだ!」
おうふ。
どうやら家に招待するってことで色々てんぱってたらしい。
ここにお酒が無ければ他所から持ってくればいいじゃない、なのだ!
「よっし、行こう行こう。 今からいけば明日には間に合うよね?」
「余裕ニャー」
そうと決まればさっそく行くっきゃない!
BBQは何せ明日なのだ、急いでお酒を買って戻らないと……そう思い俺とタマさんは隣街へと全力ダッシュで向かうのであったが……。
「どうしてこうなった……」
「どうか、どうかお願い致します!! 何卒お力をお貸し頂けないでしょうか!!」
向かった先で酒をしこたま買い、さあ帰ろうかといったところでなんかものすっごいお願いされる羽目になった……。
なんでや。
人それぞれだろうけど俺たちが選んだのはひたすらゴロゴロとだらけて過ごす、であった。
「あー……やっぱ買ってよかった」
時期はまだ冬である。
暖炉で薪がいい感じに燃えて部屋を暖め、暖炉の前で寝そべる俺たち至福の時を過ごしていた。
あ、暖炉の前にいるのは俺とタマさんだけね。 ハナはー……あ、結局名前はハナにしました。 どうもシンプルな名前が好みのようです。 長い名前がお気に召さなかったのは決して俺のセンスがあれじゃないってことだ!
……でそのハナなんだけど、なぜか庭を元気に走り回って……というか地面をもりもり掘り返している。
あの長い牙は地面を掘るようなのかな? 地面にいる虫でも食ってるんかしらねー。
まあ楽しそうでなによりです。
「でもやっぱ3人だと広すぎるよね、使ってない部屋がほとんどだし」
分かっていたけどやっぱむっちゃ広いんだよね。
俺たち3人だけだとこの一番広い部屋ですら使い切れてない感じだもん。
2階の部屋なんてほぼノータッチですよノータッチ。
「呼んでパーティするんじゃなかったのかニャ?」
タマさんめ、痛いところを突いてきおる。
「やー……もし呼んで来てくれなかったらと思うと怖くてねえ」
「待ってても来ないニャー。 呼ぶならさっさと呼ぶニャ」
「おー……覚悟決めて呼びますかねえ」
いやー、ほらね? 呼んだはいいけど断られたりとかそういう可能性を考えるとちょっと勇気がですね。
なのでゴリさん達から何かアプローチあるまで待っていたんだけど……やっぱそれじゃダッメだよね。
ってことで覚悟決めて誘いにいこうじゃないの。 当たって砕けろだー!
「ウッドの家でパーティ?」
まずはゴリさんだ!
いきなりリタさんはハードルが高いんです、はい。
「ええ、せっかく家買ったんで……ゴリさんよかったらどうですか?」
「おう、いいぜ。 …………飯はお前が作るのか?」
よっしゃ! ……ん? ご飯?
「え、はい。 俺とタマさんと一緒に作ろうかなと」
やっぱ歓迎する側だし、作らないとだよね。
タマさんにまかせっぱなしてのもあれだし……あれ? ゴリさん変顔してどうしたんデス?
「……酒の飲みすぎで腹の調子がだな」
「ゴリさんっ!?」
ひどいっ!?
あなたお酒でどうこうなるお腹じゃないでしょー!
もー……俺が作るからってひどいぞゴリさん。
……でもよく考えたら俺料理出来ないじゃん、タマさんにお願いするしかないじゃん。
それってさすがにまずくね? え、どうしよう。
「ウッドさんの家で……BBQですか? いま冬ですよ……」
「そうなんですけどね」
えー、悩んだ結果というかタマさんとゴリさん達と相談した結果BBQやろうぜって話になりました。
冬なんですけどね。
「ゴリさんが多少の寒さなんてどってことないだろう、と……」
ゴリさん曰く、高レベルのダンジョンシーカーならただの冬の寒さなんて屁でもないと……いやまあ実際俺もそんな寒いと感じたことないしね。
暖炉の前は温くて気持ちいいから居るだけで寒いからという訳じゃない。
「それはそうですが……良いでしょう、私も参加します」
「やたっ」
んで、やはりと言うかなんと言うか、リタさんも高レベルのダンジョンシーカーに分類されるようである。
元が付くんだろうけどね。 引退して受付やってるんでしょう、たぶん。
さてさてリタさんのOKも貰ったし、あとは用意するだけだね。
いやー楽しみですね、BBQの後はお泊り会とかなっちゃうんだろうか。 ぐふふ。
んで、皆と約束してから翌日のこと、俺は揃えた食材の確認を行っていた。
皆いっぱい食うからね、食材だけはたっぷり用意しないとだ。
「お肉用意してー、魚介類と野菜も用意してー、果物たっぷりと……あと何いるかなあ」
「野菜いらんニャ」
「タマさん以外も食べるからねえ……いや、ハナの尻尾はいいからね?」
野菜はお肉ほどじゃないけど食べるしね。
てかハナよ、尻尾の肉は出さなくていいんじゃよ? そんないる?って目で見られても困る……。
「あとは…………酒か」
「ニャ」
残るは酒だ。
……100Lじゃ絶対足らないんだよね。
いったいどれだけ用意すればいいのやら……嫌な予感するけどとりあえず酒屋いくべか。
「すまねえなあ、この間ギルドに大量に入荷して在庫がそれしかねえんだわ。 次の入荷もまだ何時になるか分からなくてなあ」
やっぱりかー!
くそう、そうだよギルドでお酒入荷待ちなってたじゃん!
そりゃ在庫少ないに決まってるよねー!
「そうですか……とりあえずこれ全部買います」
とりあえず全部買ったけど絶対足らないこれ……。
「酒が……酒が足らない」
あかん、BBQ誘っておいて酒が足らないとか暴動が起きかねないぞ!
でも酒屋にはもうお酒残ってないし、入荷待ちなってるし……どうしよう。
「ニャ」
ふいに肩に肉球が!
タマさんどうしたの?
「別にこの街でそろえなくてもいいニャ。 隣街いくニャー」
「……それもそうだ!」
おうふ。
どうやら家に招待するってことで色々てんぱってたらしい。
ここにお酒が無ければ他所から持ってくればいいじゃない、なのだ!
「よっし、行こう行こう。 今からいけば明日には間に合うよね?」
「余裕ニャー」
そうと決まればさっそく行くっきゃない!
BBQは何せ明日なのだ、急いでお酒を買って戻らないと……そう思い俺とタマさんは隣街へと全力ダッシュで向かうのであったが……。
「どうしてこうなった……」
「どうか、どうかお願い致します!! 何卒お力をお貸し頂けないでしょうか!!」
向かった先で酒をしこたま買い、さあ帰ろうかといったところでなんかものすっごいお願いされる羽目になった……。
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