拝啓神様。転生場所間違えたでしょ。転生したら木にめり込んで…てか半身が木になってるんですけど!?あでも意外とスペック高くて何とかなりそうです

熊ごろう

文字の大きさ
120 / 156
生を受けた理由

「119話」

しおりを挟む
10分後、全てを吸収しきった俺は死んだ目をして地面に横たわっていた。
もう無理ぃ。

「大丈夫か? かなり消耗してそうだが」

「体は平気っす……でも心がずたぼろになりました。誰か慰めてください」

何が悲しゅうてあんな光景を見続けれなきゃいかんのだ。
癒しを所望するのです! ぷりーず!ぎぶみー!

「それはタマさんに頼んでくれ」

ゴリさんが冷たい。

「これで全部なのかなー?」

「あー……ちょっと待っててください」

残ってたら大変だもんね。
たぶんこれ以上増えることは無いと思うけど、1体残ってるだけでも触手の被害者が出るわけで、見逃すわけにはいかない。

とりあえず根っこをはわせて周辺に残っていないかを探ろう。


「……たぶんこれで終わりですね」

うん、周辺には居ないっぽい。
……もっと遠くに行ってる可能性もあるけど、ちょっとさすがにそれは探しきれない。
行ってないことを祈るしかないね。

「そうか……なんというか……本当、すまん」

「いえ……長い人生こんなこともありますよ」

まあ、一度ぐらいはね? こんなハプニングあっても……まあ、うん。
二度は絶対ごめんだけどねっ。


「ねーねーウッドくん」

「なんでしょう……」

なんだろう。
嫌な予感がすごくするのですが……カールさん何言いだすか分からないから怖いんだよなあ。

「ウッドくんってウッドくん生やせるのー?」

「えぇ……」

どういうことなの。
いや、言ってることはわかるんですけどね。


「ちゃんと制御出来るのなら便利そうではあるからなあ」

「ニャ」

「あーうー……うー? それじゃ試しにやってみます?」

便利そう……? いきなり目の前の人を脱がしにかかる未来しか見えないけど。
タマさんもゴリさんもそう思ているっぽいしー……しゃーない試しにやってみるかね。

出るかわからんけども。

「んー……とりあえずさっきの奴、もっかい出てこいー」

「うわー」

「むぅ」

おう、でたでた。
見た目やばばばだけどね。さっきの吸収したやつを逆再生してるみたいだ。

んー……しかしあれだ。

「やっぱまっ裸か……ってちょい待てえっ!?」

やっぱ裸なんだよね……まあしょうがないのだけどさー……って待てい! どこに行くつもりー……も何も目の前に居る人の服剥ぎにいったあ!

「ふん!」

ゴリさんやめて!
首折れちゃうぅ!

「制御出来てないな。 ウッド、今はどうやって作ったんだ?」

あー……首ブラブラしてるけど……気絶してるだけか、生きてる。せーふせーふ。

……ん? どう作ったってそりゃー……。

「どうって……さっきの奴出てこーいってやっただけで……あ」

だからか。
さっきの奴を出したから服剥ぎにいったのか。

「じゃあ次は別のを出すようにしてみてくれ」

「うっす……じゃあその場で待機で」

んじゃ次のを出してみよう。

とりあえず気絶した分体は吸っちゃってと……よし、次の出てこーいっ。
動くと面倒だからその場で待機な!

「ほう、今度は動かんな」

「ですね……これもしかして本当に突っ立ってるだけ? おーい、ちょっと動いてみてー?」

とりあえず動かない奴が出てきました。
出てきたんだけどー……ずっち突っ立ってる奴を出してどーすんだってお話しで。
呼びかけても突いて見ても何の反応すら示さない。あかん。

「これじゃだめっぽいなー」

んまあ、出す奴を変えられるってことは分かったし、あとは試行錯誤ながら色々試してみるしかないかなあ。



ってなわけで色々試してみること1時間ほど。
この分体について大体分かってきたよ。

「んー……かなり消費するけど、これでどうかな?」

人間に近づければ近づけるほど、作ったときの消耗が激しくなる。
理想としては俺と同じように考え、判断することが出来れば良いのだけど、そこまでやろうとすると消耗云々じゃなくて作ることすら出来なくなった。
何かしらの制限があるっぽいね。

消耗の具合を見て、何とかまともに運用できるレベルに落ち着いたのが、簡単な指示を出せばある程度自分で判断して、その指示を達成するってレベルであった。

「とりあえずこっち付いてきて」

そう声をかけると分体は俺の後をついてくる。

「じゃー……どうしよっかな。 ……じゃ、あっち方面に20km以内にモンスターいないか探してきて? 1時間立って見つからなかったら戻ってくること、もし捕まえられそうなら捕まえてきてね。 あ、絶対人は襲わないように」

ざっくりと指示を出すと分体は駆けだした……あ、やべ服着せてない。

……ま、まあ他に人も居なさそうだし大丈夫でしょっ。



あ、そうそう分体の強さだけどね、これも強くしようとすればするだけ消耗が激しくなる。
んでこっちも制限があるっぽくて、大体俺のレベルの8割ぐらいまでしか強くならないっぽい。

なので大体50ちょいって感じかな?
試してないけど、敵を吸って回復しながら戦えって指示したら、オーガの群れとかでも普通にやれると思う。

複数用意すれば結構使えそうな気がするね。

「ちゃんと行ったっぽいねー?」

「そうだな」

「あとは指示通り動いてくれるかだけどねえ」

一応さっき試した感じは指示通り動いてくれてはいた。
あとは俺から離れたらどうなるかってとこだね……とりあえず根っこはわせて分体を追跡してっと。
これで万が一逃げられてもすぐ追いかけられる。

んじゃ、戻ってくるまで休憩しますかね。
タマさん、お腹かしておくれー。
しおりを挟む
感想 171

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~

御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。 十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。 剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。 十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。 紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。 十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。 自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。 その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。 ※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。

気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした

高坂ナツキ
ファンタジー
衝撃を受けた途端、俺は美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生していた!? これは、自分が制作にかかわっていた美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生した主人公が、報われないサブヒロインを救うために人生を賭ける話。 日常あり、恋愛あり、ダンジョンあり、戦闘あり、料理ありの何でもありの話となっています。

おばさん冒険者、職場復帰する

神田柊子
ファンタジー
アリス(43)は『完全防御の魔女』と呼ばれたA級冒険者。 子育て(子どもの修行)のために母子ふたりで旅をしていたけれど、子どもが父親の元で暮らすことになった。 ひとりになったアリスは、拠点にしていた街に五年ぶりに帰ってくる。 さっそくギルドに顔を出すと昔馴染みのギルドマスターから、ギルド職員のリーナを弟子にしてほしいと頼まれる……。 生活力は低め、戦闘力は高めなアリスおばさんの冒険譚。 ----- 剣と魔法の西洋風異世界。転移・転生なし。三人称。 一話ごとで一区切りの、連作短編(の予定)。 ----- ※小説家になろう様にも掲載中。

才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!

にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。 そう、ノエールは転生者だったのだ。 そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

転生したら鎧だった〜リビングアーマーになったけど弱すぎるので、ダンジョンをさまよってパーツを集め最強を目指します

三門鉄狼
ファンタジー
目覚めると、リビングアーマーだった。 身体は鎧、中身はなし。しかもレベルは1で超弱い。 そんな状態でダンジョンに迷い込んでしまったから、なんとか生き残らないと! これは、いつか英雄になるかもしれない、さまよう鎧の冒険譚。 ※小説家になろう、カクヨム、待ラノ、ノベルアップ+、NOVEL DAYS、ラノベストリート、アルファポリス、ノベリズムで掲載しています。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

処理中です...