拝啓神様。転生場所間違えたでしょ。転生したら木にめり込んで…てか半身が木になってるんですけど!?あでも意外とスペック高くて何とかなりそうです

熊ごろう

文字の大きさ
128 / 156
生を受けた理由

「127話」

しおりを挟む
「そう言うことか……分かったよ。 ま、たまに気が向いたら果物分けて貰えるとありがたい、勿論お礼はするからさ」

「ええ、たまにであればオッケーすよ」

分かってくれたらしい。
でもやっぱもっと食べたいには食べたいらしく、気が向いたら分けて欲しいとのことだ。
それぐらいであれば問題ないだろうし、とりあえずオッケーと答えておく。


さて、ご飯を食べたらあとは見張りをするか休むかなんだけど……今日はずっと起きてよーかなと思う。

今日は走っただけだからそんなに疲れていないし、それにレベルが上がった今では多少徹夜しようが体に影響はほとんどない。

あー、でも万が一に備えて桃は食べておこうかな。
索敵するのに広範囲に根っこ這わしているし、多少吸っても……ああ、遠くにいる敵から吸えばいいか。太めの根っこを用意するのがちと面倒いけど、それだけだ。



幸いというか単独でいる敵が索敵の範囲内にちょこちょこ居るし、こいつらから吸ってしまおう。

ぐさっと。ずぞぞぞっとな。


……これやられる方からしたらたまったもんじゃないよね。
急に地面から根っこばっさぁー出て来て、絡みつかれたと思ったら挿されて吸われるとかさ、ホラーですわ。

ごちそうさまでした。


「んー、やっぱこの桃おいしい……タマさんそろそろ寝る?」

「にゃあ」

出来たて採れたての桃をもしゃもしゃ食べる。うまし。

タマさんが桃に反応しないなーと見てみると、眠くなってきたのか目をしぱしぱしていた。

タマさんって眠いときすっごい猫っぽくなるんだよね。
何というか幸せです。


っと、寝るなら寝床用意しないとね。
膝の上でもいいけど、トイレに行きたくなった時が悲惨だから……。

「ほいほい。 ……おし、どうぞ」

蔦を伸ばして籠を作る。ついでにふわふわな葉をにょきにょきと生やして、そこに毛布をフワッとかければ特製ベッドの完成である。

これならトイレの心配もないし、毛布越しにタマさんのモフモフ感を堪能できる。我ながら素晴らしいものを思いついたもんだ。

「また器用なことしてんな、お前」

「この体にも大分慣れましたからねえ……」

やろうと思えば大抵のことは出来ちゃう気がする。
家なんかも作れるんじゃないかな? そんな家に住みたいかと聞かれれば、答えはいいえなので作ったりはしないけど。


っと、それよりタマさんですよ、タマさん。

毛布を籠にひくと、のそのそとタマさんが入り込み、そしてごろんと寝転がる。
俺は流れるような動きでスッと櫛を取り出すとタマさんの毛をすいて、そっと上から追加で毛布を掛ける。

タマさん、猫と同じようにぴったり収まるサイズが好みらしく、俺の対猫センサーで収集した情報を元に作られた籠はタマさんがすっぽり収まるサイズとなっている。

籠いっぱいにモフモフがみっちり詰まっているのはやばい。
思わず顔を埋めて深呼吸したくなる。


「地面に寝ると腰とか痛くなるんで…………皆さんのも後で用意しましょうか?」

「お、おう……」


皆さんのも用意しましょうか?と顔を向けたらなんかゴリさんが引いた顔してた。


どうやらすっごいにやけた顔をしていたらしい。ごめんて。



「それじゃ俺たち寝るから見張り頼むわ」

「うぃっす」

数名の見張りを残して他はそろそろ寝るらしい。

俺は見張り組だね。
興奮して寝られる気がしない。

「すげぇなこれ……ベッドみてえだ」

あ、そうそうさっきの特製ベッドはちゃんと人数分用意したよ。タマさんみたいに籠……ではなく、きっちりベッドの形をしたやつね。

ものすっごい物欲しそうな目で見られたからねえ……別にそんな見なくてもちゃんと用意したのにねー。


野郎の感触とか楽しみたくはないので、きっちり蔦は切り離してある。ご安心めされよ。
女性もいるっちゃいるけど、俺そこまで変態じゃねーですし。


とまあ、そんな感じで見張りをしてた訳だけど……。

「ちょっとトイレに」

「おう」

尿意さんが襲ってきた。

やっぱ尿意は我慢できないのです。
ゴリさんに一言断って、皆から少し離れたところでトイレをすませよう。


「ほぁぁぁ…………おう?」

俺の根っこセンサーが何かを捉えた。
最初はぷるぷるしてる俺の体の振動かと思ったけど、そうじゃない……これは――


「……」

ぷすーと寝息を立てるタマさんにジリジリと近付く人影。
それはタマさんの元へとたどり着くと、じっとタマさんの寝姿を見つめ……すっとおもむろに手を伸ばす。

伸ばされた手は頬に触れ、静かに沈み込んでいく――




「寝てるところを触るのは頂けないでありますなあ?」

「なっ」


――なんか口調おかしくなった。

ケモナーの魔の手からタマさんを守るべく、手を洗う間も惜しみダッシュでタマさんの元へと向かった俺。
間一髪のところで手とタマさんの間に顔を滑り込ませることに成功していたのだ。

なんで顔って? なんとなくだよ!
てか絵面がシュールだなこれ。


まあそれはさておき。
このケモナーさんをどうするか……。
こっちむっちゃ見てるし。睨んでる訳じゃ無いけどむっちゃみてる。

タマさんに触れようとしたことはー……まあ、寝ているタマさんは可愛いから気持ちは分からんでもない。
かと言ってそれを許すって訳にはいかん。


人の相方になにしとんじゃーってのと、猫好きとして睡眠の邪魔するのは許せんっ。


とは言ったもののどうするか……肉体言語はさすがにね? 下手すると負けますしー。
ここはあれだ、猫好きにぐさっといく方向で攻めてみよう。



「寝てるところを触ると嫌われますよ?」

「……ぐすっ」

効果は抜群だっ!

「え、あ、ちょ……まじっ!?」

まじすか。
まさか泣くとは思わんかったぞっ!?

「あー……俺ちょっと席外すな…………ウッド?」

そばでその様子を迷惑そうに見ていたゴリさんだったが、ケモナーさんが泣き始めたのを見てすっと席を立つ。
だがその時にはもうゴリさんの足に俺の腕が絡みついているのであった。

「ゴリさんどこ行くんです?」

逃がさん。
逃がさないよ?

「いや、俺が、いたら、邪魔……だろ。 くそっ、お前なんでそんな力強い……てめぇっ桃食いやがったな!」

「離さない!この手は絶対離さないからねっ! 俺を一人にするなんて絶対許さないんだから!?」

備えあれば嬉しいなってなあ!
なんか違うけど気にしちゃダメです。

逃げようとしたゴリさんの足にしがみついた俺は全力で止めに掛かっている。
本当ならゴリさんの方がずっと力は上だけど、俺はさっき桃食べたからゴリさんも引き剥がすのに苦労している。
それに――


「は、離せっやめろぉ! 触手を這わすんじゃねえ!」

――俺にはこれがある。

もうね、ゴリさんの足にすがりつくようにガシッと掴んだ男からさ、触手がわさぁって生えてゴリさんに向かっていくの。ホラーですね、ホラー。

逃がさないよ。
しおりを挟む
感想 171

あなたにおすすめの小説

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中に呆然と佇んでいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出したのだ。前世、日本伝統が子供の頃から大好きで、小中高大共に伝統に関わるクラブや学部に入り、卒業後はお世話になった大学教授の秘書となり、伝統のために毎日走り回っていたが、旅先の講演の合間、教授と2人で歩道を歩いていると、暴走車が突っ込んできたので、彼女は教授を助けるも、そのまま跳ね飛ばされてしまい、死を迎えてしまう。 享年は25歳。 周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっている。 25歳の精神だからこそ、これが何を意味しているのかに気づき、ショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした

渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞! 2024/02/21(水)1巻発売! 2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!) 2024/12/16(月)3巻発売! 2025/04/14(月)4巻発売! 応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!! 刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました! 旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』 ===== 車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。 そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。 女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。 それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。 ※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

転生したら鎧だった〜リビングアーマーになったけど弱すぎるので、ダンジョンをさまよってパーツを集め最強を目指します

三門鉄狼
ファンタジー
目覚めると、リビングアーマーだった。 身体は鎧、中身はなし。しかもレベルは1で超弱い。 そんな状態でダンジョンに迷い込んでしまったから、なんとか生き残らないと! これは、いつか英雄になるかもしれない、さまよう鎧の冒険譚。 ※小説家になろう、カクヨム、待ラノ、ノベルアップ+、NOVEL DAYS、ラノベストリート、アルファポリス、ノベリズムで掲載しています。

処理中です...