家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう

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「24話」

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何だかんだであっという間に3週間経っていた。

これで若返りのポーションの効果はきっちり出ているはずである。
なので明日からクロもダンジョン攻略を再開する事になる。


明日に備えてと言うことで、今日は1日家の中で過ごすことにした。

まあ、ゆっくりするだけならダンジョン内でも良かったんだけどね。 ダンジョンに持ち込んだ毛布とか洗濯したかったし、丁度良いタイミングだから一度引き上げる事にしたのである。


午前中は洗濯したり、おざなりになってた家の掃除なんかをして過ごしていた。


午後は日課となった筋トレをしながらテレビを見てたりする。

もうちょっとしたら夕飯の買い出し行こうかな? ここ3週間は手抜きなど料理ばかりだったので、今日はまともに作ろうかなーなんて考えてる。


あ、そうそうこの3週間筋トレを続けた訳だけど、かなり筋肉ついたよ。
服の上からでも体全体に筋肉ついているなーって分かるぐらいだ。

良い感じで脂肪が落ちているので、腹筋が割れているのは当然として、上から下まで全体的に筋肉ついてマッチョぽくなってる。

ボディビルダー見たいに、とはさすがに行かないれど、何かスポーツやってるんだろうなーぐらいの肉体にはなってると思う。



「ポーション切れたー」

それもこれもポーションのお陰である。
もうこれ無しじゃ生きていけない……本日3本目のポーションを飲もうと手を伸ばした時であった。

不意に家の電話がなる。


「ん、電話だ……はい、島津ですー」

誰だろ。
何となくじいちゃんかなーって気はするけど。

前に会ってから1ヶ月以上経ってるしね。



「おう、康平か」

「あ、じいちゃんおひさしー」

電話を掛けてきたのは予想通りじいちゃんであった。

「元気しとったか?」

「うん、元気元気」

俺もクロも超元気です。

クロは若返って体力戻ったからか、起きている時は常に何かしら体動かしているよ。

じいちゃん、久しぶりに見たらクロがすごいアグレッシブになっててビックリするんでないかな?

「なら良かったわい。 ところでこの後時間あるか? 長いも収穫したでな、持ってっちゃるわい」

「おお! ありがとじいちゃん! そっか、もう収穫時期かー」

「今年のも中々出来は良いでな、うまいぞ」

「長いも美味しいもんねー」


長いもやったー!

じいちゃんの家って色々育ててるらしく、旬な野菜を結構頂けちゃったりするのだ。

さすがに真冬は無理だけどね。

「それじゃちょいと準備して向かうでな、ついたら15時ぐらいだなあ」

「分かった、その時間に家に居るねー」

「おう、それじゃまた後でな」

「またねー」


15時ね、今の時間は14時前と。

「長いも長いも。 麦飯と牛タン、高菜漬けかな……よっし、まだ時間あるし買い物してこよう」

今日の夕飯は決まった!
トロロご飯と牛タンで豪勢に行っちゃおう。

この前ご馳走して貰っちゃったし、今日は俺がご飯用意しよう。
牛タンはじいちゃんもばあちゃんも好きだから、たぶん喜んでくれると思う。




ちょっと良い牛タン買っちゃった。

「18時にセットしてっと……」

麦飯……と言っても普通のご飯にちょっと麦混ぜただけだけど、スイッチ入れて準備万端である。
あとはトロロすって牛タン焼くだけである。

「お、来たかな」

そうこうしている内に15時になっていたらしい。
玄関のチャイムが鳴る。

「じいちゃん、ばあちゃんいらっしゃいー」

「おう、これ長いもな……こ、康平?」

「あらあら、まー」

「おー、いっぱいだー……ん?」

ダンボールにどさっと入った長いもに感動していると、何やらじいちゃんとばあちゃんがこっちみて驚いているのに気が付いた。

「お前少し見ない間にずいぶんガタイ良くなったなあ」

ああー。
そうだった。

「あー、筋トレ始めたんだ。結構頑張ったんだよー……ほら、上がって上がって。 お茶出すから座っててー」

「お、おう……」

とりあえず筋トレ頑張ったで誤魔化しておこう。
まあ、ずるしているけど頑張ったのは確かだし。

「はい、お茶~」

「お、すまんな」

「ありがとねぇ」

「しかし、なんでまた急に筋トレを?」

お茶をずずずっと飲んで一息つくとじいちゃんがそうたずねてきた。

どうすんべ、ダンジョン潜るためですーなんて馬鹿正直言うわけにはいかんし。
なんかそれっぽい理由で誤魔化しておくべ。

すまぬじいちゃん。

「んー、卒業して時間あるし。それにほら、農業って結構力仕事って聞いたからさー」

「……おう、そうかそうか。 確かにかなり力いるからなあ。 うんうん、そうかそうか!」

Oh、じいちゃん何かすっごい嬉しそうで申し訳なさが半端ないんだけど。

いや……そのうち手伝うつもりだったし!嘘じゃないからセーフセーフ!






「あ、せっかくだからご飯食べていきなよー。 実はもう買ってきちゃったし」

話している内に結構いい時間になってた。
帰ると言い出す前にご飯に誘ってしまおう。

「おう、すまんなあ。 せっかくだしお呼ばれするかあ」

「ありがとねえ、何か手伝えることあるかい?」

「んー、トロロも作るから味付け手伝ってほしいかなー? ちょっと不安なんだ」

「ほいほい」

長いもするぐらいなら問題ないんだけどね、味付けに不安がある。
せっかくの長いもだし美味しく食べたいもんねー。

ってことでばあちゃんと夕飯の用意をするのです。


じいちゃんはクロを抱えて不思議そうにしてた。
たぶん肉付き良くなったからだろう、前は本当にガリガリだったしね。てかクロ、じいちゃんばあちゃんの前だと大人しいな!


ポーションかー……いずれはじいちゃんばあちゃんにも飲ませたいね。
こっそり何かに混ぜて……は色がやばすぎて絶対ばれるからなあ。

ダンジョンが早いとこ広まってくれるのを待つしかないかな、アマツもダンジョン移動するつもりらしいし、その内ニュースになるんじゃないだろうか。




「うまうま」

トロロ美味しい。

牛タンも美味しいし高菜も美味しい。
ばあちゃんが長いも千切りにして出してくれたけど、これもポン酢とかつけて食べると美味しい。

ようはすごくご飯が進みます。

3人だし多いほうが良いかと5合炊いたけど、全部なくなった。
主に食ったの俺だけどな!

「多いと思ったが全部売れたなあ」

「筋トレ始めたらお腹空くようになっちゃってねえ」

ポーションは傷を治したりスタミナとか回復してくれるけど、その分やたらとお腹がすくんだよね。
特に筋トレはじめてからは食欲がやばい。お肉おいしいです。

こんなに食ったら太りそうなもんだけど、日々の狩りと筋トレきっちり消費しているから脂肪は減る一方だ。
ふふふ。






ご飯を食べて休憩したところでじいちゃんがそろそろ帰ると言い出したんだけどー……。

「さて、それじゃあまり遅くなっちゃ悪いからな。 ここらでお暇す……あたたっ」

「大丈夫? 腰痛めたの?」

「収穫するときにちょっとなあ……」

立ち上がろうとした時に腰に痛みがきたらしい。
農業って作業によってはかなり腰に来るらしいからなあ、じいちゃんも結構な年だし辛くなってきているのだろう。


「ありゃー……湿布いる?」

ポーションあげたいところだけど、そのまま渡すのはさすがに不味い。

なので湿布に染み込ませて渡そうかと思ったのだけど。


「いや、もう貼ってあるでな、大丈夫だ」

「あ、貼ってあったのね」

もう貼ってあったらしい……。



立ち上がってしばらくすると腰が落ち着いたらしく、結局じいちゃんばあちゃんはそのまま帰ることになった。

「それじゃまたねー。 長いもありがとー」

そう笑顔で手を振り見送る俺であるが、心の中ではかなり葛藤している。

怪我も病気も若返りも全部のポーションを渡して飲んでもらいたいが、このタイミングで渡すと出所とか聞かれるよね? 開発中の新薬です……じゃたぶん誤魔化せないし、なんでお前が持ってるんだーって話になっちゃう。

こっそり飲ますのも色がどぎついので無理だ。

腰についてはやっぱり湿布に染み込ませて……いや、でもよく考えたら湿布でも怪我一瞬で治るよな。ダメじゃん。





うーんうーん……どうしよう。

「と、言う訳なんだけど」

「ふむふむ」

翌朝、俺はクロにちょっと用事を済ませてくると言い、アマツに昨晩の出来事を相談していた。


俺の頭じゃろくな案なんぞ出てくるわけもなく。
もう神頼みならぬダンマス頼りである。

「ダンジョン増えるならいずれポーションは出回ると思うんだ。 でもそれより前にじいちゃんの腰治してあげたくて……何かいい方法ないかなーと」

「良いよ。 猫用装備作り終わってまた暇になっちゃったからね。 何か適当に見繕っておくね」

「ありがとうございます!」

おお、あっさり許可貰えた!
ありがてえ、ありがてえ。

って、また暇になったんかこの人。


「ダンジョンの場所もっと目立つところにしようかな。 ちょっと移動してみたんだけどダメだったみたいでねえ」

「ありゃ……この際かなり目立つところでも良いんじゃないですか? 少なくても森とか山はやめたほうがいいかなーと」

ダンジョンはやっぱ攻略する人が存在してなんぼだと思うのですよ。

アマツは遠慮して邪魔にならない場所に置いているのかも知れないけど、もっと大胆にいっても良いと思うんだ。

「確かに。目立つところは……ま、それは追々考えよう」

俺の言葉にアマツも頷き何か考え込む仕草をするがすぐに止める。

「今日からクロと一緒に攻略するんだったね? 端末の中身はクロには見えないけれど買った装備はつける事が出来るよ。 良いのを選んであげるといい」


! そうだった、クロの装備買わないと!

いやー、楽しみだ。
一体どんな装備を用意してくれたんだろうね?

そうして俺はわくわくしながら端末を起動するのであった。
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