72 / 304
「72話」
しおりを挟む
小部屋から小部屋までの距離は大したことはない、せいぜい100mとかそこらである。
部屋前についた俺は、念のためポーションを飲み、鉈を抜いて確かめる……確かめると言っても、見たって何がわかるって話だけどさ、何となくだよ何となく。
もしかしたら刃こぼれとか有るかも知れないじゃん。
あったとしてもそのまま戦うんですけどねっ。
まあ、見た感じ特に何も異常はなかったので、右手に持ち直して、盾も構えておく。
さて、突入しようかな?と考えていると後ろから誰かが近づいてくる。
振り返ってみると、都丸さんだった。
手には何やら機械を持っている。
「これ付けてもらってもいいか?」
そう言って俺に差し出したのは小型のカメラだった。
都丸さんは都丸さんでカメラを手にしているので、俺視点と離れた位置からの視点、両方を映像として撮りたいようだ。ほかの隊員さんも持っているし、皆で撮るつもりだろうか?
俺は別につけるのは構わないけど、結構激しく動くつもりなので落としてしまうんじゃないか?と不安がある。
「カメラですか? ……落ちちゃうかもですけど、良いですか?」
「ああ、落ちても問題ない。壊れても構わんぞ」
落ちても良いらしい。
都丸さん達も撮るし、俺につける方は撮れたらいいなーぐらいの扱いなのかも知れない。
落ちても良いと言うのであれば問題はない。
一応しっかりと落ちないようにヘルメットに固定して……よし、やるか。
中にいるゴブリンは10匹。まずは手前にいる3体をやって、それ以降は流れでやろう。
「そう言うことなら……じゃ、行きますね」
そう都丸さんに言って、鉈と盾を構えて……ぐっと足に力を籠める。
靴についた特殊効果により、靴が滑る事はない。 籠めた力は余すことなく加速へと変換され、俺の体は弾丸の様にゴブリンへと向かい飛んでいく。
全力で振るった鉈は、まるで抵抗など無いかの様にゴブリンの首を通っていく。
一振りで攻撃できたの2体までだった。 俺は残りの1体に向かい、思いっきり蹴りを放つ。
頭が二つ宙に飛び、一つは爆ぜた。
この時点で漸く残りのゴブリンがこちらに反応し始める。
だが、その動きは俺と比べると酷く緩慢だ。
ゴブリン達が振り返った頃には頭がまた二つ宙に飛び、叩きつけた盾が上半身を砕く。
ここまで来てやっとゴブリンが攻撃をし始めた。
「ほっ」
一斉にこちらに飛び掛かってくるゴブリンを、俺は飛び上がる事で回避した。
体を反転させ天井に着地し顔を上げると、そこには一か所に固まるゴブリンの姿がある。
うん、まとまっていてやりやすい。
ここがスキルの使いどころだと思った俺は、迷わずスキルを発動する。
「土蜘蛛ォ!!」
天井を蹴り、その勢いでもって顕現した土蜘蛛の爪をゴブリン達に全力で叩きつけた。
この爪は巨大で、恐ろしいまでの重量感があるが、振るう分にはそれを感じる事はない。
ただ、叩きつけられる側としては、その見た目通りの重量物を叩きつけたダメージが発生するようだ。
この辺りはスキルの特殊性なのかも知れない。
当然そんな物を叩きつけられたゴブリンがタダ済むはずがない、砕け散った床と共にゴブリンだった物が辺りに飛び散った。
そう、床と共に飛び散ってしまった。
まさかここまで盛大に床に穴が開くとは思わなかった。
しかも思いっきり叩きつけたせいで、砕けた床が飛んでいく速度は恐ろしい事になっている。
破片は叩きつけた個所を中心に360度満遍なく飛んで行った……つまり、その先にはこちらを撮影している隊員さん達がいる訳で。
やべえ!大惨事だ……と思ったが、破片は隊員さんに当たる前に全て叩き落されていた。
俺の様子を見ていたクロがきっちりフォローしてくれていた。
クロ!まじでありがとう!!
やらかしたけど、しれーっと皆の元に戻る俺。
幸いなことに、彼らは破片が飛んでくる事に気が付いていなかったのか、特に非難されることは無かった……やべえやべえ。
俺の戦闘をみた彼らの反応は様々だ。
口をぽかーんと開けている者、目をキラキラしている者、ドン引きしている者、などなど。
化け物扱いされないよね? 大丈夫?
「うわぁ……」
「おい、撮れたか今の……?」
「っは! え、あ……一応撮れてはいますが」
「やばすぎいっ! まじで漫画みたいっすよ! 動き見えないとかぱねえ!」
「すっごいねー」
まあ、大丈夫そうかな。
こっちを見る目に恐怖心はあまり無さそうだ。
たぶんだけどね。
俺は隊員たちの横をすすすっと通り、こっちをじとーっと見てるクロの元へと向かった。
「クロ、防いでくれてありがとうね」
そうクロにお礼を言うと、クロはふんっと鼻を鳴らしてこっちをじーっと見てくる。
「チュ、チュール3本……」
分かってんだろうなー?おー? 見たいなその表情に、俺はとっさに指を3本立て、チュール3本と言ってしまう。
が、クロの表情は変わらない……た、足りぬと言うのか。
「……じゃ5本で」
結局指を4本、そして5本と増やしてやっとクロが満足そうに頷いた。
在庫合ったよな……? 無かったら帰った早々にスーパーにダッシュせにゃならんぞっ。
部屋前についた俺は、念のためポーションを飲み、鉈を抜いて確かめる……確かめると言っても、見たって何がわかるって話だけどさ、何となくだよ何となく。
もしかしたら刃こぼれとか有るかも知れないじゃん。
あったとしてもそのまま戦うんですけどねっ。
まあ、見た感じ特に何も異常はなかったので、右手に持ち直して、盾も構えておく。
さて、突入しようかな?と考えていると後ろから誰かが近づいてくる。
振り返ってみると、都丸さんだった。
手には何やら機械を持っている。
「これ付けてもらってもいいか?」
そう言って俺に差し出したのは小型のカメラだった。
都丸さんは都丸さんでカメラを手にしているので、俺視点と離れた位置からの視点、両方を映像として撮りたいようだ。ほかの隊員さんも持っているし、皆で撮るつもりだろうか?
俺は別につけるのは構わないけど、結構激しく動くつもりなので落としてしまうんじゃないか?と不安がある。
「カメラですか? ……落ちちゃうかもですけど、良いですか?」
「ああ、落ちても問題ない。壊れても構わんぞ」
落ちても良いらしい。
都丸さん達も撮るし、俺につける方は撮れたらいいなーぐらいの扱いなのかも知れない。
落ちても良いと言うのであれば問題はない。
一応しっかりと落ちないようにヘルメットに固定して……よし、やるか。
中にいるゴブリンは10匹。まずは手前にいる3体をやって、それ以降は流れでやろう。
「そう言うことなら……じゃ、行きますね」
そう都丸さんに言って、鉈と盾を構えて……ぐっと足に力を籠める。
靴についた特殊効果により、靴が滑る事はない。 籠めた力は余すことなく加速へと変換され、俺の体は弾丸の様にゴブリンへと向かい飛んでいく。
全力で振るった鉈は、まるで抵抗など無いかの様にゴブリンの首を通っていく。
一振りで攻撃できたの2体までだった。 俺は残りの1体に向かい、思いっきり蹴りを放つ。
頭が二つ宙に飛び、一つは爆ぜた。
この時点で漸く残りのゴブリンがこちらに反応し始める。
だが、その動きは俺と比べると酷く緩慢だ。
ゴブリン達が振り返った頃には頭がまた二つ宙に飛び、叩きつけた盾が上半身を砕く。
ここまで来てやっとゴブリンが攻撃をし始めた。
「ほっ」
一斉にこちらに飛び掛かってくるゴブリンを、俺は飛び上がる事で回避した。
体を反転させ天井に着地し顔を上げると、そこには一か所に固まるゴブリンの姿がある。
うん、まとまっていてやりやすい。
ここがスキルの使いどころだと思った俺は、迷わずスキルを発動する。
「土蜘蛛ォ!!」
天井を蹴り、その勢いでもって顕現した土蜘蛛の爪をゴブリン達に全力で叩きつけた。
この爪は巨大で、恐ろしいまでの重量感があるが、振るう分にはそれを感じる事はない。
ただ、叩きつけられる側としては、その見た目通りの重量物を叩きつけたダメージが発生するようだ。
この辺りはスキルの特殊性なのかも知れない。
当然そんな物を叩きつけられたゴブリンがタダ済むはずがない、砕け散った床と共にゴブリンだった物が辺りに飛び散った。
そう、床と共に飛び散ってしまった。
まさかここまで盛大に床に穴が開くとは思わなかった。
しかも思いっきり叩きつけたせいで、砕けた床が飛んでいく速度は恐ろしい事になっている。
破片は叩きつけた個所を中心に360度満遍なく飛んで行った……つまり、その先にはこちらを撮影している隊員さん達がいる訳で。
やべえ!大惨事だ……と思ったが、破片は隊員さんに当たる前に全て叩き落されていた。
俺の様子を見ていたクロがきっちりフォローしてくれていた。
クロ!まじでありがとう!!
やらかしたけど、しれーっと皆の元に戻る俺。
幸いなことに、彼らは破片が飛んでくる事に気が付いていなかったのか、特に非難されることは無かった……やべえやべえ。
俺の戦闘をみた彼らの反応は様々だ。
口をぽかーんと開けている者、目をキラキラしている者、ドン引きしている者、などなど。
化け物扱いされないよね? 大丈夫?
「うわぁ……」
「おい、撮れたか今の……?」
「っは! え、あ……一応撮れてはいますが」
「やばすぎいっ! まじで漫画みたいっすよ! 動き見えないとかぱねえ!」
「すっごいねー」
まあ、大丈夫そうかな。
こっちを見る目に恐怖心はあまり無さそうだ。
たぶんだけどね。
俺は隊員たちの横をすすすっと通り、こっちをじとーっと見てるクロの元へと向かった。
「クロ、防いでくれてありがとうね」
そうクロにお礼を言うと、クロはふんっと鼻を鳴らしてこっちをじーっと見てくる。
「チュ、チュール3本……」
分かってんだろうなー?おー? 見たいなその表情に、俺はとっさに指を3本立て、チュール3本と言ってしまう。
が、クロの表情は変わらない……た、足りぬと言うのか。
「……じゃ5本で」
結局指を4本、そして5本と増やしてやっとクロが満足そうに頷いた。
在庫合ったよな……? 無かったら帰った早々にスーパーにダッシュせにゃならんぞっ。
3
あなたにおすすめの小説
異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!
枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕
タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】
3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった
椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。
底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。
ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。
だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。
翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる