124 / 304
「124話」
しおりを挟む「事前に原稿もらったから大丈夫とは思うけど……」
まあ、なんか事前にこんなん話すぜって事で、原稿っぽいの貰ってたりはするから、特に問題は無いはずなんだけどね……。
ただ緊張して原稿の内容が頭から全部ぶっ飛ぶそうで怖い。
「クロはいいなあ……俺の代わりに出ない?」
俺がベッドで転がる傍らで、クロもベッドの隅で丸くなりくあぁっと大きく欠伸をしている。
代わりに出ない?と聞くが返事は無い……尻尾を面倒臭そうにぱたんぱたんと振ってはいるので、聞いてはいるみたいだけどね。
……まあ、アメリカのお偉いさんに猫を合わせてどーすんだって話ではある。
やっぱ俺が対応するしかないんだろうなあ……憂鬱である。
当日の朝になり、どうにも落ち着かない俺は気持ちを静める為に、ダンジョンへと向かっていた。
「……やっぱ入り口変わってないし」
間に合わないとは聞いていたけれど、実はもう変わっているんじゃ?って内心期待していたダンジョンの入り口……石造りの階段がっ!とかそんな事は無かった。。
これでアメリカのお偉いさん方も、這いつくばってダンジョンに入ることが決定してしまった。
ダンジョン外でやれば良いのにと思わなくも無いが、たぶんアマツとも会談するつもりだろうし、ダンジョンに入る必要があったのだろう。
とりあえず16階あたりで狩りでもしようかなーと思い、休憩所へと向かうと……そこには先客がいた。
「あれ?誰かいる……アマツさんと宇佐美さん?」
「やあ!いらっしゃい!」
「おう、邪魔してるぜ」
珍しい組合せだ。
他の人は……居ないな。宇佐美さんだけどうしたんだろ。
「まだ時間には大分早いですよね、何かあったんですか?」
「なに、始まる前にカフェで一杯飲んでおこうと思ってな。お前さんこそどうした?」
お茶しに来ただけかいっ。
まあ、確かにここは人目を気にせずゆっくり出来るし、居心地は良いだろうから気持ちは分からんでもない。
もっと施設を充実させたら、下手すりゃダンジョン内に住み始めるかも知れないね。
月~金はダンジョンで過ごして、土日は家に帰る。みたいな。
っと、俺がダンジョンに来た理由ね。
「いやー……落ち着かないので一狩りしてこようかなーと」
よく考えると、どういうことなの?ってなりそうな理由だな。
落ち着きたいのならお茶でも飲んでいけば良いのにと……狩って気持ちを落ち着かせるとかなんかヤバい人みたいじゃん。
「それはそれで凄いな」
「ははは……ん?」
ソーデスネ。
とりあえず笑って誤魔化して……っと、なんか足音が複数聞こえるな。
「む?俺以外も来たか?」
なるほどね。
他の人も会談前に茶でもしばいて行こうかと、そう言うことか。
「ほかの人たちもカフェ目当てです――」
そう言いながら音の方へと顔を向けると、丁度向こうも休憩所へと入ってくるところだったらしく、ばっちり目が合った。
てか、え?
「ハロー。宇佐美副総理。アマツさん」
「――っ」
てっきり首相とか大臣らがやって来るかと思ったら。
顔を出したのは俺の知らない……いや、知ってるけど妙にガタイが良くなって、まるでシ〇ワちゃん見たいになったアメリカの偉い人だった。それに後ろにゾロゾロと黒服が居る。
なんでっ!??
てか、通訳どこぉっ!!
宇佐美さん、宇佐美さんなら英語喋れるよね???
タスケテッ!
「そしてあなたが島津さんデスネ?」
「あいきゃんのっとすぴーくいんぐりっしゅ!」
はわゆー、あいむふぁいん、せんきゅー。
ぐっどばい。
そこまで言って狩りに行こうとしたら宇佐美さんに止められた。
可哀想だろ。俺を離してあげてっ!?
とりあえず宇佐美さんが話してるので、俺にこれ以上話し掛けてくる事はなさそうだ。
てか宇佐美さんやっぱ英語いけるんだな。
当然っちゃ当然なんだろうけど。
「もー……勘弁してくださいよぉ。通訳も居ないのに話しかけられても困りますって」
まじふぁっきん。
てかね、普通の英語教育しか受けてない日本人が、現地人の話す英語を聞き取れる訳ねーのですわ。
もうね、耳から入ってそのまま耳から出ていく感じ。
なんなら色んなもの引きずり出しながら出て行くまである。
「もうね、あなたが島津さんと……日本語じゃねーか!!?」
「そうだよ」
この人、日本語話してたわ!
テンパりすぎだろ俺……アマツとか笑い転げてるし。
恥ずかしすぎてダンジョンに引きこもりたい。
「いやー……すんません、ちょっと焦ってしまって……」
「いや、こちらこそ失礼しました。アメリカ合衆国大統領のスクルージです。貴方と会えてとても嬉しく思っています」
そうニコリと笑みを浮かべ、俺に手を差し伸べるスクルージさん。
さっきの出来事は無かったことにしてくれたらしい。
まじ優しい。
でも後ろの黒服さん達ちょっと頬がヒクヒクしてましてよ?
アマツに至ってはまだ時折ふきだしてるし。
まあ、それはおいといて。て言うか忘れたい。
あとは俺の方から挨拶を返して、一言二言話して終わるはずなんだけど。
……どうもスクルージさんが原稿と違うお話を始めだしたぞ。やめてくんろ。
「……実は貴方に対してある噂があってね。その恰好から米軍の者じゃないか、と。でも会ってみてはっきりしたよ、貴方は間違いなく日本の方だ」
そう、俺の腰と頭に目をやって話すスクルージさん。
どこ見て言ってるのかな?
「ハハハ。俺……じゃなくて私がすぐ購入出来る物だと、この装備が一番まともそうだったんですよ。近所で買えたのは幸運でした」
実際、在庫合ったのは本当についてたと思う。
あれが無ければ攻略にもっと苦労していた事だろう。
……軽く雑談もして、そろそろ終わりかな?と思ったがこのスクルージさんどうもまだ話す気満々の様だ。
まじ解放してほしい。
てか目力すごいなこの人。
4
あなたにおすすめの小説
異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!
枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕
タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】
3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった
椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。
底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。
ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。
だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。
翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる