144 / 304
「144話」
しおりを挟む「竜化にブレス……」
「竜化って、あのドラゴンみたいになるんすか?」
「いえ、ちょっとドラゴンぽくなるだけですね、一部に鱗が生えたりとか……ちょっと使ってみますよ」
皆にはまずカードの効果を説明した。
何人かは竜化と聞いてぎょっとした表情を浮かべている。
どうやらその言葉通り、俺があの竜のようになると捉えたようである。
説明してもいいけど、見せたほうが早いだろう……と言うわけで、皆の前で竜化を披露しよう。
「っとまあこんな感じです」
相変わらずメキメキ……なんかメリメリって音もするけど、竜化は装備を改造後でも特に問題なく行えた。……とは言えやはり前に竜化したときよりも、より装備の見た目がドラゴンっぽくなっている。前はドラゴンの素材を使った装備かな?と言った見た目であったが、今はこう言う生き物なのだろうか?と思うような見た目をしている……まあ鏡で見てはいないから、頭部とかどうなっているか分からないけどね。見える範囲から判断するにそんなに間違ってはいないだろう。
さて、皆の反応はどんなもんだろうか。
「装備の見た目も変わるのか……いや、一体化してる?」
一体化はしてないです。してないよね??
「一体化はしてないですよ。外見変わっただけで……体はこんな感じで鱗が生えたりします」
ちょっと不安になったので、手袋をめくって中を見せる。
……うん、めくれたから一体化してない。してないけど、ちょっと鱗の量が増えてませんかね?
なんでだよー……装備改造しただけで、なんで肉体にまで影響でるんだよー……こりゃ、フェイスガードは外さないほうがいいね。
「ほわー……ちょっと触ってもいいー?」
「どうぞどうぞ」
北上さん、爬虫類とか苦手では無いのかな。
鱗に興味をひかれたのか、ぺたぺたと触ってくる。
「これ、すんごい堅そう」
爪で鱗をつついてそう話す北上さん。
「堅いですよ。素手でトロール思いっ切り殴っても、こっちはまったく痛くないですしね」
……実際には手袋つけて殴ったんだけどね。
一切痛みがなかったから、素手だけでも相当防御力は高いはずだ。
「凄いねえ。しかもブレス吐けちゃうんでしょー?」
「見ます?」
俺が見ます?と言うと、それまでご飯を食べていた隊員さん達がわらわらと集まってくる。
皆ブレスに興味津々らしい。
半ば冗談だったんだけどなー……まあ、吐くのは問題ない。
ちょっとお腹いっぱい過ぎて別なものを吐く心配があるけど、たぶん1発ぐらいならいける……と思う。
一応皆には離れてもらい、さあ吐くかーと思ったところで、ふと疑問が浮かぶ。
「……これ、ここで吐いていいものなのかな?」
ここBBQ広場なんだよね。上空に吐けば平気だと思うけど……ここが見た目通りの空間か分からんのだよ。
もし見えない壁とかあったら大惨事になるかも知れないし。どうするかなー。
「周囲の被害はすぐ修復出来ますし、ほかの方に被害が出ないよう処置しましたので問題ありません」
「そう?じゃあやってみようかな」
俺がどうするか悩んでいると、マーシーから問題ないとの言葉が……処置してくれたとか、まじマーシーは優秀だ。
と言うわけでいってみよー。
目標は……近すぎるとあれだし、とりあえず上空に放ってから少しずつ下に向けるか。
あとは、あまり広範囲に広がるのもあれだなあ……口を窄めたら上手く絞れて直進しないかな?
……まあ、上手くいったらラッキーってことで。
皆も距離とってるし、よし……発射!
「ひえぇ……」
結果から言うとブレスを絞るのには成功した。
撃つと同時に、俺を中心に爆風が舞い、空に向かってまるで極太のビームの様なブレスが伸びていく。
徐々に向きを下に向けていくと、触れても居ないのに木々が燃え、そして地面に触れると爆発を起こし、地面を融解させていく。
……ちょっと、やばすぎませんかね。
「いやいや、威力上がりすぎっ」
装備改造に竜化、全部こみこみだけど、これはさすがに威力上がり過ぎでしょっ。
こんなの食らったら骨まで融けるわっ。
「そうなのか?」
「そう!威力高い分にはありがたいけど、使い処難しいぞこれっ」
そうだよっ。
威力が上がること自体は嬉しいんだけど、上がりすぎて誤爆が怖すぎる。
地面に当たったら爆発してたし、下手に近くで撃つと自分もやばいよこれ。
「出会い頭に撃つとかー?」
「そうだろうな。一度混戦になったらもう使えないだろう」
確かに……出会い頭に撃つしかないなこれ。
出会い頭で距離があるなら十分使えると思う……あとは相手が遠距離攻撃主体だった時とか?
今まで遠距離主体の敵ってあまり居なかったけど……弓もったゴブリンぐらい?もしかすると今後出てくる可能性だってあるからね。
まあ、使いどころが難しいけど強力なのは間違いないので、ちょいちょい練習はしておこうかなーと思う。
……と、言ったところでその日の昼食は程なくして解散となった。
皆お腹いっぱいだったし、ブレスみて満足してたからね。
今更だけど引かれなくて良かったなっ。
んで、その翌日のこと。
朝食を食べて、さて今日はどうするかなーと考えていたらスマホに着信があった。
「あれ、大塚さんだ?」
誰かな?と思い見てみると、発信先は大塚さんであった。
また何かあったんだろうか。
「どうしましたー?」
「実は島津さん宛てに荷物が届いてまして……」
おや、珍しい……しかも大塚さん経由ってことは……どう言うことだろう。普通の荷物じゃないって事だよな。
一瞬メーカーさんが早速試作品を送ってきたのかなーと思ったけど、それなら事前にこちらに話をしそうなもんだ。
なんだろう……ちょっぴり受け取り拒否したくなってきたぞっ。
3
あなたにおすすめの小説
異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!
枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕
タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】
3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった
椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。
底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。
ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。
だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。
翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる