家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう

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「158話」

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一体何があったのかと俺が混乱していると、ふいに肩にトンッ……と言うよりかは、ズシリとした重みがのし掛かる。
クロが肩に飛び乗ったのだ。

「ん?」

どうしたのかと思ったら、クロは顔に頭をグイグイと擦り付けてきた。喉もゴロゴロと鳴らしとても機嫌が良さそうである。
そして辺りを見渡して、うにゃと鳴いた。

「よくやった?……えっ??これ俺がやったの!?」

お褒めに預かり光栄です。
……クロが言うにはこの惨状は俺がしでかした事の様だ。全くもって心当たりが無いが……?

「……」

後を振り返って見れば、隊員さん達が青い顔をしてこちらを見ていた。
教官達はむっちゃ距離とってる。

あれぇ……?

「……なんだ今のは?」

「息が出来なかったよー……」

「殺されるかと思ったっす……」

「えええ……あ!」

隊員さん達は時間が経つに連れて落ち着いてきたようで、俺に向かいそんな事を話すが、本当に心当たりはない……いや、あったわ!

「……威圧の効果だと思う。発動するつもりは無かったのに……無意識で発動してたんだと思う」

ドラゴンカードの効果に威圧ってあったはず!
あれの効果が発動したと考えれば今の状況も納得がいく。

ダンジョンで使っても……いや、任意で発動できるものじゃないから、発動しているかすら分からなかった代物だけど、まさかこんな効果があるとは……見た感じ倒れているのは参加者のみだよね?ある程度レベルが上がっているとあまり効果が出ないのか……あとはドラゴンカードの効果なんだし、同じドラゴン系には効きにくいとかだろうか?


……ん、まてよ。

「中村無事かー?」

中村はまだレベル低いから耐えられて無いかも知れない。
さっきからピクリとも動いてないし……。

「……お、おお……おうっ」

「無事っぽい」

ちょっと呼吸がおかしいけど無事だった。

このスキル無差別すぎてやばいな……いや、それとも意識をすれば対象をある程度指定できるのだろうか?そうじゃないと使い勝手が悪すぎるよな。

こりゃー、要検証だね。




「午後の分は参加しなくて良いらしい」

「まあ、そうだろうな」

あの後とりあえず転がっている人にポーション各種を振り掛けて、じゃあ仕切り直しかー……ってところで教官達に君達もう参加しなくて良いよと言われました。

経験者だから免除言うよりは出禁に近い感じがしなくもない。
やっちまったなあ!

「来週講座だけ受けて、筆記試験受ければ許可証貰えるね」

「受かればなー」

「受かるっしょ」

でも午後の時間空いたと思えば悪くは無いと思う。
とりあえず空いた時間で中村のチュートリアルでも終わらせておくとしよう。




「んじゃ明日仕事だから今日は帰るなー!」

「おつかれー」

中村のチュートリアル突破は結論から言えば、その日の内にあっさり終わっちゃった。

刃物を持っていると言うことで最初はかなり焦っていたけど、何度か攻撃を受ける内に落ち着いてきて……さくっとやってしまった。

順調だなあ。


「アマツさん居るー?」

「勿論だとも!」

んで、中村と別れた俺が何をしているかと言うと、久しぶりにアマツに会いに来てたりする。

「色々見てたよ!いきなりやらかしてたねっ!」

「ははは……」

俺のせいじゃないと言いたいが、やらかしたのは事実なので何も言えねえ……まあ、いいや。あれはもう忘れよう。

それよりも用事を済ませておかないとだ。

「そうそう、アマツさん」

「なんだい?」

「ダンジョンって今後増やす予定ってあるんです?」

「あるとも!」

やっぱあるんだ。
これで無いとか言われたら終わりだったけど。

「あ、そうなんですね。……えっと、やっぱ生き物殺すのに抵抗ある人って結構居ると思うんですよ。なので非生物……ゴーレムとかばかりが出るダンジョンがあれば、需要でてくるんじゃないかなーと」

非生物系のダンジョン良いんでないー?と提案しにきたのである。
早めに言っておかないと忘れてしまいそうだったからね、時間が丁度出来たから来てみたのだ。

さて、アマツの反応はどうかな?

「それは私も考えていてね、近いうちに実装したいとは思っているよ。ただドロップ品の扱いをどうしようか悩んでいてねえ」

なるほどねえ。
ドロップかー……うーん。

「あー……コアみたいの作って、希少な金属や宝石……乱獲されると相場酷いことになりそう」

これは無しだなあ。
そうなると……食えるように……岩とか食ってどうすんだ、これも無いな。
そうなると……あれかな。

「うーん……装備の改造に使えたりとか、ダンジョン外だと普通の金属だけど、ダンジョン内だと特殊な力を発揮するようにしたりとか……」

この辺りなら割とありな気がするんだよね。
ゲームとかでもありそうじゃない?

「その辺りで考えた方が良さそうだね!トライアルが落ち着いたら色々相談するよ!」

うむ。良さそうだ。

この感じなら近い内に非生物系のダンジョンが出来ることになるだろう。
もしかしたらゴーレムとかだけじゃなくて、機械系のSFチックな敵が出る可能性だってある。

それはそれで楽しそうなので、出来たら狩りにいっちゃおうかな。



土日のトライアルが終わり、また平日がやって来た。

とりあえず午前中はドラゴンを狩りまくり、午後は休む。

シーサーペントは今の状態じゃ倒しきれないのは分かっているし、レベルもこれ以上は上がりそうにない。

他のダンジョンに潜るのも筆記試験を突破してからと思っているので、今はいけない。

それに最近は隊員さんのお手伝いも余りなく……と、割と暇だったりする。

ちなみに隊員さん達だけど、既に牛さん階層は突破してトカゲを狩りまくってるんだよね。
あ、氷礫使ってくるほうね?ややこしいから呼び名変えようか……アイスリザードとかで良いかな。

アイスリザードは氷礫が厄介だけど、宝石で靴を強化している隊員さんにとってはそこまで苦にならないはず。

素材の需要も相変わらず多いらしく、しばらくは狩り続けるそうだ。

俺にも素材が欲しいって依頼は相変わらず来ているけど、こっちはドラゴンのみとなっている。

数が必要なのは隊員さんに、強くて数を揃えるのが大変なのは俺にって感じっぽい。

貯金がモリモリ増えてウハウハですわ。
前にも言ったかもだけど、今度じいちゃんばあちゃんに新型のコンバイン買ってあげようと思う。
年明けかなー?


あ、じいちゃんばあちゃんと言えばだ。

「すまんなあ康平」

「いいよいいよ。余ったのは好きにして良いけど、今はまだ外に出さない方が良いと思うよ」

漁師をやっている方のじいちゃんばあちゃんにもポーション送っておいたよ。

俺がダンジョンに潜っていると伝えたときはあんまり驚いてはいなかったね。
俺が急にムキムキになった事、それに近所にダンジョンがあると言う情報から、もしかして……と思っていたそうな。

漁師をやっていると腰とかに相当負担があるらしく、いつも腰痛に悩まされていたんだとかで、もの凄く喜んでくれた。

直接渡しても良かったんだけどね、何せ同じ道内に住んでいるとは言っても、数百キロ単位で離れてるもんで……夏ぐらいにしか会う機会が無いからねえ。


んまあ、そんな感じで平日を過ごしていた。
んで、あっと言う間に土曜が来て、午前中の講義を受けてお昼を皆でお喋りしながら食べていたのだけど、どのカードを狙って行くか?と言う話題が出てきた。

まだ自衛隊内でも出ていないカードは狙うとして、既に効果が分かっているカードはどうする?って話だね。

「ちなみに砂トカゲカードの効果ってなんでしたっけ?」

あ、大ダンジョンのトカゲの呼び名は砂トカゲにしたよ。
隊員さんも解りやすいからそれで良いって話だったので、その内これが正式名称になっちゃうかもね。

「地面を這う速度に補正が入る、だそうだ」

「何その凄く限定された効果……」

「どうする?」

這う速度に補正が入るって、使う場面が想像出来ないぞ……。
あって困るものじゃないけど、欲しいか?と聞かれると、うーんってなる効果だ。

って俺は思ったんだけどね。

「……個人的には欲しいカードではある」

「えっ」

都丸さんは欲しいらしい。

「匍匐前進する時に便利らしいんだよねー」

まじかーと思っていると、北上さんが補足してくれた。

「なるほど……外でも効果あるタイプなんですね。じゃあ取っちゃいますか」

自衛隊さんなら確かに使うか。
てか需要かなりあるんじゃない?
一人一枚と言わず、もう少し確保しても良いかもだ。

まあ狩るのは筆記試験突破してからなんだけどねっ。
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