家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう

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「160話」

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中村は出す気満々と……それじゃほかのひとはどうなのかな?と言うことで、翌日休憩所であった隊員さん達にもオークションの事を聞いてみた。

「私も出そうかなー」

「キャンプ用品揃えたくてねー……BB広場で借りるのも良いけど、やっぱ自前の欲しいしー」

キャンプ用品高いのは高いって話だもんね。
またキャンプしたいなー。


「……船買えるかな」

船もお高いよね。
億超えるのもあるし……まさかそれ狙ってる?

「畑が欲しくて……」

畑は場所次第だけどそこまで……ああ、コンバインとかも買うのかな?なら結構掛かっちゃうね。

「嫁さんと旅行に行こうかと思ってな」

世界一周かな?

「部屋が手狭になったから、家を買う」

コレクションの為ですか。
凄いなそれも。

「おぉ……全員出す感じですね」


「ポイントは自由に使って良いことになってるからな。必要なポイントは残しておいて後は好きに使うさ」

なんか皆出す気満々だった。
初回に売ればかなりの金額になるだろうし、売れば欲しいものが手に入るんだもん。そりゃ参加するわな。

何時開催するのかなー。
とりあえずは休憩時間とか、ご飯の時にニュースのチェックぐらいはしておこうかな。その内ニュースでやるだろうし……やらなければ大塚さんかなー。聞いたら教えてくれそうな気がする。




そんなことがあった翌朝。
山盛りご飯の上にじいちゃんから貰ったタラコを乗っけてかき込んでいると、昨日の続報がニュースで流し始めた。

「先日お伝えしたオークションに関連して、政府からオークション以外で売り出されているポーションは、詐欺の恐れが高いので買わない様にと注意喚起が出されています」

おおう。

「現にいくつか高額でポーションを売ると話を持ち掛けられ、実際に購入してしまい、後から偽物だと判明するケースがいくつも確認されています」

「警察ではこう言った詐欺に対し、対応を強化し――」

あー、やっぱこう言うのする奴居るよね。

インタビュー受けた参加者が、ポーションを見せびらかしていたから見た目で騙される人は……減らないか。実物の映像に似せて作れば良いだけだし。

物が物なだけに警察も本腰入れて動くだろうけど、撲滅するには至らないんじゃないかな……オークションでかなりの数が流れるだろうし、転売する人も居るわけで、詐欺と区別つかないよね。
全ての国民に行き渡るのはまだまだ先の話だろうし、需要は高いままだから買っちゃう人は減らないと思う。

この手の詐欺を無くすのであればそれこそ……。

「――またダンジョン側から、こう言った詐欺を働いた者に対し、何らかのペナルティを科す可能性もあるとの事です」

お?

「ペナルティですか?」

「例えば詐欺を働いた者にはポーションが効かなくなる。等ですね」

「おお……」

ダンジョン側でアクション起こすしか……思ったけど、実際にそんな話も出てるのか。

しかも結構エグいペナルティだね。やるなアマツ。

これならたぶん詐欺は減るでしょね。
需要はあれどやる側のリスクがでかいし。


「……ごちそうさま」

んっし、食い終わった。
朝から贅沢な食事じゃった。

「さてダンジョン行くかなー……おう?」

お腹も膨れたし、腹ごなしにダンジョンでも……と思ったタイミングで電話がきた。
こんな朝っぱらから誰だろ。なんとなく予想はつくけどね。

「はい」

「母ちゃん?俺だよ俺俺」

「たけしかい?」

「誰だよそいつっ」

ハハハッ。

さっきのニュースでこのネタとか凄いタイミングでぶっこんできたな。

あ、もちろん相手は中村です。
ほかの人ならこんな対応はしない……と言うかそもそもあんなネタぶっこんでこない。

「んで、どうしたの?仕事じゃないん?」

まさかクビになったのだろうか?
ムキムキになりすぎて暑苦しいとかで。

「いや、有給とった。時間あるなら一緒にダンジョン行かん?無理そうならソロで潜るけど」

なんだ有給か。

てかソロで潜るのはまだちょっと早いんじゃないかなーと思わなくもないぞ。

「良いよ。適当に潜るつもりだったし。どこに潜る?」

なので一緒に潜ろうか。
どうせ今の状態だとドラゴンを狩るぐらいしかやらないし……カードも何枚か出たから、本当はもう次の階層行きたいんだけどね。シーサーペントがまじ厄介。

「ちょっと鍛えたい気分だから島津んちかな。6階から行けるっしょ?」

「いけるいける。んじゃ、準備して休憩所で待ってるからねー」

ああ、そうそう。
各セーフルームに行けるゲートだけど、うちのダンジョンで20階まで行けるからと言って、他のダンジョンも行けるかと言うと、そうではなかったよ。
やっぱ1階から地道に行くっきゃないそうだ。

中村はうちのダンジョンでチュートリアル突破したんで、5階のセーフルームまでは行けるのだ。
あと、ちゃんと少人数突破によるボーナスってことで、ネズミとかウサギのカードは貰ってるよ。本人はオークションに出すか悩んでいるらしいけど。

浅い階層のカードをまた取るのは割ときついから、俺としてはオークションに出さない方が良いと思うけど。そこは中村が判断するところだ。


さて、中村が来る前に休憩所に行って準備をしてしまおう。

「クロはー……まだ通販サイト見てるのね。どうする?今日はお留守番する?」

クロも誘おうかと思ったが、パソコンの画面をじーっと見つめて、時々マウスをたしたしっとクリックしているので、これはお留守番かも知れない。

……試しにね、某通販サイトの画面を見せてあげたらさ、自分で検索し始めたんだよね。
オークションでポーションとか売って、手に入ったお金でご飯を買いまくるつもりらしい。

モンスター売り払ったお金があるから、それを使えば良いんじゃ?と思ったけど、なぜかそっちのお金は使うつもりは無いらしい。
謎だ。


そんな訳でクロはお留守番かなーって思ったのだけど。
クロはマウスを何度かクリックすると、くるっと振り返り、机から降りる。

そしてにゃーんと鳴きながら俺の足元へと駆け寄ってきた。

「大体決まったのね。じゃあ行こっか」

ちらっと画面を見てみれば、リストにびっちりクロのご飯がつまっていた。
あれ全部買うのか……中村の食費よりずっと掛かってそうだな。

……本人には言わないで置いてあげよう。



それから30分ほどで中村が到着したので、俺たちはゲートを潜り、5階へ……そしてそのまま6階に行き、ゴブリン狩りを始める。

「中村って結構どっしり構えて戦うよね」

「そうかあ?」

俺の言葉にそう返す中村であるが、俺からはそう見えるんだよね。
基本自分から攻撃を仕掛けることは余りなくて、相手が攻撃してきたタイミングで盾をうまく使って受け流すか、盾を叩きつけるかして体勢を崩し、そこにナイフでもって首なり心臓なりを突く感じだ。

首を狙うことの方が多いかな?
心臓だとすぐ動かなくなる訳じゃないし……まあ首もうまい具合に骨の間狙わないと一撃で仕留められない時があるけど、そこはすぐに追撃して仕留めているね。

俺がズドッて感じなら、中村はトストストスッて感じ。

「盾の使い方大分上手くなってるし……早いところ宝石ゲットしたいね」

おそらく宝石があればもっと安定するね。
牛さんに行く前になんとかゲットしたいけど……。

「宝石って装備の改造に使う奴だよな?レアなんじゃなかったっけ?」

「レアだねえ。俺とクロもまだ何回かしか見付けてないし」

本当にレアなんだよね、あれ。
まあ、そんなにポンポン出ちゃその分ダンジョンのクリアまでの時間も短くなる訳だし、そう簡単には出ないだろう。

もっと出せと要求する人がいても、ダンジョンの寿命を縮めるような事をアマツはしないはず。

「うへ……それじゃまずオークションのは出て来ないだろうな」

「出て来てもいくらになる事やら……欲しいけどね」

「買えんの?」

買えるのかと言われるとちょっと微妙だなあ。

「んー……正直分からない。たぶんお金持ちはポーションにお金出すと思うから、宝石にはそこまで出さないと思うんだよね。でも中にはそうじゃない人も居るわけで……億単位なら余裕で落とせると思うけど、桁が変わってくるとどうかな?」

「億っておま……」

「ドラゴン高く売れるんだよね」

他の素材も相当だったけど、ドラゴンは別格だね。

もし宝石が出たら、全部ぶっこんでも良い。
ポーション売ればどうせお金は戻ってくるしね。

あと気になるのが、オークションってやっぱお金でしか落とせないのかな?俺が宝石をオークションに出す立場だったら、お金よりもカードとか欲しいんだけどね。

もしかすると交渉の余地有りかも?
まあ、それも宝石がオークションに出品されたらの話だけどさ。

ちょっと期待はしてしまうよね。


「くっそ、俺だってその内!」

「相場が安定していない内がチャンスだね、頑張れ頑張れー。焼肉ぐらいなら奢ったげるよ」

装備代でカッツカツらしいからね、中村にもぜひ頑張って貰いたい。
ゴブリンのナイフは俺たちのバックパックに全部回収済みだし、全部ポイントに変換すればそこそこにはなる。

このまま順調にいけばオークションまでにポーションの1000やそこらは余裕でゲット出来るだろう。

「まじ??」

「まじまじ」

「よっしゃ!やったるぜええ!」

ちょろいぞ中村。
せっかくだからドラゴン……いや、叙〇苑とかの方が喜ぶか?あとでお店でも探しておこっと。
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