164 / 304
「164話」
しおりを挟む
「夢も希望も無いんだよ」
「何を言っとんのだお前は」
太田さんがあたった。
この世に神様なんていないんだ。
あ、でもアマツがいるか……あれって神様なのだろうか?宇宙人枠?どんな存在なのかいまいち分かってないよな、そう言えば。
……まあ、祈っても効果あるか微妙な気がするし、止めておこう。
その後も何度か別れて狩る機会があったけど、北上さんとペアになる事はなかったよ……おかしいなあ、確率的にはなってもおかしくないんだけどなー?
まあ、そんな訳でペアには慣れなかったけど、狩り自体は順調だったよ。
基本土日しか潜らないけど、大体人数分のカードは揃えられていたしね。
中村については平日もうちのダンジョンに潜っていたので、レベルも上がってポーションもそこそこ入手出来ていたりする。
……うん、ちょいちょい平日潜ってるよな、こいつ。まじで仕事クビになったりしないだろうな……。
「ちょいちょい有給とってるど大丈夫なん?」
「おう、ちゃんと許可とってるから大丈夫よ!」
ホントカナー。
怪しいなーと思い、じとーっと中村を見つめるが、当の本人はそれに気付かずにしゃべり続ける。
「てか非生物系のダンジョンの話出てから皆行きたがっててさ、この前社長も行きたいつってたし……その内社員総出でダンジョン潜るかも知れない」
「まじで」
ああ、そうだ。
非生物系のダンジョンだけど、実装が決まったんだった。
今回のトライアル期間中には間に合わなかったけど、来月には人数増やしてトライアルをまたやるらしく、その時には実装が間に合うそうだよ。結局モンスターの体内にコアを作り、それを使って装備を強化出来るシステムになったとかなんとか。楽しみだね。
てか大丈夫か中村の会社、本業は良いのか。
「仕事で指とかやっちゃう人多いんだよ……最近はほとんど無いけど、熟練の人とかはな……チュートリアル突破して、施設使えるようになれば治せるだろ?」
「あー、そうだね」
そういやどんな会社か聞いてなかったけど、あれかなープレス機とか使う会社なのかな。
あれってまじでヤバいからなあ。金属がああなるんだから、人間の体なんてそらもう耐えられる訳もなく……。
そして気を付けていても事故が発生するときは発生すると。
今までは失った指とかは再生出来なかったけど、ダンジョンに潜って追加された施設を使えば治せるもんね。
チュートリアルを突破する必要があるけど、物が持てるのであれば行けるはずだ。
「それに最近は仕事もあまり無いらしくて……ダンジョンに潜ってお金になるのならって、初期装備とかは会社で面倒見て……ってな感じで結構本気で考えてそうなんだよ」
ああ、仕事自体もあまりないと……早めにダンジョンに参加出来るのであれば、お金は結構稼げるだろうねえ。早ければ早いほど良いと思う。
会社の体力があるうちにやっちゃうのは有りと言えば有りかなー……本当に儲かるかはやってみないと分からないから博打要素は大きいけどね。
あとはー……機械で加工とか出来るのであれば、そうだねえ。
「それはそれで面白そうだね。素材次第では加工して売っちゃうとかも出来るんじゃない?」
原料は自分らで確保いて加工も行っちゃうと。
出来たものが売れるかどうかは知らんけどなっ。
「あー……いいなそれ!ありだと思う!」
「まあ、そんな訳で有給取りやすい環境にあんのよ。潜るときにアドバイス欲しいって言われてるけど、そんぐらいなら問題ないし……ああ、勿論秘密な奴は言わないからな?」
休み取りまくってる中村だけど、まあ聞いた感じだと問題はなさそう。
あとはオークションまでにどれだけレベルを上げられるか……俺とクロもできれば欲しいものは落札したいから、ポイントとか色々ためておかないとなんだよね。
オークションまで残り期間はそんなに無いけど、がんばって狩りまくるどー!
狩りまくりました。
一度攻略した階層をひたすら巡るのは結構きついものがある。
あまり上の階層だと脳死状態で狩る訳にもいかんしねえ……まあでもそのかいはあった。
「結構たまったなあ……」
手に持ったカードの束、それらは決してトランプではない。
ネズミやウサギなどを除いた……ゴブリン以降の敵のカードである。
宝石や欲しいカードが出た場合、お金以外で交渉出来るかも知れない、って事でドラゴン以外も時間が空いた時にクロと一緒に狩って少しずつ集めたのだ。
その結果、各モンスターのカードを3枚ずつ、ドラゴンに至っては5枚集めるに至る。
ドラゴンの枚数が多いのは、ポイントも稼いでおかないといけないなと思い、毎日最低100体は狩る様にしていたからである。
うちのダンジョン以外についても割と順調に集まってはいる。
大、中、小ダンジョンの1~4階のモンスターカードを全て揃えたところで止まってはいるが……それでも十分な成果だと思う。
あとは隊員さん達の攻略具合だけど、今は羊の階層をクリアしてオーガとかの階層まで進んでいるね。
こっちも順調……なのかなあ?
オーガの階層に行ける様にはなったものの、毎日死んだ魚の目をしながら、ひたすら羊と鹿を狩り続けているのでカード集めは難航してそうではある。
鹿も羊も必須と言えるレベルで有用なカードなので、人数分を何とか揃えたいのだろう……どちらのカードも3枚までセット出来るので、合計48枚……聞いただけで吐きそうになる枚数だ。
ほどよく休みながら狩る様に言っておこうと思う。
てか、自衛隊で犬とかを導入する話ってどうなったんだろうね?いい加減心が病んできそうな人が居てもおかしくは無いのだけど……。
ああ、中村も順調だったよ。
結局ギリギリ牛さんを狩るまで行けたからね。
もう有給残ってないと思う。
宝石は出なかったから行けるか不安ではあったけど、盾で牛さんの攻撃をいなすのに重点を置いて、ちまちま攻撃することでなんとか攻略出来ていた。
盾の使い方は本当にうまくなったなーと思う。これで宝石ゲットすればもっと安定するんだけど……ま、そこはオークションに出品される事を期待しておこうか。
可能であれば全部落札したい……いや、さすがに顰蹙買うか?どうしようかな。
「まあ、明日になったら雰囲気みて決めるか」
実は明日がオークション開催日なんだよね。
そもそも出品されるかも分からないし、実際にものが出てから悩むとしよう。
「いくらで売れるかねー?」
俺の言葉にPCの画面を見ながら尻尾を揺らして答えるクロ。
ここ最近は色んな商品を見るのが楽しいらしく、夕方の決まった時間はああやって画面に張り付いているのだ。
ちなみに俺とクロは出品、落札両方とも参加するつもりだよ。
出品するアイテムは20階で手に入るポーションをいくつか出しておいた。
大量に出そうと思えば出せるんだけどね、それをやっちゃうと他の隊員さんやトライアル参加者が出品したポーションとかの値段が下がっちゃいそうだから、ちょっと遠慮しておいたのだ。
クロも通販で購入できるだけのお金が手に入れば良いって話だしね。
「大量にあるカードは売ってもよかったかなー……今更だけど」
そう言って端末をぽちぽち操作する俺。
オークションへの出品自体はすごく簡単だったりする。
ゲーム内で出品するぐらいの感覚で端末をぽちぽち操作するだけで出品出来てしまうのだ。
落札するのも端末を操作して行うよ。
金銭のやり取りとかは端末とダンジョンの許可証……あれが実は銀行口座と紐付いているらしく、端末に許可証を翳すだけで出来てしまう。
めっちゃ簡単。
ああ、端末ない人はパソコンとかスマホつかってやらないとだけどね。
それか会場にいってやるかだ。
そっちはちょっと手間が掛かるけど……まあ大したことは無いか。
と言う訳で、端末さえあれば出品は簡単だけど、もう出品の締め切りは過ぎているのでカードを追加で出すことは出来ない。
まあ、次の機会を待とうと思う。
んで、そんなカードを集めまくった俺だけど……オークション開催の当日、会場の前でぽつんと一人佇んでいた。
もうあたり一面雪景色となっており、そんな中一人佇んでいると非常に寒そうに見えるが……実際にはそうでもない。
きっちり冬服を着込んでいるし、首には黒くてもふもふしたマフラーを巻いている。
それに……ダンジョンで身体能力が上昇しているおかげもあって寒くはない。たとえ5%と言えども結構影響あるんだよね。
「……早く着きすぎたかな」
んで、なんで俺がこんなところに一人で居るかと言うとだ……一つは勿論オークションに参加するためであり、そしてもう一つは……。
「あ、島津くんはやいねー」
「今来たばっかりですよ。それは行きましょうか」
北上さんと一緒に参加する事になったからである!
やったぜ。
いやー……オークションの参加も応募して受かった人だけだったからさ、隊員さん達も皆参加したかったらしいんだけど、尽く落選しててねー……頑張ったかいがあったと言うものだ。
いや、本当色々あったのですよ。
聞くも涙語るも涙の事件が。
あれは1週間ほど前の出来事……中村が有給をとってうちのダンジョンに潜っていた時のことだ。
「オークションかー……会場行きたかったけど、こんなん受かる訳ないしさー」
オークの群れに中村を突っ込ませる事およそ1時間。
いい加減休憩しようぜと言うことで、休憩所でダラダラしていたのだけど、ふいに中村がオークションの事を愚痴りはじめた。
どうやらオークションに参加したくて応募したがあえなく落選してしまったようだ。
「ソーダネー」
「……まさか島津お前」
おっと、棒読み過ぎたかーまいったねー。ハハハー。
「受かった。しかも2枚」
「まじかよっ!??」
まじですよ。
2枚も手に入れるの苦労したんだからねー。
具体的に言うと……あれなんで、まあ苦労したとだけ。
「まさかお前……」
ナニカナ。
その疑いのまなざしは。
……と思ったら、急に笑顔になってこっちに近づいてきたぞ。怖い。
「なあ、島津。俺たち友達……いや、親友だよな?」
ほう……そうきたか。
確かに俺と中村は高校時代をずっと同じ教室で過ごした仲だ。
放課後もよく遊んでいたし、親友といっても確かに間違いではないだろう。
「悪いけどソロで潜ってくれ」
「裏切り者ォオオオ!!?」
だが、それとこれとは話が別なのだ。
床に崩れ落ち、手を伸ばす中村を置いて俺は……。
なんて事があった。
まあ茶番デスネ。
それはそうとオークションですよオークション。
いつまでもこの寒空の下に居るのもあれだし、ささっと会場に入って席についてしまおう。
席は決まっているから座れないなんて事は無いんだけどね、混んでくると席に行くのも大変だし……って事で北上さんを連れ、会場へと入るのであった。
「何を言っとんのだお前は」
太田さんがあたった。
この世に神様なんていないんだ。
あ、でもアマツがいるか……あれって神様なのだろうか?宇宙人枠?どんな存在なのかいまいち分かってないよな、そう言えば。
……まあ、祈っても効果あるか微妙な気がするし、止めておこう。
その後も何度か別れて狩る機会があったけど、北上さんとペアになる事はなかったよ……おかしいなあ、確率的にはなってもおかしくないんだけどなー?
まあ、そんな訳でペアには慣れなかったけど、狩り自体は順調だったよ。
基本土日しか潜らないけど、大体人数分のカードは揃えられていたしね。
中村については平日もうちのダンジョンに潜っていたので、レベルも上がってポーションもそこそこ入手出来ていたりする。
……うん、ちょいちょい平日潜ってるよな、こいつ。まじで仕事クビになったりしないだろうな……。
「ちょいちょい有給とってるど大丈夫なん?」
「おう、ちゃんと許可とってるから大丈夫よ!」
ホントカナー。
怪しいなーと思い、じとーっと中村を見つめるが、当の本人はそれに気付かずにしゃべり続ける。
「てか非生物系のダンジョンの話出てから皆行きたがっててさ、この前社長も行きたいつってたし……その内社員総出でダンジョン潜るかも知れない」
「まじで」
ああ、そうだ。
非生物系のダンジョンだけど、実装が決まったんだった。
今回のトライアル期間中には間に合わなかったけど、来月には人数増やしてトライアルをまたやるらしく、その時には実装が間に合うそうだよ。結局モンスターの体内にコアを作り、それを使って装備を強化出来るシステムになったとかなんとか。楽しみだね。
てか大丈夫か中村の会社、本業は良いのか。
「仕事で指とかやっちゃう人多いんだよ……最近はほとんど無いけど、熟練の人とかはな……チュートリアル突破して、施設使えるようになれば治せるだろ?」
「あー、そうだね」
そういやどんな会社か聞いてなかったけど、あれかなープレス機とか使う会社なのかな。
あれってまじでヤバいからなあ。金属がああなるんだから、人間の体なんてそらもう耐えられる訳もなく……。
そして気を付けていても事故が発生するときは発生すると。
今までは失った指とかは再生出来なかったけど、ダンジョンに潜って追加された施設を使えば治せるもんね。
チュートリアルを突破する必要があるけど、物が持てるのであれば行けるはずだ。
「それに最近は仕事もあまり無いらしくて……ダンジョンに潜ってお金になるのならって、初期装備とかは会社で面倒見て……ってな感じで結構本気で考えてそうなんだよ」
ああ、仕事自体もあまりないと……早めにダンジョンに参加出来るのであれば、お金は結構稼げるだろうねえ。早ければ早いほど良いと思う。
会社の体力があるうちにやっちゃうのは有りと言えば有りかなー……本当に儲かるかはやってみないと分からないから博打要素は大きいけどね。
あとはー……機械で加工とか出来るのであれば、そうだねえ。
「それはそれで面白そうだね。素材次第では加工して売っちゃうとかも出来るんじゃない?」
原料は自分らで確保いて加工も行っちゃうと。
出来たものが売れるかどうかは知らんけどなっ。
「あー……いいなそれ!ありだと思う!」
「まあ、そんな訳で有給取りやすい環境にあんのよ。潜るときにアドバイス欲しいって言われてるけど、そんぐらいなら問題ないし……ああ、勿論秘密な奴は言わないからな?」
休み取りまくってる中村だけど、まあ聞いた感じだと問題はなさそう。
あとはオークションまでにどれだけレベルを上げられるか……俺とクロもできれば欲しいものは落札したいから、ポイントとか色々ためておかないとなんだよね。
オークションまで残り期間はそんなに無いけど、がんばって狩りまくるどー!
狩りまくりました。
一度攻略した階層をひたすら巡るのは結構きついものがある。
あまり上の階層だと脳死状態で狩る訳にもいかんしねえ……まあでもそのかいはあった。
「結構たまったなあ……」
手に持ったカードの束、それらは決してトランプではない。
ネズミやウサギなどを除いた……ゴブリン以降の敵のカードである。
宝石や欲しいカードが出た場合、お金以外で交渉出来るかも知れない、って事でドラゴン以外も時間が空いた時にクロと一緒に狩って少しずつ集めたのだ。
その結果、各モンスターのカードを3枚ずつ、ドラゴンに至っては5枚集めるに至る。
ドラゴンの枚数が多いのは、ポイントも稼いでおかないといけないなと思い、毎日最低100体は狩る様にしていたからである。
うちのダンジョン以外についても割と順調に集まってはいる。
大、中、小ダンジョンの1~4階のモンスターカードを全て揃えたところで止まってはいるが……それでも十分な成果だと思う。
あとは隊員さん達の攻略具合だけど、今は羊の階層をクリアしてオーガとかの階層まで進んでいるね。
こっちも順調……なのかなあ?
オーガの階層に行ける様にはなったものの、毎日死んだ魚の目をしながら、ひたすら羊と鹿を狩り続けているのでカード集めは難航してそうではある。
鹿も羊も必須と言えるレベルで有用なカードなので、人数分を何とか揃えたいのだろう……どちらのカードも3枚までセット出来るので、合計48枚……聞いただけで吐きそうになる枚数だ。
ほどよく休みながら狩る様に言っておこうと思う。
てか、自衛隊で犬とかを導入する話ってどうなったんだろうね?いい加減心が病んできそうな人が居てもおかしくは無いのだけど……。
ああ、中村も順調だったよ。
結局ギリギリ牛さんを狩るまで行けたからね。
もう有給残ってないと思う。
宝石は出なかったから行けるか不安ではあったけど、盾で牛さんの攻撃をいなすのに重点を置いて、ちまちま攻撃することでなんとか攻略出来ていた。
盾の使い方は本当にうまくなったなーと思う。これで宝石ゲットすればもっと安定するんだけど……ま、そこはオークションに出品される事を期待しておこうか。
可能であれば全部落札したい……いや、さすがに顰蹙買うか?どうしようかな。
「まあ、明日になったら雰囲気みて決めるか」
実は明日がオークション開催日なんだよね。
そもそも出品されるかも分からないし、実際にものが出てから悩むとしよう。
「いくらで売れるかねー?」
俺の言葉にPCの画面を見ながら尻尾を揺らして答えるクロ。
ここ最近は色んな商品を見るのが楽しいらしく、夕方の決まった時間はああやって画面に張り付いているのだ。
ちなみに俺とクロは出品、落札両方とも参加するつもりだよ。
出品するアイテムは20階で手に入るポーションをいくつか出しておいた。
大量に出そうと思えば出せるんだけどね、それをやっちゃうと他の隊員さんやトライアル参加者が出品したポーションとかの値段が下がっちゃいそうだから、ちょっと遠慮しておいたのだ。
クロも通販で購入できるだけのお金が手に入れば良いって話だしね。
「大量にあるカードは売ってもよかったかなー……今更だけど」
そう言って端末をぽちぽち操作する俺。
オークションへの出品自体はすごく簡単だったりする。
ゲーム内で出品するぐらいの感覚で端末をぽちぽち操作するだけで出品出来てしまうのだ。
落札するのも端末を操作して行うよ。
金銭のやり取りとかは端末とダンジョンの許可証……あれが実は銀行口座と紐付いているらしく、端末に許可証を翳すだけで出来てしまう。
めっちゃ簡単。
ああ、端末ない人はパソコンとかスマホつかってやらないとだけどね。
それか会場にいってやるかだ。
そっちはちょっと手間が掛かるけど……まあ大したことは無いか。
と言う訳で、端末さえあれば出品は簡単だけど、もう出品の締め切りは過ぎているのでカードを追加で出すことは出来ない。
まあ、次の機会を待とうと思う。
んで、そんなカードを集めまくった俺だけど……オークション開催の当日、会場の前でぽつんと一人佇んでいた。
もうあたり一面雪景色となっており、そんな中一人佇んでいると非常に寒そうに見えるが……実際にはそうでもない。
きっちり冬服を着込んでいるし、首には黒くてもふもふしたマフラーを巻いている。
それに……ダンジョンで身体能力が上昇しているおかげもあって寒くはない。たとえ5%と言えども結構影響あるんだよね。
「……早く着きすぎたかな」
んで、なんで俺がこんなところに一人で居るかと言うとだ……一つは勿論オークションに参加するためであり、そしてもう一つは……。
「あ、島津くんはやいねー」
「今来たばっかりですよ。それは行きましょうか」
北上さんと一緒に参加する事になったからである!
やったぜ。
いやー……オークションの参加も応募して受かった人だけだったからさ、隊員さん達も皆参加したかったらしいんだけど、尽く落選しててねー……頑張ったかいがあったと言うものだ。
いや、本当色々あったのですよ。
聞くも涙語るも涙の事件が。
あれは1週間ほど前の出来事……中村が有給をとってうちのダンジョンに潜っていた時のことだ。
「オークションかー……会場行きたかったけど、こんなん受かる訳ないしさー」
オークの群れに中村を突っ込ませる事およそ1時間。
いい加減休憩しようぜと言うことで、休憩所でダラダラしていたのだけど、ふいに中村がオークションの事を愚痴りはじめた。
どうやらオークションに参加したくて応募したがあえなく落選してしまったようだ。
「ソーダネー」
「……まさか島津お前」
おっと、棒読み過ぎたかーまいったねー。ハハハー。
「受かった。しかも2枚」
「まじかよっ!??」
まじですよ。
2枚も手に入れるの苦労したんだからねー。
具体的に言うと……あれなんで、まあ苦労したとだけ。
「まさかお前……」
ナニカナ。
その疑いのまなざしは。
……と思ったら、急に笑顔になってこっちに近づいてきたぞ。怖い。
「なあ、島津。俺たち友達……いや、親友だよな?」
ほう……そうきたか。
確かに俺と中村は高校時代をずっと同じ教室で過ごした仲だ。
放課後もよく遊んでいたし、親友といっても確かに間違いではないだろう。
「悪いけどソロで潜ってくれ」
「裏切り者ォオオオ!!?」
だが、それとこれとは話が別なのだ。
床に崩れ落ち、手を伸ばす中村を置いて俺は……。
なんて事があった。
まあ茶番デスネ。
それはそうとオークションですよオークション。
いつまでもこの寒空の下に居るのもあれだし、ささっと会場に入って席についてしまおう。
席は決まっているから座れないなんて事は無いんだけどね、混んでくると席に行くのも大変だし……って事で北上さんを連れ、会場へと入るのであった。
3
あなたにおすすめの小説
異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!
枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕
タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】
3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった
椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。
底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。
ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。
だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。
翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる