家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう

文字の大きさ
188 / 304

「188話」

しおりを挟む

「しかもよく見たらクロも居るな」

え、まじ?

……あ、いた。隅っこで丸くなってるのがそうか。
島津擬きがピンチになったら出て来るのかな……やっと追い詰めたと思ったら戦力が倍になるとか、挑戦する側にとっては悪夢でしかないなっ。

「無理ゲー過ぎる」

「せめて参加側を島津達と同レベルまで引き上げるとか無いと……戦いにもならんぞ」

確かに。
レベル引き上げれば、あとは装備とかの差になるから……まあ、ドラゴン系で強化しちゃってるから。その差自体がでかいんだけども……。

しかも障壁あるでしょ。
仮に障壁を突破しても、ダメージまともに通るかどうか……うーん。


「運営よりお知らせです。現在開催中のトップランカーの強さを知ろう!のコーナーですが、難易度に調整が入ります。より楽しんで頂けるよう調整しますので、ぜひ皆様のご参加を心待ちにしてます」

「またタイムリーな……」

さては運営ここの会話聞いてたな?

「……出て来るのが島津かクロどちらかだけになる……後はレベルの引き上げ……この会話聞いてたのか?」

他の人もそう考えたらしい。
……んー、あれかな。

「そこのスタッフ?じゃないかなー」

割と近くで人を捌いてるスタッフが居たから、彼?が情報上げたんでないかなーと思う。

「あ、そうっぽいね」

こっちみてペコリと頭下げたので、あってたっぽいね。


ふむん。
内容見る限りは大分難易度下がるけど……さてどうなるかな?
さっきまでの虐殺ショーのせいで、みんな参加するのに及び腰になっとんのよな。

……おう?


「かなりガチっぽいメンバーが来たね」

ガチムチ坊主集団が来たぞ。
見学じゃ無くて参加するっぽい。

「たしか……13階で活動してる連中だな。装備も大分揃っていたはずだ」

「お、じゃあ良い勝負になるかもねー?」

なるほど、隊員さん……それも結構攻略進んでる組らしい。
装備の差を数で埋めれば行けるかも知れないぞっ。

擬きとは言え、自分がやられるのを見るのは複雑だけど……このままじゃイベント的にもちょっとあれだし、ここは挑戦する側を応援しておこうか。

クロ擬きが相手だったら、クロ擬きを応援するけどな!




戦闘は開幕ブレスから始まった。
ただこれは隊員さんも予想はしていたのだろう、前方に石壁を幾つもの発生させ、それと盾と障壁を使いどうにか乗り切っていた。

ただ、雷属性乗っているもんで、直後に飛んできたナイフを避けきれず数人突き刺さる。

当たり所が良かったらしく、それで死亡判定とはならなかったようだ。

俺擬きが接近するのを魔法などで牽制している間に治療し、どうにか体勢を立て直す。

そこからは防御に重点をおいて、持久戦に突入した。


隊員さんは俺が使うスキルについてある程度は知っているのだろう。
常に距離を取って中距離か遠距離攻撃で攻撃。
もし狙われた場合は防御するのではなく、回避に専念している。

衝撃波は防御しても食らうし、土蜘蛛は……防御しても貫いてくるだろうしで、防御してもあまり意味が無い。

まあ、土蜘蛛は接近しないと使わないので、俺擬きも基本的に衝撃波を放つか、魔法を使って攻撃してる感じだ。

「あの電撃ってこの間の宝石ですか?」

「ですです」

「今度オークションで見掛けたら狙ってみるか」

「だねー」

「防御しても食らうってのがえげつないな」

なので基本的には互角で行けるのかなーって思ったのだけど、雷属性乗るのがかなりきついようだ。

衝撃波が掠めても動きが止まるし、ダメージも入るので、このまま行くその内でかいのを食らってしまいそうな予感がする。

もしかすると隊員さんは羊カードをまだ入手してないのかも知れないね。
あれがあると大分違うし……あとは羊の素材使った後付けのやつもあると良いね。

でも直ぐに用意できるもんでも無いし……うーん、じり貧だ。



「おおっ捨て身でいった」

まあ、見てる側そう思うってことは、戦う側も分かってる訳で、隊員さんたちが一斉に俺擬きに飛び掛かった。


結果的に、一人が土蜘蛛をまともに食らって死亡判定を受けた。
でも残りのメンバーが動きを止めたり、一斉に攻撃を仕掛けて片腕を潰すことに成功していた。

たぶん、腕を潰したのは何かのスキルだと思う。
他の攻撃はあまりダメージ通ってなかったのに、あれは一撃で腕がぐちゃってなったしね。

「一人減ったけど片腕潰した……これいけんじゃね?」

「いやー……」

片腕がダメになると、相当戦力落ちるはず……なんだけどねえ。

俺擬きってことは再生もあると言うことでして。

たぶん隊員さんは再生する前に倒しきるつもりだったんだろう、でも俺擬きが自分ごと隊員さんをブレスで吹き飛ばしてしまった。

そして直ぐに距離をとり……ブレスのダメージは勿論、ぐちゃった腕も直ぐに元通りになってしまう。

「はっ!?腕治ってるし!反則じゃね??」

確かに……客観的に見るとそうだよねえ。
トロールカードの再生はマジでヤバいよねー……しかも。


「……なんか外見が変わってね?」

「竜化まで使うのか」

まだ竜化してなかったみたい。
まともなダメージ入ったから、何か切り替わったんだろう。



「やはりドラゴンカードが強力だな……」

「あれまじでやべーですからね」

竜化してからも隊員さんは少し粘ったが、やはり一人減ったのと敵が全快してしまったのが大きく、全員やられてしまった。

「なあ、あれって倒せるの?無理じゃね?」

「んー……」

倒せるか?かー……無理では無いはずなんだけどなあ。

「参考までに聞きたいが、実際どうすれば倒せると思う?」

「んんん」

皆に問われて考え込む俺だが……ちょっと自分を殺す方法を考えるのって、ちょっとどうかと思わなくも無い。

……まあ考えるけど。


うーん。
うーんうーん。

…………うーん。



「……実際倒すとなると、竜化する前に何人か犠牲にして動きを止めて、頭潰すしかないかなあ」

「頭……」

下手な攻撃はあまり意味が無い……って訳じゃ無いんだけど、足にダメージ入れば、少しの間動きが鈍くなりはするしね。

でも俺だったら、ヤバいと思ったらさっき俺擬きがやったみたいに、ブレス吐いて距離を取っちゃうんだよな。

どうにか拘束すれば良いけど、拘束手段が……分銅付きの鎖とか良いかなーって思ったけど、普通に避けそうだし、当たっても切られそう。あと電撃くらう。

まあ、大人数で一気に掛かれば止められるのは分かってるので、竜化する前にどうにか動きを止めて、頭を一撃で確実潰すっきゃない。


一撃で確実に潰すかー……さっきの隊員さんが使ったスキルだとまだ威力足りないかも知れない。

「首をはねるじゃダメなのか?」

あー、首か。

首ねえ……。

「首はねても……たぶん再生すると思う。潰すのも中途半端だと再生するかも」

首をはねてもブレス吐いて飛んでいくかも知れない。
別に肺から何かを吐き出してるって訳じゃ無いし……吐き気がするだけで、要はスキル発動してるだけだしね。

頭部が残っていれば吐けると思う。

「ドン引きだよ!」

ダヨネー。
俺もそう思います。

しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった

椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。 底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。 ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。 だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。 翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...