家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう

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「223話」

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こう、ぱっと見は動物っぽいから、食えるかなーって思っちゃったんだよ。走りっぱなしでお腹空いちゃったし。でかいし1体ぐらい……いかんいかん。集中。


「それじゃ、まずは俺たちのみで戦うから、自衛隊の方々は見ていて貰えるか?」

あ、はい。

武器構えて臨戦態勢に入ろうとしたところで、待ったが掛かった。おのれ。

「では、お願いします。おい、少し下がるぞ」

「はい」

じゃあ、俺たちは少しの間見学と……集中して見学するとしよう。
米軍が前に出たことで、自衛隊の面々は少し後ろに下がる。

俺も荷物を引っ張って少しだけ後ろに下がった。
もしかすると攻撃がこっちに飛んでくるかもしれないしね。
くらっても俺たちは平気でも、荷物はあかん。今日の夕飯とか、野営道具一式とかあるから、壊れるとまずいんだよね。いやあ、車が事故? ったときに壊れなくてよかったよかった。

「どうやって戦うのかなー」

実は米軍が戦うところをちゃんと見た事ないから、ちょっと楽しみではある。
それに、これだけの人数が一斉に戦うのを見るのも初めてだ。

……山羊の数は全部で5体。
1体につき米軍が50人で相手する計算だ。

極大ダンジョンは適正人数が30以上だった……よね?
ちょっと多い気がするけど、まあ適正っちゃ適正なのかな。

おっと、そろそろ接敵するな。
さて、あの山羊はどんな戦い方をするのかな。


「おお、まさかそう戦うとは……たしかに筋肉凄いし、あってるけどさあ」

突っ込んで、角突き上げたりとか、魔法とか、へんな呪いとかそんなので攻撃するのかなーって思ったんだけどさ。ほら、山羊だし?

なんかそのどれとも違ったわ。
急に後ろ足で立ち上がったかと思ったら……両腕を大きく振るい、時に叩き付けるように、時に薙ぎ払うように……と、ちょっと予想外な戦いかたをしだした。

予想外なだけで、あってはいると思うけどね。
こいつ、すっごい筋肉質なんだ。特に上半身の筋肉がすごい。

腕をぐいっと振り上げると、ミリミリミリって感じで筋肉が盛り上がり、その筋肉でもって全力で腕を振うるんだ。その体のでかさも相まって、かなりの威力になると思う。
あ、ちなみに体長でいうと、大体10mぐらいあるね。

弱点は頭部と体の中心部だけど……どっちも狙うの厳しいかもね。



「一体を数十人で囲んでボコると……なんというゴリ押し」

そんな相手にたいして米軍がどう戦うのかと思ったら、全員が盾を持って突貫であった。
多少攻撃されようが、すぐに相手にとりつき、ガンガン武器を振るっているように見える。

あれでまずは足にダメージを与えて、動きを止めて、それから弱点を狙うつもりなのかな?

与えるダメージは少なそうだけど、米軍側もきっちり盾をもっているし、まあなんとかなりそう……って思ったんだけどね。


「……なんか敵に対して弱くないです? 怪我人もかなり出てますよね、これ」

よくよく見たら相手の攻撃を抑えれてない。
盾を構えたと思ったら盛大に吹っ飛ばされたり、蹄と地面に挟まれて赤い花を咲かせたりしてる。
死んで無いよな、あれ。

どう考えても米軍のほうが被害がでかいぞこれ。
怪我を負った人は後方に下がってポーションで治療して……あ、また突っ込んでいった。

「うーむ……レベルが低いか、装備が整っていないか……その両方か?」

戦闘を観察していた都丸さんが、呟くようにそんな感想を述べる。
俺もたぶんそうじゃないかなーと思った。

今、自衛隊が潜っているのは17階とかそれぐらいだったはず。
それに対して米軍が潜っているのが14階……後発組なのに、明らかに進んでいる。本来ならまだ10階付近でもおかしくないはずだ。

答えは今の戦闘で分かった。

自衛隊が俺と同じように、ギリギリまでレベルを上げて、さらには装備も整えているのに大して、米軍はおそらくレベルをあげずに装備もそこそこの状態で人数でごり押しする方法をとっているのだ。

たぶん階層と同じレベルか……もしかすると低いぐらいかも知れない。

それ、適正レベルだから確かに進めるには進めるけど、人の消耗……主にメンタルの面でかなりやべーんじゃないかと思うんだけどなあ……大丈夫かな?


「終わったみたいだな」

「おっと」

うーんうーんと考えている間に戦闘が終わってた。

しっかしこれ、アドバイスもくそも無いような……レベル上げて装備整えろで終わってしまうぞ。
問題はそれを相手にどう納得させるか……たぶん現場的にはこのやり方はキツイから、変えようってなるんじゃないかな? でも上は良いポーションを出来るだけ早く多く確保したいだろうし……しわ寄せが下にいく構図だろうか。あんまやり過ぎると、アマツに怒られるかもね。

んー……だから演習みたいな建前で、自衛隊の手でレベルの引き上げやらなんやらを頼んだとか? うーん。

「ふむ……よし、島津。行け」

戻ってくる米軍を見て考え込んでいた都丸さんが、俺の方を向いたかと思うと、親指で指さすジェスチャーをする。
へ? と思って、指さす方向へ視線を向けると、遠くにこちらへと向かってくる山羊の姿が見えた……なるほど、お代わりまであるんか。

って、まって俺だけ?

「え、まじっすか? いきなり?」

「レベルも装備も足らないと分からせるには、島津が戦ってみせるのが一番早い」

「あー……それじゃあ」

米軍が終わって、次はうちらの番……本来であれば、他の隊員さんも一緒に戦ってみせるのだろうけど、そこを無視して俺単独でやっちまえとの指示だ。

まあ……確かにそれが早いかもね。
この際だから竜化もして……。



「行きます」

本気でやってしまおう。
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