家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう

文字の大きさ
260 / 304

「260話」

しおりを挟む

ま、楽しみは後にとっておくとして、とりあえず動画の撮影をやってしまおう。

「んじゃ、ゴブリンにいこっか」

そう言って俺は小部屋へのほうへと近づいていく。
近づくにつれて中の様子が明らかになっていく、そこには10体のゴブリンが、武器を構えてこちらが中に入るのを待ち構えていた。ちょっと腰引けてるけど。

「ここからは今までの階層と違って、中にいる敵が事前にこっちを察知して待ち構えてたりする。なので不意打ちは基本出来ないと思って良い」

不意打ちは楽でよかったんだけどね。
まあ、でも扉開けてもこっち見ないってのは明らかにおかしいし、しゃーないかなーとは思ってる。

とりあえず入室っとな。

「見ての通り、一つ前のゴブリンと違って装備が良くなってるんで、向こうの攻撃は強力になるし、逆にこっちの攻撃は通り難くなるから……こんな感じで防具のない箇所を狙うように。ただやっぱゴブリンには変わりないんで、基本的な戦い方は一緒で良いよ。一応、最初は防御に重点おいてね」

入ると同時に襲い掛かってきたゴブリンを捌きながら説明を続け、ちょど良いタイミングでゴブリンの首が差し出されたので、鉈……爪? で切り落とす。なんか後ろに居た奴の首も飛んだ。 わざわざ攻撃範囲に入るとか、空気読んだ? ないよな。

「あと、傷がついてない装備はそこそこのポイントになるんで、かさ張らないのを選んで持ち帰るといいよー」

最初はうっかり傷つけちゃってたよなー……まあ、それも今となっては良い? 思い出だ。
この動画をみた人たちが、しっかり装備を持ち帰ってポイントを稼いでくれると良いな。

「いじょ」

おしまい。

「さくっと終わったな」

「まー、ゴブリンには変わりないし……」

「こいつはねー。次の階層は武器も変わるから多少ちがうんだけどねー」

基本的に前の階層と戦いかた変わらんし、さくっと終わらせた。
この鉈というか爪だけど、やたら切れ味上がってるんですっぱすっぱ切れるんだよね。
おかげでストレスなく首狩れました。

「んじゃ次は誰いきます?」

カメラを構えながら中村がそんなことを言うと、北上さんがすっと手を上げる。

「あー、じゃあ私がいこうかなー」

「うぃっす、そんじゃ北上さんお願いしまっす」

ぱっと見じゃ分からないだろうけど、なんかやる気いっぱいだなー北上さん。
なんて考えながら装備を確認している北上さんを見ていたのだけど……向こうもこちらをじっと見つめていることに気が付いた。

「ん? どうかしたっすか?」

何かあったのかな。

「私も龍化してみたいなーって」

「あ、やってみますー? 俺も他の人の見てみたいなーって思ってたんですよ」

「ん」

なるほど、そういう事か。
俺の龍化をみて北上さんもやりたくなったのか。

俺も見せて貰おうとは思っていたし、あとでなんて言わずやってもらっちゃおう。
一旦休憩所に戻って、カードを北上さんに渡すとしよう。全力で走れば1分もありゃ着くしね。さくっと戻るっぞ。



「んじゃこれどうぞ」

さくっと戻って北上さんに飛竜カードを渡す。
北上さんは受け取って、端末を操作して……ふとその手を止める。

「これ……なんか変なのあるんだけどー」

「気にしちゃだめっす」

「むぅー……じゃあ龍化するねえ」

変なのか。
たぶんアマツのあれだと思うけど……実は別のやつのがついてたりとかするんだろうか? あとでこっそり聞こうかな。たぶん撮影終わったあとに何かあるっぽいし、その時にでも。

「へーんしんっ」

「あ、掛け声はつけるんだ……」

戦隊物とか好きだったりするのだろうか。
部屋にいった感じそんな雰囲気はなかったけど……っと、それより龍化だ龍化。
果たして北上さんはどんな姿になるのやら。

北上さんが掛け声と共に龍化を発動すると、すぐにその姿が変わっていく。
身に着けていた防具は生物のよう……に?

あれ、あんま生物っぽくないぞ。
あ、でも頭部は……んんん?


「おぉぉぉ……」

「まじで俺とぜんぜん違う……普通に全身鎧着込んでるみたいだ」

「っへー。そんな見た目なったんだ?」

自分の腕や体を見ながら、そういう北上さん。
俺たちはそれにコクリと頷いて返した。

「あ、でも角はある……ありがと」

頭にある角に触れる北上さんに、中村がカメラを手渡す。
そこには龍化後の姿が収まっていて、北上さんはそれを興味深そうに眺めていた。


さて、北上さんの姿がどうなったかだけど。
まず全体的なフォルムは人間の女性から大きく変わってはいない。
俺の場合は防具が明らかに生物の甲殻とかへと変化したが、北上さんの場合は黒い金属製の鎧の様に見える。
盾の部分だけは赤色掛かった透明な甲殻っぽくなっているので、俺と色違いみたいになってるね。
爪? の部分は俺とほぼ同じかなー。

あと特徴的なのは頭部かな。羊のそれに似た大きな角がついている。あと髪の毛がしっかりあるんだよね……ヘルメットどこいったし。角になったのかな。顔に関しては生物というよりは……機械の龍みたいな感じ。かなり恰好良いと思う。

翼はない。
その代わりにヒラヒラした布っぽいのが揺れている。あれで飛べるのかな? ……まあ飛べるんだろうけど。

ほんと俺と大分姿違うなあ。

「んー? 島津くんと違ってフェイスガードはずれるっぽい」

「おろ」

まじかよ。
俺なんて顔と一体化してたと言うのに……。

「どうだっ」

少しカチャカチャとフェイスガードをいじっていた北上さんだけど、そういうと同時にフェイスガードを取り外す。

フェイスガードの下から出てきたのは、ほぼ人間といって良いものであった。

「顔は人の部分がかなり残ってますね。知ってる人なら北上さんだって分かるぐらいには」

てか、これほぼ本人の顔だな!
カメラ映りとか気にして考慮してくれたのだろうか。
まあ、とはいっても。

「おー。とりあえず普段はフェイスガードつけておくねー」

「それが良いっすね」

「俺もそう思う」

映すわきゃねーのですけどね。
しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった

椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。 底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。 ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。 だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。 翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...