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「274話」
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ま、それはそうとまずは撮影を終わらせなければいけないね。
そう考え向かった休憩所には、すでに北上さん、あと中村と太郎の姿があった。
俺は北上さんに……ああ、そうそう。北上さんの名前だけど、撮影時は今まで通り北上さんと呼ぶことにしたよ。
下の名前までだしちゃうとさすがに身バレとかそっちの心配があるからね……ちょっと今更感もあるけど。あえてバレるように仕向ける必要はないだろうって、話し合って決めたのだ。
んで、休憩所に入ると北上さんもこっちに気付いたようで、こっちをみてぶんぶんと手を振っていた。
それに答えるように俺も笑顔で手を振り、みんなのほうへと近づいていく。
「……?」
近付くにつれ……というか、北上さん以外にもしっかり視線を向けたことで気付いたのだけど、中村の様子がおかしい。
どうおかしいかというと、太郎の横で膝を抱えて座り込んでいる。
若干、太郎にもたれ掛かる様な感じだ。
その光景をみて、俺は中村に声を掛けるのを止め、そっと北上さんに耳打ちするように話しかけた。
「どうしたんすかあれ」
「なんかねー、島津くんに彼女ができたのがショックだったらしいよー」
おう。
分かったの結構前なのに、なんで今頃になって心にダメージ受けてるんですかね……?
そしてこれはあれか、心の傷をいやすために太郎に癒しを求めている……いやそれともまさか?
「だからって……太郎って、人じゃないし、そもそも雄なんだけど」
中村、ついにそっちにいってしまったか。
「禁断の恋だね」
「俺には祈る事しかできない」
二人の邪魔をするなんて、俺には、俺たちにはできない。
俺と北上さんはそっと中村と太郎から距離をとり、遠くで見守るのであった……。
クロは床で丸まってる。
「おいこら、聞こえてっからな??」
そっと距離をとる俺たちに、中村が抗議の声を上げる。
見た目より落ち込んではなさそうだ。
「元気そうでなにより。式はいつ?」
「私ね、せめて人の方がいいと思うんだ」
「たんに太郎に愚痴ってただけだっつーの!」
「それはそれでどうかと」
犬に愚痴るってどうかと思うんですがそれは。
まあ、俺もクロに相談はするし、人の事は言えんけどさ。
太郎のあれはたんに中村から貰えるご飯が目当てだと思うんだけど……まあ言わないでおこう。
「……ああ、そうそう頼まれてたのもってきたよ」
「おおっ……なんだっけ?」
うおい。
「生首」
こいつ忘れてやがんな……と、中村の目の前にでんっと飛竜の生首をおく。
「ああ、そっちの生首ね」
そのでかさにちょっと引く中村であるが、ぽんと手を打ち納得したように頷く。
てか別の生首があるのか。あるな。
あるけどあれを映しちゃいかんでしょ……本人? は映りたかったらしいけど、さすがにいくら俺でもあれはあかんってのは分かる。
てか、飛竜の生首でも結構ヤバいんじゃないかなーって気がするけどなあ。
「いまのところ一番深い階層の敵だもん、みたいやつはいっぱい居るっしょ」
ちょっと炎上しないか不安ではあったけど、中村がそういうのでとりあえず生首を回収して、そのまま撮影することにしたよ。
動画はちょっと炎上したとだけ言っておこう。
撮影を終え、動画の投稿、そして炎上を見届けた俺は3人に別れを告げて家へと戻っていた。
そろそろ夕飯の時間だったからね。
「やっと帰ってきたかい」
「んだよ。まだ入ってたんか」
茶の間の明かりをつけると、そこには洗濯ネットに入った生首の姿があった。
……あまりにもしつこいから、ついつい洗濯ネットにぶっこんじゃったんだよね。これに入れておけば生首でも少しの間は大人しくなるからさ……でも自力で抜け出せないわけじゃないんだけどな。
とりあえず生首を洗濯ネットからだして夕飯の支度をしよう。
もう撮影は終わったし、出しても騒いだりはせんだろう。たぶん。
ほどなくして簡単だけど夕飯はできた。
以前の件もあって、いちおう生首も一緒にご飯を食べているのだが……まだむすっとしてるんだよな。
「なに、まだぶう垂れてんの? たしかに洗濯ネットに入れたのは悪かったかもだけどさー」
洗濯機につっこまなかっただけ有情だと思うのだけど。
「おしいけど違うねっ、女神はそんなの気にしません!」
「いや、そこは気にしようぜ……ほら、漬物やっから機嫌なおせって」
こいつのキャラがたまによく分からなくなるな……。
きゅうりの漬物いっぱいあるから、半分ぐらい分けてあげよう。
「……ふんっ、こんなので誤魔化されるほど私は安くないよ!」
そう言いながらもしっかり食ってるけどな!
きゅうりの漬物おいしいから仕方ないね。
「つーか、洗濯ネットじゃなきゃ何を……」
てっきり洗濯ネットにぶっこんで放置したのを怒っているのかと思ったが、そうでもないらしい。
となると思い当たるのは一つ。
「そんな動画に出たかったのか? てか動画に出てなにするつもりだったんだ? まあ、インパクトはあるだろうけど、炎上するだけだと思うぞ」
「別に、たんにダンジョン完成したから宣伝しようかと思っただけだよ」
「へー」
やっぱ動画に出たかっただけかー……ん? 今なんか重要なことをさらっと言わなかった?
ダンジョン完成したとかなんとか。
「えっ、できたの?」
「できたよ」
びっくりして思わず聞き直した俺に、どや顔でそう返す生首。
てか、そういうのはもっと早く言わんかいっ。
そう考え向かった休憩所には、すでに北上さん、あと中村と太郎の姿があった。
俺は北上さんに……ああ、そうそう。北上さんの名前だけど、撮影時は今まで通り北上さんと呼ぶことにしたよ。
下の名前までだしちゃうとさすがに身バレとかそっちの心配があるからね……ちょっと今更感もあるけど。あえてバレるように仕向ける必要はないだろうって、話し合って決めたのだ。
んで、休憩所に入ると北上さんもこっちに気付いたようで、こっちをみてぶんぶんと手を振っていた。
それに答えるように俺も笑顔で手を振り、みんなのほうへと近づいていく。
「……?」
近付くにつれ……というか、北上さん以外にもしっかり視線を向けたことで気付いたのだけど、中村の様子がおかしい。
どうおかしいかというと、太郎の横で膝を抱えて座り込んでいる。
若干、太郎にもたれ掛かる様な感じだ。
その光景をみて、俺は中村に声を掛けるのを止め、そっと北上さんに耳打ちするように話しかけた。
「どうしたんすかあれ」
「なんかねー、島津くんに彼女ができたのがショックだったらしいよー」
おう。
分かったの結構前なのに、なんで今頃になって心にダメージ受けてるんですかね……?
そしてこれはあれか、心の傷をいやすために太郎に癒しを求めている……いやそれともまさか?
「だからって……太郎って、人じゃないし、そもそも雄なんだけど」
中村、ついにそっちにいってしまったか。
「禁断の恋だね」
「俺には祈る事しかできない」
二人の邪魔をするなんて、俺には、俺たちにはできない。
俺と北上さんはそっと中村と太郎から距離をとり、遠くで見守るのであった……。
クロは床で丸まってる。
「おいこら、聞こえてっからな??」
そっと距離をとる俺たちに、中村が抗議の声を上げる。
見た目より落ち込んではなさそうだ。
「元気そうでなにより。式はいつ?」
「私ね、せめて人の方がいいと思うんだ」
「たんに太郎に愚痴ってただけだっつーの!」
「それはそれでどうかと」
犬に愚痴るってどうかと思うんですがそれは。
まあ、俺もクロに相談はするし、人の事は言えんけどさ。
太郎のあれはたんに中村から貰えるご飯が目当てだと思うんだけど……まあ言わないでおこう。
「……ああ、そうそう頼まれてたのもってきたよ」
「おおっ……なんだっけ?」
うおい。
「生首」
こいつ忘れてやがんな……と、中村の目の前にでんっと飛竜の生首をおく。
「ああ、そっちの生首ね」
そのでかさにちょっと引く中村であるが、ぽんと手を打ち納得したように頷く。
てか別の生首があるのか。あるな。
あるけどあれを映しちゃいかんでしょ……本人? は映りたかったらしいけど、さすがにいくら俺でもあれはあかんってのは分かる。
てか、飛竜の生首でも結構ヤバいんじゃないかなーって気がするけどなあ。
「いまのところ一番深い階層の敵だもん、みたいやつはいっぱい居るっしょ」
ちょっと炎上しないか不安ではあったけど、中村がそういうのでとりあえず生首を回収して、そのまま撮影することにしたよ。
動画はちょっと炎上したとだけ言っておこう。
撮影を終え、動画の投稿、そして炎上を見届けた俺は3人に別れを告げて家へと戻っていた。
そろそろ夕飯の時間だったからね。
「やっと帰ってきたかい」
「んだよ。まだ入ってたんか」
茶の間の明かりをつけると、そこには洗濯ネットに入った生首の姿があった。
……あまりにもしつこいから、ついつい洗濯ネットにぶっこんじゃったんだよね。これに入れておけば生首でも少しの間は大人しくなるからさ……でも自力で抜け出せないわけじゃないんだけどな。
とりあえず生首を洗濯ネットからだして夕飯の支度をしよう。
もう撮影は終わったし、出しても騒いだりはせんだろう。たぶん。
ほどなくして簡単だけど夕飯はできた。
以前の件もあって、いちおう生首も一緒にご飯を食べているのだが……まだむすっとしてるんだよな。
「なに、まだぶう垂れてんの? たしかに洗濯ネットに入れたのは悪かったかもだけどさー」
洗濯機につっこまなかっただけ有情だと思うのだけど。
「おしいけど違うねっ、女神はそんなの気にしません!」
「いや、そこは気にしようぜ……ほら、漬物やっから機嫌なおせって」
こいつのキャラがたまによく分からなくなるな……。
きゅうりの漬物いっぱいあるから、半分ぐらい分けてあげよう。
「……ふんっ、こんなので誤魔化されるほど私は安くないよ!」
そう言いながらもしっかり食ってるけどな!
きゅうりの漬物おいしいから仕方ないね。
「つーか、洗濯ネットじゃなきゃ何を……」
てっきり洗濯ネットにぶっこんで放置したのを怒っているのかと思ったが、そうでもないらしい。
となると思い当たるのは一つ。
「そんな動画に出たかったのか? てか動画に出てなにするつもりだったんだ? まあ、インパクトはあるだろうけど、炎上するだけだと思うぞ」
「別に、たんにダンジョン完成したから宣伝しようかと思っただけだよ」
「へー」
やっぱ動画に出たかっただけかー……ん? 今なんか重要なことをさらっと言わなかった?
ダンジョン完成したとかなんとか。
「えっ、できたの?」
「できたよ」
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てか、そういうのはもっと早く言わんかいっ。
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