53 / 61
因縁の再会と決着
方針
ギルドに戻ると、待っていた三人は俺が無事だったことにひとまず安心した表情を浮かべる。
「どうでしたか?」
「面倒なことになった。とりあえず宿に戻ろう。そこで話す」
俺たちは宿に戻ると、一室に集まる。
そこで俺はリオナに言われたことと、リオナがトロールのように複数の職業を持っていることなどを話した。
「と言う訳で、あいつはどうしても俺を連れて帰るつもりだ。とはいえ数日の猶予がある。そこでそもそもついていくかどうか自体で意見を聞きたい」
これまで俺は教会に目をつけられることを恐れていたが、アルト公爵がここまで危険な実験をしているのであれば、彼は俺がどれだけ教会に睨まれていようと守ってはくれるだろう。
また、ティアもこの件の真相を知ってしまえば隣国に送り返すようなことは出来なくなるはずだ。
そのため、必ずしも悪いことばかりではない。
「ついていくかどうかというのもそうですが、ご主人様は仮に公爵が領民を連れて来てその職業を奪っているとして、それをいかがするつもりでしょうか?」
リンが口を開く。
確かにそもそも公爵の実験を阻止するのかどうかという問題もあるし、仮に阻止するとしてもついていくかいかないかという問題もある。
「正直俺はそこまで公爵の件に首を突っ込む気はない。確かに悪いことをしているのかもしれないが、他の貴族が領民から重税をとって餓死に追いやっているのと大して変わらない」
「分かりました。でしたらついていくのには反対です。ご主人様の力は貴族の欲望を満たすためだけに使うのはもったいないです」
リンがはっきりと自分の意見を言った。
続いて俺はティアを見る。
「私は……ついていってもいいと思います。積極的に行きたいというわけではありませんが、他にいい場所があるとも思えないので」
どうせ行く場所がないなら自分を高く評価してくれる公爵についていくというのはありということだろう。
最後に俺はフィリアを見る。
「私はそのような実験をする公爵のことは信用できない……でも逆に、逆らったときの怖さも感じている。そもそもリオナさんという方は敵に回して勝てるの?」
「正直分からない」
普通の魔物であればギルドに問い合わせれば大体のデータがあり、体格や魔力などが平均よりも大きいか小さいかでそこから戦力を把握することが出来る。
しかし公爵により改造された魔物がその範疇に収まるのかはよく分からない。
そして一番不明なのがリオナ自身の強さだ。そもそも聖剣士自体が強い職業な上に、他にもいくつもの職業を持っている。俺の力はあくまで職業合成だが、それと似たような結果になるのか、それともそれとは別の結果になるのか。
「もっとも、倒せるとしてもその後どうするかっていう問題は残ると思うけど」
「そのときこそ、今度は正体を隠してエートランド王国にでも逃げるか」
「でもそうすると職業を売買するのは難しいですよね?」
ティアが指摘する。
しばらく職業の売買をやめて身を潜めてもいいが、そうなれば俺の一番の目的である「この力の限界を知る」ということから遠のいてしまう。
それぐらいなら公爵の屋敷に招かれて俺の力の研究を進めてもいいのかもしれないと思ってしまう。
他の三人もそれ以上の意見はないのか、沈黙が流れた。
特にいい考えも浮かばず、結局俺は消極的な方針を口にする。
「分かった。リオナは数日ここに滞在すると言うし、明日はリオナたちの戦力を見てみよう。もし連れてきた魔物がとるに足らなければ公爵は大したことがないからさっさと蹴散らして逃げればいいし、魔物やリオナの力が強大であれば技術を盗むためということにして公爵の元に向かうことも考えよう」
「分かりました」
俺の言葉に三人とも頷く。
これまで自分の進路は自分で決めてきたのにこんなところで他人任せになってしまうのは悔しい。
それに最初に来たトロールが快進撃を続けているところを見ると、リオナが連れてきた魔物たちもそれなりに強い可能性が高い。リオナだって圧倒的な戦力を持っているからこそ、公爵の実験のことも教えてくれたのだろう。
そう考えると、この方針に決めた時点で公爵の屋敷に出向かなければならないのではないか?
そんな思いが脳裏をよぎってしまうのだった。
「どうでしたか?」
「面倒なことになった。とりあえず宿に戻ろう。そこで話す」
俺たちは宿に戻ると、一室に集まる。
そこで俺はリオナに言われたことと、リオナがトロールのように複数の職業を持っていることなどを話した。
「と言う訳で、あいつはどうしても俺を連れて帰るつもりだ。とはいえ数日の猶予がある。そこでそもそもついていくかどうか自体で意見を聞きたい」
これまで俺は教会に目をつけられることを恐れていたが、アルト公爵がここまで危険な実験をしているのであれば、彼は俺がどれだけ教会に睨まれていようと守ってはくれるだろう。
また、ティアもこの件の真相を知ってしまえば隣国に送り返すようなことは出来なくなるはずだ。
そのため、必ずしも悪いことばかりではない。
「ついていくかどうかというのもそうですが、ご主人様は仮に公爵が領民を連れて来てその職業を奪っているとして、それをいかがするつもりでしょうか?」
リンが口を開く。
確かにそもそも公爵の実験を阻止するのかどうかという問題もあるし、仮に阻止するとしてもついていくかいかないかという問題もある。
「正直俺はそこまで公爵の件に首を突っ込む気はない。確かに悪いことをしているのかもしれないが、他の貴族が領民から重税をとって餓死に追いやっているのと大して変わらない」
「分かりました。でしたらついていくのには反対です。ご主人様の力は貴族の欲望を満たすためだけに使うのはもったいないです」
リンがはっきりと自分の意見を言った。
続いて俺はティアを見る。
「私は……ついていってもいいと思います。積極的に行きたいというわけではありませんが、他にいい場所があるとも思えないので」
どうせ行く場所がないなら自分を高く評価してくれる公爵についていくというのはありということだろう。
最後に俺はフィリアを見る。
「私はそのような実験をする公爵のことは信用できない……でも逆に、逆らったときの怖さも感じている。そもそもリオナさんという方は敵に回して勝てるの?」
「正直分からない」
普通の魔物であればギルドに問い合わせれば大体のデータがあり、体格や魔力などが平均よりも大きいか小さいかでそこから戦力を把握することが出来る。
しかし公爵により改造された魔物がその範疇に収まるのかはよく分からない。
そして一番不明なのがリオナ自身の強さだ。そもそも聖剣士自体が強い職業な上に、他にもいくつもの職業を持っている。俺の力はあくまで職業合成だが、それと似たような結果になるのか、それともそれとは別の結果になるのか。
「もっとも、倒せるとしてもその後どうするかっていう問題は残ると思うけど」
「そのときこそ、今度は正体を隠してエートランド王国にでも逃げるか」
「でもそうすると職業を売買するのは難しいですよね?」
ティアが指摘する。
しばらく職業の売買をやめて身を潜めてもいいが、そうなれば俺の一番の目的である「この力の限界を知る」ということから遠のいてしまう。
それぐらいなら公爵の屋敷に招かれて俺の力の研究を進めてもいいのかもしれないと思ってしまう。
他の三人もそれ以上の意見はないのか、沈黙が流れた。
特にいい考えも浮かばず、結局俺は消極的な方針を口にする。
「分かった。リオナは数日ここに滞在すると言うし、明日はリオナたちの戦力を見てみよう。もし連れてきた魔物がとるに足らなければ公爵は大したことがないからさっさと蹴散らして逃げればいいし、魔物やリオナの力が強大であれば技術を盗むためということにして公爵の元に向かうことも考えよう」
「分かりました」
俺の言葉に三人とも頷く。
これまで自分の進路は自分で決めてきたのにこんなところで他人任せになってしまうのは悔しい。
それに最初に来たトロールが快進撃を続けているところを見ると、リオナが連れてきた魔物たちもそれなりに強い可能性が高い。リオナだって圧倒的な戦力を持っているからこそ、公爵の実験のことも教えてくれたのだろう。
そう考えると、この方針に決めた時点で公爵の屋敷に出向かなければならないのではないか?
そんな思いが脳裏をよぎってしまうのだった。
あなたにおすすめの小説
義妹がピンク色の髪をしています
ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。
催眠術師は眠りたい ~洗脳されなかった俺は、クラスメイトを見捨ててまったりします~
山田 武
ファンタジー
テンプレのように異世界にクラスごと召喚された主人公──イム。
与えられた力は面倒臭がりな彼に合った能力──睡眠に関するもの……そして催眠魔法。
そんな力を使いこなし、のらりくらりと異世界を生きていく。
「──誰か、養ってくれない?」
この物語は催眠の力をR18指定……ではなく自身の自堕落ライフのために使う、一人の少年の引き籠もり譚。
勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~
名無し
ファンタジー
突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。
自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。
もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。
だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。
グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。
人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
妹が聖女の再来と呼ばれているようです
田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。
「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」
どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。
それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。
戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。
更新は不定期です。
散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。
アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。
それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。
するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。
それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき…
遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。
……とまぁ、ここまでは良くある話。
僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき…
遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。
「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」
それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。
なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…?
2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。
皆様お陰です、有り難う御座います。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。