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7. 次なる約束
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「では、きっと早い方がいいだろう。母もまた何か言ってくるかもしれないからね。明日、会う予定があるから、君も一緒に行こうか。」
「え!?あ、明日ですか?」
(そんな急だわ…。でも、こうなったらなるようにしかならないわね!)
「おや、さすがに急だったかな?」
「い、いえすみません。驚いただけです。分かりました。では私はどうすればよろしいですか?」
「うん、悪いけど朝早いんだがいいかな?迎えを寄越すから。どこか宿屋にでも泊まっているの?」
「はい。ありがとうございます。王都にある、ええと…」
(やだわ。宿屋の名前、なんだったかしら?)
「エド!」
ナターシャは、手続きはエドがやっていた為に泊まっている宿屋の名前を覚えていなかった。建物にも書いてあったとは思うのだがどうにも思い出せない。だから話の内容を聞かないように少し遠くで待機してくれているエドに声を掛けた。
すると、エドはミロシュに頭を下げつつ素早くナターシャの方へ来た。
「お呼びでしょうか。」
「エド、私達が泊まる宿屋の名前って覚えている?」
「はい。王都の主要街道沿いにある、ヴェルケホテルです。」
「あぁ、なるほどね。君達だけでいるの?」
エドが、ナターシャとミロシュに視線を向けて言うと、ミロシュはエドに向けて言葉を返す。
「はい。あちらのホテルであれば、防犯面でもしっかりされていると聞き及びました故。」
エドも、頭を下げながらそう返答した。ナターシャは、
(エド、さすがね…使用人の仮面をしっかり被っているわ。)
と感心しながらエドを見ていた。
「確かにね。分かった。じゃあ明日、ナターシャ嬢を僕の友人に会わせる為に迎えを寄越すよ。夜が明ける前に行くから、今日は早く寝るようにね。」
「承知致しました。仰せのままに。」
そう言ってエドは、再び頭を下げ、一歩下がった。
「よし、じゃあそういう事で!もう一度聞くけど、僕との結婚は考えてないよね?」
「…どのような意味でしょうか?先ほどもお伝えしました通り、私では身分不相応です。全く考えておりません。ミロシュ様がお付き合いされている方と、ご結婚なされる事を心から願っております。」
「ハハ!そうか!いや、いいね!」
ミロシュは腹を抱えて笑い出したので、ナターシャは、
(私、何か面白い事を言ったかしら?)
と首を傾げた。
☆★
翌日。
まだ夜の闇が明け切らない頃に、ナターシャはキャリーに起こされ、支度をしていた。
迎えが来たと部屋に連絡が入り、下へと降りると昨日と同じ馬車が外で待機していた。
中は、ミロシュが乗っているかもと思ったが誰も乗っていなかった。
馬車に乗り込むと、『着いたら起こすから、眠いなら寝とけよ。』とエドに言われたので素直にナターシャは目を瞑った。
一度目が覚めたとはいってもまだ外は暗く、それに馬車の程よい揺れによって眠気が襲ってくる。
また、今から行く場所を教えられていない為に少しでも目を瞑って力を温存しておこうと思ったのだ。
「ナターシャ様。着きました。」
キャリーが軽く揺ってナターシャを起こした。ナターシャは目を開けると、馬車はすでに停まっていた。
御者が降りる準備をしてくれたのだろう、少しして扉が開いた。
「どうぞ。足元、お気を付け下さい。」
御者が言い、ナターシャの足元にランタンを向けてくれる。
「こちらからお入り下さい。」
と言って建物の中へと促される。だんだんと空が白んできてなんとなくの建物の輪郭がうっすらと見えた。
(わーここも、アレクサンダー公爵家のような、城みたいな大きい建物だわ!)
とナターシャは歩きながら思った。
「ここからは、私がご案内します。」
建物の中に入ると、傍に立っていた人がナターシャ達へと話し掛けた。
ナターシャが見ると、その人物はカッチリとした制服を着ている。左の腰に剣帯をしているのを見て、少し驚いた。
(え?剣帯しているの!?確かアレクサンダー公爵家の使用人は剣帯していなかったわよね?って事は、ここは…!)
階段をいくつも上がり、廊下の角を何個か曲がって進むと、その人は一つの部屋の前で立ち止まった。
「こちらです。お連れしました!」
「どうぞ。」
案内してくれた人は、では私はこれで、と言って去って行く。
ナターシャがその部屋へ入ろうかとすると、扉が開いて、ミロシュが出て来た。
カチャ
「やぁ、早くから済まないね。行こうか。」
(ここまで迷うくらい歩いて来たけれど、またどこかへ行くのね。)
ナターシャは頷いてからこっそり息を吐いた。
「ここまで結構歩いて疲れたかな?もう少しだからね。」
「!は、はい。」
見透かされたようで、ナターシャは顔に出ないように気をつけなきゃと思いながら下を向いた。
ミロシュのその言葉通り、同じ階の突き当たりの部屋の前でミロシュは立ち止まり、扉を叩いた。
コンコンコン
「私です。失礼してよろしいですか。」
「……。」
ミロシュが言葉を発したが、それには返事が無かった。けれどもミロシュは少しして、おもむろに扉を開けた。
(え?いいの…?)
返事が無いのに入って行っていいの?とナターシャ思っていると、
「さぁ、どうぞ。入って。あちらへ座ろう。君達はそっちね。」
と、振り向いたミロシュが言った。
エドとキャリーは今も使用人として付いてきているので、二人は頷き、扉の近くで待機した。
(ミロシュ様はまるで、自分の部屋のようね。)
クスリとナターシャは心で思いながらこっそりと笑い、促された布製のかなり豪華なソファに座った。
ミロシュも、ナターシャが座ったソファの端に座った。横長のそのソファは、四人掛けなのかかなり広い為、ナターシャとミロシュの間は空いていた。
(それにしても…この部屋もアレクサンダー公爵家みたいに調度品は素敵だわ。落ち着いてはいるけれど。)
アレクサンダー公爵家の調度品は金色を基調としていたが、この部屋はそこまで派手な感じではない。落ち着いた色味の物が最低限置いてある感じだった。
「ミロシュか。今日は報告だけのはずだが?」
正面にある執務机には、革張りの一人用の椅子がある。その椅子は足元の所で背もたれが動くようでこちらに背を向けている。その向こうの大きな窓を見ながら発したその声はその部屋に冷たく響き、少し威圧感さえ覚え、ナターシャは身が縮こまる思いがした。
「え!?あ、明日ですか?」
(そんな急だわ…。でも、こうなったらなるようにしかならないわね!)
「おや、さすがに急だったかな?」
「い、いえすみません。驚いただけです。分かりました。では私はどうすればよろしいですか?」
「うん、悪いけど朝早いんだがいいかな?迎えを寄越すから。どこか宿屋にでも泊まっているの?」
「はい。ありがとうございます。王都にある、ええと…」
(やだわ。宿屋の名前、なんだったかしら?)
「エド!」
ナターシャは、手続きはエドがやっていた為に泊まっている宿屋の名前を覚えていなかった。建物にも書いてあったとは思うのだがどうにも思い出せない。だから話の内容を聞かないように少し遠くで待機してくれているエドに声を掛けた。
すると、エドはミロシュに頭を下げつつ素早くナターシャの方へ来た。
「お呼びでしょうか。」
「エド、私達が泊まる宿屋の名前って覚えている?」
「はい。王都の主要街道沿いにある、ヴェルケホテルです。」
「あぁ、なるほどね。君達だけでいるの?」
エドが、ナターシャとミロシュに視線を向けて言うと、ミロシュはエドに向けて言葉を返す。
「はい。あちらのホテルであれば、防犯面でもしっかりされていると聞き及びました故。」
エドも、頭を下げながらそう返答した。ナターシャは、
(エド、さすがね…使用人の仮面をしっかり被っているわ。)
と感心しながらエドを見ていた。
「確かにね。分かった。じゃあ明日、ナターシャ嬢を僕の友人に会わせる為に迎えを寄越すよ。夜が明ける前に行くから、今日は早く寝るようにね。」
「承知致しました。仰せのままに。」
そう言ってエドは、再び頭を下げ、一歩下がった。
「よし、じゃあそういう事で!もう一度聞くけど、僕との結婚は考えてないよね?」
「…どのような意味でしょうか?先ほどもお伝えしました通り、私では身分不相応です。全く考えておりません。ミロシュ様がお付き合いされている方と、ご結婚なされる事を心から願っております。」
「ハハ!そうか!いや、いいね!」
ミロシュは腹を抱えて笑い出したので、ナターシャは、
(私、何か面白い事を言ったかしら?)
と首を傾げた。
☆★
翌日。
まだ夜の闇が明け切らない頃に、ナターシャはキャリーに起こされ、支度をしていた。
迎えが来たと部屋に連絡が入り、下へと降りると昨日と同じ馬車が外で待機していた。
中は、ミロシュが乗っているかもと思ったが誰も乗っていなかった。
馬車に乗り込むと、『着いたら起こすから、眠いなら寝とけよ。』とエドに言われたので素直にナターシャは目を瞑った。
一度目が覚めたとはいってもまだ外は暗く、それに馬車の程よい揺れによって眠気が襲ってくる。
また、今から行く場所を教えられていない為に少しでも目を瞑って力を温存しておこうと思ったのだ。
「ナターシャ様。着きました。」
キャリーが軽く揺ってナターシャを起こした。ナターシャは目を開けると、馬車はすでに停まっていた。
御者が降りる準備をしてくれたのだろう、少しして扉が開いた。
「どうぞ。足元、お気を付け下さい。」
御者が言い、ナターシャの足元にランタンを向けてくれる。
「こちらからお入り下さい。」
と言って建物の中へと促される。だんだんと空が白んできてなんとなくの建物の輪郭がうっすらと見えた。
(わーここも、アレクサンダー公爵家のような、城みたいな大きい建物だわ!)
とナターシャは歩きながら思った。
「ここからは、私がご案内します。」
建物の中に入ると、傍に立っていた人がナターシャ達へと話し掛けた。
ナターシャが見ると、その人物はカッチリとした制服を着ている。左の腰に剣帯をしているのを見て、少し驚いた。
(え?剣帯しているの!?確かアレクサンダー公爵家の使用人は剣帯していなかったわよね?って事は、ここは…!)
階段をいくつも上がり、廊下の角を何個か曲がって進むと、その人は一つの部屋の前で立ち止まった。
「こちらです。お連れしました!」
「どうぞ。」
案内してくれた人は、では私はこれで、と言って去って行く。
ナターシャがその部屋へ入ろうかとすると、扉が開いて、ミロシュが出て来た。
カチャ
「やぁ、早くから済まないね。行こうか。」
(ここまで迷うくらい歩いて来たけれど、またどこかへ行くのね。)
ナターシャは頷いてからこっそり息を吐いた。
「ここまで結構歩いて疲れたかな?もう少しだからね。」
「!は、はい。」
見透かされたようで、ナターシャは顔に出ないように気をつけなきゃと思いながら下を向いた。
ミロシュのその言葉通り、同じ階の突き当たりの部屋の前でミロシュは立ち止まり、扉を叩いた。
コンコンコン
「私です。失礼してよろしいですか。」
「……。」
ミロシュが言葉を発したが、それには返事が無かった。けれどもミロシュは少しして、おもむろに扉を開けた。
(え?いいの…?)
返事が無いのに入って行っていいの?とナターシャ思っていると、
「さぁ、どうぞ。入って。あちらへ座ろう。君達はそっちね。」
と、振り向いたミロシュが言った。
エドとキャリーは今も使用人として付いてきているので、二人は頷き、扉の近くで待機した。
(ミロシュ様はまるで、自分の部屋のようね。)
クスリとナターシャは心で思いながらこっそりと笑い、促された布製のかなり豪華なソファに座った。
ミロシュも、ナターシャが座ったソファの端に座った。横長のそのソファは、四人掛けなのかかなり広い為、ナターシャとミロシュの間は空いていた。
(それにしても…この部屋もアレクサンダー公爵家みたいに調度品は素敵だわ。落ち着いてはいるけれど。)
アレクサンダー公爵家の調度品は金色を基調としていたが、この部屋はそこまで派手な感じではない。落ち着いた色味の物が最低限置いてある感じだった。
「ミロシュか。今日は報告だけのはずだが?」
正面にある執務机には、革張りの一人用の椅子がある。その椅子は足元の所で背もたれが動くようでこちらに背を向けている。その向こうの大きな窓を見ながら発したその声はその部屋に冷たく響き、少し威圧感さえ覚え、ナターシャは身が縮こまる思いがした。
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