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26. 気持ちに応えたあとは
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あれから少ししてウィンフォードが声を出し、ゆっくりとレナの体を引き離した。
「はぁ…。ずっとこうしていたいけれど、そろそろかな。サーザ!」
「はい。」
「レナを連れて行ってくれ。俺はもう少しやる事がある。」
「ウィンフォード様…。」
「あぁ、レナ。勘違いしないでくれよ、今からでも一緒に連れ帰りたいくらいなんだからね。だけど、手順を踏まないといけないから。ゆっくりおやすみ。」
サーザが扉を開け、まだ夢見心地のレナを連れて部屋へと戻った。
☆★
「レナ様、ウィンフォード様のお気持ちに応えて下さってありがとうございます。」
部屋に戻ったレナへと、サーザは言葉を掛ける。
「え…?」
「ウィンフォード様は公爵家の嫡男として、また国の政を動かす要人として日々忙しくしておりました。二十五歳になるのにまだ婚約者もおりませんでした。それが、共に歩みたいと想う方を見つけられ、無事に気持ちを伝えられて、しかも了承していただけるなんて…!」
レナは、話を聞かれていたのかと酷く恥ずかしくなり、顔を真っ赤にさせた。
「あ、勘違いなさらないで下さいね。部屋に入った時のウィンフォード様の顔を見て、最後の仰ったお言葉を聞いてそう思ったまでですよ。」
とサーザは釈明する。
「ウィンフォード様は、もしも想いが儚く散ってしまった時でも私をレナ様付きとして生涯お守りするようにと言われておりましたのです。もし想いが通い合えばそのまま私もグリフィス家へと戻れますし。そういう点で、ウィンフォード様はレナ様の事を想い、考えられていたのですよ。」
レナの侍女が王宮に仕えている者が配置されたのであったなら、ウィンフォードと結婚となれば当然、レナからは離れてしまう。レナが王宮から出て行くからだ。
ウィンフォードとしたら、傍にいる侍女がころころと代わる事はレナが淋しく思うだろうと考えたのだ。
それならいっその事自分の手のうちにいる侍女を付ければ、レナの事が知れるしレナも侍女が変わらない方が良いだろうとの配慮だったのだ。
もちろん、レナが断ってくる事も考えていた。断られたら何度も想いを伝え、いつか振り向いてもらおうと思っていたのだ。
「そう…。」
(ウィンフォード様って、本当いろいろと考えてくれているのね。)
レナはその日、ウィンフォードの事を考え、なかなか眠る事が出来なかった。
☆★
翌日。
いつもより眠いと目をこすりながらも朝食を終えたレナに、
「さぁ今からお仕度をしましょう。」
とサーザが言った。
「え?今日の予定は?いつもは食べても着がえないわよね?」
と、レナは疑問をぶつける。
「はい、ウィンフォード様がお休みをもらえたそうで、お出掛けのお誘いがありました。よろしいですか?」
「そうなの!?ええ、お願いするわ。」
(また会えるのね。貴重なお休みなのにいいのかな?でも嬉しい!)
レナは、顔を綻ばせてサーザが向かったウォークインクローゼットについて行った。
☆★
「入っていいか?」
着替えが終わってすぐに、扉を叩く音とウィンフォードの声が聞こえた。
(来たわ!)
レナはワクワクしながら出迎えた。
「レナ…素敵だよ、珍しい黒い髪が引き立つようだよ。」
ウィンフォードはレナの姿を見て、褒めたたえた。いつも言いたくても言えなかった言葉を、気持ちが通じ合ったからこれからたくさん言おうと思っているのだ。
レナはそうやって言われるのに慣れていない為、顔を赤くして俯いてしまった。
「あ、ありがとうございます…。ウィンフォード様も素敵です。いつもですけど。」
「な…!」
レナは俯いたままで言ったので、ウィンフォードがどんな表情をしているかなんて見えなかった。だが、そう言わたウィンフォードもまた、顔を赤くし、それを悟られないように顔を逸らした。
「じゃ、じゃあ行こう。」
そう言って、ウィンフォードはレナの手を繋いだ。
お互いに顔は真っ赤なままだった。
「いってらっしゃいませ。」
サーザはそんな二人を微笑ましいと思いながら見送った。
「はぁ…。ずっとこうしていたいけれど、そろそろかな。サーザ!」
「はい。」
「レナを連れて行ってくれ。俺はもう少しやる事がある。」
「ウィンフォード様…。」
「あぁ、レナ。勘違いしないでくれよ、今からでも一緒に連れ帰りたいくらいなんだからね。だけど、手順を踏まないといけないから。ゆっくりおやすみ。」
サーザが扉を開け、まだ夢見心地のレナを連れて部屋へと戻った。
☆★
「レナ様、ウィンフォード様のお気持ちに応えて下さってありがとうございます。」
部屋に戻ったレナへと、サーザは言葉を掛ける。
「え…?」
「ウィンフォード様は公爵家の嫡男として、また国の政を動かす要人として日々忙しくしておりました。二十五歳になるのにまだ婚約者もおりませんでした。それが、共に歩みたいと想う方を見つけられ、無事に気持ちを伝えられて、しかも了承していただけるなんて…!」
レナは、話を聞かれていたのかと酷く恥ずかしくなり、顔を真っ赤にさせた。
「あ、勘違いなさらないで下さいね。部屋に入った時のウィンフォード様の顔を見て、最後の仰ったお言葉を聞いてそう思ったまでですよ。」
とサーザは釈明する。
「ウィンフォード様は、もしも想いが儚く散ってしまった時でも私をレナ様付きとして生涯お守りするようにと言われておりましたのです。もし想いが通い合えばそのまま私もグリフィス家へと戻れますし。そういう点で、ウィンフォード様はレナ様の事を想い、考えられていたのですよ。」
レナの侍女が王宮に仕えている者が配置されたのであったなら、ウィンフォードと結婚となれば当然、レナからは離れてしまう。レナが王宮から出て行くからだ。
ウィンフォードとしたら、傍にいる侍女がころころと代わる事はレナが淋しく思うだろうと考えたのだ。
それならいっその事自分の手のうちにいる侍女を付ければ、レナの事が知れるしレナも侍女が変わらない方が良いだろうとの配慮だったのだ。
もちろん、レナが断ってくる事も考えていた。断られたら何度も想いを伝え、いつか振り向いてもらおうと思っていたのだ。
「そう…。」
(ウィンフォード様って、本当いろいろと考えてくれているのね。)
レナはその日、ウィンフォードの事を考え、なかなか眠る事が出来なかった。
☆★
翌日。
いつもより眠いと目をこすりながらも朝食を終えたレナに、
「さぁ今からお仕度をしましょう。」
とサーザが言った。
「え?今日の予定は?いつもは食べても着がえないわよね?」
と、レナは疑問をぶつける。
「はい、ウィンフォード様がお休みをもらえたそうで、お出掛けのお誘いがありました。よろしいですか?」
「そうなの!?ええ、お願いするわ。」
(また会えるのね。貴重なお休みなのにいいのかな?でも嬉しい!)
レナは、顔を綻ばせてサーザが向かったウォークインクローゼットについて行った。
☆★
「入っていいか?」
着替えが終わってすぐに、扉を叩く音とウィンフォードの声が聞こえた。
(来たわ!)
レナはワクワクしながら出迎えた。
「レナ…素敵だよ、珍しい黒い髪が引き立つようだよ。」
ウィンフォードはレナの姿を見て、褒めたたえた。いつも言いたくても言えなかった言葉を、気持ちが通じ合ったからこれからたくさん言おうと思っているのだ。
レナはそうやって言われるのに慣れていない為、顔を赤くして俯いてしまった。
「あ、ありがとうございます…。ウィンフォード様も素敵です。いつもですけど。」
「な…!」
レナは俯いたままで言ったので、ウィンフォードがどんな表情をしているかなんて見えなかった。だが、そう言わたウィンフォードもまた、顔を赤くし、それを悟られないように顔を逸らした。
「じゃ、じゃあ行こう。」
そう言って、ウィンフォードはレナの手を繋いだ。
お互いに顔は真っ赤なままだった。
「いってらっしゃいませ。」
サーザはそんな二人を微笑ましいと思いながら見送った。
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