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俺の勧誘

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 俺の極秘の職場の話、聞く?
そんなに転職先に悩んでんだったら、やりがいもあるし、一緒に働くか?
みんな、イイヤツばっかでよ、面白いぜ。
12月24日の夜に一番忙しくなるんだ。あ、でも、絶対他の人に話すなよ?




ーーー
ーー


 俺、中卒じゃん?
どうにも、近くの高校に魅力を感じなくてさ、高校って金もかかるし。
どうしようかって進路に悩んでいた時、進路指導の先生に言われたんだ。


「お前、就職するか?」


 って。


 就職かー、働くのもなぁって思ったよ。だってまだ十五歳だったんだぜ?
だから顔に出てたのかな、その先生は苦笑しながら言ったよ。


「普通の就職先じゃあお前には合わないかもな。
じゃあとっておきのを紹介しようか、でも、ここはいろいろと。どうする?聞くか?」


 普通じゃない?怪しい会社?…な訳ないか。だって学校からの紹介なんだからよ。だから聞いてみたいって言ったんだ。


「…その就職先は、いろんな事を学ぶんだ。そして、無事にに合格すれば、出張もいろいろと行けるらしい。ただ、そこは寮があって、なかなか家に帰れないんだよ。それに、仕事内容も絶対に誰にも話してはいけないんだ。口が堅くないといけないというのかな。
でも、はすごくある職場らしいぞ。」


 …仕事内容が全く分からなかったけど、なんだかそれにひどく惹かれて、そこに行きたいって叫ぶように先生に伝えたよ。

 俺、そんなに家族とも仲良くなかったし、寮があるなら家賃安いかなって軽く考えてたのかもしれねー。


 そっから、その職場を志望して、一応親にも言って。

 親はやっぱり、俺が就職するって言っても、独り立ちするなら頑張ってとそれだけを言って反対もされなかったら、まぁよかったよ。


 試験会場は普通の、市役所の一室だった。けど、年齢は俺と同じ年齢の人だけじゃなくていろんな人がいたな、性別も。

 面接もあったよ、でもなんか主に家族の事とか、性格とか聞かれたくらいかなー。俗世ってゆーの?家族とかにもなかなか会えなくなるけどいいか、とかその辺りをすごい聞かれたね。


 ま、でも俺は結果受かったし、そっから研修も受けて、今はにも合格してさ、夜の街を駆け回れるまでになったんだぜ。


 ん?

 あぁ、家族に一生会えないわけじゃねぇよ、ただ、仕事内容を覚えるまでは寮からよっぽどの事が無い限り帰れないんだと。なんたって極秘だからな。

 格好よくね?極秘任務、みたいだろ?

 やりがいはマジ、半端なくあるぜ。


 仕事内容は、いろんな部署があって、営業もあるから、お前も前職生かせるんじゃね?
ゲーム会社とか、玩具メーカーによく営業行くらしいぜ。


 ん?業種?そうだなぁ…強いて言えば、運送業だな。


 あ、動物が嫌いだったら無理だぞ。あと、高所恐怖症だったらダメだな。


 大丈夫?よゆー?良かった!じゃあ一緒に働こうぜ!


 あ、寒さは?大丈夫?
ま、俺も苦手だけどどーにかやっていけてるぜ。トナカイ可愛いしな。


 …おっと!そろそろ出勤だ!やる気あるなら、お前も一緒に来いよ!今夜はめちゃくちゃ忙しいからな!!
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