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12. 母親からの誘い
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「お茶を飲むの?」
「はい。そのように申し付けられました。」
スティーナは、母リンネアからお茶を一緒にしたいと言われたので呼びに来た、一緒に来て欲しい、と部屋に尋ねてきた年若い侍女に言われた。
母親であるリンネアとは、もうずっと会っていない。時折、部屋の方からガチャンと何かが割れる音が響いたりしているのをスティーナは屋敷に居る時に聞いている。ただ、ヤーナに聞いても、他の者が対応しているから大丈夫でしょう、といつも言われている。
(それがいきなり?どうしたのかしら。)
スティーナの記憶の中では母親に初めてと言っていいくらいの呼び出しである。
今までは病に倒れている為、会う事も出来ないし、廊下であまり大きな声を出さないようにとも言われていた。
(もう、回復されたって事?)
スティーナは、リンネアの事は幼い頃より心配していた。幼子にとって、母親と触れ合う事が出来ないのはとても辛い事である。部屋の前に何度行った事か。それでも、部屋に入ってしまったら母の病気に響くと言われれば、中に入る事は出来なかった。
イロナに花祈りを教わってからは、イロナにも確認をとり、病気が治りますようにと花に祈りを込めていた。そしてそれを母親に手渡して欲しい、無理であれば部屋に飾って欲しいとヤーナから母付きの侍女へと伝えている。
それが、スティーナが十歳になってやっと、リンネアの姿を見られるのだ。
嬉しいとは思うものの、戸惑いの方が勝っていた。
両親二人が描かれている肖像画は、二つある応接室の広い方の部屋に飾ってある。それを見る事で、両親には会ってはいないが辛うじてこのような顔なのだなと思う事が出来ていた。何度両親に会いたくてその肖像画の前へ出向いた事か。
「少し身だしなみを整えたいわ。」
「大丈夫でございます。さぁ。」
そう迎えに来た侍女に言われれば、スティーナも行くべきかとヤーナへ顔を向ける。
「サネル、大丈夫なのですか。」
ヤーナも不審がったのかそう呼びに来た侍女へと言葉を掛けると、曖昧な表情をしつつも頷いた。
「分かりました。では参りましょう。」
ヤーナが頷いてスティーナへ安心させるように言った。
☆★
回復したとはいってもまだ動くのは難しいみたいで、と呼びに来たサネルは部屋へと案内した。
今日はとてもいい天気であったので、外でお茶をするのかと思ったスティーナは頷いた。
(初めてお母様の部屋へ入るわ。ドキドキする!)
スティーナは緊張した面持ちで、今まで入れなかった部屋の扉の中へと入った。
「スティーナ。スティーナなのね!?ああ…こんなに大きくなって!
ごめんなさいね。さ、いい紅茶を入れたのよ。飲みましょう?」
侍女に先導されて部屋へ入っていくと、リンネアにそう言われたスティーナは促された先のソファへと腰を下ろした。
スティーナは、思ったよりも元気そうでとても安心した。
「この紅茶はね、紅茶の産地で有名な所から送ってくれたのよ。
ねぇ、スティーナ。スティーナは花姫なのよね?もう、祈る事をしているのよね?」
「はい、お母様。まだまだ勉強中ではありますが、少しずつ学んでおります。」
「そう、そうなのね!凄いのね、スティーナは!
じゃあ、若く美しくなりたい人がいるの。その人の為に祈ってくれる?」
「え?ええっと…若く美しくなりたい、ですか?」
スティーナは、いきなりの母親からの申し出に戸惑い、疑問の声を出す。
「そうよ。この紅茶を送ってくれたのは、侯爵家のご夫人でね、あまり親しくはなかったけれどこれを機に仲良くなりたいって言われたのよ。
どう?出来るわよね?」
「…お母様、申し訳ありませんがそのような祈りの勉強はまだ行っておりません。」
スティーナは、どのように断りの言葉を言えばいいかと迷いながらそのように言った。もちろん嘘は言ってはいない。イロナは、そのような個人的な想いに繋がる祈りはスティーナへ教える事を後回しにしていたし、スティーナが自ら調べて行ってもいいのだが、やはり請け負うものではないと考えてそう発言した。
「まぁ!じゃあ、今度イロナ様がいらっしゃる日はいつ?その日に聞いてみてちょうだい。いい?分かった?やるのよ。」
「お母様、出来るかまではお約束出来ませんが、聞いてみますね。」
スティーナは、リンネアとせっかく会えて話が出来たのに、そのようにまくしたてるように言われる口調は少し怖いと思った。だが、せっかく会えたのだからと、リンネアの意向に少しでも添えるようにそう濁して返事をする。
「じゃあ、不老不死はどう?祈れるわよね?」
「…すみません、それもまだでございます。」
「まぁ!スティーナはちゃんと学んでいるの!?
いいわ、テレサにやってもらうから。サネル、テレサを呼んできてちょうだい!
あぁ、スティーナはもういいわ。帰りなさい!」
持っていたカップをガチャンと大きな音を立ててソーサーへと置いたリンネアは、そのように捲し立てた。
スティーナはいきなりの変貌で驚き、小さな声を出した。
「えっ!?」
「週に二回もイロナ様がいらっしゃると聞いたわよ。ですからちゃんと学んでいると思ったのだけれど違うようね!スティーナ、今まで何を教わったの!?あなたそれでも花姫!?」
「リンネア様、お体に障りますよ。今日は休みましょう。」
見かねて、リンネアの近くにいた熟練の侍女のシエルがそうリンネアへと声を掛ける。
「嫌よ!だって、お手紙が来たじゃない!どう返事をすればいいの!?」
「大丈夫でございますよ。
そのような私的な事を頼んでくるご夫人などとは付き合う価値も無いと、無視すればよろしいと申し上げましたよ。」
「そんな!だって贈り物も頂いたのよ!」
「大丈夫でございます。あちらが勝手に送りつけてきたのでございます。こちらに非は一切ございませんよ。」
「でも!だって!!」
「さぁ、一度休憩いたしましょう。ベッドへ行きましょうね。」
「嫌よ!最高級の紅茶だって書いてあったわ!せっかくなら飲まないと!」
「では温め直してベッドで飲みましょうね。ハチミツを入れてもいいと思いますよ。」
「そう…そうねぇ…。」
もうリンネアの目にはスティーナを写してはおらず、シエルに手を引いてもらいつつ奥の寝室へと移動していったリンネアとシエルであったが、すぐにシエルは戻ってきた。
その間、サネルも本当にテレサを呼びに行った方がいいのか扉の方まで駆け出したが、視線でシエルに止められていた為に、扉の傍に立っていた。
「スティーナ様、お許し下さいませ。まだお会いになるのは早かったようで本当に申し訳ありません。」
そのように頭を下げたシエルにスティーナは頭を上げるように言った。そして、顔を見たスティーナはいつか祈りを込めた花を手渡した使用人だったと思い出した。
「あら…?あなた…アヤメを渡した人…。」
スティーナは、この侍女に見覚えがあった。
イロナから教わり始めた頃、使用人達が困ったと言って休憩中に話していた世間話を聞いたスティーナが、覚えたばかりの花祈りをしたのだった。
その話はお見合いをした息子の相手方から、一向に連絡が来ないという話であった。別に聞き流せばいいものを、スティーナは困っている人がいたら助けたい、ましてや自分の力が役に立つならとイロナに確認を取ってから行ったのだった。
「スティーナ様、覚えておいででしたか。その節はありがとうございます。息子はおかげで幸せになりました!
それよりも、スティーナ様のお心が心配でございます。どうか、お気になさいませんよう。」
「お母様の事は驚いたけれど、今、助けてくれたでしょう?
あなた名前は?」
「はい、私はシエルと申します。リンネア様の侍女をしております。」
「シエルは、リンネア様がこちらへ嫁がれてからずっと遣えているので、リンネア様も一番信頼しているのです。
けれどもその為に、シエルはいつも大変そうで…。」
ヤーナも見かねて、そう口を出した。
「ですから、もう一人付けて頂いたのでありがたいですよ。サネルは大変でしょうけれどね。」
そう言ってシエルはサネルの方を見てニッコリと微笑んだ。サネルも、滅相もない、とでも言うように頭を下げる。
スティーナは、普段から付いている侍女は一人。
だが、リンネアは二人であるのだ。一人は長年遣えているシエル。もう一人は若い侍女がなるのだが、たいていはいろいろと大変で辞めてしまう子も多く、入れ替わりが激しかった。
「リンネア様は、初めこそ本当に産後の肥立ちも悪く寝込んでいたのですが、そのせいかもしれませんがもうずっと、心の病を患っておいでなのです。
スティーナ様。リンネア様はご病気なのです。ですから、本心ではないお言葉も時に発してしまわれるのです。お気になさいませんよう。」
再びシエルは謝り、サネルに紅茶を温め直してくるように告げる。
ヤーナも、これ以上いるとまた暴言を吐かれてもいけないとスティーナを連れて部屋へと戻った。
「はい。そのように申し付けられました。」
スティーナは、母リンネアからお茶を一緒にしたいと言われたので呼びに来た、一緒に来て欲しい、と部屋に尋ねてきた年若い侍女に言われた。
母親であるリンネアとは、もうずっと会っていない。時折、部屋の方からガチャンと何かが割れる音が響いたりしているのをスティーナは屋敷に居る時に聞いている。ただ、ヤーナに聞いても、他の者が対応しているから大丈夫でしょう、といつも言われている。
(それがいきなり?どうしたのかしら。)
スティーナの記憶の中では母親に初めてと言っていいくらいの呼び出しである。
今までは病に倒れている為、会う事も出来ないし、廊下であまり大きな声を出さないようにとも言われていた。
(もう、回復されたって事?)
スティーナは、リンネアの事は幼い頃より心配していた。幼子にとって、母親と触れ合う事が出来ないのはとても辛い事である。部屋の前に何度行った事か。それでも、部屋に入ってしまったら母の病気に響くと言われれば、中に入る事は出来なかった。
イロナに花祈りを教わってからは、イロナにも確認をとり、病気が治りますようにと花に祈りを込めていた。そしてそれを母親に手渡して欲しい、無理であれば部屋に飾って欲しいとヤーナから母付きの侍女へと伝えている。
それが、スティーナが十歳になってやっと、リンネアの姿を見られるのだ。
嬉しいとは思うものの、戸惑いの方が勝っていた。
両親二人が描かれている肖像画は、二つある応接室の広い方の部屋に飾ってある。それを見る事で、両親には会ってはいないが辛うじてこのような顔なのだなと思う事が出来ていた。何度両親に会いたくてその肖像画の前へ出向いた事か。
「少し身だしなみを整えたいわ。」
「大丈夫でございます。さぁ。」
そう迎えに来た侍女に言われれば、スティーナも行くべきかとヤーナへ顔を向ける。
「サネル、大丈夫なのですか。」
ヤーナも不審がったのかそう呼びに来た侍女へと言葉を掛けると、曖昧な表情をしつつも頷いた。
「分かりました。では参りましょう。」
ヤーナが頷いてスティーナへ安心させるように言った。
☆★
回復したとはいってもまだ動くのは難しいみたいで、と呼びに来たサネルは部屋へと案内した。
今日はとてもいい天気であったので、外でお茶をするのかと思ったスティーナは頷いた。
(初めてお母様の部屋へ入るわ。ドキドキする!)
スティーナは緊張した面持ちで、今まで入れなかった部屋の扉の中へと入った。
「スティーナ。スティーナなのね!?ああ…こんなに大きくなって!
ごめんなさいね。さ、いい紅茶を入れたのよ。飲みましょう?」
侍女に先導されて部屋へ入っていくと、リンネアにそう言われたスティーナは促された先のソファへと腰を下ろした。
スティーナは、思ったよりも元気そうでとても安心した。
「この紅茶はね、紅茶の産地で有名な所から送ってくれたのよ。
ねぇ、スティーナ。スティーナは花姫なのよね?もう、祈る事をしているのよね?」
「はい、お母様。まだまだ勉強中ではありますが、少しずつ学んでおります。」
「そう、そうなのね!凄いのね、スティーナは!
じゃあ、若く美しくなりたい人がいるの。その人の為に祈ってくれる?」
「え?ええっと…若く美しくなりたい、ですか?」
スティーナは、いきなりの母親からの申し出に戸惑い、疑問の声を出す。
「そうよ。この紅茶を送ってくれたのは、侯爵家のご夫人でね、あまり親しくはなかったけれどこれを機に仲良くなりたいって言われたのよ。
どう?出来るわよね?」
「…お母様、申し訳ありませんがそのような祈りの勉強はまだ行っておりません。」
スティーナは、どのように断りの言葉を言えばいいかと迷いながらそのように言った。もちろん嘘は言ってはいない。イロナは、そのような個人的な想いに繋がる祈りはスティーナへ教える事を後回しにしていたし、スティーナが自ら調べて行ってもいいのだが、やはり請け負うものではないと考えてそう発言した。
「まぁ!じゃあ、今度イロナ様がいらっしゃる日はいつ?その日に聞いてみてちょうだい。いい?分かった?やるのよ。」
「お母様、出来るかまではお約束出来ませんが、聞いてみますね。」
スティーナは、リンネアとせっかく会えて話が出来たのに、そのようにまくしたてるように言われる口調は少し怖いと思った。だが、せっかく会えたのだからと、リンネアの意向に少しでも添えるようにそう濁して返事をする。
「じゃあ、不老不死はどう?祈れるわよね?」
「…すみません、それもまだでございます。」
「まぁ!スティーナはちゃんと学んでいるの!?
いいわ、テレサにやってもらうから。サネル、テレサを呼んできてちょうだい!
あぁ、スティーナはもういいわ。帰りなさい!」
持っていたカップをガチャンと大きな音を立ててソーサーへと置いたリンネアは、そのように捲し立てた。
スティーナはいきなりの変貌で驚き、小さな声を出した。
「えっ!?」
「週に二回もイロナ様がいらっしゃると聞いたわよ。ですからちゃんと学んでいると思ったのだけれど違うようね!スティーナ、今まで何を教わったの!?あなたそれでも花姫!?」
「リンネア様、お体に障りますよ。今日は休みましょう。」
見かねて、リンネアの近くにいた熟練の侍女のシエルがそうリンネアへと声を掛ける。
「嫌よ!だって、お手紙が来たじゃない!どう返事をすればいいの!?」
「大丈夫でございますよ。
そのような私的な事を頼んでくるご夫人などとは付き合う価値も無いと、無視すればよろしいと申し上げましたよ。」
「そんな!だって贈り物も頂いたのよ!」
「大丈夫でございます。あちらが勝手に送りつけてきたのでございます。こちらに非は一切ございませんよ。」
「でも!だって!!」
「さぁ、一度休憩いたしましょう。ベッドへ行きましょうね。」
「嫌よ!最高級の紅茶だって書いてあったわ!せっかくなら飲まないと!」
「では温め直してベッドで飲みましょうね。ハチミツを入れてもいいと思いますよ。」
「そう…そうねぇ…。」
もうリンネアの目にはスティーナを写してはおらず、シエルに手を引いてもらいつつ奥の寝室へと移動していったリンネアとシエルであったが、すぐにシエルは戻ってきた。
その間、サネルも本当にテレサを呼びに行った方がいいのか扉の方まで駆け出したが、視線でシエルに止められていた為に、扉の傍に立っていた。
「スティーナ様、お許し下さいませ。まだお会いになるのは早かったようで本当に申し訳ありません。」
そのように頭を下げたシエルにスティーナは頭を上げるように言った。そして、顔を見たスティーナはいつか祈りを込めた花を手渡した使用人だったと思い出した。
「あら…?あなた…アヤメを渡した人…。」
スティーナは、この侍女に見覚えがあった。
イロナから教わり始めた頃、使用人達が困ったと言って休憩中に話していた世間話を聞いたスティーナが、覚えたばかりの花祈りをしたのだった。
その話はお見合いをした息子の相手方から、一向に連絡が来ないという話であった。別に聞き流せばいいものを、スティーナは困っている人がいたら助けたい、ましてや自分の力が役に立つならとイロナに確認を取ってから行ったのだった。
「スティーナ様、覚えておいででしたか。その節はありがとうございます。息子はおかげで幸せになりました!
それよりも、スティーナ様のお心が心配でございます。どうか、お気になさいませんよう。」
「お母様の事は驚いたけれど、今、助けてくれたでしょう?
あなた名前は?」
「はい、私はシエルと申します。リンネア様の侍女をしております。」
「シエルは、リンネア様がこちらへ嫁がれてからずっと遣えているので、リンネア様も一番信頼しているのです。
けれどもその為に、シエルはいつも大変そうで…。」
ヤーナも見かねて、そう口を出した。
「ですから、もう一人付けて頂いたのでありがたいですよ。サネルは大変でしょうけれどね。」
そう言ってシエルはサネルの方を見てニッコリと微笑んだ。サネルも、滅相もない、とでも言うように頭を下げる。
スティーナは、普段から付いている侍女は一人。
だが、リンネアは二人であるのだ。一人は長年遣えているシエル。もう一人は若い侍女がなるのだが、たいていはいろいろと大変で辞めてしまう子も多く、入れ替わりが激しかった。
「リンネア様は、初めこそ本当に産後の肥立ちも悪く寝込んでいたのですが、そのせいかもしれませんがもうずっと、心の病を患っておいでなのです。
スティーナ様。リンネア様はご病気なのです。ですから、本心ではないお言葉も時に発してしまわれるのです。お気になさいませんよう。」
再びシエルは謝り、サネルに紅茶を温め直してくるように告げる。
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