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9歳

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私は教会の学校に通っていた。
貴族でも、精霊に選ばれない人も結構いる。
一般庶民も、教会の学校に通えるので、いろんな人が通っていた。

しかし、王立学院とは違って、教会に寄付をしなければいけない。寄付だから額は決まってはいないけれど、貴族はそれなりに出すそうですの。

お父様とお母様が、お姉様にお願いされたのか、教会の学校に通わせてくれたのはとてもありがたかった。寄付を出してもらうのはいささか後ろめたさはあったけれど。


私が9歳になってある時。
寮にいるキャサリンお姉様から両親に手紙が届いたそうです。
内容はお姉様に、王家から【お妃試験】の参加通知書が届いたと。

私は、それを伯爵領のカントリーハウスでダンカンから聞いたわ。
相変わらず、お父様とお母様はタウンハウスからほとんど帰って来ないもの。
ちなみに手紙は、中味を検閲されるみたい。王立学院で学ぶ事も、王家や国に関係する事だから、他者に漏らしていないか確認しているようですの。
やっぱり、王立学院に通わなくて本当に良かったですわ。全くもって不自由ですわね。


「【お妃試験】って?」
私はダンカンに聞いた。

「王太子殿下のお妃に相応しいかを見定める試験だそうですよ。」
「ふーん。王太子殿下って?」

「キャサリン様より2歳年上だったかと。隣国に最近まで留学されていたそうですよ。」

「ふーん。お姉様が、お妃に選ばれたの?」

「違います。お妃に相応しいかを見定める試験に出られる権利があると、通知書が来たそうです。王立学院の女子全員に通知書がいったそうですよ。」
そうなの。妃に選ばれる人は、精霊にも選ばれた人なのね。
…お気の毒。妃なんて大変ですわね。私にはそれになる権利も、ありませんけれども。


「お妃試験、良かったのですか?本当だったら、キャロル様も参加出来たでしょうに。」
部屋へ帰ると早々にクロエに言われた。

「もう!まだそんな事言って!窮屈でしょ?お妃様ってきっととても大変よ。私には向いてないわ。」
「そうでございますか?キャロル様でしたら、素晴らしいお妃様になられると思いますよ。」
「クロエ。私はその資格さえ無かったのよ。…あぁ、お姉様がお妃様になったらどうしましょうね。」

『えー!嫌!』
『そんなのダメよ。』
『そうよ、国がダメになるわ。』
『ムリー!』
もう!精霊達は本当に、お姉様には手厳しいんだから。

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