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8. 弟
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「シンシア姉様!僕、もう学院に通いたくありません!」
六歳下の弟、セインはそう言ってテラスで紅茶を飲んでいる私の傍に立った。
彼は、十二歳になる年に王立学院に入学しました。
そして、今は入学して二週間ほど経った休みの日。
私は朝食を食べた後で、久々にゆっくりテラスで過ごしていた所だった。
最近は少し、領地経営の事でバタバタとしていた為セインともゆっくり話が出来なかったのよね。
昨日の夕方からお姉様とお母様はこのカントリーハウスには居ない。タウンハウスにいらっしゃるのでしょう。
王都で夜会などがあると遅くまで遊びたいため、タウンハウスの方が近いからそちらに泊まると言って、何年も前から休みの日はカントリーハウスには帰って来なくなった。
体が病弱だと言っている割には、夜遊びをしているのですよね。矛盾しております。
お母様も、ご婦人方のお集まりがあるらしくお姉様と一緒に毎週のようにタウンハウスへ行かれます。
だから、弟のセインもこちらで一緒にお茶を飲みましょうと誘った。
セインは、お姉様やお母様を避けているから、今だったら時間もあるしゆっくり出来るでしょう。
「セイン。学院に通いたくないってどういう事?私は通っていなかったから…そんなに嫌な所でしたの?」
私は王立学院に通っていない。
王立学院は、十二歳になる年齢の、貴族の令息や令嬢が入学して六年間通う。
王立学院は王都にあり、領地から遠い者は王都のタウンハウスから通い、馬車で通える距離の者はカントリーハウスから通う者もいる。
お姉様は、学院に通いたいと言った。
初め、お父様はそれに反対しました。体が弱いのに通えるのか、と。
でもお姉様は『お友達を作ってみたいのです!』と言われていました。
お友達…貴族の子供も、小さいながらも社交します。
両親について行った先のお茶会やお披露目会等で知り合いが出来ると、お手紙を出したり、お茶会を開いたりして交流を深めていく。
しかしお姉様は、なぜか女性のお友達が出来なかったそうです。だから、学院でお友達を作りたいと。
そう言われたら、お父様も仕方なかったのでしょう。『無理はしない事。』と言って許されました。
そして、少しでも近い方が体に負担は無いだろうと、お姉様はタウンハウスから学院に通いました。
けれど私は心配でした。
お姉様は、結局家庭教師にはほとんどお勉強を教えてもらっていません。辛うじて読み書きは学んだそうですけれど。
だから、学院で果たして試験などに受かるのか心配でしたが…。
試験の結果がよくない人は、課題を提出すれば合格になったそうですのでそちらでどうにかしたのだと思います。
まぁ、私は通っていないのでその仕組みも知らないのですけれど、知り合いがいろいろと教えて下さいました。
そんなお姉様とタウンハウスや馬車で一緒に通うのは、苦痛だと感じてしまっていたのです。
顔を合わせれば、たいていいつも嫌味を言ってきますから。
それに、私は家庭教師の先生からさまざまな事を学ばせてもらっていたので学院に通っても学ぶ事はあるのか疑問でした。お友達も、それなりにおりましたので特に必要性を感じませんでした。
「違うんです。学院はとてもいい所です。それに、友と呼べる者も少しは出来ました。ただ…。」
六歳下の弟、セインはそう言ってテラスで紅茶を飲んでいる私の傍に立った。
彼は、十二歳になる年に王立学院に入学しました。
そして、今は入学して二週間ほど経った休みの日。
私は朝食を食べた後で、久々にゆっくりテラスで過ごしていた所だった。
最近は少し、領地経営の事でバタバタとしていた為セインともゆっくり話が出来なかったのよね。
昨日の夕方からお姉様とお母様はこのカントリーハウスには居ない。タウンハウスにいらっしゃるのでしょう。
王都で夜会などがあると遅くまで遊びたいため、タウンハウスの方が近いからそちらに泊まると言って、何年も前から休みの日はカントリーハウスには帰って来なくなった。
体が病弱だと言っている割には、夜遊びをしているのですよね。矛盾しております。
お母様も、ご婦人方のお集まりがあるらしくお姉様と一緒に毎週のようにタウンハウスへ行かれます。
だから、弟のセインもこちらで一緒にお茶を飲みましょうと誘った。
セインは、お姉様やお母様を避けているから、今だったら時間もあるしゆっくり出来るでしょう。
「セイン。学院に通いたくないってどういう事?私は通っていなかったから…そんなに嫌な所でしたの?」
私は王立学院に通っていない。
王立学院は、十二歳になる年齢の、貴族の令息や令嬢が入学して六年間通う。
王立学院は王都にあり、領地から遠い者は王都のタウンハウスから通い、馬車で通える距離の者はカントリーハウスから通う者もいる。
お姉様は、学院に通いたいと言った。
初め、お父様はそれに反対しました。体が弱いのに通えるのか、と。
でもお姉様は『お友達を作ってみたいのです!』と言われていました。
お友達…貴族の子供も、小さいながらも社交します。
両親について行った先のお茶会やお披露目会等で知り合いが出来ると、お手紙を出したり、お茶会を開いたりして交流を深めていく。
しかしお姉様は、なぜか女性のお友達が出来なかったそうです。だから、学院でお友達を作りたいと。
そう言われたら、お父様も仕方なかったのでしょう。『無理はしない事。』と言って許されました。
そして、少しでも近い方が体に負担は無いだろうと、お姉様はタウンハウスから学院に通いました。
けれど私は心配でした。
お姉様は、結局家庭教師にはほとんどお勉強を教えてもらっていません。辛うじて読み書きは学んだそうですけれど。
だから、学院で果たして試験などに受かるのか心配でしたが…。
試験の結果がよくない人は、課題を提出すれば合格になったそうですのでそちらでどうにかしたのだと思います。
まぁ、私は通っていないのでその仕組みも知らないのですけれど、知り合いがいろいろと教えて下さいました。
そんなお姉様とタウンハウスや馬車で一緒に通うのは、苦痛だと感じてしまっていたのです。
顔を合わせれば、たいていいつも嫌味を言ってきますから。
それに、私は家庭教師の先生からさまざまな事を学ばせてもらっていたので学院に通っても学ぶ事はあるのか疑問でした。お友達も、それなりにおりましたので特に必要性を感じませんでした。
「違うんです。学院はとてもいい所です。それに、友と呼べる者も少しは出来ました。ただ…。」
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